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豪快!ゲルドーシュ
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凄まじい勢いでパーティーに襲い掛かって来たのは、一匹のシュラドムウルフであった。通常の獣の中では大型に属するオオカミで、ダンジョンに入って最初に出会ったゴルマラウルフとは比べ物にならないほどの狂暴な生き物である。
大剣を抜いたゲルドーシュが脱兎のごとく突進し、彼の抜けた穴をボクが補う。
「ゲル、よけなさい! 正面からなんて……」
大柄な成人男性ほどのサイズがあるシュラドムウルフに対し、正面から突っ込んでいく戦士を見てポピッカが叫んだ。
「大丈夫。問題ないよ」
僧侶の心配をよそに、ボクは平然として戦士の仕事を見守る。
取りあえずの敵を目の前にし、シュラドムウルフは巨体に似合わぬ軽やかさで宙に舞った。
「あっ」
ザレドスが小さな声を上げた刹那、ゲルドーシュの体が一瞬ぼやけて見える。奴がダッシュのギアを一段上げたのだ。それが余りに急激なため、余人にはその動きを正確に捉える事が出来ない。
「グゥオォォォ、ガァァァァツッ!!!」
最初の敵となったオオカミの苦痛に満ちた咆哮がダンジョンに響いた時には、既にゲルドーシュの大剣がシュラドムウルフの頭から腹のあたりまでを真っ二つに切り裂いていた。
ほどなく完全に断ち切られた二つの肉塊がダンジョンの床に叩きつけられ、さもまだ生きているかのように飛び跳ねる。
「ちょっとやりすぎじゃないか? ゲル」
彼の戦闘を何度も見ているボクとしては、いささか敵の強さに見合わない過剰な攻撃に見えた。
「あぁ、旦那。そうは思うが、やっと戦士らしい仕事が回って来たんで、つい興奮しちまった」
大剣から真っ赤な血を滴らせ、恍惚の表情を浮かべた戦士が仲間の元へと帰って来る。
「へっ、どうだいポピッカ。俺様の力はよ」
「問題外ですわね。あなたのスピードだったらば軽く脇に回れましたわよね。そこで首だけを切り落とせば、もっと効率的に倒せたはずですわ。これから何がどうなるかわからないのですから、無駄なエネルギーは使わないで下さいましね」
自慢をするつもりだったゲルドーシュに、ポピッカがダメ出しをする。
「けっ、これだから女には、戦いのロマンってぇものが、分からないっつうんだよな」
吐き捨てるように定位置の前衛に戻り、そっぽを向くゲルドーシュ。
「ロマンとか何とか、そういう問題ではなくて……!」
「はい、そこまで!」
ボクは、まるで子供同士のようなケンカの仲裁に入る。
「まぁ、客観的にはポピッカの言う通りなんだけど、ゲルとしてもこれまで戦士の仕事が出来なかった分、張り切りすぎたって事なんだと思う。ここは大目に見るって事で……」
「さすが、旦那。話が分かるねぇ」
ゲルドーシュが”へん、わかったか唐変木が”とでも言いたげに、背中越しにポピッカを見やる。
「まぁ、スタンがそう言うのなら」
良かった。ゲルドーシュより”少し”大人のポピッカは、無理矢理にでも納得してくれたようだ。
一方、ザレドスは皆の真ん中でクスクスと笑っている。ちょっと……、ボクばかりに二人のお守をさせないで、あなたも何とか言って下さいよ。ボクは彼の方を振り向いて、さりげなく目で抗議をする。
「あ、ちょっと待って下さい。いま倒したシュラドムウルフはどうしますか」
探索再開となったところで、ザレドスが皆を引き留めた。
あぁ、そうだ。敵らしい敵の出現と、ゲルドーシュの余りに豪快な剣さばきを見せつけられて戦利品の回収を忘れていた。倒した敵から得た収穫物の半分は、ボクたちが所有権を主張できる契約だ。
「この獣から取れるものは、牙と爪くらいですわね。本来なら毛皮も対象ですけど、こうまで真っ二つになってしまうと殆ど無価値ですわ」
ポピッカが、横目で戦士の方を見ながら気を落とす。
「へいへい、俺が悪うござんした」
ゲルドーシュは、バツが悪そうだ。
