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王都アルデ(ヒューSIDE)
統括ギルド長ミハーラ
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いつものごとく階段が辛いな! エレベーターを付けてくれ。
ひいはあ言いながら上がった5階の統括ギルド長室に入ると長い緑の髪をした彫像そっくりのハイエルフ、ミハーラが手ぐすね引いて待っていた。
「よく来てくれた。それで、そちらにいる彼が新しいメンバーというわけか?」
「うん。俺の伴侶のメルト。メルト、ギルド統括のミハーラ。今回の指名依頼の発注元」
「そうか、君が……。ヒューをよろしく頼む。メンタルが弱い奴だからな。支えてやってくれ。で? 付き合って10年以上経つんだろう? 隠していたなんて酷いな? それとも最近かい? 結婚したの?」
「何言ってんだ。メルトと出会ったのは2か月ほど前だ。電撃プロポーズはしたけど」
ミハーラが眉を顰めた。なにかおかしなこと言ったか?
「本当か? ヒューが10年位前に王都に来たことがあっただろう? その時と同じ魔力の混ざり具合だったからそう思ったんだが……」
はっとして俺は声をあげる。ミハーラは魔力が見える。俺とメルトの魔力が混ざっているのがわかるんだろう。セクハラだ!
「ミハーラ、魔力視を切れ! 覗き魔!」
「常時発動スキルだからね。難しいなあ」
しれっと言いやがった。そんなわけないだろう! あー揶揄う顔になっている。
「まあ、からかうのはこのくらいにして、依頼書だ。依頼主は竜騎士団第一団長。新たに手に入れたワイバーンの騎乗具40セットだ」
あの時龍に押し付けた奴か。うう、ちょっと自業自得といえなくもない。
ソファーに座ってサインをする。メルトが物珍しそうに覗いていた。可愛い。
出されたお茶を飲み、書類を確認するミハーラを見る。
「まったく。調査依頼を受けたと思ったらこれだ。竜騎士団が嬉しい悲鳴を上げていたよ。卵も大量に手に入れたとかで、卵の分もそのうち依頼が来るだろうから、準備しておいてくれ。受け取りには第一騎士団長御自らいらっしゃるそうだ。光栄だな」
あの子か。うーん、慕われてるのは自覚してるけど、目がキラキラ過ぎて引くというか。
「面白がっているだろう。あー、俺、苦手なんだよなあ。しばらく〝龍の爪〟にいるから何かあったら連絡してくれ」
つい髪をかき乱す。嫌いじゃない。返せない好意が辛いだけだ。
「さて、これで当面の依頼は終わりだ。ヒュー、おめでとう。やっと伴侶を持つことにしたんだな」
ミハーラがこんなことを言うとは思わなかった。
「ああ。メルトと出会えて俺は幸せなんだ」
メルトの肩を抱き寄せるとミハーラの目が見開かれた。ふふ、メルトは俺のだからね!
「まだ時期は決まってないけど、結婚式をするからその時は来てくれよ?」
「もちろん。必ず行くよ」
ミハーラの顔が綻んだ。長い付き合いの友人がいるのは、いいものだなと思った。
ギルドを出て市場に向かう。
市場デートだ!
久しぶりの市場に俺もテンションが上がる。食材を買い足ししたい。メルトにたくさん美味しいものを食べさせたい。
そう思って爆買いしていたら、メルトからストップがかかった。
「もう、ポーチがいっぱいだ。ヒューは手ぶらだから、もう無理だろう?」
「え、いくらでも……」
ぎゅっと握って盾を強い力で握られて眉を顰めてしまった。
「む・り・だ・ろ・う?」
「ア、ハイ」
後ろに鬼が見えてこくこくと頷いた。何がいけなかったんだろう?
