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ミラクルローラースケーター翔に、ヒーローショー。【前編】
しおりを挟む━━すっかり遅くなっちゃった……
昼間の拘束ロボによる誘拐未遂事件(ミラクルローラースケーター翔に、マジックハンド。を参照)で警察にあれやこれや聞かれ、疾風が研究所に戻ったのは19時を少しまわったところだった。
研究所の門の前までパトカーに護送され、15メートル程のコンクリートの先に勝手口がある。
宝月博士に連絡は入れているのでお咎めは受けないはずだが、不意打ちの拘束に手も足も出なかったことに疾風は負い目を感じていた。
━━まだまだ修業が足りないんだ、もっとトレーニングを増やさないと。
博士は帰っているはずだが、疾風は自分で鍵を開け、ドアノブに手を掛ける。 その瞬間背後に感じた視線に、疾風はなぜだか恐怖に震えた。この前のとも少し似ている、同業者の気配。
「誰?……だれっ」
怖い。怖いのに、足がすくんで動けない。
「もしかしてこわいの」
若い男の声で、知らない声。男は続ける
「まあ無理もないよな。昼間あんなことがあったんだから」
男は手首に付けられた真鍮づくりのブレスレットを疾風に見せるようにして、言った。
「俺はサイトレンジャーだけど、昼間のヒーローに会いたくてここにきた。現臣紅蓮だ。よろしくな!」
「サイトレンジャー……!?」
一週間後。
あの日サイトレンジャーレッドと仲良くなった疾風。 手当てが付くからとヒーローショーに出演するレッドのカッコいい姿を観る為、疾風はガールフレンドの村田麗を連れて近くのショッピングモールに来ていた。
ステージのすぐ横で打ち合わせをするレッド。 それを疾風は脇で観させてもらっていた。
「怪人役のアクターが来るのギリギリになっちゃうらしいんだけど、この前とおんなじだから。腰に縄を巻き付けて、左右に一回転ずつ動いたら引っ張られて接近。二回転して身体が離れたら縄が解けて、レッドの反撃ね」
「あー自分で身体に巻くやつですか? わざとらしくなんないかな」
「ちょっとやってみる?」
スタッフのような人たちと段取りを確認するレッドは、変身前でもめちゃくちゃカッコいい。 夢中でみとれていると、トイレに行くと言っていた村田麗がクレープを買ってきていた。
「はいっチョコバナナ好きって言ってたよね?」
「わぁ~ありがとうっ! いただきまーす」
幸せそうにクレープを頬張る疾風をレッドが見つけると、ニヤニヤしながら肩を叩く。
「こんな可愛いガールフレンド連れて、ヒーローくんも隅に置けねぇな」
レッドに突っ込まれて顔を赤くする疾風を、村田麗は不思議そうに見ていた。
「今日からこの彩都は俺たちが支配するのだーグァハハハハ!」
「そんなことさせてたまるか!」
ショーが始まった。颯爽と、サイトレンジャーレッドが登場。 ヒーローショーの会場は子どもたちの歓声で沸いた。
……着ぐるみの怪人相手にヒーローの演技をする。
実戦でもない割りに手当ては良いので受けてはいるものの、やはり人前でやられるのはどこか恥ずかしい。 ショーの開始直前にやってきた資料の写真とはかなりかけ離れたビジュアルの怪人。打ち合わせ無しだが、上手くいくだろうか……。
ヒーローのピンチシーンとして怪人の投げた縄がレッドの体を拘束しなければならない。上手くいくか不安を感じながら、レッドは初めてみたその怪人に縛られる為対峙していた。
「これでも食らえー!」
子ども向けに作られたヒーローショーにしては、股間部分にはリアルに勃起したかのような突起が付いていて、そこから白い、縄のようにしなったソレが発射される。
びゅるるるるっ!
「うわぁぁっっ!」
ベチャッ ベチョベチョ~
レッドの上げた声は台本通り、だがロープだと思って食らった白いソレはベトベトして、レッドが望まずとも無防備な腹から腕、腰を覆ってしまった。
「しまった、ロープが絡まって……え?」
腰にまとわり付いているのはロープではない。では一体、なんだ?
━━それはな、我が肉体からほとばしる熱きパトス、超濃厚な我が精液だ!
「なっ、せ……!? うっ」
怪人の言った通り、白いベトベトした液体は濃厚な精液の臭いを漂わせていて、そんな精液まみれになっていることにレッドは思わず顔をしかめた。
「ヒーローの身体なんぞ、絡めとってくれるわ!」
なす統べなくレッドは怪人に引き寄せられてしまう。 台本とは違う動き、まとわりついた精液の中でもがいても全く効果がない。
「アッ、ヒーローがたたかってるよ、みんなおうえんしてー!」
あくまで台本通り進めようとする進行役。 ちびっこたちの声援も、レッドに聞こえてはいなかった。
━━フフフ、ついに来たぞこの日が! 貴様を堂々と凌辱できるなんてな!
「な、なに?!」
プロテクターを無効化され、薄いタイツ越しに乳首や股間がくっきりしてしまうレッド。
くっ、こんなのに捕まって動けないなんて……!
巨漢の怪人には似合わない、両手でクリクリとレッドの乳首を責める動き。
だけど、まだ乳首だけなら……うぁッッッ
突然股間のイチモツに注がれる快楽。
なんで、そんな、どうして……!
怪人の先走りで濡れた立派な肉棒が、器用にレッドの肉棒をなぞった。
「はぁぁぁぁッ!!」
ついに上げてしまった声。 ざわつく観衆に我に帰るレッド。
そうだ、今はヒーローショーの真っ最中。 こんなやつに、ヤられるわけには……
今回のショーはインカムで話ながら行うもの。 つまり、怪人に気持ちよくさせられて声を出せば、全てインカムが拾ってしまうのだ。
「ンンッ、んんんっ、ンッ♡」
俺の身体が魚のように跳ねるのに気をよくしたのか、怪人のペ○スも元気に跳ねる。 ぬるぬるのイチモツに何度もなぞられて、乳首を摘ままれコネられて、全身が脱力する感覚に脳裏がホワイトアウト。
どぴゅっ
━━ホホッ、スーツの中に射精しよって。
意識を失ったレッドは促されるまま怪人の胸に寄りかかる。
「紅蓮さん、本当に気を失ってる……!?」
疾風はレッドの異変に、すぐステージ横の控え室に向かった。
「おい、レッドなんで動かねーんだよ」 「アレ本物の怪人じゃないんですか!?」 「はっ!? んじゃどーすんだよこれから! 今からサイトレンジャー呼んでも間に合わねーぞ」
レッドを肩に担いで連れ去ろうとする敵怪人。
疾風は急いでミラクルローラースケーター翔に変身した。
「お前さっきの、見習いヒーローとかいう……」
「僕の麻酔銃を使えば怪人の動きを停められるかもしれません」
疾風は光線銃を構えた。
「馬鹿かっ! こっから撃っても意味ねーんだよ!」
「あっ」
疾風は押し出されるようにしてステージに躍り出た。
……後編に続く。
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