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第4話
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「陛下、しばしお待ちくださいな」
入場しようとした私に第二貴妃が無礼にも止める。
第一王子を産んだがためにほかの王子や王女たちを産んだ王妃や貴妃たちを見下す態度を嫌い、以降は渡っていない。
「第二貴妃、失礼であろう」
「も、申し訳ございません。ですがしばし、しばしお待ち下さい」
必死に頭を下げて止める第二貴妃の姿に私と王妃は顔を見合わせる。
王妃にも理由がわからないようで首を左右に振る。
「理由を告げよ」
「はい、陛下。実はアムゼイには意中の令嬢がおります。その者に、いまプロポーズをしております」
「ほう、あのアムゼイにそのような者がおったとは」
「その者は知恵もあり器量よく。きっと王家のためになります」
ルービンの婚約の白紙によって、賢妃の再来と呼ばれていたメイシャン嬢を手放す結果になった。
契約によってメイシャン嬢を王家に関わらせることはできない。
彼女とまでいわないが、王家に知恵を齎す者がアムゼイの伴侶となってもらえるのなら。
そう考えていたところ、廊下をかけてくるアムゼイを見かけた。
その表情はプロポーズをしたように見えない。
「きゃああ! アムゼイ、その指輪……」
第二貴妃のあげた悲鳴にアムゼイの手を凝視する。
彼の右手小指にはめられた指輪は魔導具の……
「どうしてそれをあなたがはめているの!」
「はい、メイシャン様よりいただきました」
「なに言ってるの⁉︎ それはあなたがメイシャンにはめる手筈だったでしょう! アダマン伯は! グモウル侯爵やモルディ伯たちもどうしたの!」
「彼らは会場におります。それで父上、客室を一室お借りしました」
アムゼイにこのような彼には難しい言葉遣いはできない。
これは契約違反をしたということか。
「……何があった?」
「はい、私が引き倒した貴婦人が出血を。それでメイシャン様より客室の用意と女医の手配をお命じになられました」
「誰が怪我をしたのだ」
「はい、ウィンダム公爵夫人にございます」
ウィンダム公爵夫人は妊婦だ。
そんな彼女を倒して出血、だと……
「アムゼイ王子、客室はどちらを?」
「はい、南の第二貴賓室を」
第二貴賓室はここから一番近い場所だ。
さっと指示を出す王妃と動く貴妃たち。
女医のことは彼女たちに任せておけばいいだろう。
そして第二貴妃、力なく座り込んだ彼女を見て王妃に目を移す。
私の視線に気付いた王妃が黙って頷く。
「アムゼイ、すぐにメイシャン嬢に報告を。女医は貴妃たちが呼びにいったと」
「はい、ありがとうございます」
アムゼイは一礼すると、きた道を戻っていった。
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