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奸計
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「行って下さい。今は全員が全てを出し切られねば、勝利は有り得ない」
その頼もしい言葉とは裏腹に、ザレドスの体は小刻みに震えている。だが、それは無理もない。ポピッカの護衛がなく、ひとたび魔獣に狙われれば、彼の防壁など一瞬にして吹き飛ぶだろう。ポピッカの離脱は、細工師の死の確率を飛躍的に跳ね上げる。
もちろんポピッカも、その事は十分にわかっている。それを承知でザレドスの護衛を離れなければならない。今はそんな状況なのである。
「出来るだけ、すぐに戻りますわ!」
ヘキサシールドを解除したポピッカは、腰の袋から棒状の何かを取り出すと、素早く圧縮魔法を解除する呪文を唱えた。彼女の右腕に握られたその棒は、見る見る内に元の大きさに戻る。
彼女が携えたのは、スパイク・メイスであった。六十センチほどの棒の先に直径十二センチほどの金属球があり、そこには無数のトゲ状突起が牙をむいている。重心が先端にあるので、非力な者が振るってもそれなりの威力が期待できる武器である。
「だから、そんな貧弱な武器なんぞ、役に立たねぇって!」
ゲルドーシュが再び叫ぶ。
そんな戦士の声をガン無視して、ポピッカは魔獣に向かって走り出す。ゲルドーシュが三度叫ぼうとした瞬間、僧侶は魔族の子孫である証の羽根を背中に出現させた。
「うるさいですわ!」
彼女の半透明の羽根が薄緑色の光を放つと同時に、僧侶の体は一筋の光の矢と化す。ポピッカは、恐らくゲルドーシュですら正確には捉えられないスピードで魔獣の後ろに回り込み、突然その動きを止めた。そして逆関節の左ひざめがけてスパイク・メイスを振り降ろす。
「だめだ。距離が合わねぇ!」
ゲルドーシュの言う通り、メイスの先端のトゲ付き鉄球は魔獣の左ひざには届かない軌道をえがいていた。だが不発かと思われたその時、メイスの柄が急に伸びて鉄球は目標に見事ヒットする。
だがゲルドーシュが再三言っているように、たとえ攻撃が当たったとしてもさしたるダメージを魔獣に与える事は不可能ではないか? ボクをはじめ、恐らくは皆がそう考えた瞬間、魔獣の左ひざから教会の鐘を滅茶苦茶強く鳴らしたような凄まじい反響音が響いた。
同時に魔獣の苦悶に満ちた鳴き声が広間を駆け巡る。ガノザイラは左ひざを床につき、逆関節ゆえに大きく後ろへとバランスを崩す。
「おい、なんだぁ今の!?」
呆気にとられた顔をしているゲルドーシュ。
「今のは”ベル・インパクト”。鉄球が当たると同時に衝撃魔法を叩き込んでいますの」
そう言いながら彼女は素早く移動し、今度は魔獣の右ひざに忌まわしい禍害を与えた。両ひざに苛烈な衝撃を受けた魔獣はいよいよバランスを維持できなくる。ボクはその機を逃さず、魔獣の両肩から伸びている触手に絡みつけた雷撃鞭を思いっきり手前に引いた。
魔獣の両手は虚しく空を切り、その巨体は尻もちをつくように後方へと倒れ込む。しかしポピッカは攻撃の手を緩めない。再び背中の羽根が光ったかと思うと、今度は魔獣の正面へと回りこみ、右肩にベル・インパクトを打ち込んだ。その痛みに耐えかねて、魔獣は右手のガードを解かずにはいられない。
「ゲル、準備して!」
「よし!」
ポピッカが叫ぶと、ゲルドーシュはそれだけで事を理解した。
光りの羽根で魔獣の左に移動した僧侶は、最後の一撃を残った左肩に加える。右腕に続いて、左腕のカードも開放する魔獣。ポピッカの目的は明確だった。ゲルドーシュが魔獣の弱点を狙えるよう、奴を後ろへひっくり返した上で、両手のガードを解除させる。
彼女の狙い通り、首下にある魔獣の弱点”ビートブラックパイ”は無防備に晒され、あとはゲルドーシュの爆裂を伴った大剣を迎え入れるだけの状態となった。
