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愛の結晶
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「そういう人たちは、自分ではこれといった魔法を使えないし、もちろん魔法を魔道具に封じる事も出来ません。そこで工夫をこらし、少しの魔力で出来る事を考え出したらしいのです。
私も具体的にはそれがどういう物なのか知りませんでしたが、いまゲルの戦いを魔使具で計測してわかった気がします」
話は佳境に入って来る。
「さっきゲルは剣を通じて闘気を爆発させました。つまり爆発の原資はゲルの闘気という事になります。魔法で爆発そのものを造り出したわけではありません。
言い方を変えれば”闘気を爆発に変換した”という事になります。つまり魔法はこの”変換”という要素のみなのですよ。それならば、少ない魔力でも十分可能となるわけです……。ただし、あくまでも”理屈としては”ですがね」
細工師は、意味深長な言葉を発する。
「何か持って回った言い方をなさいますわね。それは一体どういう……」
ポピッカが、たまらず口を出した。
「魔法を付与する事を前提としていないアイテムに魔法をかけるのですから、これは大変に不安定なものとなります。魔使具のようにシステマチックな仕組みなどありはしません。
具体的には、いつ暴発してもおかしくはないですし、放出具合だって加減するのは困難です。ですから理屈としては可能でも、実際に行うのは無理だという事ですね」
「だけど器用とはいえないゲルが、ちゃんと使いこなしている」
ボクはゲルドーシュの方を見て微笑んだ。
「余計なお世話だよ、旦那!」
ちょっと怒ったゲルドーシュを横目に、ザレドスが話を続ける。
「これは多分、幾つかの要素が重なって実現できた奇跡だと思うんです。まずはテュラフィーさんのセンス。そして彼女がゲルの事を知り尽くしているという事、体も心もね」
「お、おい、へ、変なこと言うんじゃねぇ……」
ゲルドーシュの顔が、今度は怒りではなく羞恥で真っ赤に染まる。子供まで作っておいて、何を今さら赤くなってるんだとボクはクスクスと笑う。
「つまりそれらのおかげで、ゲル、剣、魔法が一体化する調整が可能となったんだと思います。正に愛の奇跡ですな」
細工師がドヤ顔で演説を締めくくる。
「ふふッ、今の言い方は、ちょっとオジサンくさいですわね」
ポピッカが、いたずらっぽく茶々を入れた。
「放っておいてください。もう、まごうことなきオジサンですから」
一同の口元が綻ぶ。
「さて、この3匹の戦利品はどうしようか」
話が一段落したところで、ボクは皆に意見を求めた。
「3匹とも牙と爪は持って行くとして、ゾルハウンドはやはり焼却した方が良いでしょうな。問題は拳熊の方です」
ザレドスが腕を組む。
「そうですわね。熊の方は両断されたとはいえ、巨大な分、毛皮も内臓も結構高く売れますわ。燃やしてしまうのは惜しいですわ」
「ま、そういうこった」
僧侶の意見に珍しく戦士も同意した。
「では圧縮魔法と保存魔法を使った上で、あそこの少しくぼんだ隙間に置いていくという事でどう? もちろんインビジブルの魔法をかけるけど」
ボクは皆の意見をまとめる。
このまま放っておけば拳熊は早晩腐敗を始めるだろう。そうすると価値は殆どなくなってしまう。またこれだけのデカブツを通路に横たえておけば、他の獣たちのエサになるのは必定だ。
かといってこの大きさの魔物を持ち運べるまでに圧縮するのは、マジックエッセンスの消費量を考えると効率的ではない。という事で腐らないようにした上で、くぼみに押し込めて透明化して置けば、まず他の獣類に見つかる事はないだろう。
「では魔法は私が掛けますわ。スタンは今の戦闘でマジックエッセンスをかなり消費したと思いますので」
ボクはポピッカの申し出を有り難く受け入れる。モバイラーからマジックエッセンスを魔使具や体に継ぎ足す事は出来るけど、今回彼女は殆ど魔法を使っていない。ここは彼女に任せるのが賢明だろう。
ゲルドーシュが死骸を所定の場所に運んだあと、ポピッカは実に手際よく作業を完了した。
一同は最深部へと続く地下8階への階段を目指す。しかしボクには、ちょっと気になる事があった。
先ほど戦う前は意識していなかったのだが、今思えば不自然な所もある。ゾルハウンドと拳熊はそこそこレベルの高い魔物だ。ダンジョンでは下の階に行くほど強力なモンスターが出現するというセオリーがある。だから、ここでくだんのモンスター達が出て来る事自体は不思議ではない。
しかし連中の前に出会った敵は、弱小に類するゴルマラウルフと、強敵とは言えないシュラドムウルフだけであった。しかるにそこから、一足飛びに強力なモンスターが現れたのである。弱いものから強いものへと変化するグラデーションがイビツな印象を受ける。
やはり何か人為的な匂いを、意識せずにはいられない。
その時、ちょうど地下7階の安全地帯の横に辿りついた。先ほどからここまでの道程では新たな敵に出あっていない。
「みんな、もうすぐ地下8階だけど、念のため安全地帯で一休みしよう」
「えぇ? もう早いとこ最下階へ行っちまおうぜ。何かもうゾクゾクしてたまんねぇや。あぁ、何か落ち着かねぇ」
ボクの提案に、武者震いをする戦士は不満のようだ。
「だからこそ一服するんですわよ。先ほどあった戦闘の余韻も残っていますし、ゲルの言う通り地下8階への到達を目の前にして、みな多少なりとも気が高ぶっていると思いますの。
敵の現れ方に多少の不自然さも見受けられますから、ここは冷静さを取り戻すために休憩するのが上策ですわ」
