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緑の迷宮への挑戦
第53話 藤宮かのん(※藤宮かのんSIDE)
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私はごく平凡で平均的な女の子だと思っていた。
両親と弟。ちょっと離れたところで暮らす、祖父母。
父は大手の工場に務めてはいるけど、係長どまり。中の中、何の変哲もない普通の家庭。
両親はほどほどの仲で、時々喧嘩もするけれど、私たち姉弟をちゃんと愛してくれている。
ちょっとしたわがままを言っても笑って許してくれた。門限は厳しかったけれど女の子を持つ父親としてはそれが普通なのかもしれない。
高校に上がる年にスマートフォンを買ってくれた。機能制御があるタイプだけれど嬉しかった。
そのアプリで初めて友達と待ち合わせをして、高校に上がって初めての日曜日、話題のスイーツを食べに行こうと原宿に来た。
目当てのお店に並んで中学からの友人と3人で初めての味に興奮した。代金を渡して支払いを友人に頼んでそのお店を一歩出た。
出た先は原宿ではなかった。
振りかえるとお店も友人も消えて周りは森と草原、自分が踏みしめている足の下は土の道路らしきものだった。
森からはいろんな鳴き声が聞こえた。
どこ、ここ?なに?どうしちゃったの?
私、藤宮かのん、高校1年15歳は、呆然とそこで佇むしかなかった。
しばらく呆けていたのか、森の方から歩いてくる人物に私は気付かなかった。あとから考えると気配を断つスキルを使っていたのかもしれない。
「どうしたんだ? 嬢ちゃん。こんなところで突っ立ってると危ないぞ?」
20代くらいの若者、180cmくらいの背の高い、ややがっちりした感じの皮の防具らしきものをつけた男の人が声をかけてきた。その時の私は変な格好をした恐ろしげな人物が近付いてきたと、そう思っていた。髪が紺色だったからだ。
それがこの世界、アクアミネスで出会った初めての人物、冒険者“ベント”だった。
不思議と言葉がわかった理由は後で判明したがこの時の私はとにかくパニックを起こしていて冷静な判断はできなかった。
「ここどこ? どうして私こんなところにいるの? 私、私、原宿にいたのに……こんなところ知らない! どこなの?」
「おいおい、大丈夫か? ……お前、髪と目の色……そうか。」
ベントは納得したように頷いて落ち着くように言ってくれた。
「俺は今近くの村に滞在している。そこまで行こう。この辺は危ない。」
先導するように歩き出したベントに警戒しながらもついていった。むき出しの土の上を歩くのはスニーカーでも苦労した。
それからはめまぐるしかった。
村に着くとベントが王都へ行こうと言い出した。なんでも、私みたいなのは”彷徨い人”と言われて国で保護する仕組みがあるらしい。この世界はよく、異世界から人がやってくるのだとか。
日本じゃ、頭がどうかしてるとか言われそうなのにと、その時の私は思った。今の自分は現実感がない。
夢の中を歩いているようで、ふわふわしている。異世界なのに日本語が通じているのはおかしいとか、そんなことさえ、思わなかった。
それは多分、タツト君と出会うまでずっと続いていたのだ。
王都への旅は馬車を乗り継ぐ旅だった。お尻が痛くなった。幸い、乗り物酔いはしなかった。ベントは冒険者と言われる職業で魔物を狩るのが主だとか。馬車には乗らずに馬車の横を歩いて移動していた。
今思えば護衛任務を引き受けて私が乗る馬車代を稼いでくれていたんだと思う。無償の行為を私は全くわかっていなかったのだ。
この世界は裕福ではない。人に施しができるものは限られていてそれは貴族と呼ばれる人たち。
農民や狩猟を主にして生活し、自然とともに住む彼らは常に魔物の影に怯えている。
魔物の襲撃に備えて村を強化し、護衛のできるものを鍛えて自警団を作り、またはベントのような冒険者を雇う。
それができなければ、襲われて全滅する。
領主と呼ばれる貴族は本来は領主直轄の軍(?)が領地を回って防衛をしてくれるはずだった。でもしてくれる領主などめったにいない。村は点在し、その距離は遠い。税は取られるが、報いはなく、貴族が豊かになるだけだった。
ベントもそれは知っていて、領主を頼ることはせず、直接私を国に保護してもらうつもりだった。
2週間ほどの旅だったが、終える頃にはベントに対して感謝の気持ちがあった。
ベントは王国騎士団に私を引き合わせると、元の村に戻ると言って去っていった。
何の見返りも求めずに。
私は王様と王女に謁見した。
私はスキルを確認されたあと、確かに“彷徨い人”だと言われた。
ゲームのようだった。RPG。魔物を倒して経験値を得て、強くなる。
じゃあ、ラスボスはなんだろう?
