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ラーン王国編ー見習い期間の終わりー(メルトSIDE)
幕間ーIFー ※
しおりを挟むダンジョンでヒューと別れた。
地上に出た時に隣にヒューはいなかった。
でも迎えに来ると言った。
だから信じて待ちたい。そう思った。
ミランの顔を見たら力が抜けた。支えられて拠点に戻って説明をした。
ヒューにもらった装備を取り上げられそうになったが、必死で抵抗して、仕方ないので短剣を渡して納得してもらった。
なんで俺がもらった装備を取り上げられないといけないのか理解に苦しむ。
あの短剣だって二人で倒した記念だったのに。
兎にも角にも俺は無事、王都に戻った。
それから自分がいかに強くなったか、思い知った。動きが止まって見えるのはこういうことかと実感した。
鍛錬はあの緊張の二週間に比べれば随分ぬるく感じてしまうものだった。
そしてヒューがどれだけ規格外なのかも、わかったのだった。
王都に戻って一週間ほど経った頃、休日にミランと街に出ようと裏門に向かった。
「なんだか揉めてないか?」
裏門に立つ門番と、フードを被った人物が何やら言い合っている。
「あ、うん…」
見覚えのある、ローブ。
俺は駆け出していた。
そうすると、その人物はフードを後ろへと払って、紺の髪が見えた。
「ヒューー!!」
「メルト!」
門を飛び出して抱きついた。
ぎゅっと抱きしめてくれる、ヒューの腕。爽やかな香り。
ヒューはそのまま俺にキスをした。
俺もつい応えてしまった。久しぶりのキス。すっごく気持ちいい。
そうしてしばしキスを交わして離れると、唖然とした顔をした門番とミランがいた。そして膝から崩れ落ちているロステも。なんか、リスクとスラフに肩を叩かれていた。
「な、何してんだよ!?メルト!」
赤い顔でミランがつかつかと寄って来る。
「えーっと、その、俺の恋人の、ヒュー…」
そういえば人前でキスしてしまった。今更ながら顔を真っ赤にして紹介する。
「初めまして。メルトの恋人のヒュー。冒険者だ。」
ヒューは俺を後ろから抱き込んで離さない。ヒューは人前でも平常運転なのか。
「あのー、ここじゃなんですから、外来の応接室に案内しますよ?」
門番が遠慮しつつ声をかけるとヒューは首を横に振った。
「メルト、今日は休みなのか?だったら、俺とデートしよう。」
デート!ヒューとデート!思わずコクコクと頷いた。あ、ミランと約束…。
「いいよ。久しぶりに会うんだろう?その代わり、色々話してもらうからね?行っといで?」
ミランはにっこり笑って手を振った。
「うん。行って来る!」
俺は手を振って門を離れた。握りしめてくれる手に嬉しくなる。
迎えに来てくれたんだ。約束通り。
「メルトはやっぱりモテるね。」
はい?
「あの崩れ落ちてた子、メルトが好きだよ。多分。」
俺は首を傾げた。あれってロステだったよな?
「ロステ?休みのたびに誘って来るけど、食事行こうくらいしか言われたことないけど…?」
ヒューが目を手で覆った。
「まあ、いいさ。おかげで、俺がメルトの恋人になれた。本気ならぐいぐい行かないとな。でもダンジョンじゃメルトの方がぐいぐい来てたけどな。」
こそっと耳打ちされて顔が赤くなる。
「お、俺は、ヒューが好き、だから…他の人なんて…」
こそっと返すとヒューが嬉しそうにして、何やら魔法を使ったみたいだった。
あとで聞いたら目くらましの魔法で、姿を隠して転移したとか。
近郊の森に転移し、あのテントを出したヒューは俺を寝室に引っ張り込んだ。
「浄化。」
ヒューの浄化の魔法。すごく気持ちがいい。
「もうメルトも魔法が使えるようになりそうなんだけどな。」
魔法が?
