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再会編(ヒューSIDE)
クエスト④ ※
しおりを挟むかるいR18表現があります。
背後注意。
苦手な方は飛ばしてください。
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※
「当ててるからね。いっしょに気持ちよくなろう?」
「えっ……い、いっしょに? 当ててる?」
「うん。生理的なものかもしれないけど、俺の事、意識してるって思っていいんだよね? だから凄く嬉しくて」
メルトの顔がさらに赤くなって耳まで染まる。可愛い。
「あ、それはそのう、うん……」
こくりと頷いてくれたメルトが愛しい。愛しくて口付けた。
さっきまでの軽いものじゃなく、舌を絡めて唾液を交換するようなキス。
何度も貪るようにして、きつく吸い上げた。お互いの魔力が口腔を経由してお互いの体へと入っていく。それが気持ちいい。
俺達の魔力は相性が良すぎる。
お互いの象徴はキスだけでもはち切れそうだった。
手を伸ばしてまとめて握る。ちょっと扱きあげただけでお互いの体が震えた。
気持ちいい。
メルトの手が俺の背中に縋るように伸ばされる。メルトの象徴と俺のが擦れ合う度に快感が魔力とともに上がってくる。メルトの目が伏せられて、快感に震える。
メルトが仰け反るのを抱きしめている手で支えた。
「……ひ、ヒュー……もう、ダメ……あっ……あ……ああああぁ――ッ」
達する様子を目を眇めて見ながら俺も達した。お互いの精がお互いの肌を汚して滴り落ちていく。
メルトが俺に凭れ掛って荒い息を整えていく。
気持ちよかった。
シャワーを出して、汗を流した。
メルトが俺に身を委ねてくれてる。嬉しい。
「戻ろうか? 掴まってて」
魔法でお互いの水分を飛ばして乾かす。横抱きに抱えあげてベッドの上に転移した。
メルトを横たえて上掛けを掛ける。隣に潜り込んで、肘をついてメルトの顔を覗き込んだ。
「めちゃくちゃ色っぽくて可愛かった」
俺の声は浮かれ切って弾んでいた。真っ赤になったメルトはくるりと背を向けた。
え、嫌われた?
「あ、ごめん。言い過ぎた? 久しぶりにメルトとこうしていられて嬉しくて……ついやりすぎちゃったかも……」
慌てて言ったらメルトが俺のほうに向きなおった。顔は赤いままで、照れ隠しなのかちょっと怒ったような顔だ。怒られる?
「……ヒューはその、かっこよかった……俺、重いのにあんな風に抱きあげられて運ばれるのって初めてだったし。それに、凄く気持ちよかった。……もう寝る。お休み」
そう早口で言った後、俺の胸に顔を埋めた。
え? 何これ? 尊い。
そっと抱きしめて、魔道具の灯りを魔法で消す。
「おやすみ、メルト……」
メルトの体温を感じて寝るのは一カ月ぶりで。
ドキドキしすぎて眠れるのだろうかと思っていたけれど、すぐに寝てしまったメルトの穏やかな寝息を聞いているうちにいつの間にか寝てしまった。
明日は早く起きないといけないから、目覚ましの魔法を寝る前にかけた。
メルトの夢を見たような気がする。
俺に優しく「ヒュー……好……」と、告白しようとした夢。
(ピピピピピピピ……ピーピーピー)
アラームが鳴って思わず目を開けて飛び起きる。ビックリした顔でメルトが固まってた。朝からメルトの裸見ちゃった。眼福。
「時間だ。起きなきゃ。アラームの魔法って心臓に悪い……あれ? 起きてた? おはよう」
朝の挨拶のキスをチュッとメルトの唇に落とした。んん?? 思ったより、メルトの頭の位置が高い。あ、元の姿に戻っていた。気合い入れてないと、意識がない間に戻るんだよな。
「お、おはよう……まだ暗いがもう出るのか?」
再起動したらしいメルトが問いかけてくる。俺は欠伸をして両手を上にあげて伸びをした。よし。意識がはっきりしてきた。
「早めに出ないと野営できる場所に着くのが夜中になりそうなんだ。着替えたら出発しよう。食堂はやっているはずだから食事したらそのまま宿を引きあげて、北門から出よう」
メルトは頷いて、ベッドを降りて着替えを始めた。俺も着替えてローブも羽織る。
チェックアウトするから忘れ物がないようにチェックして部屋を出る。
食堂から美味しそうな匂いがする。メルトの視線が匂いのする方へ向いた。
「メルト、おなか空いてる? じゃあ、早くいこう!!」
「ヒュー、階段では危ないぞ」
階段をメルトの手を引っ張りながら駆け下りようとしたら、引き留められた。引っ張ろうとしたらびくともしなかった。メルトの体幹凄い。
メルトは元の姿だと、子ども扱いなんだよな。まあ、この身長だと仕方ないけど。
食堂には他の客はいなかった。
朝食のメニューはパンとスープ。オプションで卵料理とベーコンとソーセージ。飲み物もオプションだ。メルトは足りなさそうだったので、一人前追加した。ホットミルクの蜂蜜入りも頼んだ。
この世界の乳製品は植物に成る実だ。ココナッツみたいな感じだ。かといって植物由来の生クリームみたいな感じではなく、動物性脂肪ぽいのだ、
ファンタジーだな。
魔素量が多い地域で採れたものは甘くておいしいミルクになる。魔力量が豊富に含まれていると濃いミルクになるからだ。
魔物が魔素の多い地域に住むと強い魔物に育つのはこれが原因だ。
ヒューマンも魔力を多く含む食材を多くとって育てば魔力量が伸びる。
貴族と平民の違いはそこにある。食事の量が違うからな。ただ器の上限は生まれついてのものだからそこは仕方ない。
メルトの器の上限は高いし、量も多い。この魔力が身体強化に使われればもっと強くなる。放出が苦手でも内部を巡らせることはできるはずだけど、魔力器官に異常があるから、現状魔法を使えない。
治す手段はあるんだけれど、どうしたもんかな。
俺は、美味しそうに朝食を平らげているメルトを見ていろいろ考えた。でも、その前にちゃんと恋人になれるよう努力しよう。
胃袋は掴んでいるはずなんだ。野営のご飯でアピールしよう。
食事を終えて宿を引き払って北門へ向かった。
外は白んでいて、もう、市民活動は始まっている。日の出とともに起きて、日の入りとともに寝る。
それが普通だ。まだまだ灯りの魔道具は市民レベルでは普及していないし、蝋燭だって灯りの油だって高価だ。
大通りは馬車が行き交っているし、冒険者や屋台を引く人、行商人の姿も見える。パンを焼く匂いやスープの匂いが漂ってくる。
ローブを着て歩いていると、少し暑い気がするくらいの気温だ。昼間になればもっと暑くなる。
魔の森ではもう少し気温は下がるし、目的の岩山の頂上となると、早春の気温くらいになると思うから、防寒対策は必要だ。
北門からは多くの冒険者たちが出て行くのが見える。大勢の冒険者が門番のチェック待ちで列を成している。俺達はその最後尾に並んだ。
「凄いな。こんなにいたのか」
「ここを出て右の方に行く道の先に“幽玄迷宮”っていう高難度のダンジョンがあるんだ。アンデッドが多く出る迷宮だから、幽玄なんてつけられているらしいよ」
「アンデッドか。剣じゃ難しいな。ゾンビの類はハンマーか。レイスは聖属性付与の武器が必要だな」
「聖属性付与なら僕出来るよ。魔法もばっちり」
「……ヒューだからな」
ぼそっと呟かれた言葉は俺には聞こえなかった。
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