よろず魔法使いの日記帳 【第一部 ダンジョンの謎】

藻ノかたり

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最後の謎解き(1/4)

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それから一時間くらいの間、ボクたちはこれからの交渉について話し合った。闇から闇へ葬られる心配はほぼ無くなったので、あとはどれだけ有利に事を運ぶかの議論となる。

その結果、ボクとザレドスが前面に出て交渉し、ポピッカは三大宗教の一つの神父として、ゲルドーシュは正に百戦錬磨の戦士として、うしろから見えざる圧力を掛けるという作戦で話は決した。

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【注意!】

ここから先、この日の日記の日付より三カ月後に、ザレドスから送られてきた手紙を書き写した文書を添付する。この日記を読み返す時、またボク以外の誰かが読む時に、都合が良いと思うからだ。

なお手紙は大企業が極秘通信に使う、第一級秘匿郵便で届いた事を記録しておく(さぞかし、高かったろうなぁ)。

ちなみに手紙の原本は、鍵が三重に掛かったいつもの宝箱へ納めるので、必要があれば確認の事。
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《親愛なるスタン・リンシード様》


穏やかな陽の差す日々は通り過ぎ、うっとうしい雨が降り続く季節となりました。気候による体調不良が心配される今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

そしてあのダンジョンの出来事から三カ月、ゲルドーシュさんの結婚式以来、お会いできないでいる事を寂しく感じています。

さて今回、秘匿郵便をお送りしたのは他でもありません。あのダンジョンで解けなかった謎を、私なりに調べた結果をお知らせするためです。

なお、今回の調査には州兵の隊長さんが、陰ながら色々と協力してくれました。役人への反発、魔獣を倒した私たちへの畏敬の念ゆえだと思います。

まず最初にズバリ申し上げます。私はリンシードさんのように、勿体ぶらないので(失礼)。

妨害者ガスラム。すなわち州付きの魔法使いが何故、あのような様々な事を行ったのか。それはやはり、あのダンジョンがバッテルム遺跡に存在しているのが理由でした。

都市開発が進めば、遺跡は観光地と化すでしょう。経済的には宜しい事ですが、学術的には遺跡を荒らされる危険もありますし、あの場所を神聖視している人達からすればとんでもない話になるわけです。

ズバリ言う、と申し上げた割には遅れてしまいました。今度こそズバリ言います。妨害者ガスラムとは、いったい何者であったのかといえば、

彼は”遺跡NPOと結託した工作員”だったのです。

ダンジョンでも少し話に出たと記憶していますが、迷宮の調査にはかねてから、くだんの団体も出入りしたのです。勿論、遺跡が観光地化する事には大反対でした。

そこで彼らは、ダンジョンの中に「解けない謎」を作り出したのです。

あの時、散々話し合った事ですが、例の”先へ行けない壁”の謎が健在な内は、向こう側に何があるのかが非常に気になります。呪いのアイテムを封印していたり、魔物が湧いて出るのではないかという憶測ですね。

その間は、どうしても遺跡付近の開発事業はストップせざるを得ませんでした。しかし州としても都市開発全体をやめる事は出来ないので、候補地からダンジョンを外さざるを得ず、結果的に遺跡の観光地化も防げるという算段です。

実際、NPO側のメンバーも何人か捕縛され、そのような供述をしているようですね。ちなみに抜け穴の事も調査中にわかったものらしいですよ。ただ、後で何か起きた時の為に、NPO内で秘匿されていたとの事でした。

でもリンシードさん、多分あなたはこの回答に満足してはいないでしょう?
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