66 / 151
扉の奥の秘宝 (7) 宝物庫へ
しおりを挟む
「まぁ、普段ならそういう風にするんだがね。運悪く、王宮の方で人出がいるから、こっちの兵を半分以上も出せって言うお達しがあったんだよ。だから申し訳ないが、二人にお互いを見張ってもらわなくちゃいけない」
ボンシックが、ヤレヤレというポーズをしました。
「もし宝を盗んだ方が、もう一人と山分けを約束して共謀したら?」
フューイは、最後に残った可能性を問いただします。
「長時間、どちらかがが施設内に居なかったら、その時点で残った方を共犯者とみなす。当然、牢獄いきだな。よって、後から落ちあおうったって無駄さ。まぁ、どちらかがトンズラこかないように、気を付けるんだな。
そして二人同時に逃げ出した場合は、この施設の外壁に張られた結界に触れた途端、電撃魔法が作動して丸焦げになる」
小役人が、ニタリと笑います。
「はい!? そりゃまたどういうこって」
ゾルウッドが、仰天しました。
「今、お前たちが飲んだものな。実は特殊な薬が入っていてさ。表の結界に反応するんだよ。それも、二人分の薬剤の反応が同時にあった時だけな。その効果は、ここで仕事をする間は有効だ」
ボンシックが、さも、当然の事だろうと言う表情で答えます。
「そんなぁ……」
ゾルウッドの顔がゆがみました。
そんな事はお構いなしとばかりに、
「ふん……、どうして二人同時なんだ。いっそ、一人分でも反応した方が確実なんじゃないのか?」
フューイが、ボンシックを睨みます。
「それだと息抜きに外へ行く事が出来ないじゃないか。私はお前たちに、期限まで一歩も外へ出るななんて言うつもりはないよ。私が言うのも何だが、ここは物々しい上に息苦しいだろう?
仕事の時以外は、気分転換に森を散策するのもいいんじゃないかって事さ。さっき言ったように、長時間戻らなかったら逃亡とみなすがね。という事だから、二人でつるんで行こうなんて考えるなよ。細工師の丸焼けが、二つできるだけだから」
ボンシックは、どこか楽しげです。
「さぁ、話は終わりだ。どちらが先に挑戦するかは、そっちで決めてくれ。仕事は明日からだ。今日のところは扉の前へ行って、十分に下調べをしておくように」
そう言い残すと小役人はスタッフの一人を呼び、彼らを寝室に案内するよう申し渡しました。スタッフに連れられて各々の部屋に荷物を置いた二人は、しばらくして再び同じスタッフに導かれ、鍵開け勝負をする宝物庫の前に辿り着きます。
「ほぉ!」
ゾルウッドが、思わず声をあげました。
「すげぇな。さすがは王様の宝物庫だ。そう思うだろ? フューイさんよ」
小太りの細工師が、ライバルの肩を叩きました。フューイは、ちょっと眉をひそめましたが、ゾルウッドの目には入らなかったようです。
ただフューイの無関心さとは裏腹に、やっぱり王家の宝物庫。素人目にも大変頑丈そうに見える代物です。先ほどゾルウッドの呈した疑問を、ボンシックがことごとく論破した通り、その堅牢さは周りの壁にまで感じられるものでした。これはやはり、ちょっとやそっとじゃ、開きそうにありません。
ゾルウッドは困ったなぁ、といった顔をしていますが、フューイの目はギラギラと輝き出しました。
ボンシックが、ヤレヤレというポーズをしました。
「もし宝を盗んだ方が、もう一人と山分けを約束して共謀したら?」
フューイは、最後に残った可能性を問いただします。
「長時間、どちらかがが施設内に居なかったら、その時点で残った方を共犯者とみなす。当然、牢獄いきだな。よって、後から落ちあおうったって無駄さ。まぁ、どちらかがトンズラこかないように、気を付けるんだな。
そして二人同時に逃げ出した場合は、この施設の外壁に張られた結界に触れた途端、電撃魔法が作動して丸焦げになる」
小役人が、ニタリと笑います。
「はい!? そりゃまたどういうこって」
ゾルウッドが、仰天しました。
「今、お前たちが飲んだものな。実は特殊な薬が入っていてさ。表の結界に反応するんだよ。それも、二人分の薬剤の反応が同時にあった時だけな。その効果は、ここで仕事をする間は有効だ」
ボンシックが、さも、当然の事だろうと言う表情で答えます。
「そんなぁ……」
ゾルウッドの顔がゆがみました。
そんな事はお構いなしとばかりに、
「ふん……、どうして二人同時なんだ。いっそ、一人分でも反応した方が確実なんじゃないのか?」
フューイが、ボンシックを睨みます。
「それだと息抜きに外へ行く事が出来ないじゃないか。私はお前たちに、期限まで一歩も外へ出るななんて言うつもりはないよ。私が言うのも何だが、ここは物々しい上に息苦しいだろう?
仕事の時以外は、気分転換に森を散策するのもいいんじゃないかって事さ。さっき言ったように、長時間戻らなかったら逃亡とみなすがね。という事だから、二人でつるんで行こうなんて考えるなよ。細工師の丸焼けが、二つできるだけだから」
ボンシックは、どこか楽しげです。
「さぁ、話は終わりだ。どちらが先に挑戦するかは、そっちで決めてくれ。仕事は明日からだ。今日のところは扉の前へ行って、十分に下調べをしておくように」
そう言い残すと小役人はスタッフの一人を呼び、彼らを寝室に案内するよう申し渡しました。スタッフに連れられて各々の部屋に荷物を置いた二人は、しばらくして再び同じスタッフに導かれ、鍵開け勝負をする宝物庫の前に辿り着きます。
「ほぉ!」
ゾルウッドが、思わず声をあげました。
「すげぇな。さすがは王様の宝物庫だ。そう思うだろ? フューイさんよ」
小太りの細工師が、ライバルの肩を叩きました。フューイは、ちょっと眉をひそめましたが、ゾルウッドの目には入らなかったようです。
ただフューイの無関心さとは裏腹に、やっぱり王家の宝物庫。素人目にも大変頑丈そうに見える代物です。先ほどゾルウッドの呈した疑問を、ボンシックがことごとく論破した通り、その堅牢さは周りの壁にまで感じられるものでした。これはやはり、ちょっとやそっとじゃ、開きそうにありません。
ゾルウッドは困ったなぁ、といった顔をしていますが、フューイの目はギラギラと輝き出しました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
問い・その極悪令嬢は本当に有罪だったのか。
風和ふわ
ファンタジー
三日前、とある女子生徒が通称「極悪令嬢」のアース・クリスタに毒殺されようとした。
噂によると、極悪令嬢アースはその女生徒の美貌と才能を妬んで毒殺を企んだらしい。
そこで、極悪令嬢を退学させるか否か、生徒会で決定することになった。
生徒会のほぼ全員が極悪令嬢の有罪を疑わなかった。しかし──
「ちょっといいかな。これらの証拠にはどれも矛盾があるように見えるんだけど」
一人だけ。生徒会長のウラヌスだけが、そう主張した。
そこで生徒会は改めて証拠を見直し、今回の毒殺事件についてウラヌスを中心として話し合っていく──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる