97 / 115
それは何処に?
しおりを挟む
ボクたちは兵隊に導かれ、地下8階の安全地帯へと戻っていった。中へ入る前に、ザレドスが仕掛けた罠を解除する。
「あぁ、疲れた」
ゲルドーシュがソファーに、どっかと腰を下ろした。皆疲れているのは同じだが、事を成し遂げた後の充実した疲労感であった。
「さて、これからどうなるんでしょうねぇ」
ボクとポピッカが用意したコーヒーをすすりながら、ザレドスが口を開く。
「どうって、何が?」
何処からか見つけてきたスナック菓子を頬張るゲルドーシュが尋ねた。
「うん、そうだよねぇ。事態は今、ゼットツ州とボクら、双方にとって思いもよらない方向へと進んでいる」
「だから、何がだよ」
戦士が、重ねて疑問を呈した。
「ゼットツ州からすれば、ガスラムをまんまと捕まえられたのはいいけれど、抜け道とか魔獣とか、予想だにしなかった問題が勃発している。上は相当混乱してるだろうね」
まず、ボクが答える。
「それに私たちにしても、突然救助が来るし、スタンが言ったように上の対応次第でどうなるかわかりませんわよ。
ゼットツ州からすれば、夢にも思わなかった事態ですものね。まぁ、事が事だけに、闇から闇って事はないでしょうけれど、色々と面倒な事になる可能性は大ですわ」
「そんなもんかねぇ」
ボクを引き継いだポピッカの説明に、気のない返事をするゲルドーシュ。
「それにしても、抜け穴とは思いつきませんでしたな。知識としては知っていましたが、極限の緊張状態の中、まるで失念していました」
「そうそう、それ。抜け穴だよ、抜け穴。抜け穴が何処にあるかは知らねぇけどよ、ザレドスは気づかなかったんか?」
ゲルドーシュの質問に、これは藪蛇だったかと細工師が苦笑する。
「面目ない。頭に無かったっていうのもそうなんですが、それにしても全く検知出来なかったというのが自分でも不思議です」
ザレドスはそう言うものの、実を言うとボクには一つだけ心当たりがあった。もっとも何一つ証拠はないので、今は話さない事にしておこう。どの道、すぐにわかる話である。
「あ、スタンはもしかして心当たりでも?」
「え、そうなんか? なんだよ、もったいぶらないで教えてくれよ」
ボクの表情を見て、ポピッカが鋭い指摘をし、ゲルドーシュが畳みかけた。
今にして思えば、それはあそこしかないとは確信しつつも、外れたらゲルドーシュに何を言われるかわからない。
「私も、是非知りたいですね」
珍しく細工師が、戦士を応援する。
「う~ん。もちろんこれは、只の推測だよ。ヒントは迷宮の見取り図にあると思うんだ。もっとも、抜け穴があるって前提での話だけどね。まぁ、今これ以上言うのはやめておこう」
「え? 見取り図から読み取れるって事ですの?」
半分はぐらかしたボクの答えに、ポピッカが食いついてきてしまった。そして皆、各自が持っている見取り図を引っ張り出して睨めっこを始めた。
「あぁ、疲れた」
ゲルドーシュがソファーに、どっかと腰を下ろした。皆疲れているのは同じだが、事を成し遂げた後の充実した疲労感であった。
「さて、これからどうなるんでしょうねぇ」
ボクとポピッカが用意したコーヒーをすすりながら、ザレドスが口を開く。
「どうって、何が?」
何処からか見つけてきたスナック菓子を頬張るゲルドーシュが尋ねた。
「うん、そうだよねぇ。事態は今、ゼットツ州とボクら、双方にとって思いもよらない方向へと進んでいる」
「だから、何がだよ」
戦士が、重ねて疑問を呈した。
「ゼットツ州からすれば、ガスラムをまんまと捕まえられたのはいいけれど、抜け道とか魔獣とか、予想だにしなかった問題が勃発している。上は相当混乱してるだろうね」
まず、ボクが答える。
「それに私たちにしても、突然救助が来るし、スタンが言ったように上の対応次第でどうなるかわかりませんわよ。
ゼットツ州からすれば、夢にも思わなかった事態ですものね。まぁ、事が事だけに、闇から闇って事はないでしょうけれど、色々と面倒な事になる可能性は大ですわ」
「そんなもんかねぇ」
ボクを引き継いだポピッカの説明に、気のない返事をするゲルドーシュ。
「それにしても、抜け穴とは思いつきませんでしたな。知識としては知っていましたが、極限の緊張状態の中、まるで失念していました」
「そうそう、それ。抜け穴だよ、抜け穴。抜け穴が何処にあるかは知らねぇけどよ、ザレドスは気づかなかったんか?」
ゲルドーシュの質問に、これは藪蛇だったかと細工師が苦笑する。
「面目ない。頭に無かったっていうのもそうなんですが、それにしても全く検知出来なかったというのが自分でも不思議です」
ザレドスはそう言うものの、実を言うとボクには一つだけ心当たりがあった。もっとも何一つ証拠はないので、今は話さない事にしておこう。どの道、すぐにわかる話である。
「あ、スタンはもしかして心当たりでも?」
「え、そうなんか? なんだよ、もったいぶらないで教えてくれよ」
ボクの表情を見て、ポピッカが鋭い指摘をし、ゲルドーシュが畳みかけた。
今にして思えば、それはあそこしかないとは確信しつつも、外れたらゲルドーシュに何を言われるかわからない。
「私も、是非知りたいですね」
珍しく細工師が、戦士を応援する。
「う~ん。もちろんこれは、只の推測だよ。ヒントは迷宮の見取り図にあると思うんだ。もっとも、抜け穴があるって前提での話だけどね。まぁ、今これ以上言うのはやめておこう」
「え? 見取り図から読み取れるって事ですの?」
半分はぐらかしたボクの答えに、ポピッカが食いついてきてしまった。そして皆、各自が持っている見取り図を引っ張り出して睨めっこを始めた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる