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予期せぬ来訪者
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魔獣を倒し、妨害者との延長戦にも自信を得ていたパーティー全員に、新たな絶望が襲い掛かる。
「二十体? 間違いねぇのか!?」
剛腕の戦士ゲルドーシュですら、悲壮な声をあげた。
ボクの心は激しく狼狽する。二十体とはどういう事だ。妨害者にはまだそれだけのモンスターを召喚するだけの魔使具があり、魔獣戦での敗北を知った後にまとめて呼び出したという事なのか?
「そ、そんな」
ポピッカの顔面がみるみる青白くなっていくのが分かる。
「間違いありません!……ただ、サイズは人間大でみな殆ど同じ大きさです。それに魔力を全く感知できません。こ、これは一体!?」
ゲルドーシュの問いに、ザレドスが混乱する心情を露呈する。
人間サイズで魔力がないとは、どういう事なのか? 魔力がないという事は、魔物ではないという事だ。しかし魔獣のあとに、単なる獣やオークのような亜人を送ってくるとは思えない。いや、切り札の魔獣を出した後なので、ロクなモンスターが残っていないという可能性もある。
だが体力・魔力の回復はある程度なしたものの、二十体のモンスターを相手にするなどまず不可能だ。100パーセントの敗北、すなわち確実な死が待っている戦いに臨まなくてはならぬといって良い。
最後の最後で、やはりダメなのか。妨害者の勝利なのか……。不思議な事に激しい動揺はない。もうボクの心は、絶望という感覚に対して麻痺をしているのだろうか。
「あぁ、そうかい!じゃぁ、しょうがねぇな。こうなりゃ、斬って斬って斬りまくって、一匹でも多く道連れにするしかねぇや。
まぁ、魔獣を倒したっていう冥土への土産話もあるこったし、こちとら戦士として本望だぜ!!」
間もなく死を迎える覚悟をしたゲルドーシュの、戦士としての最後の意地を示す台詞である。
ボクはもちろんの事、ポピッカとザレドスも、ゲルドーシュの一言をレクイエムとして受け入れるのに、さして時間は掛からなかった。少しでも有利に戦いを進める為、ボクたちは広場に通じる一本道の出口付近に待機する。
ここでひとしきり暴れたのち、敵に押されて来たら一本道を後退し広場の入り口で待ち構えるのだ。そうすれば道幅の狭さゆえ、敵が一気になだれ込んでくる事を阻止できる。
もうこの先、回復する事のない体力と魔力を振り絞り、名誉ある最後の抵抗を試みようとした瞬間、迫りくる敵の影から意外過ぎる一言があった。
「おぉい、誰かいるかぁ――?」
余りに突拍子もない出来事に、一同はたとえようのない混沌へと陥った。確実な死を前にした凄まじい緊張感が一気に消失し、自らの心の前後すら全く理解する事が出来ない。
まさかこれも妨害者の作戦という事はないだろう。全く意味のない行為としか言いようがない。
「あぁ、まさか、まさか……。本当にこんな事があるのだろうか!?」
ザレドスが混乱の渦から、僅かに一人抜け出した。
「ザレドス、どうしたんだ。何が起こったんだ」
ボクは根拠のない一縷の望みを携えて、すぐ前にいる細工師に詰め寄った。
「二十体? 間違いねぇのか!?」
剛腕の戦士ゲルドーシュですら、悲壮な声をあげた。
ボクの心は激しく狼狽する。二十体とはどういう事だ。妨害者にはまだそれだけのモンスターを召喚するだけの魔使具があり、魔獣戦での敗北を知った後にまとめて呼び出したという事なのか?
「そ、そんな」
ポピッカの顔面がみるみる青白くなっていくのが分かる。
「間違いありません!……ただ、サイズは人間大でみな殆ど同じ大きさです。それに魔力を全く感知できません。こ、これは一体!?」
ゲルドーシュの問いに、ザレドスが混乱する心情を露呈する。
人間サイズで魔力がないとは、どういう事なのか? 魔力がないという事は、魔物ではないという事だ。しかし魔獣のあとに、単なる獣やオークのような亜人を送ってくるとは思えない。いや、切り札の魔獣を出した後なので、ロクなモンスターが残っていないという可能性もある。
だが体力・魔力の回復はある程度なしたものの、二十体のモンスターを相手にするなどまず不可能だ。100パーセントの敗北、すなわち確実な死が待っている戦いに臨まなくてはならぬといって良い。
最後の最後で、やはりダメなのか。妨害者の勝利なのか……。不思議な事に激しい動揺はない。もうボクの心は、絶望という感覚に対して麻痺をしているのだろうか。
「あぁ、そうかい!じゃぁ、しょうがねぇな。こうなりゃ、斬って斬って斬りまくって、一匹でも多く道連れにするしかねぇや。
まぁ、魔獣を倒したっていう冥土への土産話もあるこったし、こちとら戦士として本望だぜ!!」
間もなく死を迎える覚悟をしたゲルドーシュの、戦士としての最後の意地を示す台詞である。
ボクはもちろんの事、ポピッカとザレドスも、ゲルドーシュの一言をレクイエムとして受け入れるのに、さして時間は掛からなかった。少しでも有利に戦いを進める為、ボクたちは広場に通じる一本道の出口付近に待機する。
ここでひとしきり暴れたのち、敵に押されて来たら一本道を後退し広場の入り口で待ち構えるのだ。そうすれば道幅の狭さゆえ、敵が一気になだれ込んでくる事を阻止できる。
もうこの先、回復する事のない体力と魔力を振り絞り、名誉ある最後の抵抗を試みようとした瞬間、迫りくる敵の影から意外過ぎる一言があった。
「おぉい、誰かいるかぁ――?」
余りに突拍子もない出来事に、一同はたとえようのない混沌へと陥った。確実な死を前にした凄まじい緊張感が一気に消失し、自らの心の前後すら全く理解する事が出来ない。
まさかこれも妨害者の作戦という事はないだろう。全く意味のない行為としか言いようがない。
「あぁ、まさか、まさか……。本当にこんな事があるのだろうか!?」
ザレドスが混乱の渦から、僅かに一人抜け出した。
「ザレドス、どうしたんだ。何が起こったんだ」
ボクは根拠のない一縷の望みを携えて、すぐ前にいる細工師に詰め寄った。
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