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パーティーの立場

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「マズいって、何が?」

ゲルドーシュが、再び疑問を口にした。

「あなた、本当にお気楽な男ですわね。考えてもみなさい。まず、予想していたとはいえ身内が犯人だったなんて、州にとってはとてつもない落ち度ですわよね。

それに魔獣なんてものが出たと外へ漏れでもしたら、これまた大騒ぎです。都市開発どころか、中央政府の厳しい査察が入るに違いありませんわ。そうなれば、痛くもない腹を探られる事になりますわよ」

「まぁ、痛くもないかどうかは、微妙な所ですね。ゼットツ州産の希少金属の話なんて、採掘量とか税金とか、不正の温床になりやすいわけだから、今回の事に便乗して調査されるかも知れませんし」

ザレドスが、補足をする。

「ん~、なるほどな。いや、二人とも意外と頭いいなぁ」

「あなたが、頭わるすぎるんですのよ!」

イラついたポピッカの一撃。

「んだと、コラ!。表に出て一戦交えるか!?」

「こらこら、二人ともやめて。話が進まないよ」

ボクは、二人をたしなめる。

「あぁ、すいません、つい」

ポピッカが、恥じ入るように言った。

「つまり、ボクたちは州にとって都合の悪い事を知っている、しかも”部外者”って事なんだ。これは州にとって頭の痛い問題だろ。

となると、ボクたちがここで何を相談しているか、知りたいと思っても不思議はないって事さ」

ボクは、話を締めくくった。

「なるほどな……。だけど、結界を張ったなんて知れたら、あとでイチャモンつけられないかなぁ。何、コソコソやってたんだって」

ゲルドーシュが、ボクらを見回す。

「いや、それは大丈夫だろう。結界を張っいた理由を問いただすという事は、密かに見張ってたって白状するようなもんだからさ」

ボクの意見にゲルドーシュは成程、成程と頷いた。

「じゃ、ゲルドーシュが納得したところで、本題に入ろうか」

ボクは、話を仕切り直す。

「まぁ、それにしても抜け穴があったっていうのは意外でしたね。思いついても不思議はなかったのに、全くそうはならなかった。やはり精神的に余裕がないかった証拠でしょうか」

ザレドスが、クッキーを手に取りながら切り出した。

「そうですね。同感です。ただ抜け穴があるという前提だと、ボクたちがダンジョン内で推理した幾つかは矛盾する事になるし、未だ解決していない謎も出て来る事になりますよね。

そう考えると、ボクたちが情報的に州より有利ってわけでは決してない」

ボクは、いかにも高級そうな香りのする紅茶をすする。

「全くその通りですわ。ただこれはあくまで結果論ですが、私たち、本当に”微妙なところ”で助かった事になりますわね。正に、神の思し召しとしか思えませんわ」

「そうですね。文字通り薄氷の勝利と帰還という感じでしょうか。あのままダンジョンで時を過ごしていたら、今頃はどうなっていた事やら……」

ポピッカの考察に、ザレドスが呼応する。

「おいおい、なに言ってんだ。俺たちは堂々と謎を解いて、苦戦したとはいえ魔獣まで倒したんだぞ。何があのままいたら”微妙”なんだよ」

戦闘面では一番活躍したゲルドーシュが、不満をあらわにした。
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