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王都アルデ(ヒューSIDE)
騎竜部隊の砦への道中
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カレーは大好評だった。メルトも喜んでくれた。よかった。
それとメルトに作った青い革の小さな巾着袋。中にはいつでもメルトが摘まめるようにお菓子や軽食を入れた。それを渡すとメルトはそれを覗き込む。
「それは時間停止機能が付いた、おやつ袋。ほら、王都で食事に入ったけど、メルト満足できなかったでしょ? 小腹が空いたときに摘まんでもらえばいいと思って。時間停止機能は物によってしない状態とする状態が選べるから。とりあえずサンドイッチと焼き菓子を入れておいたよ。そのうち中身を増やしていくから食べたいものあったら言ってね?」
メルトががばっと抱き着いてきた。
「ありがとう! ヒュー!」
メルトからの気持ちが伝わってくる。こんなに喜んでくれるならもっといろいろやろう!
「メルト。これくらい朝飯前だからね! もっといろいろできるから!」
「ありがとう。でもこれで十分だ。中に入れる料理をいっぱい補充してもらえたらそれでいい」
「わかった! いっぱい美味しいの作るね!」
袋より中身なのか! よしもっと胃袋掴むよう、新しいレシピを開発せねば。
「騎乗具は順調に作れているのか? 俺の用事で時間を取らせてしまったみたいだけど……」
「順調だよ。一週間もすれば作れるかな。メルト、依頼も大事だけど、俺の優先順位はメルトだからな?」
メルトは真面目だから、きっと仕事を優先して欲しいと思うんだろう。
「嬉しい。でもちゃんとお仕事はしてほしい。俺は待っていることは苦にはならないぞ? ヒューが作っているのを見るのも楽しいと思う。討伐依頼なら一緒にできると思うが、こればかりはな」
やっぱり。ぎゅっと抱きしめる。
「メルト。ありがとう。メルトの傍にいたいのは俺の我儘だから、許してくれると嬉しい」
メルトの顔を覗き込む。愛しいメルトが最優先。仕事なんて、しなくたっていい。
「え? 俺だってヒューの傍にいたい。お互いそうなら問題はないんじゃないか?」
首を傾げるメルトが可愛くてチュッとキスする。
「ありがとうメルト。そんなメルトが大好き」
キス魔な俺はまたチュッとキスを落とす。
「お、俺も、ヒューが好き……」
メルトが照れてる。可愛すぎる! だめだ! メルトを目いっぱい愛したい。
「やばい、メルト、俺、凄くしたくなってきた。ベッドに行こう?」
頷いたメルトを横抱きに抱え、ベッドへ運んだ。鏡の前でしたら、メルトが恥ずかしがって可愛かった。
それから毎晩メルトとスキンシップを取りながら、俺は騎乗具の製作、メルトは剣の稽古やハディーと結婚式について話し合ったり、マナーやダンスのレッスンなど、いろいろしていた。
そしてついに騎乗具ができた。それを納めた後、ラーンのメルトの実家に向かうことにした。
「え、直接騎竜部隊の砦に持っていけって?」
「第一騎士団長のご希望だそうだ」
「……あー……」
顔に手を当てて唸る。あの子はな。なんでか苦手だ。赤い髪は遥か昔に面倒を見たあの子と似ているのに。
「そう嫌な顔するな。馬車は向こう持ちで手配した」
「え、いつ来るかわかんないのに?」
「どうせ、ヒューはぎりぎりに納品するだろうって踏んでだ」
くそう。俺の性格をわかっている!
王都アルデで買い物をしてメルトのご両親へのお土産も買いつつ、俺とメルトは馬車で騎竜部隊の砦へと向かった。
「三日かかるのか?」
「そう。ちょっと遠いからね」
メルトは頷いたが、ずっと馬車に揺られているのにだんだんテンションが落ちていった。もぞもぞと座り直したりしていたからな。
野営で、やっと馬車から降りる。
「ずっと座りっぱなしだったから、参ったな。鍛えてたはずなのに」
「お尻痛くなった?」
赤くなって頷くメルトが可愛い!
思わずふふっと笑ってしまった。
「ヒール」
「あ」
「どう?」
「あ、ありがとう」
テントを出して、御者と馬車を結界で覆った。朝まで持つはず。
「襲撃があったらテントから出て対応するから、馬車の中で寝ていて大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
御者は御者で色々済ませるだろう。
俺とメルトはいつものテントに入った。
「なんだかほっとする」
「そう?」
「お風呂入りたいな」
「じゃあ、先にお風呂にしよう。出てからご飯だね」
久しぶりのテントのお風呂。
「気持いい」
「メルトはすっかりお風呂好きになったね」
「水がもったいないと思わなくなってきた」
「アーリウムは水が豊富だしね。全然気にしなかったよ」
「そこは国の違いだな」
メルトの白い肌が赤く染まって綺麗だ。
「そろそろ上がろう。ご飯食べる前にベッド直行になりそう」
「え、あ……」
メルトが真っ赤になった。
「ご飯は何にする? 作り置きのカレーもあるよ」
「カレーがいい!!」
「わかった」
すっかりメルトもカレーの虜になったんだな。
メルトは二杯お代わりしていた。
さすがに俺は一杯だけだった。
それとメルトに作った青い革の小さな巾着袋。中にはいつでもメルトが摘まめるようにお菓子や軽食を入れた。それを渡すとメルトはそれを覗き込む。
「それは時間停止機能が付いた、おやつ袋。ほら、王都で食事に入ったけど、メルト満足できなかったでしょ? 小腹が空いたときに摘まんでもらえばいいと思って。時間停止機能は物によってしない状態とする状態が選べるから。とりあえずサンドイッチと焼き菓子を入れておいたよ。そのうち中身を増やしていくから食べたいものあったら言ってね?」
メルトががばっと抱き着いてきた。
「ありがとう! ヒュー!」
メルトからの気持ちが伝わってくる。こんなに喜んでくれるならもっといろいろやろう!