その答えはすぐに知れた。他にも“彷徨い人”はいたのだ。
“邪王”
何年か毎に必ず現れる恐るべき存在。そのものはすべてを飲み込み、そのものの通った後は不毛の地と化す。
それを滅ぼせるのは異世界から来た勇者のみ。勇者は“彷徨い人”の中から現れる。
見返りを求めず、食事や寝るところを提供してくれるわけではないことがわかった。
私たち“彷徨い人”にその恐ろしい存在を倒してくれと、そういうことだった。
私がその、“勇者候補”と呼ばれる集団に合流したのは、まだその集団が10人ほどだった頃だった。
女子高校生の有希、カンナ、結衣。カンナは在留アメリカ人だった。
30代くらいのサラリーマン、田中哲夫さん。鈴木啓太さん。
大学生の坂上智樹さん、高校生の佐藤昌樹さん、甲斐りくさん、井上勝道さん。
60代の田村光春さん。彼は勇者候補から外れてどこかで余生を送るように手配されるとのことだった。
この初期メンバーでのちに”緑の迷宮”に挑戦することになる。
私たちは男の人は王国騎士団の寮、女の人は王女付きの侍女たちが暮らす区画の一室を与えられた。
まず、この世界の基礎知識を教えられ、勇者としての素質があるか、鍛えるとの話だ。
私たち女の子組は戦いなんて、というスタンスで、なるべくならやりたくないという感じだ。
カンナだけは女の子組の剣術指導に来た近衛騎士の女剣士、フリネリアさんに憧れて、剣術だけは頑張っている様子だ。
それから魔法。
魔法というものがあると教えられた。
初めの授業の時、生活魔法というものを教わった。これは誰でも使える魔法で、魔力の消費も少ない。属性に縛られず、火も水も作り出せるという。
そもそも、それが使えないとこの世界は生活ができない。あらゆるものに魔石が使われて電気と言うか、乾電池の役割をしている。必要なのは自分の魔力だ。
私たちは魔力を扱うということが難しかった。言われていることが理解できずに手を触れずに物を動かすというようなそんな感覚はなかなか得られなかった。
それでも、私はある日突然魔力というものを理解した。そして見える世界が変貌したのだ。
あらゆる生物に光の粒やその流れが見える。魔法を使う度に、光が跳ねる。空気中もきらきらと輝いて流れていく。
皆に聞いたがそんなものは見えないという。
だから私は言うのをやめた。のちにそれが“精霊眼”というものだとわかるのだが、この時は魔法の先生さえ、そのことを知らなかったのだった。
魔法を教える先生は一人しかいない。時間は限られていて、各人に適した魔法を教えるのには時間がかかった。
なので、適性を調べた後、魔力量の突出している、攻撃魔法の使えるものを優先に指導することになったのだ。
特に適性のあったのは若い男の人4人。他は似たり寄ったりだった。補助系、回復系、錬金系など。
だから彼らは調子づいたのかもしれなかった。彼らの態度は横柄で、私たち、日本人の間からも少々の不満が出た。
リーダーは坂上智樹。スキル“炎の賢者”を持つ。すべてを焼き尽くす炎が彼のスキル。炎の魔法なら全て習得できる。火魔法の上位スキル。
このスキルを彼が知った時の彼の呟きは忘れられない。