ザレドスが手際よく戦利品の牙と爪を本体から剥ぎ取り圧縮魔法のかかったバッグへと入れる。その後、ボクが高温魔法で二つに割かれた死骸を瞬間焼却し、一行は先へと進んだ。通常ならばこのまま放っておくところだが、このさき何週間かダンジョンに留まらなければいけないので、衛生環境を考慮しての処置である。
「ところでよぉ、旦那」
しばらく歩いたところで、ゲルドーシュが口を開いた。
「もしこのまま俺たちが死んじまった場合、役所はそれを隠ぺいするんじゃないのかな? ”依頼を終えて、何事もなく帰りましたよ”とか何とか言ってさ。
自分のところのダンジョンで4人も死んだりしたらイメージ悪いだろうし、知らぬ存ぜぬを通せば残金も払わなくて済むしな」
ゲルドーシュにも、役人の体質が分かっているようだ。
「いや、それはないと思う。ボクたちは、直接ゼットツ州に雇われているわけじゃない。あくまでギルドを通して依頼を受けている。この中の一人だけが戻らないのであればともかく、全員が戻らないともなれば、それぞれの所属しているギルドが黙っちゃいないさ」
「仰る通りですわね。それに私の場合は、教会も黙っていませんわ。ゼットツ州でもフォラシム教はかなり浸透していますから、州のほうだって”ほっかむり”は出来ませんでしょうね」
ポピッカが追随した。
「そうか、それならまぁ少しは安心したぜ。ギルドなんて冒険者の上前をはねるだけの組織かと思ってたけどよ。役に立つ事もあるんだな」
ゲルドーシュが納得がてらに、憎まれ口をきく。
そう、確かに見殺しにはしないだろう。少なくとも救助をする努力はするはずである。ギルドと揉めてしまい、それが噂として広がれば、ゼットツ州の依頼を受けるギルドは殆どなくなるのは必定だ。これから都市開発を行い、その過程や運営後に様々な問題が噴出するだろうゼットツ州としては、ギルドと揉めるのは得策ではない。
ただそうは言っても、どこかぬぐい切れない疑問、というかモヤモヤしたものがボクの頭にはあった。
さて、最短ルート上にある幾つかの未踏破部分をクリアし、地下7階の中頃に差し掛かったころ再び事が動いた。更なる敵の出現である。今度は魔犬ゾルハウンド2匹と拳熊(こぶしぐま)1匹の集団だ。
「ほぉ、さっきのシュラドムウルフが可愛く見えるお客さんだな」
ゲルドーシュがニタリと笑う。
大剣を抜いたゲルドーシュが脱兎のごとく突進し、彼の抜けた穴をボクが補う。
「ゲル、よけなさい! 正面からなんて……」
大柄な成人男性ほどのサイズがあるシュラドムウルフに対し、正面から突っ込んでいく戦士を見てポピッカが叫んだ。
「大丈夫。問題ないよ」
僧侶の心配をよそに、ボクは平然として戦士の仕事を見守る。
取りあえずの敵を目の前にし、シュラドムウルフは巨体に似合わぬ軽やかさで宙に舞った。
「あっ」
ザレドスが小さな声を上げた刹那、ゲルドーシュの体が一瞬ぼやけて見える。奴がダッシュのギアを一段上げたのだ。それが余りに急激なため、余人にはその動きを正確に捉える事が出来ない。
「グゥオォォォ、ガァァァァツッ!!!」
最初の敵となったオオカミの苦痛に満ちた咆哮がダンジョンに響いた時には、既にゲルドーシュの大剣がシュラドムウルフの頭から腹のあたりまでを真っ二つに切り裂いていた。
ほどなく完全に断ち切られた二つの肉塊がダンジョンの床に叩きつけられ、さもまだ生きているかのように飛び跳ねる。
「ちょっとやりすぎじゃないか? ゲル」
彼の戦闘を何度も見ているボクとしては、いささか敵の強さに見合わない過剰な攻撃に見えた。
「あぁ、旦那。そうは思うが、やっと戦士らしい仕事が回って来たんで、つい興奮しちまった」
大剣から真っ赤な血を滴らせ、恍惚の表情を浮かべた戦士が仲間の元へと帰って来る。
「へっ、どうだいポピッカ。俺様の力はよ」
「問題外ですわね。あなたのスピードだったらば軽く脇に回れましたわよね。そこで首だけを切り落とせば、もっと効率的に倒せたはずですわ。これから何がどうなるかわからないのですから、無駄なエネルギーは使わないで下さいましね」
自慢をするつもりだったゲルドーシュに、ポピッカがダメ出しをする。