戦士が意気揚々と魔獣にとどめを刺そうとした時、後方のザレドスが叫ぶ。
「ダメだ! そこは違う!」
「あぁっ!?」
ゲルドーシュはザレドスの言葉に反応するも、打ち下ろした剣の勢いは止まらない。彼の長年の相棒は魔獣の弱点である黒円に突き刺さり、全てが終ったかに思われた。
「旦那、おかしい! 手ごたえが変だ!!」
ザレドスの助言をゲルドーシュの戦士の勘が裏打ちしたのだろう。剣に闘気を込めて爆発させる技を発動する前に、ゲルドーシュは咄嗟に回避行動をとった。
魔獣は痛みに耐えながらも、体勢を立て直そうとしている。ボクは今、腕力に限ってはゲルドーシュを遥かに超える能力を備えているが、それでも傷ついた魔獣を抑えきれず、ズルズルと引っ張られる格好になっていた。
「どういうこったザレドス! 違うってなんだ!?」
魔獣の前で片膝をついたゲルドーシュが叫ぶ。
「奴の急所であるヒートブラックパイは、内臓器官の全てが繋がっています。ならばそこにはマジックエッセンスの流れが集中しているはずですが、それが全く感知できません。全く理解できない現象です。
そこはビートブラックパイではない!」
恐怖と困惑と焦りが入り混じった表情のザレドス。
「……カスタマイズ、これはカスタマイズによる罠だ!」
ボクは閃いたままに叫んだ。
「そ、そうか。そういう事か」
ザレドスがボクの言葉を一瞬で理解する。
「カスタマイズ? なんだそりゃ!」
ゲルドーシュが細工師に叫ぶ。
「妨害者は召喚する魔物を、自分にとって都合のいいようにカスタマイズしていた節があります。こいつもそうだ。
弱点そのものをなくす事は不可能でも、弱点を別の場所に移動させたんです。そして世間に知られている弱点の黒い斑点を敢えてそのままにした。
敵が決死の覚悟でそこを叩いても、何も起こらない。そして呆気にとられた敵を容赦なく叩きのめす。そういう罠です!」
「じゃぁ、どうしろっていうんだ!?」
細工師の分析に、戦士が動揺する。
その頼もしい言葉とは裏腹に、ザレドスの体は小刻みに震えている。だが、それは無理もない。ポピッカの護衛がなく、ひとたび魔獣に狙われれば、彼の防壁など一瞬にして吹き飛ぶだろう。ポピッカの離脱は、細工師の死の確率を飛躍的に跳ね上げる。
もちろんポピッカも、その事は十分にわかっている。それを承知でザレドスの護衛を離れなければならない。今はそんな状況なのである。
「出来るだけ、すぐに戻りますわ!」
ヘキサシールドを解除したポピッカは、腰の袋から棒状の何かを取り出すと、素早く圧縮魔法を解除する呪文を唱えた。彼女の右腕に握られたその棒は、見る見る内に元の大きさに戻る。
彼女が携えたのは、スパイク・メイスであった。六十センチほどの棒の先に直径十二センチほどの金属球があり、そこには無数のトゲ状突起が牙をむいている。重心が先端にあるので、非力な者が振るってもそれなりの威力が期待できる武器である。
「だから、そんな貧弱な武器なんぞ、役に立たねぇって!」
ゲルドーシュが再び叫ぶ。
そんな戦士の声をガン無視して、ポピッカは魔獣に向かって走り出す。ゲルドーシュが三度叫ぼうとした瞬間、僧侶は魔族の子孫である証の羽根を背中に出現させた。
「うるさいですわ!」
彼女の半透明の羽根が薄緑色の光を放つと同時に、僧侶の体は一筋の光の矢と化す。ポピッカは、恐らくゲルドーシュですら正確には捉えられないスピードで魔獣の後ろに回り込み、突然その動きを止めた。そして逆関節の左ひざめがけてスパイク・メイスを振り降ろす。
「だめだ。距離が合わねぇ!」
ゲルドーシュの言う通り、メイスの先端のトゲ付き鉄球は魔獣の左ひざには届かない軌道をえがいていた。だが不発かと思われたその時、メイスの柄が急に伸びて鉄球は目標に見事ヒットする。