「俺が勇者だ。この世界をチートで支配する。ハーレムだ。俺は強い。」
意味はわからなかったが、狂気を感じた。
若い4人が中心で訓練を行っている。時には邪魔扱いされることもある。
基本的には女性である近衛騎士のフリネリアさんが女の子組には教えに来るのだが王女付きのため、あまり来られない。その時は邪魔にならないよう隅で見学していることが多く、強くなるわけがなかった。
そんな中、坂上君は訓練所を魔法で破壊した。使用ができなくなり、しばらく訓練は中止だということになった。
が、坂上君が勝手にもうひと組の訓練所を使わせてもらおうとそこに向かってしまったのだった。全員を連れて。
突然現れた私たちを不審そうに止めた男の人がいた。この国の人だった。多分、こっちの“日本人”の教師役なのだろう。私たちの指導役がびくびくして事情を話している。
ひと悶着はあったようだが、素直に場所を譲ってくれたようだ。それなのに、坂上君は去っていく彼らに魔法を放ったのだ。怪我をしたらどうするんだろう? 誰も止められなかったが、驚いたことに彼らは、魔法を防御をしたのだ! 誰も怪我はしなかった。色とりどりの光は綺麗で、私は見惚れてしまっていた。
「なんだよ、今の!?」
坂上君が食ってかかった。防がれたのが悔しいのだろうか?
ここにいた人たちは我先に出ていってしまった。素晴らしい連携だと思った。
私もそっちの組になりたい。出ていくその集団の中に光に包まれている人物がいた。驚いて見つめてしまった。髪を後ろで束ねた、細身の男の人。
彼は自分の視線に気づいたようで振り返って目が合った。彼は何か探るように私をみた。その直後彼は言った。
「魔法障壁。直撃したら危ないだろうが。ちょっとそこの先生、注意してやってくださいよ。」
もうここにはあの人以外いない。彼も言った後部屋を出て行こうとした。坂上君がまた声をかけた。
「ま、待てよ!」
また背後から炎の魔法を彼に向けてはなった。何をしてるんだろう、坂上君は。何もしていない人に攻撃を仕掛けるなんて。彼が締めた扉に炎の魔法がぶつかった衝撃が伝わってきた。
私たちは締められた扉を呆然としばらく見つめていた。
両親と弟。ちょっと離れたところで暮らす、祖父母。
父は大手の工場に務めてはいるけど、係長どまり。中の中、何の変哲もない普通の家庭。
両親はほどほどの仲で、時々喧嘩もするけれど、私たち姉弟をちゃんと愛してくれている。
ちょっとしたわがままを言っても笑って許してくれた。門限は厳しかったけれど女の子を持つ父親としてはそれが普通なのかもしれない。
高校に上がる年にスマートフォンを買ってくれた。機能制御があるタイプだけれど嬉しかった。
そのアプリで初めて友達と待ち合わせをして、高校に上がって初めての日曜日、話題のスイーツを食べに行こうと原宿に来た。
目当てのお店に並んで中学からの友人と3人で初めての味に興奮した。代金を渡して支払いを友人に頼んでそのお店を一歩出た。
出た先は原宿ではなかった。
振りかえるとお店も友人も消えて周りは森と草原、自分が踏みしめている足の下は土の道路らしきものだった。
森からはいろんな鳴き声が聞こえた。
どこ、ここ?なに?どうしちゃったの?
私、藤宮かのん、高校1年15歳は、呆然とそこで佇むしかなかった。
しばらく呆けていたのか、森の方から歩いてくる人物に私は気付かなかった。あとから考えると気配を断つスキルを使っていたのかもしれない。
「どうしたんだ? 嬢ちゃん。こんなところで突っ立ってると危ないぞ?」
20代くらいの若者、180cmくらいの背の高い、ややがっちりした感じの皮の防具らしきものをつけた男の人が声をかけてきた。その時の私は変な格好をした恐ろしげな人物が近付いてきたと、そう思っていた。髪が紺色だったからだ。
それがこの世界、アクアミネスで出会った初めての人物、冒険者“ベント”だった。
不思議と言葉がわかった理由は後で判明したがこの時の私はとにかくパニックを起こしていて冷静な判断はできなかった。
「ここどこ? どうして私こんなところにいるの? 私、私、原宿にいたのに……こんなところ知らない! どこなの?」
「おいおい、大丈夫か? ……お前、髪と目の色……そうか。」
ベントは納得したように頷いて落ち着くように言ってくれた。
「俺は今近くの村に滞在している。そこまで行こう。この辺は危ない。」
先導するように歩き出したベントに警戒しながらもついていった。むき出しの土の上を歩くのはスニーカーでも苦労した。
それからはめまぐるしかった。
村に着くとベントが王都へ行こうと言い出した。なんでも、私みたいなのは”彷徨い人”と言われて国で保護する仕組みがあるらしい。この世界はよく、異世界から人がやってくるのだとか。
日本じゃ、頭がどうかしてるとか言われそうなのにと、その時の私は思った。今の自分は現実感がない。
夢の中を歩いているようで、ふわふわしている。異世界なのに日本語が通じているのはおかしいとか、そんなことさえ、思わなかった。
それは多分、タツト君と出会うまでずっと続いていたのだ。
王都への旅は馬車を乗り継ぐ旅だった。お尻が痛くなった。幸い、乗り物酔いはしなかった。ベントは冒険者と言われる職業で魔物を狩るのが主だとか。馬車には乗らずに馬車の横を歩いて移動していた。
今思えば護衛任務を引き受けて私が乗る馬車代を稼いでくれていたんだと思う。無償の行為を私は全くわかっていなかったのだ。
この世界は裕福ではない。人に施しができるものは限られていてそれは貴族と呼ばれる人たち。
農民や狩猟を主にして生活し、自然とともに住む彼らは常に魔物の影に怯えている。
魔物の襲撃に備えて村を強化し、護衛のできるものを鍛えて自警団を作り、またはベントのような冒険者を雇う。
それができなければ、襲われて全滅する。
領主と呼ばれる貴族は本来は領主直轄の軍(?)が領地を回って防衛をしてくれるはずだった。でもしてくれる領主などめったにいない。村は点在し、その距離は遠い。税は取られるが、報いはなく、貴族が豊かになるだけだった。
ベントもそれは知っていて、領主を頼ることはせず、直接私を国に保護してもらうつもりだった。
2週間ほどの旅だったが、終える頃にはベントに対して感謝の気持ちがあった。
ベントは王国騎士団に私を引き合わせると、元の村に戻ると言って去っていった。
何の見返りも求めずに。
私は王様と王女に謁見した。
私はスキルを確認されたあと、確かに“彷徨い人”だと言われた。
ゲームのようだった。RPG。魔物を倒して経験値を得て、強くなる。
じゃあ、ラスボスはなんだろう?
その答えはすぐに知れた。他にも“彷徨い人”はいたのだ。
“邪王”
何年か毎に必ず現れる恐るべき存在。そのものはすべてを飲み込み、そのものの通った後は不毛の地と化す。
それを滅ぼせるのは異世界から来た勇者のみ。勇者は“彷徨い人”の中から現れる。
見返りを求めず、食事や寝るところを提供してくれるわけではないことがわかった。
私たち“彷徨い人”にその恐ろしい存在を倒してくれと、そういうことだった。
私がその、“勇者候補”と呼ばれる集団に合流したのは、まだその集団が10人ほどだった頃だった。
女子高校生の有希、カンナ、結衣。カンナは在留アメリカ人だった。
30代くらいのサラリーマン、田中哲夫さん。鈴木啓太さん。
大学生の坂上智樹さん、高校生の佐藤昌樹さん、甲斐りくさん、井上勝道さん。
60代の田村光春さん。彼は勇者候補から外れてどこかで余生を送るように手配されるとのことだった。
この初期メンバーでのちに”緑の迷宮”に挑戦することになる。
