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王都新迷宮攻略
第40話 新年の宴
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カーン、カーンとまるで除夜の鐘のように透明な鐘の音が鳴り響く。
ザワザワとしていた会場は静まり返った。
国民に姿を見せるためのバルコニーへ王族が移動していく。
広間に集まった民衆を見下ろす位置に立つ。
俺は背後からその様子を見た。
魔道具の灯りが夜の闇を払う中にひしめき合う民衆の姿。
彼らの慕う王や、王妃、皇太子、王女、王子の姿を見逃すまいとしているようだ。
彼らは集まった民衆に手を振る。
あれだ、日本で言うところの天皇の新年の一般参賀みたいなもの? 構図はそんな感じかな?
王が杯を掲げる。
年が明けた。
「新年、おめでとう。創造神に感謝を。」
王が祝辞を述べると民衆が唱和し、杯を傾けると宴が始まった。
王族は一旦城内に戻って、挨拶を受ける。
全員ではないが、ある程度の上位の貴族が顔出しにやってくる。
そして、“彷徨い人”もいま、この会場に挨拶をしに訪れている。
白い正装に黒い髪の集団は目立った。1人だけ、アメリカの帰国子女がいたが黒に囲まれた金髪も目立った。
これは周囲にいる貴族への初の周知行為だ。
自領に現れた場合、連絡を受けていれば知っている。
だが、知っている、あるいは情報に聡い貴族なら、今城で行われていることはある程度知ってはいるだろう。
しかし、貴族が訓練場に来たことはない。
城内に働くものしか俺達を見ていないのだ。
貴族には“解って”いる者がいる。“彷徨い人”がここにいる意味。これから訪れるだろう、“邪王”の出現の時を。
周りにいる貴族の反応は様々だった。もちろん貴族なのだからそうそう露骨に表情に出す者は少ない。
先頭を騎士団団長が務めている。騎士が護衛として両脇にいた。カディスは本来の業務に戻って気配を消してこの室内のどこかにいた。
そして、“彷徨い人”の挨拶の番になった。
団長と後半組の視線が飛んできた。あ、そうか。多分この姿を見せたのは初めてかもしれない。
気配もっと消さないとなあ。でもある程度は威圧かける方がこういう場合はいいんだよな。
手出しをするのに躊躇するはずだしね。俺の脳内マップに敵意を持った人間はいないけど、グレーな奴はちらほらいた。たまに鑑定も飛んできた。表面上の隠蔽情報だけ読ませた。
もちろん名前の欄はラビで職業は斥候、諜報部所属だ。
俺の隣にフリネリアも控えていて、警備は万全だ。
そして、なぜだか、例の坂上智樹からも視線が来た。王女を嫌な目で見てから、俺を見た。
敵意の籠った目だった。
何故、彼はああもとげとげしいのだろうか。いっそ感心する。
「新年おめでとうございます。心新たに今年の目標に向かって頑張ってください。」
アーリアの澄んだ声が響いた。
一斉に首を垂れて礼をしてから退場していく。これからご馳走食べるんだよな。
いいなあ。
それから二時間ほどして、一旦アーリアが控室に下がることになった。
休憩時間だ。
フリネリアや侍女たちがかいがいしく世話をする。侍女たちが用意してくれた、宴のご馳走もある。お付きの護衛はなかなか食べることができないから交代して食べたりする。
「フリネリア、先にどうぞ。俺はまだ大丈夫だ。」
フリネリアが微笑んだ。
「わかった。お言葉に甘えるよ。」
隣室に用意された、お付き用の食事をしにいったん出ていく。
それを見送ると、アーリアが椅子でちょっとぐったりしていた。
「大丈夫か?」
アーリアは俺を見るとニコッと笑った。
「少し、人に酔ったようです。少し休めば回復します。」
そう言って紅茶を手にとって飲む。
「お疲れ様。」
俺は側近としては、失格な場所に腰を下ろす。そう、アーリアの正面に。
まあ、もともとこの態度も口のきき方もアーリア推奨なんだしな。
「いえ。これからが本番ですもの。がんばらないといけません。」
かわいい。気合の入れ方が可愛い。カップを置いて両手を握りしめた。
何らかの決意表明らしい。
俺が和んでいたらアーリアが俺をじっと見る。
「皆さん、驚いていましたね。見せたことなかったんでしょうか?」
あ、さっきのね。うん。約9名ほど顎が外れそうな表情を見せてたね。
「あー。多分。アーリアの護衛の時くらいかな?」
アーリアがはあとため息をついた。
「アキラ様はご自覚がありませんね。ほんとに心配です。」
何のことを言っているんだろう?
「ほら、とりあえず少し食べないと。朝まで食べられなくなるかもしれないし……」
と、軽食を勧めた。でもアーリアは迷っているようだ。
「……ふ、太らないですかね?」
あ、アーリアも女の子だったか!