ポピッカ、ナイスフォロー! あぁ、これでポピッカとゲルドーシュの相性問題がなければ最高なんだけどなぁ。
私も具体的にはそれがどういう物なのか知りませんでしたが、いまゲルの戦いを魔使具で計測してわかった気がします」
話は佳境に入って来る。
「さっきゲルは剣を通じて闘気を爆発させました。つまり爆発の原資はゲルの闘気という事になります。魔法で爆発そのものを造り出したわけではありません。
言い方を変えれば”闘気を爆発に変換した”という事になります。つまり魔法はこの”変換”という要素のみなのですよ。それならば、少ない魔力でも十分可能となるわけです……。ただし、あくまでも”理屈としては”ですがね」
細工師は、意味深長な言葉を発する。
「何か持って回った言い方をなさいますわね。それは一体どういう……」
ポピッカが、たまらず口を出した。
「魔法を付与する事を前提としていないアイテムに魔法をかけるのですから、これは大変に不安定なものとなります。魔使具のようにシステマチックな仕組みなどありはしません。
具体的には、いつ暴発してもおかしくはないですし、放出具合だって加減するのは困難です。ですから理屈としては可能でも、実際に行うのは無理だという事ですね」
「だけど器用とはいえないゲルが、ちゃんと使いこなしている」
ボクはゲルドーシュの方を見て微笑んだ。
「余計なお世話だよ、旦那!」
ちょっと怒ったゲルドーシュを横目に、ザレドスが話を続ける。
「これは多分、幾つかの要素が重なって実現できた奇跡だと思うんです。まずはテュラフィーさんのセンス。そして彼女がゲルの事を知り尽くしているという事、体も心もね」
「お、おい、へ、変なこと言うんじゃねぇ……」
ゲルドーシュの顔が、今度は怒りではなく羞恥で真っ赤に染まる。子供まで作っておいて、何を今さら赤くなってるんだとボクはクスクスと笑う。
「つまりそれらのおかげで、ゲル、剣、魔法が一体化する調整が可能となったんだと思います。正に愛の奇跡ですな」
細工師がドヤ顔で演説を締めくくる。
「ふふッ、今の言い方は、ちょっとオジサンくさいですわね」
ポピッカが、いたずらっぽく茶々を入れた。
「放っておいてください。もう、まごうことなきオジサンですから」
一同の口元が綻ぶ。
「さて、この3匹の戦利品はどうしようか」
話が一段落したところで、ボクは皆に意見を求めた。
「3匹とも牙と爪は持って行くとして、ゾルハウンドはやはり焼却した方が良いでしょうな。問題は拳熊の方です」
ザレドスが腕を組む。
「そうですわね。熊の方は両断されたとはいえ、巨大な分、毛皮も内臓も結構高く売れますわ。燃やしてしまうのは惜しいですわ」
「ま、そういうこった」
僧侶の意見に珍しく戦士も同意した。
「では圧縮魔法と保存魔法を使った上で、あそこの少しくぼんだ隙間に置いていくという事でどう? もちろんインビジブルの魔法をかけるけど」
ボクは皆の意見をまとめる。
このまま放っておけば拳熊は早晩腐敗を始めるだろう。そうすると価値は殆どなくなってしまう。またこれだけのデカブツを通路に横たえておけば、他の獣たちのエサになるのは必定だ。
かといってこの大きさの魔物を持ち運べるまでに圧縮するのは、マジックエッセンスの消費量を考えると効率的ではない。という事で腐らないようにした上で、くぼみに押し込めて透明化して置けば、まず他の獣類に見つかる事はないだろう。
「では魔法は私が掛けますわ。スタンは今の戦闘でマジックエッセンスをかなり消費したと思いますので」
ボクはポピッカの申し出を有り難く受け入れる。モバイラーからマジックエッセンスを魔使具や体に継ぎ足す事は出来るけど、今回彼女は殆ど魔法を使っていない。ここは彼女に任せるのが賢明だろう。
ゲルドーシュが死骸を所定の場所に運んだあと、ポピッカは実に手際よく作業を完了した。
一同は最深部へと続く地下8階への階段を目指す。しかしボクには、ちょっと気になる事があった。
先ほど戦う前は意識していなかったのだが、今思えば不自然な所もある。ゾルハウンドと拳熊はそこそこレベルの高い魔物だ。ダンジョンでは下の階に行くほど強力なモンスターが出現するというセオリーがある。だから、ここでくだんのモンスター達が出て来る事自体は不思議ではない。
しかし連中の前に出会った敵は、弱小に類するゴルマラウルフと、強敵とは言えないシュラドムウルフだけであった。しかるにそこから、一足飛びに強力なモンスターが現れたのである。弱いものから強いものへと変化するグラデーションがイビツな印象を受ける。
やはり何か人為的な匂いを、意識せずにはいられない。
その時、ちょうど地下7階の安全地帯の横に辿りついた。先ほどからここまでの道程では新たな敵に出あっていない。
「みんな、もうすぐ地下8階だけど、念のため安全地帯で一休みしよう」
「えぇ? もう早いとこ最下階へ行っちまおうぜ。何かもうゾクゾクしてたまんねぇや。あぁ、何か落ち着かねぇ」
ボクの提案に、武者震いをする戦士は不満のようだ。
「だからこそ一服するんですわよ。先ほどあった戦闘の余韻も残っていますし、ゲルの言う通り地下8階への到達を目の前にして、みな多少なりとも気が高ぶっていると思いますの。
敵の現れ方に多少の不自然さも見受けられますから、ここは冷静さを取り戻すために休憩するのが上策ですわ」
ポピッカ、ナイスフォロー! あぁ、これでポピッカとゲルドーシュの相性問題がなければ最高なんだけどなぁ。
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