私たちは男の人は王国騎士団の寮、女の人は王女付きの侍女たちが暮らす区画の一室を与えられた。
まず、この世界の基礎知識を教えられ、勇者としての素質があるか、鍛えるとの話だ。
私たち女の子組は戦いなんて、というスタンスで、なるべくならやりたくないという感じだ。
カンナだけは女の子組の剣術指導に来た近衛騎士の女剣士、フリネリアさんに憧れて、剣術だけは頑張っている様子だ。
それから魔法。
魔法というものがあると教えられた。
初めの授業の時、生活魔法というものを教わった。これは誰でも使える魔法で、魔力の消費も少ない。属性に縛られず、火も水も作り出せるという。
そもそも、それが使えないとこの世界は生活ができない。あらゆるものに魔石が使われて電気と言うか、乾電池の役割をしている。必要なのは自分の魔力だ。
私たちは魔力を扱うということが難しかった。言われていることが理解できずに手を触れずに物を動かすというようなそんな感覚はなかなか得られなかった。
それでも、私はある日突然魔力というものを理解した。そして見える世界が変貌したのだ。
あらゆる生物に光の粒やその流れが見える。魔法を使う度に、光が跳ねる。空気中もきらきらと輝いて流れていく。
皆に聞いたがそんなものは見えないという。
だから私は言うのをやめた。のちにそれが“精霊眼”というものだとわかるのだが、この時は魔法の先生さえ、そのことを知らなかったのだった。
魔法を教える先生は一人しかいない。時間は限られていて、各人に適した魔法を教えるのには時間がかかった。
なので、適性を調べた後、魔力量の突出している、攻撃魔法の使えるものを優先に指導することになったのだ。
特に適性のあったのは若い男の人4人。他は似たり寄ったりだった。補助系、回復系、錬金系など。
だから彼らは調子づいたのかもしれなかった。彼らの態度は横柄で、私たち、日本人の間からも少々の不満が出た。
リーダーは坂上智樹。スキル“炎の賢者”を持つ。すべてを焼き尽くす炎が彼のスキル。炎の魔法なら全て習得できる。火魔法の上位スキル。
このスキルを彼が知った時の彼の呟きは忘れられない。
「俺が勇者だ。この世界をチートで支配する。ハーレムだ。俺は強い。」
意味はわからなかったが、狂気を感じた。
若い4人が中心で訓練を行っている。時には邪魔扱いされることもある。
基本的には女性である近衛騎士のフリネリアさんが女の子組には教えに来るのだが王女付きのため、あまり来られない。その時は邪魔にならないよう隅で見学していることが多く、強くなるわけがなかった。
そんな中、坂上君は訓練所を魔法で破壊した。使用ができなくなり、しばらく訓練は中止だということになった。
が、坂上君が勝手にもうひと組の訓練所を使わせてもらおうとそこに向かってしまったのだった。全員を連れて。
突然現れた私たちを不審そうに止めた男の人がいた。この国の人だった。多分、こっちの“日本人”の教師役なのだろう。私たちの指導役がびくびくして事情を話している。
ひと悶着はあったようだが、素直に場所を譲ってくれたようだ。それなのに、坂上君は去っていく彼らに魔法を放ったのだ。怪我をしたらどうするんだろう? 誰も止められなかったが、驚いたことに彼らは、魔法を防御をしたのだ! 誰も怪我はしなかった。色とりどりの光は綺麗で、私は見惚れてしまっていた。
「なんだよ、今の!?」
坂上君が食ってかかった。防がれたのが悔しいのだろうか?
ここにいた人たちは我先に出ていってしまった。素晴らしい連携だと思った。
私もそっちの組になりたい。出ていくその集団の中に光に包まれている人物がいた。驚いて見つめてしまった。髪を後ろで束ねた、細身の男の人。
彼は自分の視線に気づいたようで振り返って目が合った。彼は何か探るように私をみた。その直後彼は言った。
「魔法障壁。直撃したら危ないだろうが。ちょっとそこの先生、注意してやってくださいよ。」
もうここにはあの人以外いない。彼も言った後部屋を出て行こうとした。坂上君がまた声をかけた。
「ま、待てよ!」
また背後から炎の魔法を彼に向けてはなった。何をしてるんだろう、坂上君は。何もしていない人に攻撃を仕掛けるなんて。彼が締めた扉に炎の魔法がぶつかった衝撃が伝わってきた。
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