86 / 214
扉の奥の秘宝 (27) 絶体絶命
しおりを挟む
「それは簡単さ。あんたにだって、察しはついているんじゃないのか?
そうさ。レネフィルがあんたに化けて、一緒に出て行くんだよ。そして偽物のあんたは鍵を開けられなかった失意から、自分の部屋に施錠して閉じこもる。それを、レネフィルが証明する。
明日、俺様がめでたく宝物庫が開いた後、この体に仕込まれた忌々しい薬の効果が消えた頃に、やっと部屋から出てきたあんたと俺様がそろってここを後にするんだ。まぁ、細かい入れ替わりは、レネフィルが万事うまくやってくれるさ。
どうだ、完璧だろう?」
”フン、やり返してやったぞ”とばかりに、モゼントが鼻を鳴らしました。
「なるほど。……じゃぁ、ついでにあと少しだけ教えてくれ。
オレが扉の鍵を開けた後、タイミングよく兵士に化けたレネフィルが来られたのは何故だ。それに、さっきオレたちがここへ入った時には門番がいた。それを、どうかわしたんだ?
あと基本的な事なんだが、もしオレが最終的に鍵開けに失敗したら、どうするつもりだったんだ。明日、あんたに開けられるとは思えないがな」
フューイが、補足を求めます。
「あぁ、いいだろう。それくらいはサービスしてやる。まず、レネフィルが都合よく現れたのは、これのおかげだよ」
モゼントが、あのイヤホンがついたカード型の魔道具を手に取りました。
「これは通信機にもなっていてな。あんたが鍵を開けたのを見て、レネフィルに連絡したんだ」
「あたいはそれを聞いて、ここへ駆けつけた。今度は知っている兵士に化けて、門番を追っ払ったのさ。適当な言い訳をつけてね。もっとも今ごろは元の場所に戻って、アホづら下げて警備をしているだろうけどな。
あとで本物の兵士と揉めたって、兵隊同士の些細なトラブルで済んじまう話だよ」
「それと最後の質問だが、もしあんたが今日も失敗したら、俺様も今回は潔く諦めていたさ。捕まらない秘訣はな。引き際を見極めるって事なんだ。
もっともその場合は、あんたの命も助かっていたわけだから、ある意味あんたが死ぬのは自業自得と言えなくもないな」
モゼントとレネフィルが、連携よく説明をします。
「なるほど。冥土の土産話にはならないが、ちょっとした思い出話にはなりそうだ」
フューイが、微笑みながら言いました。
「気取るんじゃねぇ。さっきは油断したが、今度はそうはいかねぇぞ」
レネフィルが、ナイフを構えます。
「そうともさ。こいつは暗殺者として一流だし、俺様も殺しにかけちゃあ、チョイとばかり自信がある。あんたも少しは出来るようだが、二人ががかりではかなうまい」
モゼントもどこからか短剣を取り出して、部下と共に飛びかかるタイミングを見計っていました。
ジリジリとした緊張感。狭い宝物庫に張り詰めた空気がたち込めます。
「いやぁー!」
まずはレネフィルが、脱兎のごとく飛び出して、モゼントがそれに続きます。
フューイ、絶体絶命!
そうさ。レネフィルがあんたに化けて、一緒に出て行くんだよ。そして偽物のあんたは鍵を開けられなかった失意から、自分の部屋に施錠して閉じこもる。それを、レネフィルが証明する。
明日、俺様がめでたく宝物庫が開いた後、この体に仕込まれた忌々しい薬の効果が消えた頃に、やっと部屋から出てきたあんたと俺様がそろってここを後にするんだ。まぁ、細かい入れ替わりは、レネフィルが万事うまくやってくれるさ。
どうだ、完璧だろう?」
”フン、やり返してやったぞ”とばかりに、モゼントが鼻を鳴らしました。
「なるほど。……じゃぁ、ついでにあと少しだけ教えてくれ。
オレが扉の鍵を開けた後、タイミングよく兵士に化けたレネフィルが来られたのは何故だ。それに、さっきオレたちがここへ入った時には門番がいた。それを、どうかわしたんだ?
あと基本的な事なんだが、もしオレが最終的に鍵開けに失敗したら、どうするつもりだったんだ。明日、あんたに開けられるとは思えないがな」
フューイが、補足を求めます。
「あぁ、いいだろう。それくらいはサービスしてやる。まず、レネフィルが都合よく現れたのは、これのおかげだよ」
モゼントが、あのイヤホンがついたカード型の魔道具を手に取りました。
「これは通信機にもなっていてな。あんたが鍵を開けたのを見て、レネフィルに連絡したんだ」
「あたいはそれを聞いて、ここへ駆けつけた。今度は知っている兵士に化けて、門番を追っ払ったのさ。適当な言い訳をつけてね。もっとも今ごろは元の場所に戻って、アホづら下げて警備をしているだろうけどな。
あとで本物の兵士と揉めたって、兵隊同士の些細なトラブルで済んじまう話だよ」
「それと最後の質問だが、もしあんたが今日も失敗したら、俺様も今回は潔く諦めていたさ。捕まらない秘訣はな。引き際を見極めるって事なんだ。
もっともその場合は、あんたの命も助かっていたわけだから、ある意味あんたが死ぬのは自業自得と言えなくもないな」
モゼントとレネフィルが、連携よく説明をします。
「なるほど。冥土の土産話にはならないが、ちょっとした思い出話にはなりそうだ」
フューイが、微笑みながら言いました。
「気取るんじゃねぇ。さっきは油断したが、今度はそうはいかねぇぞ」
レネフィルが、ナイフを構えます。
「そうともさ。こいつは暗殺者として一流だし、俺様も殺しにかけちゃあ、チョイとばかり自信がある。あんたも少しは出来るようだが、二人ががかりではかなうまい」
モゼントもどこからか短剣を取り出して、部下と共に飛びかかるタイミングを見計っていました。
ジリジリとした緊張感。狭い宝物庫に張り詰めた空気がたち込めます。
「いやぁー!」
まずはレネフィルが、脱兎のごとく飛び出して、モゼントがそれに続きます。
フューイ、絶体絶命!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる