23 / 30
戦争
発情期※
しおりを挟む
目が覚めた時、見慣れた部屋だ、とそう思った。
「クエン、目が覚めたか?」
ドナート、ドナートだ。どくり、と脈打つ。
発情期は初めてだが、本能でわかる。子種が欲しい。下半身の奥、卵室があるだろうところが、熱い。
「ドナート、戦争、は……」
声が掠れた。喉が渇いている。
「竜騎士団はいったん下がって、休んでいる。代わりに師匠が前線に出た。」
大魔導士が? 戦争には加担しないと、そう言ってなかったか?
「どう、して?」
「俺達に時間をくれた。王と掛け合ってクエンが怪我をしたから、復帰までに時間がかかるとそう言って、自分が代わりに抑えると言ってくれた。もちろん勝利も約束しなかった。俺達と竜騎士団が復帰するまで、負けも、勝利もしない程度に抑えてくれると言った。」
私に水を飲ませてくれながら、ドナートは私をベッドの背もたれに寄りかかれるように、起こしてくれた。
「クエン、愛してる。」
ドキリと、鼓動が跳ねる。
「ドナート……」
強い瞳に貫かれるように感じながらその視線を見つめ返した。
「クエンが、死ぬようなことになってはいけないからと思って、言えなかった。でもそうじゃない。俺に覚悟が足りなかっただけだ。クエンが落下する姿を見て、死はすぐそばにあることを痛感した。師匠はいざとなったら、自分の祖国に来ればいいと、そう言ってくれた。だからクエン、俺と、添い遂げて欲しい。伴侶になってくれ、クエン。」
「ドナート……ドナート、ドナート……」
嬉しくて、涙が出た。抱きしめられる。ふわっと、ドナートの匂いに包まれた。大好きな、ドナートの匂い。
「僕も、好き。ずっとずっと好きで、フィメルになりたかったくらい、好き。ドナートの伴侶になりたい。もうずっと前からそう思っていたけど、僕は王子で、立場も微妙だ。だから、諦めないとと、思ってた。覚悟が足りなかったのは僕だ。全部を捨てても、ドナートを選ぶ。いざとなったら僕と逃げてくれるのか? ドナート。」
ぎゅっと力強く抱きしめられた。
「もちろん。駆け落ちしよう。」
思わず笑ってしまった。だからお互い言えなかった。責任を放り出して、国を捨てでも、お互いを選んでしまうから。
「愛してる、ドナート。僕を伴侶にして……」
唇が降りてくる。浄化の魔法がかけられて、ドナートはそのまま、私に覆いかぶさった。
お互いに服をもどかしそうに脱ぎ去って、貪るような口付けをした。
噛みつくような肌への口付けに、普段残さない所有痕がつけられたであろうことを知る。ドナートの魔力が吹き込まれるようなそれは、口付けされた肌を熱くさせた。
「……あん、ドナート、気持ち、イイ……」
ドナートの口腔に包まれて敏感なところを刺激される。精通してから、何度も繰り返された口淫はたちまち私の弱いところを責め立てて、あっという間に果ててしまった。
「ん、甘い。相変わらず、クエンのは甘い。」
浮かされるような熱に頭が支配されようとしても、ドナートの言葉は羞恥を誘った。
「もう、いつも、それ言う。」
涙声で掠れて、抗議の言葉が舌足らずになる。
「師匠が、相手の子種が甘いなら魔力の相性は最高だな、喜べっていってたぞ。」
「なんでそういうことグレアム師匠に話すんだよ! 馬鹿ッ……あん……」
ドナートの手が、今まで触れなかった後孔へと伸びた。
そこは中から潤滑液が降りてきていて、もうぐじゅぐじゅに蕩けていた。指が押し込まれるとそれがとろりと流れ出す。
「あんっ……あっ……ドナートっ……欲しい、ドナート、ドナート……」
「クエン、くそ、我慢できない……挿れるぞ。」
足を抱えあげられて腰が浮く。見上げると逞しい、ドナートの昂りが血管を浮かばせてそそり立っていた。
「うん。欲しい、ちょうだい。ドナートのおっきいの……」
ズン、と衝撃が来て、目の前に火花が散った。中に、ドナートがいる。奥まで一気に入った。
ああ、やっと一つになれた。
「中いっぱい、嬉しい……」
ぽろりと涙が零れた。それをドナートが唇で吸い取ってくれた。
「ああ、やっと一つになれたな……」
嬉しそうに微笑むドナートに私も嬉しくてキスをした。
激しい口付けを交わしながら、ドナートが動く。
中いっぱいの昂ぶりを、逃すまいと内壁がきゅうきゅうと締め付けた。
雁の部分がもっとも感じる場所を刺激すると、頭の中が白くなっていく。吐き出さないまま、何度も達した。
「く……」
ドナートが低く呻くと奥に熱いモノが叩き付けられた。それからジワリとドナートの魔力が体に染みわたっていく。
魔力枯渇で何度もドナートの魔力を手を繋いだ状態で、注いでもらっていたけれど、それとは比べ物にならないくらいの大量の魔力。