「けっ、これだから女には、戦いのロマンってぇものが、分からないっつうんだよな」
吐き捨てるように定位置の前衛に戻り、そっぽを向くゲルドーシュ。
「ロマンとか何とか、そういう問題ではなくて……!」
「はい、そこまで!」
ボクは、まるで子供同士のようなケンカの仲裁に入る。
「まぁ、客観的にはポピッカの言う通りなんだけど、ゲルとしてもこれまで戦士の仕事が出来なかった分、張り切りすぎたって事なんだと思う。ここは大目に見るって事で……」
「さすが、旦那。話が分かるねぇ」
ゲルドーシュが”へん、わかったか唐変木が”とでも言いたげに、背中越しにポピッカを見やる。
「まぁ、スタンがそう言うのなら」
良かった。ゲルドーシュより”少し”大人のポピッカは、無理矢理にでも納得してくれたようだ。
一方、ザレドスは皆の真ん中でクスクスと笑っている。ちょっと……、ボクばかりに二人のお守をさせないで、あなたも何とか言って下さいよ。ボクは彼の方を振り向いて、さりげなく目で抗議をする。
「あ、ちょっと待って下さい。いま倒したシュラドムウルフはどうしますか」
探索再開となったところで、ザレドスが皆を引き留めた。
あぁ、そうだ。敵らしい敵の出現と、ゲルドーシュの余りに豪快な剣さばきを見せつけられて戦利品の回収を忘れていた。倒した敵から得た収穫物の半分は、ボクたちが所有権を主張できる契約だ。
「この獣から取れるものは、牙と爪くらいですわね。本来なら毛皮も対象ですけど、こうまで真っ二つになってしまうと殆ど無価値ですわ」
ポピッカが、横目で戦士の方を見ながら気を落とす。
「へいへい、俺が悪うござんした」
ゲルドーシュは、バツが悪そうだ。
ザレドスが手際よく戦利品の牙と爪を本体から剥ぎ取り圧縮魔法のかかったバッグへと入れる。その後、ボクが高温魔法で二つに割かれた死骸を瞬間焼却し、一行は先へと進んだ。通常ならばこのまま放っておくところだが、このさき何週間かダンジョンに留まらなければいけないので、衛生環境を考慮しての処置である。
「ところでよぉ、旦那」
しばらく歩いたところで、ゲルドーシュが口を開いた。
「もしこのまま俺たちが死んじまった場合、役所はそれを隠ぺいするんじゃないのかな? ”依頼を終えて、何事もなく帰りましたよ”とか何とか言ってさ。
自分のところのダンジョンで4人も死んだりしたらイメージ悪いだろうし、知らぬ存ぜぬを通せば残金も払わなくて済むしな」
ゲルドーシュにも、役人の体質が分かっているようだ。
「いや、それはないと思う。ボクたちは、直接ゼットツ州に雇われているわけじゃない。あくまでギルドを通して依頼を受けている。この中の一人だけが戻らないのであればともかく、全員が戻らないともなれば、それぞれの所属しているギルドが黙っちゃいないさ」
「仰る通りですわね。それに私の場合は、教会も黙っていませんわ。ゼットツ州でもフォラシム教はかなり浸透していますから、州のほうだって”ほっかむり”は出来ませんでしょうね」
ポピッカが追随した。
「そうか、それならまぁ少しは安心したぜ。ギルドなんて冒険者の上前をはねるだけの組織かと思ってたけどよ。役に立つ事もあるんだな」
ゲルドーシュが納得がてらに、憎まれ口をきく。
そう、確かに見殺しにはしないだろう。少なくとも救助をする努力はするはずである。ギルドと揉めてしまい、それが噂として広がれば、ゼットツ州の依頼を受けるギルドは殆どなくなるのは必定だ。これから都市開発を行い、その過程や運営後に様々な問題が噴出するだろうゼットツ州としては、ギルドと揉めるのは得策ではない。
ただそうは言っても、どこかぬぐい切れない疑問、というかモヤモヤしたものがボクの頭にはあった。
さて、最短ルート上にある幾つかの未踏破部分をクリアし、地下7階の中頃に差し掛かったころ再び事が動いた。更なる敵の出現である。今度は魔犬ゾルハウンド2匹と拳熊(こぶしぐま)1匹の集団だ。
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