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車中にて
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気恥ずかしくも感動的な行進の後、ボクたちは車中の人となった。ある意味、異常な世界から解放され、依頼をクリアしたんだという達成感が醸成されて行く。
ゲルドーシュは疲れが出たのかグースカ寝ているし、ポピッカは聖獣を召喚する為のロザリオに祈りを再充填しているようだ。そしてボクとザレドスはというと、ビークルに同乗している人たちへの観察に余念がない。
変ですねぇ…。
そうですな…。
ボクらは既に、目と目である程度は理解し合える仲となっている。どこが変なのかといえば、何といっても役人の態度であった。妙に素っ気ないのである。それは役人特有の冷徹さとはまた違い、なるべく関わらないようにしようという、疎外的な態度であった。
まぁ、確かに州から見れば予測はしていたものの、身内である魔法使いが犯人で、おまけに魔獣まで出現したのだから、平常心でいられないのも分からないではないが……。
そして次にあげられるのが、同行している軍人たちの態度である。ボクたち以外に対して、何か警戒をするような、攻撃的とも言えるような、それでいて得意げであるような……、何とも不可思議な感じであった。
車窓には暫くのあいだ荒野が映り、そのうち段々と民家が点在してくるようになる。
「あれ? ザレドスさん、これは……」
ボクは、隣の席に座っている細工師に耳打ちをした。
「えぇ、リンシードさんも気が付きましたか。どうやら行きの風景とは違う感じがしますね」
既に探索モードは終わっているので、呼び方や言葉遣いは普段通りに戻っている。
「つまり最初に行った宿泊施設とは、違う場所へ向かってるって事ですよね」
「まぁ、我々は州にとって都合の悪い事実を色々と知りましたから、すんなり返してくれるとは、思っていませんでしたが……。大丈夫でしょうか」
ボクの見解に対する、ザレドスの心配はもっともだ。
「多分、大丈夫でしょう。ダンジョンでも言いましたが、ボクたちはギルド経由でここに来ていますし、ポピッカの後ろには教会もいます。秘密を守るために、ボクたちをバッサリという事はないと思いますよ」
これは気休めではない。もし彼らがボクたちをどうにかしようというのなら、人里離れたダンジョンで始末した方がよほど都合が良いだろう。それを街中に戻そうというのだから、少なくとも交渉の余地はあるのだと思う。
ザレドスは、完全に納得をしたわけではないという顔つきをしたものの、今ここで心配してもどうにもならないと覚悟を決めたようだ。
それからどれくらいの時間が経ったろうか、ボクの耳元でゲルドーシュの声が聞こえた気がした。
「……んな……だんな! 起きろよ、もう着くってさ。ったく、疲れが出たのか? だらしねぇなぁ」
知らない内に寝落ちしてたのか。……っていうか、お前だってさっきまで爆睡してたろうが! 寝ぼけた頭の中で、色々な事がグルグルと回っている。
「皆さん、到着しました。降車願います」
いつにもまして、事務的な役人の声が響いた。
ゲルドーシュは疲れが出たのかグースカ寝ているし、ポピッカは聖獣を召喚する為のロザリオに祈りを再充填しているようだ。そしてボクとザレドスはというと、ビークルに同乗している人たちへの観察に余念がない。
変ですねぇ…。
そうですな…。
ボクらは既に、目と目である程度は理解し合える仲となっている。どこが変なのかといえば、何といっても役人の態度であった。妙に素っ気ないのである。それは役人特有の冷徹さとはまた違い、なるべく関わらないようにしようという、疎外的な態度であった。
まぁ、確かに州から見れば予測はしていたものの、身内である魔法使いが犯人で、おまけに魔獣まで出現したのだから、平常心でいられないのも分からないではないが……。
そして次にあげられるのが、同行している軍人たちの態度である。ボクたち以外に対して、何か警戒をするような、攻撃的とも言えるような、それでいて得意げであるような……、何とも不可思議な感じであった。
車窓には暫くのあいだ荒野が映り、そのうち段々と民家が点在してくるようになる。
「あれ? ザレドスさん、これは……」
ボクは、隣の席に座っている細工師に耳打ちをした。
「えぇ、リンシードさんも気が付きましたか。どうやら行きの風景とは違う感じがしますね」
既に探索モードは終わっているので、呼び方や言葉遣いは普段通りに戻っている。
「つまり最初に行った宿泊施設とは、違う場所へ向かってるって事ですよね」
「まぁ、我々は州にとって都合の悪い事実を色々と知りましたから、すんなり返してくれるとは、思っていませんでしたが……。大丈夫でしょうか」
ボクの見解に対する、ザレドスの心配はもっともだ。
「多分、大丈夫でしょう。ダンジョンでも言いましたが、ボクたちはギルド経由でここに来ていますし、ポピッカの後ろには教会もいます。秘密を守るために、ボクたちをバッサリという事はないと思いますよ」
これは気休めではない。もし彼らがボクたちをどうにかしようというのなら、人里離れたダンジョンで始末した方がよほど都合が良いだろう。それを街中に戻そうというのだから、少なくとも交渉の余地はあるのだと思う。
ザレドスは、完全に納得をしたわけではないという顔つきをしたものの、今ここで心配してもどうにもならないと覚悟を決めたようだ。
それからどれくらいの時間が経ったろうか、ボクの耳元でゲルドーシュの声が聞こえた気がした。
「……んな……だんな! 起きろよ、もう着くってさ。ったく、疲れが出たのか? だらしねぇなぁ」
知らない内に寝落ちしてたのか。……っていうか、お前だってさっきまで爆睡してたろうが! 寝ぼけた頭の中で、色々な事がグルグルと回っている。
「皆さん、到着しました。降車願います」
いつにもまして、事務的な役人の声が響いた。
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