「俺の魔力で、魔力回路を掃除してるから、詰りは取れて来てるはずだけど…まあ、俺と一緒にいるなら魔法は俺に任せてもらえばいいけどな。」
そう話している間にお互いに裸になった。
「会いたかったよ。メルト…色々準備に時間がかかって迎えに来るのが遅くなった。ごめんね?」
優しい水色の瞳が俺を見ている。ああ、夢で何度も見た、大好きなヒューの瞳。
俺は首を横に振った。
「ううん。そんなことない。来てくれたから…」
嬉しそうに細まる目。ああ、ヒューだ。それが近づいて来て、深い、深いキスをした。
すぐに俺の股間が熱くなってだらしなくヨダレをこぼす。それをヒューの逞しいのが擦って刺激して来る。
すぐにイきたくなって足をすり合わせた。後孔も中がジンと熱くなって奥から蜜が溢れて入り口まで滴った。
「あ…すぐ、すぐ一つになりたい…入れて…」
「大丈夫か?って言っても俺も持たないから…入れるぞ?力抜いて…」
ヒューが足を抱え上げて間に入って来る。ドキドキして、それだけでイきそうだ。熱い、ヒューのおっきいのが、後孔に当てられる。グッと中に入って来るそれを息を吐いて力を抜くようにして受け入れていく。
「あ…ヒューの…大っきいのが…」
ぞくぞくと背中が震えた。ヒューの魔力を感じてすごく気持ちいい。
「中いっぱいにするぞ?」
一気にヒューの昂りが中へ入って来て俺は仰け反った。
「あ…ヒュー…ヒュー…」
感じるこの熱さ、温もり、忘れたくない。すがるように背中を抱いた。
「動くぞ?メルト…」
優しい、それでいて欲情を感じる熱い瞳で見つめられて、甘い痺れが腰に走った。
「うん。いっぱい、動いて…奥まで、突いて…ッ…」
引き抜かれる感覚も気持ちいい。中を切り開くように突き込まれるのも。中は俺の気持ちを表すように、ヒューに絡みついて締め付けた。離したくないと、そんな気持ちが。
「あっ…あっ…」
だんだんと激しくなる抽挿に頭の中が白くなる。気持ちよすぎてどうにかなる。
「も、もう、イく…あっ…あああっ…」
ヒューの背中に思わず爪を立てた。びくりと仰け反って、俺は果てた。その瞬間ヒューを思い切り締め付けてしまって、ヒューがくぐもった声を出してヒューも果てた。
奥に感じる熱いヒューの子種に俺は幸せを感じた。俺の体を流れていく、ヒューの魔力に心地よさと、安堵感が沸き起こった。
「ヒュー好きだ…愛してる…」
乱れる息の合間にそう伝えた。愛してるってそう、何度もは言わなかった。言えばよかった。いっぱい。
「俺もだよ。メルト、愛してる…大好きだよ。俺のメルト…」
ぎゅうっと俺を抱きしめてくれたヒューに俺もすがって抱きつく。
「うん。俺はヒューのだ。」
だから誰も、好きにならない。
ヒューとまた会えるその時まで。
「…!!…」
ハッとして目が覚めた。まだ、部屋は暗い。見慣れた、宿舎の天井だ。
幸せな夢を見た。それだけは覚えている。
「…ッ…」
涙が溢れた。どうしようもなく、悲しい。思い出せない夢が。思い出せない、何かが。
「どうしたの。メルト…え、うそ、泣いてるの?」
隣のベッドのミランが、起きてきた。起こしてしまったようだった。
俺は首を振ることしかできなくて。そうして下着が汚れていることに気づいた。
どうしよう。ミランにすがるような目を向けて恥ずかしいけど、訳を話した。
「あ…。もしかして、メルト、初めて?病気じゃないからね。これは精通なんだから。子種をちゃんと作れるってことだよ。まあ、フィメルにはあんまり必要ないかもしれないけどね。普通のことだから。みんなこっそり始末してるんだよ?」
確かに初めてだ。でも、初めてじゃない。言い表せない複雑な気持ちになったが、ミランに手伝ってもらって(ミランに浄化をかけてもらって綺麗にしてもらった)着替えてベッドに戻った。
ミランは初めての精通にびっくりしたのだと、納得したようだったけど。それから俺は眠れずに、少し早い鍛錬をしに部屋を出た。
部屋を出ていつもの鍛錬している場所に来た。まだ空は星がきらめいていた。そうしているとふと、紺色のひるがえる髪。そんな幻が見えた気がして、じっと夜の帳の色を眺めてしまったのだった。
それがなんだか、思い出せなかったけれど。
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