だがゲルドーシュが再三言っているように、たとえ攻撃が当たったとしてもさしたるダメージを魔獣に与える事は不可能ではないか? ボクをはじめ、恐らくは皆がそう考えた瞬間、魔獣の左ひざから教会の鐘を滅茶苦茶強く鳴らしたような凄まじい反響音が響いた。
同時に魔獣の苦悶に満ちた鳴き声が広間を駆け巡る。ガノザイラは左ひざを床につき、逆関節ゆえに大きく後ろへとバランスを崩す。
「おい、なんだぁ今の!?」
呆気にとられた顔をしているゲルドーシュ。
「今のは”ベル・インパクト”。鉄球が当たると同時に衝撃魔法を叩き込んでいますの」
そう言いながら彼女は素早く移動し、今度は魔獣の右ひざに忌まわしい禍害を与えた。両ひざに苛烈な衝撃を受けた魔獣はいよいよバランスを維持できなくる。ボクはその機を逃さず、魔獣の両肩から伸びている触手に絡みつけた雷撃鞭を思いっきり手前に引いた。
魔獣の両手は虚しく空を切り、その巨体は尻もちをつくように後方へと倒れ込む。しかしポピッカは攻撃の手を緩めない。再び背中の羽根が光ったかと思うと、今度は魔獣の正面へと回りこみ、右肩にベル・インパクトを打ち込んだ。その痛みに耐えかねて、魔獣は右手のガードを解かずにはいられない。
「ゲル、準備して!」
「よし!」
ポピッカが叫ぶと、ゲルドーシュはそれだけで事を理解した。
光りの羽根で魔獣の左に移動した僧侶は、最後の一撃を残った左肩に加える。右腕に続いて、左腕のカードも開放する魔獣。ポピッカの目的は明確だった。ゲルドーシュが魔獣の弱点を狙えるよう、奴を後ろへひっくり返した上で、両手のガードを解除させる。
彼女の狙い通り、首下にある魔獣の弱点”ビートブラックパイ”は無防備に晒され、あとはゲルドーシュの爆裂を伴った大剣を迎え入れるだけの状態となった。
戦士が意気揚々と魔獣にとどめを刺そうとした時、後方のザレドスが叫ぶ。
「ダメだ! そこは違う!」
「あぁっ!?」
ゲルドーシュはザレドスの言葉に反応するも、打ち下ろした剣の勢いは止まらない。彼の長年の相棒は魔獣の弱点である黒円に突き刺さり、全てが終ったかに思われた。
「旦那、おかしい! 手ごたえが変だ!!」
ザレドスの助言をゲルドーシュの戦士の勘が裏打ちしたのだろう。剣に闘気を込めて爆発させる技を発動する前に、ゲルドーシュは咄嗟に回避行動をとった。
魔獣は痛みに耐えながらも、体勢を立て直そうとしている。ボクは今、腕力に限ってはゲルドーシュを遥かに超える能力を備えているが、それでも傷ついた魔獣を抑えきれず、ズルズルと引っ張られる格好になっていた。
「どういうこったザレドス! 違うってなんだ!?」
魔獣の前で片膝をついたゲルドーシュが叫ぶ。
「奴の急所であるヒートブラックパイは、内臓器官の全てが繋がっています。ならばそこにはマジックエッセンスの流れが集中しているはずですが、それが全く感知できません。全く理解できない現象です。
そこはビートブラックパイではない!」
恐怖と困惑と焦りが入り混じった表情のザレドス。
「……カスタマイズ、これはカスタマイズによる罠だ!」
ボクは閃いたままに叫んだ。
「そ、そうか。そういう事か」
ザレドスがボクの言葉を一瞬で理解する。
「カスタマイズ? なんだそりゃ!」
ゲルドーシュが細工師に叫ぶ。
「妨害者は召喚する魔物を、自分にとって都合のいいようにカスタマイズしていた節があります。こいつもそうだ。
弱点そのものをなくす事は不可能でも、弱点を別の場所に移動させたんです。そして世間に知られている弱点の黒い斑点を敢えてそのままにした。
敵が決死の覚悟でそこを叩いても、何も起こらない。そして呆気にとられた敵を容赦なく叩きのめす。そういう罠です!」
「じゃぁ、どうしろっていうんだ!?」
細工師の分析に、戦士が動揺する。
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