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ヒューの料理
甘納豆
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師匠に稽古をつけてもらって、ヒューの工房に戻ってきた。
入ると甘い香りがする。
何か、ヒューが作っているのだろうか?
「ヒュー、いい匂いがするな」
厨房に入ると、ヒューが振り向いた。
「ああ、保存食を作ろうと思って……」
ちらっと手元を見ると大量の栗があった。
「栗!!」
俺は思わず駆け寄った。
「メルト栗が好きだろう? 焼き栗もいいけど、ちょっと変わったお菓子を作ろうと思って」
ヒューの手元には剥いた栗の渋皮をナイフでそぎ落としている途中だったようで、半分渋皮がついているものがあった。
「甘いのか?」
「うん。お砂糖で煮て作るからね」
「へえ。見ててもいいか? 剥くの手伝おうか?」
「もちろん! お願いしていい?」
「任せてくれ」
ヒューに浄化の魔法をかけてもらってから栗を手にした。俺の大好物の栗。つい口元が緩んでしまう。
大量にあった栗の外皮を剥き、ナイフで渋皮を剥いていく。ヒューの剥いた栗の実は綺麗な角が、宝石のカットみたいで、こういうところも料理がおいしくできる技の一つなのかなって思った。
大きな鍋に甘い香りのする水が入っている。剥いた栗をさっと水で洗って中に入れてヒューは魔導コンロの火をつけた。煮立ってくると甘い香りが強くなる。
「この状態で、3時間ほどにて一晩放置。それからもう一度濃い砂糖水で煮る。そうしたら乾燥させて、砂糖をまぶして出来上がり。ついでにかぼちゃとサツマイモの甘納豆を作ろう」
聞いてるだけで手間暇かけてるのがわかる。ヒューは凄いな。それにしてもかぼちゃとサツマイモか。
「秋の味覚だな」
思わず涎が出そうになる。
「いろんな料理にできるから、優秀な食品だよね」
「そのまま煮ても美味いと思う」
「ちゃんと、焼き栗にしたのもあるよ。ほら」
奥の作業台にパッドがあって、その上に香ばしい栗が並んでいた。もうあら熱は取れているようだった。
「た、食べていいか?」
俺の大好物だ。
「もちろん」
ヒューは一つ手に取って割った。ふわりと湯気が上がって、栗のいい香りが広がった。
「はい、あーん」
反射的に口を開けた。栗の実が押し込まれる。
口の中に広がる栗の味と香りに思わず夢中で咀嚼した。
「美味しい!」
「この栗美味しいんだよね。メルトが気に入ってよかったよ。ほら、もう一つ」
ヒューが口に剥いた栗を近づけてくる。
ひな鳥のように口を開けて入ってくるのを待った。ヒューの目が細くなって笑みを形作って、その顔に見惚れた。ヒューは美形だから時々見惚れてしまう。
口に入ってきた焼き栗を堪能していると、ヒューがかぼちゃやサツマイモをシンクに入れて洗っていた。
「切るのは任せてくれ!」
「わかった。頼むよ。あ、おやつ袋を貸して。焼き栗を収納しておく」
ヒュー!! 大好きだ!
それからかぼちゃとサツマイモも砂糖を入れた水で煮て一晩寝かせた。
次の日も鍋で煮てガーゼを敷いたざるにカボチャやサツマイモと栗を並べた。
物凄い大量にあった。壮観だ。
「これで天日で乾燥させるんだけど、ここは潮の匂いが移っちゃうから、ちょっと奥の手で」
「奥の手?」
「ドライ」
ヒューが魔法を使ったらしい。しっとりしていたそれらは、水分が適度に抜けてドライフルーツのような感じになった。
「これで砂糖をまぶすんだ」
ヒューが網に入れた砂糖を振って行く。
これ程上等な砂糖を大量に使うなんてうちの国で平民はできないなあ。貴族だって、こんなに砂糖使っているのか、疑わしいところだ。
「味見する?」
「もちろん!」
出来たばかりの栗の甘納豆というお菓子を口にする。甘納豆って何だろうな? お菓子の名前なのかな?
「!!!」
栗の風味と上品な甘さが口に残って、重さが感じない。ドライフルーツよりもう少ししっとりとして、思ったより甘さは感じなかった。
「初めて食べるけど、美味しい」
「よかった。ちょっと摘まむにはいいだろう?」
「うん」
「じゃあ、これを小分けの袋に詰めるの、手伝ってくれる?」
「任せてくれ!!」
そして二人で小袋に詰めて、それらは少し残して(ヒューの家族へのおすそ分けだった)、俺のおやつ袋行きになった。
それからモンブランというケーキを作ってくれたり、栗ようかんや栗ご飯だとか沢山美味しいものを作ってくれた。
秋は美味しい季節だと痛感した。
ヒューは最高の恋人だ!
