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第二章
第2話
しおりを挟む就学前のお茶会は就学で親がいなくても慣れるためのもの。
そのため、二週間ごとに開かれるお茶会は6回。
そして6回目のお茶会から二週間後、10歳の私たちは学園に入学する。
だからこそ気付かれなかった。
お茶会が開かれているのは、貴族なら散歩が許される庭園だったから。
それが表沙汰になったのは今から2年前、心を病んだ子息が日記を遺して死を選んだ。
発見が早く生命は助かったが……心は逝ってしまった。
その肉体も翌年には心を追って逝ってしまった。
その日記に、生々しく描かれていたのだ。
愛を囁く彼と、彼に堕ちていく子息の心の内を。
彼はけっして子息に手をだすことはなかった。
いずれ、もう少し大人になれたら……そうしたらきっと彼は自分のすべてを愛してくれる。
その日を心待ちにしていた子息は誕生日前に別れを告げられた。
「大人の階段を一段のぼったキミを愛すことはできない」
今までの子息たちも声変わりを理由に別れを告げられていた。
でも『自分だけは違う』と信じたかった。
大人になりたくない。
彼以外に愛せない。
もう……彼がいない毎日は思い浮かばない。
愛しています。
ウルベラ様、私のすべてはあなたのもの。
でも、あなたは私のものにならない。
だったら、あなたの心の隅にでも私を住まわせてください。
愛しています。
これが私の愛の証です。
日記には殉愛を貫いた子息と純愛を貫いたウルベラとの2年にわたる恋物語が描かれていた。
純粋な愛だった。
それは誰もが、子息の両親でさえ認めた。
ただ、今までにもウルベラとの恋を失った何人かの子息たちは失恋の心を癒せないでいた。
中には少年男娼のように大人の男性を求めた。
そんな子息たちも肉体関係を求めるのではなく、愛情を、温もりを求めただけだ。
…………与えられなかった父親からの愛情をウルベラに求め、疑似恋愛に溺れていただけだった。
ウルベラに恋をしたのは、亡くなった子息だけだった。
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