それが体中巡って、感じたことのない快感を呼び起こした。
「……あッ……あッ……あああーーーーッ……」
びくびくと仰け反って、快感に震える。でも内壁は別の生き物のようにうねり、搾るように締め付けた。一滴も、零すまいとして。
「もっと、いっぱい、欲しい。奥に、いっぱい。」
足で、ドナートの腰を挟んで、逃げられないようにする。そして腰を押し付けて揺らした。
中でまた、ドナートが大きくなる。
「ああ、いっぱい、嫌というほど、注いでやる。」
「嬉しい。嫌だなんて言うわけない。ドナートの子種は全部僕のものだもの……」
背中に手を回されて引き起こされる。向かい合わせにベッドの上に座った。自重で奥深くまでドナートを咥えこんだ。奥に感じるドナートに嬉しくて思わず微笑む。
「綺麗だ、クエン……」
チュ、っと口付けされる。慈しむような優しいキス。
「ドナートくらいだ。そんなこと言うの。」
私は真っ赤な、照れた顔をしているに違いない。有象無象がそんなことをいっても嬉しくはないが、ドナートは別だ。ドナートがそう思ってくれるとすごく嬉しい。
「言わさない。そう言っていいのは俺だけだ。こんな色っぽい顔も、俺だけのものだ。」
ドナートの言葉に嬉しすぎて、胸が苦しくなる。
私の身体の奥も、切なくてどくどくと脈打つ。ドナートが、欲しい。腰が自然と動いた。
「……あん……あっ……」
冷静でいられたのはお互いここまでで、それからは本能が体を突き動かしてお互い激しく求めあった。
何度も体位を変え、私の方は出るものはなくなった。
ドナートはずっと勃ち上がりっぱなしになっていた。時々意識が飛んでも、目が覚めると、腰が揺らぐ。水も食べ物もとらずにそれは一週間は続いたように思う。
「……あっ……あっ……あああッ……」
もう、何度かわからない絶頂。きゅうっと締まる内壁。大量に吐き出された子種が、卵室に注がれていく。
どくり、と何かが脈打つ。
ああ。
命の音。
私とドナートの卵ができたと感じた後、私は意識を失った。
「クエン、目が覚めたか?」
ドナート、ドナートだ。どくり、と脈打つ。
発情期は初めてだが、本能でわかる。子種が欲しい。下半身の奥、卵室があるだろうところが、熱い。
「ドナート、戦争、は……」
声が掠れた。喉が渇いている。
「竜騎士団はいったん下がって、休んでいる。代わりに師匠が前線に出た。」
大魔導士が? 戦争には加担しないと、そう言ってなかったか?
「どう、して?」
「俺達に時間をくれた。王と掛け合ってクエンが怪我をしたから、復帰までに時間がかかるとそう言って、自分が代わりに抑えると言ってくれた。もちろん勝利も約束しなかった。俺達と竜騎士団が復帰するまで、負けも、勝利もしない程度に抑えてくれると言った。」
私に水を飲ませてくれながら、ドナートは私をベッドの背もたれに寄りかかれるように、起こしてくれた。
「クエン、愛してる。」
ドキリと、鼓動が跳ねる。
「ドナート……」
強い瞳に貫かれるように感じながらその視線を見つめ返した。
「クエンが、死ぬようなことになってはいけないからと思って、言えなかった。でもそうじゃない。俺に覚悟が足りなかっただけだ。クエンが落下する姿を見て、死はすぐそばにあることを痛感した。師匠はいざとなったら、自分の祖国に来ればいいと、そう言ってくれた。だからクエン、俺と、添い遂げて欲しい。伴侶になってくれ、クエン。」
「ドナート……ドナート、ドナート……」
嬉しくて、涙が出た。抱きしめられる。ふわっと、ドナートの匂いに包まれた。大好きな、ドナートの匂い。
「僕も、好き。ずっとずっと好きで、フィメルになりたかったくらい、好き。ドナートの伴侶になりたい。もうずっと前からそう思っていたけど、僕は王子で、立場も微妙だ。だから、諦めないとと、思ってた。覚悟が足りなかったのは僕だ。全部を捨てても、ドナートを選ぶ。いざとなったら僕と逃げてくれるのか? ドナート。」
ぎゅっと力強く抱きしめられた。
「もちろん。駆け落ちしよう。」
思わず笑ってしまった。だからお互い言えなかった。責任を放り出して、国を捨てでも、お互いを選んでしまうから。
「愛してる、ドナート。僕を伴侶にして……」
唇が降りてくる。浄化の魔法がかけられて、ドナートはそのまま、私に覆いかぶさった。
お互いに服をもどかしそうに脱ぎ去って、貪るような口付けをした。
噛みつくような肌への口付けに、普段残さない所有痕がつけられたであろうことを知る。ドナートの魔力が吹き込まれるようなそれは、口付けされた肌を熱くさせた。
「……あん、ドナート、気持ち、イイ……」