「メルト。これくらい朝飯前だからね! もっといろいろできるから!」
「ありがとう。でもこれで十分だ。中に入れる料理をいっぱい補充してもらえたらそれでいい」
「わかった! いっぱい美味しいの作るね!」
袋より中身なのか! よしもっと胃袋掴むよう、新しいレシピを開発せねば。
「騎乗具は順調に作れているのか? 俺の用事で時間を取らせてしまったみたいだけど……」
「順調だよ。一週間もすれば作れるかな。メルト、依頼も大事だけど、俺の優先順位はメルトだからな?」
メルトは真面目だから、きっと仕事を優先して欲しいと思うんだろう。
「嬉しい。でもちゃんとお仕事はしてほしい。俺は待っていることは苦にはならないぞ? ヒューが作っているのを見るのも楽しいと思う。討伐依頼なら一緒にできると思うが、こればかりはな」
やっぱり。ぎゅっと抱きしめる。
「メルト。ありがとう。メルトの傍にいたいのは俺の我儘だから、許してくれると嬉しい」
メルトの顔を覗き込む。愛しいメルトが最優先。仕事なんて、しなくたっていい。
「え? 俺だってヒューの傍にいたい。お互いそうなら問題はないんじゃないか?」
首を傾げるメルトが可愛くてチュッとキスする。
「ありがとうメルト。そんなメルトが大好き」
キス魔な俺はまたチュッとキスを落とす。
「お、俺も、ヒューが好き……」
メルトが照れてる。可愛すぎる! だめだ! メルトを目いっぱい愛したい。
「やばい、メルト、俺、凄くしたくなってきた。ベッドに行こう?」
頷いたメルトを横抱きに抱え、ベッドへ運んだ。鏡の前でしたら、メルトが恥ずかしがって可愛かった。
それから毎晩メルトとスキンシップを取りながら、俺は騎乗具の製作、メルトは剣の稽古やハディーと結婚式について話し合ったり、マナーやダンスのレッスンなど、いろいろしていた。
そしてついに騎乗具ができた。それを納めた後、ラーンのメルトの実家に向かうことにした。
「え、直接騎竜部隊の砦に持っていけって?」
「第一騎士団長のご希望だそうだ」
「……あー……」
顔に手を当てて唸る。あの子はな。なんでか苦手だ。赤い髪は遥か昔に面倒を見たあの子と似ているのに。
「そう嫌な顔するな。馬車は向こう持ちで手配した」
「え、いつ来るかわかんないのに?」
「どうせ、ヒューはぎりぎりに納品するだろうって踏んでだ」
くそう。俺の性格をわかっている!
王都アルデで買い物をしてメルトのご両親へのお土産も買いつつ、俺とメルトは馬車で騎竜部隊の砦へと向かった。
「三日かかるのか?」
「そう。ちょっと遠いからね」
メルトは頷いたが、ずっと馬車に揺られているのにだんだんテンションが落ちていった。もぞもぞと座り直したりしていたからな。
野営で、やっと馬車から降りる。
「ずっと座りっぱなしだったから、参ったな。鍛えてたはずなのに」
「お尻痛くなった?」
赤くなって頷くメルトが可愛い!
思わずふふっと笑ってしまった。
「ヒール」
「あ」
「どう?」
「あ、ありがとう」
テントを出して、御者と馬車を結界で覆った。朝まで持つはず。
「襲撃があったらテントから出て対応するから、馬車の中で寝ていて大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
御者は御者で色々済ませるだろう。
俺とメルトはいつものテントに入った。
「なんだかほっとする」
「そう?」
「お風呂入りたいな」
「じゃあ、先にお風呂にしよう。出てからご飯だね」
久しぶりのテントのお風呂。
「気持いい」
「メルトはすっかりお風呂好きになったね」
「水がもったいないと思わなくなってきた」
「アーリウムは水が豊富だしね。全然気にしなかったよ」
「そこは国の違いだな」
メルトの白い肌が赤く染まって綺麗だ。
「そろそろ上がろう。ご飯食べる前にベッド直行になりそう」
「え、あ……」
メルトが真っ赤になった。
「ご飯は何にする? 作り置きのカレーもあるよ」
「カレーがいい!!」
「わかった」
すっかりメルトもカレーの虜になったんだな。
メルトは二杯お代わりしていた。
さすがに俺は一杯だけだった。
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