今度は大容量のマジックバッグを持ってこなければ。
「今度こそ、屋台だな」
「屋台はこっち」
メルトは屋台飯が好きらしい。握ってる手を引いて、屋台に向かう。
食べ物だけじゃなく雑貨を売ってる店もある。
「何が食べたい? スープや肉やサンドイッチとかあるよ? ゆっくり見ていこうか?」
「ああ。……肉が食べたい」
可愛いお腹の虫の声がメルトから聞こえた。
「メルトのお腹に強請られちゃ、お願いを聞かないわけにいかないね。あっちからいい匂いがしていたから、あっちに肉があると思う」
肉の焼ける匂いの方へ向かった。定番の串焼き肉で、ハーブを使っているようだ。
「これ何の肉?」
「うちのはオークだね」
「じゃあ、2本もらえる?」
「ほらよ」
「はい。そこの道の端で食べようか?」
二本受け取ってメルトに一本渡す。道の端によって、そこで串にかぶりついた。
「美味い。塩とハーブが効いてる。意外と柔らかい」
メルトは食レポをしてくれるから好みとかわかっていい。舌は繊細みたい。
メルトの串はあっという間に肉がなくなって、俺の食べている串にメルトの視線が飛んできた。俺はそれほどお腹は空いてないので、メルトに串を差し出した。
「はい、あーん……」
「……んん……美味い」
なんとなくエロいな。
「メルトってホントに美味しそうに食べるから、食べさせがいがあるよ」
「美味かった」
「うん。美味しかったね。でも、少し喉乾いたかな。ジュースでも買おうか?」
浄化で肉汁に汚れた手を綺麗にして、飲み物を売っている屋台に向かった。
果物を絞って飲ませる屋台の前で止まる。メルトの視線が忙しい。
「迷うな……」
「何と何に迷ってるの?」
「オレンジと、ピーチ」
「じゃ、二つ買おう。俺と半分こね?」
迷ってたら二つ買う。それでいい。半分ずつ飲んで交換。魔法で冷やしたら、メルトが嬉しそうな顔になった。じっと俺を見てくるから、照れる。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
「そう? 今日はもう帰ってご飯食べて寝よう。明日から俺はしばらく騎乗具を作らないといけないから、メルトをほったらかしにしちゃうけど……ごめんね?」
俺にしか作れない魔道具だから、そうなる。メルトをほったらかしにしたくはないんだけどな。
「いざとなったら鍛錬をしているから大丈夫だ」
うう、けなげなメルトが愛しい。
夕焼けの中を【龍の爪】まで戻った。
裏口から入ると、仁王立ちした俺がいた。
いや違った、ハディーだったよ。俺と顔そっくりだから時々ぎょっとするんだよな。
「どうして帰ってこないのかな? ヒュー」
後ろからセッテが言い訳をした。
「すみません。報告をいたしましたら、いらっしゃるとのことで……」
「ヒューが二人?」
驚いたメルトの声が響いた。
ひいはあ言いながら上がった5階の統括ギルド長室に入ると長い緑の髪をした彫像そっくりのハイエルフ、ミハーラが手ぐすね引いて待っていた。
「よく来てくれた。それで、そちらにいる彼が新しいメンバーというわけか?」
「うん。俺の伴侶のメルト。メルト、ギルド統括のミハーラ。今回の指名依頼の発注元」
「そうか、君が……。ヒューをよろしく頼む。メンタルが弱い奴だからな。支えてやってくれ。で? 付き合って10年以上経つんだろう? 隠していたなんて酷いな? それとも最近かい? 結婚したの?」
「何言ってんだ。メルトと出会ったのは2か月ほど前だ。電撃プロポーズはしたけど」
ミハーラが眉を顰めた。なにかおかしなこと言ったか?
「本当か? ヒューが10年位前に王都に来たことがあっただろう? その時と同じ魔力の混ざり具合だったからそう思ったんだが……」
はっとして俺は声をあげる。ミハーラは魔力が見える。俺とメルトの魔力が混ざっているのがわかるんだろう。セクハラだ!
「ミハーラ、魔力視を切れ! 覗き魔!」
「常時発動スキルだからね。難しいなあ」
しれっと言いやがった。そんなわけないだろう! あー揶揄う顔になっている。
「まあ、からかうのはこのくらいにして、依頼書だ。依頼主は竜騎士団第一団長。新たに手に入れたワイバーンの騎乗具40セットだ」
あの時龍に押し付けた奴か。うう、ちょっと自業自得といえなくもない。
ソファーに座ってサインをする。メルトが物珍しそうに覗いていた。可愛い。
出されたお茶を飲み、書類を確認するミハーラを見る。
「まったく。調査依頼を受けたと思ったらこれだ。竜騎士団が嬉しい悲鳴を上げていたよ。卵も大量に手に入れたとかで、卵の分もそのうち依頼が来るだろうから、準備しておいてくれ。受け取りには第一騎士団長御自らいらっしゃるそうだ。光栄だな」
あの子か。うーん、慕われてるのは自覚してるけど、目がキラキラ過ぎて引くというか。
「面白がっているだろう。あー、俺、苦手なんだよなあ。しばらく〝龍の爪〟にいるから何かあったら連絡してくれ」
つい髪をかき乱す。嫌いじゃない。返せない好意が辛いだけだ。
「さて、これで当面の依頼は終わりだ。ヒュー、おめでとう。やっと伴侶を持つことにしたんだな」
ミハーラがこんなことを言うとは思わなかった。
「ああ。メルトと出会えて俺は幸せなんだ」
メルトの肩を抱き寄せるとミハーラの目が見開かれた。ふふ、メルトは俺のだからね!