ドナートの口腔に包まれて敏感なところを刺激される。精通してから、何度も繰り返された口淫はたちまち私の弱いところを責め立てて、あっという間に果ててしまった。
「ん、甘い。相変わらず、クエンのは甘い。」
浮かされるような熱に頭が支配されようとしても、ドナートの言葉は羞恥を誘った。
「もう、いつも、それ言う。」
涙声で掠れて、抗議の言葉が舌足らずになる。
「師匠が、相手の子種が甘いなら魔力の相性は最高だな、喜べっていってたぞ。」
「なんでそういうことグレアム師匠に話すんだよ! 馬鹿ッ……あん……」
ドナートの手が、今まで触れなかった後孔へと伸びた。
そこは中から潤滑液が降りてきていて、もうぐじゅぐじゅに蕩けていた。指が押し込まれるとそれがとろりと流れ出す。
「あんっ……あっ……ドナートっ……欲しい、ドナート、ドナート……」
「クエン、くそ、我慢できない……挿れるぞ。」
足を抱えあげられて腰が浮く。見上げると逞しい、ドナートの昂りが血管を浮かばせてそそり立っていた。
「うん。欲しい、ちょうだい。ドナートのおっきいの……」
ズン、と衝撃が来て、目の前に火花が散った。中に、ドナートがいる。奥まで一気に入った。
ああ、やっと一つになれた。
「中いっぱい、嬉しい……」
ぽろりと涙が零れた。それをドナートが唇で吸い取ってくれた。
「ああ、やっと一つになれたな……」
嬉しそうに微笑むドナートに私も嬉しくてキスをした。
激しい口付けを交わしながら、ドナートが動く。
中いっぱいの昂ぶりを、逃すまいと内壁がきゅうきゅうと締め付けた。
雁の部分がもっとも感じる場所を刺激すると、頭の中が白くなっていく。吐き出さないまま、何度も達した。
「く……」
ドナートが低く呻くと奥に熱いモノが叩き付けられた。それからジワリとドナートの魔力が体に染みわたっていく。
魔力枯渇で何度もドナートの魔力を手を繋いだ状態で、注いでもらっていたけれど、それとは比べ物にならないくらいの大量の魔力。
それが体中巡って、感じたことのない快感を呼び起こした。
「……あッ……あッ……あああーーーーッ……」
びくびくと仰け反って、快感に震える。でも内壁は別の生き物のようにうねり、搾るように締め付けた。一滴も、零すまいとして。
「もっと、いっぱい、欲しい。奥に、いっぱい。」
足で、ドナートの腰を挟んで、逃げられないようにする。そして腰を押し付けて揺らした。
中でまた、ドナートが大きくなる。
「ああ、いっぱい、嫌というほど、注いでやる。」
「嬉しい。嫌だなんて言うわけない。ドナートの子種は全部僕のものだもの……」
背中に手を回されて引き起こされる。向かい合わせにベッドの上に座った。自重で奥深くまでドナートを咥えこんだ。奥に感じるドナートに嬉しくて思わず微笑む。
「綺麗だ、クエン……」
チュ、っと口付けされる。慈しむような優しいキス。
「ドナートくらいだ。そんなこと言うの。」
私は真っ赤な、照れた顔をしているに違いない。有象無象がそんなことをいっても嬉しくはないが、ドナートは別だ。ドナートがそう思ってくれるとすごく嬉しい。
「言わさない。そう言っていいのは俺だけだ。こんな色っぽい顔も、俺だけのものだ。」
ドナートの言葉に嬉しすぎて、胸が苦しくなる。
私の身体の奥も、切なくてどくどくと脈打つ。ドナートが、欲しい。腰が自然と動いた。
「……あん……あっ……」
冷静でいられたのはお互いここまでで、それからは本能が体を突き動かしてお互い激しく求めあった。
何度も体位を変え、私の方は出るものはなくなった。
ドナートはずっと勃ち上がりっぱなしになっていた。時々意識が飛んでも、目が覚めると、腰が揺らぐ。水も食べ物もとらずにそれは一週間は続いたように思う。
「……あっ……あっ……あああッ……」
もう、何度かわからない絶頂。きゅうっと締まる内壁。大量に吐き出された子種が、卵室に注がれていく。
どくり、と何かが脈打つ。
ああ。
命の音。
私とドナートの卵ができたと感じた後、私は意識を失った。
12
お気に入りに追加
275
あなたにおすすめの小説


婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。


30歳まで独身だったので男と結婚することになった
あかべこ
BL
4年前、酒の席で学生時代からの友人のオリヴァーと「30歳まで独身だったら結婚するか?」と持ちかけた冒険者のエドウィン。そして4年後のオリヴァーの誕生日、エドウィンはその約束の履行を求められてしまう。
キラキラしくて頭いいイケメン貴族×ちょっと薄暗い過去持ち平凡冒険者、の予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる