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ミラクルローラースケーター翔に、水筆。
しおりを挟む「あっ……ンッぅぅ……」
翼の生えた美少年に抱きかかえられ上空を移動する疾風。
手足にはまだ痺れが残っていて抵抗できないが、強化スーツに当たる冷たい風、自分を抱きかかえる美少年の腕が擦れる刺激などで甘い吐息が漏れる。
「ほんっと君って敏感なんだね。さっきから感じっぱなしじゃん」
「う、うるさい……」
悩ましげに眉間に皺を寄せる疾風だったが、内心では殺されなかったことに少し安堵していた。
実年齢12歳の疾風を抱きかかえ空を飛ぶのは楽ではない。殺すことが目的なら、地上30メートルから落とせば楽に完全犯罪ができるからだ。
「もうすぐアジトに着くからね」
━━あぁ、これから何をされるんだろう……。
ガラス張りの天井が広がる温室のような部屋で、疾風は両手首をゴム紐でくくりつけられていた。
手足の痺れは消えていたものの得意の空手を繰り出す隙も与えられず、それぞれ両側の壁にくくりつけられたゴム紐は疾風の両手をピンと伸ばしたまま身動きできなくさせていた。
「うぅっ、来るなっ!」
両足も同様に縛ろうとする翼の美少年の仲間に抵抗するも、再び麻酔銃の銃口を顔の前に向けられ疾風は仕方なく従う。
「さっきからケータイ、なりっぱなしだね。みんな心配してるんだねー」
「気に入らねーな。こんな奴仲間にするのかよ」
「まあまあ。とりあえず、誰から来てるか見てみようよ」
翼の美少年は強化スーツの腰の部分に装着された携帯電話を開ける。
衝撃を受けても大丈夫なように二つ折りの携帯電話、着信履歴は12件あり、その全てがガールフレンドの村田麗からのものだった。
「おいおい、こいつリア充だぜ。どーりであんな理不尽な任務やりたがるわけだ。ヒーロー辞めたらあの学校には通えねえからな」
「返せっ! お前らには関係ないだろ!」
握りこぶしを必死に前へと突きだそうとするもゴム紐の伸縮は弱く、目の前でケータイを開く男にさえも届かない。
「せっかくだからかけてみる?」
「えっ」
「ははっ、彼女と話せるって嬉しそうだな」
「いいよ、話しさせてあげる。その代わり、僕らの洗礼を受けながらになるけど、いいよね?」
「洗礼って……?」
疾風が上空で射精させられてからまだ数時間しか経っていない。
あんな洗礼を受けながら会話するのは拷問に等しかった。
「とりあえず、目隠し付けよっか」
言われた側から目の上に黒い布が巻かれていく。
ピ、ピ、とケータイを操作する音が聞こえ、コール音がなる。ハンズフリーの設定で、すぐ目の前にケータイがあるのがわかった。
「もしもし、宝月くん?」
「……うん。おはよ」
「おはよって、もう昼過ぎだよ」
「あ、そんなに経ったの?」
「そんなにって……寝てたの?」
「えっあ、うん。寝てたから、わかんなかった」
「学校に荷物置いて? 今どこにいるの?」
「……えと、あの、」
村田麗がいうには教室に荷物を置いたまま連れ去られてしまったので、大騒ぎになったのだという。
「何か、あったの?」
「ええと、その……任務で。任務でさ、急に帰らないといけなくなって」
「……そうなんだ。学校来ると思ってたから、残念だな」
「……ごめんね」
そこまで話した時、急に耳元で声がして疾風は心臓が飛び上がった。
「君、彼女にヒーローのこと話してるわけ? 禁止事項だよ?」
「……っ!」
カチャカチャと周りで音がするのには気づいていたが、股間を撫でられる感覚に疾風は必死に声を抑える。
そんな疾風の事情も知らず、村田麗は続けた。
「私こそ、この前はごめんね、わがまま言って。宝月くんの気持ち全然考えないで」
「違う、僕のせいだよ。だって、僕がしっかりしてれば……」
「……ありがと。もうこの話、やめよ?」
「うん……アッ」
ぴちゃぴちゃと水音がしたかと思うと、何かをお尻に塗られ疾風は声を漏らす。
「どうかしたの?」
「なんでも、ないよ……」
ぬるぬると太腿あたりで動く刷毛のようなものに、疾風は動揺を隠せずにいた。