「まだ時期は決まってないけど、結婚式をするからその時は来てくれよ?」
「もちろん。必ず行くよ」
ミハーラの顔が綻んだ。長い付き合いの友人がいるのは、いいものだなと思った。
ギルドを出て市場に向かう。
市場デートだ!
久しぶりの市場に俺もテンションが上がる。食材を買い足ししたい。メルトにたくさん美味しいものを食べさせたい。
そう思って爆買いしていたら、メルトからストップがかかった。
「もう、ポーチがいっぱいだ。ヒューは手ぶらだから、もう無理だろう?」
「え、いくらでも……」
ぎゅっと握って盾を強い力で握られて眉を顰めてしまった。
「む・り・だ・ろ・う?」
「ア、ハイ」
後ろに鬼が見えてこくこくと頷いた。何がいけなかったんだろう?
今度は大容量のマジックバッグを持ってこなければ。
「今度こそ、屋台だな」
「屋台はこっち」
メルトは屋台飯が好きらしい。握ってる手を引いて、屋台に向かう。
食べ物だけじゃなく雑貨を売ってる店もある。
「何が食べたい? スープや肉やサンドイッチとかあるよ? ゆっくり見ていこうか?」
「ああ。……肉が食べたい」
可愛いお腹の虫の声がメルトから聞こえた。
「メルトのお腹に強請られちゃ、お願いを聞かないわけにいかないね。あっちからいい匂いがしていたから、あっちに肉があると思う」
肉の焼ける匂いの方へ向かった。定番の串焼き肉で、ハーブを使っているようだ。
「これ何の肉?」
「うちのはオークだね」
「じゃあ、2本もらえる?」
「ほらよ」
「はい。そこの道の端で食べようか?」
二本受け取ってメルトに一本渡す。道の端によって、そこで串にかぶりついた。
「美味い。塩とハーブが効いてる。意外と柔らかい」
メルトは食レポをしてくれるから好みとかわかっていい。舌は繊細みたい。
メルトの串はあっという間に肉がなくなって、俺の食べている串にメルトの視線が飛んできた。俺はそれほどお腹は空いてないので、メルトに串を差し出した。
「はい、あーん……」
「……んん……美味い」
なんとなくエロいな。
「メルトってホントに美味しそうに食べるから、食べさせがいがあるよ」
「美味かった」
「うん。美味しかったね。でも、少し喉乾いたかな。ジュースでも買おうか?」
浄化で肉汁に汚れた手を綺麗にして、飲み物を売っている屋台に向かった。
果物を絞って飲ませる屋台の前で止まる。メルトの視線が忙しい。
「迷うな……」
「何と何に迷ってるの?」
「オレンジと、ピーチ」
「じゃ、二つ買おう。俺と半分こね?」
迷ってたら二つ買う。それでいい。半分ずつ飲んで交換。魔法で冷やしたら、メルトが嬉しそうな顔になった。じっと俺を見てくるから、照れる。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
「そう? 今日はもう帰ってご飯食べて寝よう。明日から俺はしばらく騎乗具を作らないといけないから、メルトをほったらかしにしちゃうけど……ごめんね?」
俺にしか作れない魔道具だから、そうなる。メルトをほったらかしにしたくはないんだけどな。
「いざとなったら鍛錬をしているから大丈夫だ」
うう、けなげなメルトが愛しい。
夕焼けの中を【龍の爪】まで戻った。
裏口から入ると、仁王立ちした俺がいた。
いや違った、ハディーだったよ。俺と顔そっくりだから時々ぎょっとするんだよな。
「どうして帰ってこないのかな? ヒュー」
後ろからセッテが言い訳をした。
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