「大丈夫。年に一回くらいじゃ太らないと思うよ?」
ほっとした顔をして口にした。
ちなみにフリネリアは豪快に平らげたらしい。
……。
いつも思うけど、フリネリアは姉御って感じだ。
うん、男らしいとか思ってないよ? どっちかっていうと漢だよな…。
空が明るくなってきていた。
アーリアはなんとか、新年の挨拶を乗り切り、イベントの最後が始まろうとしていた。
神官が『アクアミネス様に祈りを捧げましょう』とバルコニーに出て民衆に呼び掛ける。
皆が目を閉じて両手を組んで祈る。
俺も祈った。
この世界を邪王から護れるように。
アーリアを守れるように、力を貸して欲しいと。
俺に出来ることは何でもするからと。
鈴の鳴る様な囁きが、微かに聞こえたような気がした。
祈りを捧げて陽が昇ると宴の終焉だ。
広場に来ていた民衆はほぼ帰ってしまい、片付けをしている使用人たちだけが残っている。
アーリアはフリネリアが寝所へと送っていき、俺の任務も終わった。
部屋に帰り“浄化”の魔法をかけ、着替えて寝た。
夢を見たような気がした。
新年はあれだ。日本もアクアミネスも変わらない。
休日だってことだ。
“彷徨い人”は3日に“迷宮”に行くから2日しかないが。
俺は昼ごろ起きだして、訓練所に向かった。もう病気かもしれない。
一通り身体をあっためて朝のメニューをこなす。
そんなことをしているうちにまた集まってきた。
「あけおめーラビちゃん先輩!」
「あけおめことよろ。」
「あけましておめでとうございます~!」
それぞれが新年の挨拶をしてくる。日本式か!
「明けましておめでとう。寝てていいんだぞ?」
お前らも病気持ちか。
「ラビちゃん先輩!! 変装してましたよねえ。」
ハジメがにやにやして言ってきた。
「目が金色ってどんなコンタクト持ってたんですか!!」
あれ? えりりんが食いついている。
「え、ああ? 見せたことなかったっけ?」
目の前で金色にして見せた。
引いた。皆引いた。ええ?そこ凄いっていうところでしょ……傷ついたよ。
「これスキルの一種。魔眼だな。目に魔力込めると発動するんだ。まあ、この魔眼は……」
俺は腰に刺していたナイフに”炎”の魔法を付与する。
「こんな感じ?」
ナイフを投擲すると炎を纏って飛んでいった。
「魔法付与とか簡単にできるぞ。目からビームは出ないけどなー。」
一斉にみんな騒ぎだして収拾がつかなくなった。
チートだなんだって騒いでいるが、もっとチートだって知らせたら腰抜かしそうだから黙っておこう。
俺にだって多少自覚はあるんだ。多少はね。
新年初日と2日目は軽い訓練だけをして終わった。
そして新年3日目。
いよいよ出発式だ。
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国民に姿を見せるためのバルコニーへ王族が移動していく。
広間に集まった民衆を見下ろす位置に立つ。
俺は背後からその様子を見た。
魔道具の灯りが夜の闇を払う中にひしめき合う民衆の姿。
彼らの慕う王や、王妃、皇太子、王女、王子の姿を見逃すまいとしているようだ。
彼らは集まった民衆に手を振る。
あれだ、日本で言うところの天皇の新年の一般参賀みたいなもの? 構図はそんな感じかな?
王が杯を掲げる。
年が明けた。
「新年、おめでとう。創造神に感謝を。」
王が祝辞を述べると民衆が唱和し、杯を傾けると宴が始まった。
王族は一旦城内に戻って、挨拶を受ける。
全員ではないが、ある程度の上位の貴族が顔出しにやってくる。
そして、“彷徨い人”もいま、この会場に挨拶をしに訪れている。
白い正装に黒い髪の集団は目立った。1人だけ、アメリカの帰国子女がいたが黒に囲まれた金髪も目立った。
これは周囲にいる貴族への初の周知行為だ。
自領に現れた場合、連絡を受けていれば知っている。
だが、知っている、あるいは情報に聡い貴族なら、今城で行われていることはある程度知ってはいるだろう。
しかし、貴族が訓練場に来たことはない。
城内に働くものしか俺達を見ていないのだ。
貴族には“解って”いる者がいる。“彷徨い人”がここにいる意味。これから訪れるだろう、“邪王”の出現の時を。
周りにいる貴族の反応は様々だった。もちろん貴族なのだからそうそう露骨に表情に出す者は少ない。
先頭を騎士団団長が務めている。騎士が護衛として両脇にいた。カディスは本来の業務に戻って気配を消してこの室内のどこかにいた。
そして、“彷徨い人”の挨拶の番になった。
団長と後半組の視線が飛んできた。あ、そうか。多分この姿を見せたのは初めてかもしれない。
気配もっと消さないとなあ。でもある程度は威圧かける方がこういう場合はいいんだよな。
手出しをするのに躊躇するはずだしね。俺の脳内マップに敵意を持った人間はいないけど、グレーな奴はちらほらいた。たまに鑑定も飛んできた。表面上の隠蔽情報だけ読ませた。
もちろん名前の欄はラビで職業は斥候、諜報部所属だ。
俺の隣にフリネリアも控えていて、警備は万全だ。
そして、なぜだか、例の坂上智樹からも視線が来た。王女を嫌な目で見てから、俺を見た。
敵意の籠った目だった。
何故、彼はああもとげとげしいのだろうか。いっそ感心する。
「新年おめでとうございます。心新たに今年の目標に向かって頑張ってください。」
アーリアの澄んだ声が響いた。
一斉に首を垂れて礼をしてから退場していく。これからご馳走食べるんだよな。
いいなあ。
それから二時間ほどして、一旦アーリアが控室に下がることになった。
休憩時間だ。
フリネリアや侍女たちがかいがいしく世話をする。侍女たちが用意してくれた、宴のご馳走もある。お付きの護衛はなかなか食べることができないから交代して食べたりする。
「フリネリア、先にどうぞ。俺はまだ大丈夫だ。」
フリネリアが微笑んだ。
「わかった。お言葉に甘えるよ。」
隣室に用意された、お付き用の食事をしにいったん出ていく。
それを見送ると、アーリアが椅子でちょっとぐったりしていた。
「大丈夫か?」
アーリアは俺を見るとニコッと笑った。
「少し、人に酔ったようです。少し休めば回復します。」
そう言って紅茶を手にとって飲む。
「お疲れ様。」
俺は側近としては、失格な場所に腰を下ろす。そう、アーリアの正面に。
まあ、もともとこの態度も口のきき方もアーリア推奨なんだしな。
「いえ。これからが本番ですもの。がんばらないといけません。」
かわいい。気合の入れ方が可愛い。カップを置いて両手を握りしめた。
何らかの決意表明らしい。
俺が和んでいたらアーリアが俺をじっと見る。
「皆さん、驚いていましたね。見せたことなかったんでしょうか?」
あ、さっきのね。うん。約9名ほど顎が外れそうな表情を見せてたね。
「あー。多分。アーリアの護衛の時くらいかな?」
アーリアがはあとため息をついた。
「アキラ様はご自覚がありませんね。ほんとに心配です。」
何のことを言っているんだろう?
「ほら、とりあえず少し食べないと。朝まで食べられなくなるかもしれないし……」
と、軽食を勧めた。でもアーリアは迷っているようだ。
「……ふ、太らないですかね?」
あ、アーリアも女の子だったか!
「大丈夫。年に一回くらいじゃ太らないと思うよ?」
ほっとした顔をして口にした。
ちなみにフリネリアは豪快に平らげたらしい。
……。
いつも思うけど、フリネリアは姉御って感じだ。
うん、男らしいとか思ってないよ? どっちかっていうと漢だよな…。
空が明るくなってきていた。
アーリアはなんとか、新年の挨拶を乗り切り、イベントの最後が始まろうとしていた。
神官が『アクアミネス様に祈りを捧げましょう』とバルコニーに出て民衆に呼び掛ける。
皆が目を閉じて両手を組んで祈る。
俺も祈った。
この世界を邪王から護れるように。
アーリアを守れるように、力を貸して欲しいと。
俺に出来ることは何でもするからと。
鈴の鳴る様な囁きが、微かに聞こえたような気がした。
祈りを捧げて陽が昇ると宴の終焉だ。
広場に来ていた民衆はほぼ帰ってしまい、片付けをしている使用人たちだけが残っている。
アーリアはフリネリアが寝所へと送っていき、俺の任務も終わった。
部屋に帰り“浄化”の魔法をかけ、着替えて寝た。
夢を見たような気がした。
新年はあれだ。日本もアクアミネスも変わらない。
休日だってことだ。
“彷徨い人”は3日に“迷宮”に行くから2日しかないが。
俺は昼ごろ起きだして、訓練所に向かった。もう病気かもしれない。
一通り身体をあっためて朝のメニューをこなす。
そんなことをしているうちにまた集まってきた。
「あけおめーラビちゃん先輩!」
「あけおめことよろ。」
「あけましておめでとうございます~!」
それぞれが新年の挨拶をしてくる。日本式か!
「明けましておめでとう。寝てていいんだぞ?」
お前らも病気持ちか。
「ラビちゃん先輩!! 変装してましたよねえ。」
ハジメがにやにやして言ってきた。
「目が金色ってどんなコンタクト持ってたんですか!!」
あれ? えりりんが食いついている。
「え、ああ? 見せたことなかったっけ?」
目の前で金色にして見せた。
引いた。皆引いた。ええ?そこ凄いっていうところでしょ……傷ついたよ。
「これスキルの一種。魔眼だな。目に魔力込めると発動するんだ。まあ、この魔眼は……」
俺は腰に刺していたナイフに”炎”の魔法を付与する。
「こんな感じ?」
ナイフを投擲すると炎を纏って飛んでいった。
「魔法付与とか簡単にできるぞ。目からビームは出ないけどなー。」
一斉にみんな騒ぎだして収拾がつかなくなった。
チートだなんだって騒いでいるが、もっとチートだって知らせたら腰抜かしそうだから黙っておこう。
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