「そう? それじゃ明日は学校来るよね?」
「ンッ、あ、明日? えと、来る、かな。~~っ!」
乳首を水筆でツン、とされお尻の穴も弄られて、激しく息を吐く。
「……ねぇ、宝月くん」
「な、何?」
「もしかして今、オナニーしてるの?」
「ち、違っ! んっ、あぁぁぁ」
筆から予想を遥かに超えたグリグリした刺激を与えられ、疾風はあられもない声をあげてしまう。
それからも脇や太腿の付け根など皮膚の薄い部分を弄られて、
「宝月くん……」
「やっ、あっ、そんな、そこ……っ! か、痒い……」
強力な媚薬の成分を含んだ痒み薬をほんの少し、あとはお尻の穴を乾いた筆でカサカサと刺激を与えれば、ジットリと濡れた前とのギャップにもどかしさを抱かざるを得ない。
美少年は、痒いと漏らしてしまった疾風にさらに羞恥を抱かせるべく、先走りの漏れた辺りを弄りクチュクチュと水音を立てる。
これ以上声をあげてはなるまいと口を閉じ激しくなる鼻息。それさえもケータイのマイクが拾ってしまう。
━━こんなの、絶対嫌われる……
「……いいよ。私で、その、オナニーしても」
「えっ」
恥ずかしそうに恥ずかしい単語を口にする村田麗。
だが目隠しで見えないオーディエンスのおお、という反応に、疾風の理性が最大限働く。
「今、休み時間で周りに誰もいないの……ちょっと、してみる?」
「ダメっ! 今はダメだよ、でもありがとう。ごめん、任務の途中だから、またかけ直……ふぁぁっ!」
突然口に押し込まれるギャグに、疾風の言葉は中断される。
恥ずかしい声は聞かれながらも、捕まっていることを悟られないよう穏便に電話を切る術は、赤色のボールギャグによって断たれてしまった。
「宝月くん? 真面目に話してるんだから、ちょっとくらい手止めて聞いてよ」
「…………」
「宝月くん?」
「…………」
頭が真っ白で何も話せない。
奴らにネタばらしされれば一巻の終わり。
無様に声を上げさせられる僕を、もしも麗ちゃんが知ったら……
「あーあ。せっかく彼女のエロボイス聞けると思ったのに」
「……誰?」
「少年ヒーローの友達、かな。今宝月? はね、俺の仲間にギャグ噛まされてフリーズしてるよ」
「え……?」
「今、白椿学院高校のヒーローは僕らに拷問されてる最中だから。大人しく言うこと聞けば淫乱なペットと化す前に解放してあげるんだけどさ、まあどのみち高校には戻らないよ」
「嘘っ……お願い、ヒーローを返して!」
股間の膨らみを何度もコショコショされても足を閉じることは足首を両側から引っ張るゴム紐で禁じられ。
「んっ、グゥゥゥ、フフっ、んっ……」
水筆によるくすぐったい焦らし責めをまぎらわす為に腰をくねらせることも拘束のせいで満足に出来ず。
ボールギャグで塞がれた口元から一筋の唾液がつたった。
━━もう、終わりだ……
「宝月くん……お願い、何でもするから、宝月くんを助けてあげて……!」
「まぢで? じゃあさっきやる予定だったエロボイスやってよ! あとエロい画像もお願い!」
次々と村田麗に出される要求を呑んだところで彼らが疾風を解放するはずがなかった。
「んんっー!」
ダメだ! と疾風は叫ぶことも出来ずに激しく頭を振るが、既に疾風のケータイは疾風から遠く離されていた。
「……ちょっと、待っててください。一旦切りますね」
村田麗により電話が切られる。
一方、アジトでは疾風の拷問に加担する奴らの他に、村田麗や疾風とのやりとりをこっそりと見ている男がいた。
━━宝月疾風。また麗を巻き込みやがって……
部屋の窓ガラスが割れ、投げ入れられたのは催眠ガス入りの手榴弾だった。
疾風は薄れゆく意識の中でも、拘束を解き自分を抱きかかえる男が、あの日村田麗を助けた男と同じ事に気づいていた。
━━この人は一体誰なんだろう……
催眠ガスの影響で眠る疾風の隣で、村田麗から送られてきた胸を露出させた画像を消去した男。
疾風がこの男の正体を知るのは、まだ先の話である。
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