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第二章
第3話
しおりを挟む母は私と親子関係を解消して侯爵家から実家の侯爵家に戻り、子爵に再嫁した。
子爵は罪を問われなかった。
ただ、息子は病気による治療として国に取り上げられた。
子爵は息子の騒動が落ち着いてから、母だった方とホームパーティーという形で結婚式をおこなった。
親子でなくなった以上、私は同席しなかった。
すでに我が侯爵家には風評被害があったから。
私が母を追い出したと批判が起きていた。
寡婦となった母を7年間働かせて、当主を継ぐと同時に邪魔な母を追い出した、というのが信憑性の高い噂として広がった。
自称我が家の使用人が言いふらしたということが判明して、特定された本人たちから身代が傾くほどの慰謝料が支払われた。
結果、没落したのは本人の責任だろう。
面白おかしく嘘を広めたのだから。
そして母が子爵に再嫁したことで、その婚姻が幼かった私の行動で一度破談していたことが話題になった。
さらに『純愛物語の片割れ』を追い詰めた悪女とまで批判されることとなった。
それには当時の不審者情報を知っている子息子女たちから否定された。
それでも噂を広げようとした者たちは……王家から不敬罪に問われて処刑された。
私が隣国の王子との結婚を控えていたからだ。
相手は第四王子で、私が隣国に留学したときの同級生だった。
同級生から友人のひとりになり、異性の親友から婚約者となった。
私の国での不当な評価を彼は知っている。
それでも彼は私を選んでくれた。
私はこの国にとって異質な存在だ。
母と父になるはずだった子爵との結婚を次期当主の立場から破談した悪女。
兄になるはずだった男性を受け入れず、治療と称して北方の神殿に送った悪女。
当主を継ぐと同時に母親と縁を切り家から追い出した悪女。
そして、真実を言われて逆上し、隣国の王子との結婚を笠に着て王家に圧力をかけて全員を処刑させた悪女。
そんな悪評も、これが最後。
私は明日、この国を出る。
愛する人と幸せになるために。
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