入ると甘い香りがする。
何か、ヒューが作っているのだろうか?
「ヒュー、いい匂いがするな」
厨房に入ると、ヒューが振り向いた。
「ああ、保存食を作ろうと思って……」
ちらっと手元を見ると大量の栗があった。
「栗!!」
俺は思わず駆け寄った。
「メルト栗が好きだろう? 焼き栗もいいけど、ちょっと変わったお菓子を作ろうと思って」
ヒューの手元には剥いた栗の渋皮をナイフでそぎ落としている途中だったようで、半分渋皮がついているものがあった。
「甘いのか?」
「うん。お砂糖で煮て作るからね」
「へえ。見ててもいいか? 剥くの手伝おうか?」
「もちろん! お願いしていい?」
「任せてくれ」
ヒューに浄化の魔法をかけてもらってから栗を手にした。俺の大好物の栗。つい口元が緩んでしまう。
大量にあった栗の外皮を剥き、ナイフで渋皮を剥いていく。ヒューの剥いた栗の実は綺麗な角が、宝石のカットみたいで、こういうところも料理がおいしくできる技の一つなのかなって思った。
大きな鍋に甘い香りのする水が入っている。剥いた栗をさっと水で洗って中に入れてヒューは魔導コンロの火をつけた。煮立ってくると甘い香りが強くなる。
「この状態で、3時間ほどにて一晩放置。それからもう一度濃い砂糖水で煮る。そうしたら乾燥させて、砂糖をまぶして出来上がり。ついでにかぼちゃとサツマイモの甘納豆を作ろう」
聞いてるだけで手間暇かけてるのがわかる。ヒューは凄いな。それにしてもかぼちゃとサツマイモか。
「秋の味覚だな」
思わず涎が出そうになる。
「いろんな料理にできるから、優秀な食品だよね」
「そのまま煮ても美味いと思う」
「ちゃんと、焼き栗にしたのもあるよ。ほら」
奥の作業台にパッドがあって、その上に香ばしい栗が並んでいた。もうあら熱は取れているようだった。
「た、食べていいか?」
俺の大好物だ。
「もちろん」
ヒューは一つ手に取って割った。ふわりと湯気が上がって、栗のいい香りが広がった。
「はい、あーん」
反射的に口を開けた。栗の実が押し込まれる。
口の中に広がる栗の味と香りに思わず夢中で咀嚼した。
「美味しい!」
「この栗美味しいんだよね。メルトが気に入ってよかったよ。ほら、もう一つ」
ヒューが口に剥いた栗を近づけてくる。
ひな鳥のように口を開けて入ってくるのを待った。ヒューの目が細くなって笑みを形作って、その顔に見惚れた。ヒューは美形だから時々見惚れてしまう。
口に入ってきた焼き栗を堪能していると、ヒューがかぼちゃやサツマイモをシンクに入れて洗っていた。
「切るのは任せてくれ!」
「わかった。頼むよ。あ、おやつ袋を貸して。焼き栗を収納しておく」
ヒュー!! 大好きだ!
それからかぼちゃとサツマイモも砂糖を入れた水で煮て一晩寝かせた。
次の日も鍋で煮てガーゼを敷いたざるにカボチャやサツマイモと栗を並べた。
物凄い大量にあった。壮観だ。
「これで天日で乾燥させるんだけど、ここは潮の匂いが移っちゃうから、ちょっと奥の手で」
「奥の手?」
「ドライ」
ヒューが魔法を使ったらしい。しっとりしていたそれらは、水分が適度に抜けてドライフルーツのような感じになった。
「これで砂糖をまぶすんだ」
ヒューが網に入れた砂糖を振って行く。
これ程上等な砂糖を大量に使うなんてうちの国で平民はできないなあ。貴族だって、こんなに砂糖使っているのか、疑わしいところだ。
「味見する?」
「もちろん!」
出来たばかりの栗の甘納豆というお菓子を口にする。甘納豆って何だろうな? お菓子の名前なのかな?
「!!!」
栗の風味と上品な甘さが口に残って、重さが感じない。ドライフルーツよりもう少ししっとりとして、思ったより甘さは感じなかった。
「初めて食べるけど、美味しい」
「よかった。ちょっと摘まむにはいいだろう?」
「うん」
「じゃあ、これを小分けの袋に詰めるの、手伝ってくれる?」
「任せてくれ!!」
そして二人で小袋に詰めて、それらは少し残して(ヒューの家族へのおすそ分けだった)、俺のおやつ袋行きになった。
それからモンブランというケーキを作ってくれたり、栗ようかんや栗ご飯だとか沢山美味しいものを作ってくれた。
秋は美味しい季節だと痛感した。
ヒューは最高の恋人だ!
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