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扉の奥の秘宝 (7) 宝物庫へ
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「まぁ、普段ならそういう風にするんだがね。運悪く、王宮の方で人出がいるから、こっちの兵を半分以上も出せって言うお達しがあったんだよ。だから申し訳ないが、二人にお互いを見張ってもらわなくちゃいけない」
ボンシックが、ヤレヤレというポーズをしました。
「もし宝を盗んだ方が、もう一人と山分けを約束して共謀したら?」
フューイは、最後に残った可能性を問いただします。
「長時間、どちらかがが施設内に居なかったら、その時点で残った方を共犯者とみなす。当然、牢獄いきだな。よって、後から落ちあおうったって無駄さ。まぁ、どちらかがトンズラこかないように、気を付けるんだな。
そして二人同時に逃げ出した場合は、この施設の外壁に張られた結界に触れた途端、電撃魔法が作動して丸焦げになる」
小役人が、ニタリと笑います。
「はい!? そりゃまたどういうこって」
ゾルウッドが、仰天しました。
「今、お前たちが飲んだものな。実は特殊な薬が入っていてさ。表の結界に反応するんだよ。それも、二人分の薬剤の反応が同時にあった時だけな。その効果は、ここで仕事をする間は有効だ」
ボンシックが、さも、当然の事だろうと言う表情で答えます。
「そんなぁ……」
ゾルウッドの顔がゆがみました。
そんな事はお構いなしとばかりに、
「ふん……、どうして二人同時なんだ。いっそ、一人分でも反応した方が確実なんじゃないのか?」
フューイが、ボンシックを睨みます。
「それだと息抜きに外へ行く事が出来ないじゃないか。私はお前たちに、期限まで一歩も外へ出るななんて言うつもりはないよ。私が言うのも何だが、ここは物々しい上に息苦しいだろう?
仕事の時以外は、気分転換に森を散策するのもいいんじゃないかって事さ。さっき言ったように、長時間戻らなかったら逃亡とみなすがね。という事だから、二人でつるんで行こうなんて考えるなよ。細工師の丸焼けが、二つできるだけだから」
ボンシックは、どこか楽しげです。
「さぁ、話は終わりだ。どちらが先に挑戦するかは、そっちで決めてくれ。仕事は明日からだ。今日のところは扉の前へ行って、十分に下調べをしておくように」
そう言い残すと小役人はスタッフの一人を呼び、彼らを寝室に案内するよう申し渡しました。スタッフに連れられて各々の部屋に荷物を置いた二人は、しばらくして再び同じスタッフに導かれ、鍵開け勝負をする宝物庫の前に辿り着きます。
「ほぉ!」
ゾルウッドが、思わず声をあげました。
「すげぇな。さすがは王様の宝物庫だ。そう思うだろ? フューイさんよ」
小太りの細工師が、ライバルの肩を叩きました。フューイは、ちょっと眉をひそめましたが、ゾルウッドの目には入らなかったようです。
ただフューイの無関心さとは裏腹に、やっぱり王家の宝物庫。素人目にも大変頑丈そうに見える代物です。先ほどゾルウッドの呈した疑問を、ボンシックがことごとく論破した通り、その堅牢さは周りの壁にまで感じられるものでした。これはやはり、ちょっとやそっとじゃ、開きそうにありません。
ゾルウッドは困ったなぁ、といった顔をしていますが、フューイの目はギラギラと輝き出しました。
ボンシックが、ヤレヤレというポーズをしました。
「もし宝を盗んだ方が、もう一人と山分けを約束して共謀したら?」
フューイは、最後に残った可能性を問いただします。
「長時間、どちらかがが施設内に居なかったら、その時点で残った方を共犯者とみなす。当然、牢獄いきだな。よって、後から落ちあおうったって無駄さ。まぁ、どちらかがトンズラこかないように、気を付けるんだな。
そして二人同時に逃げ出した場合は、この施設の外壁に張られた結界に触れた途端、電撃魔法が作動して丸焦げになる」
小役人が、ニタリと笑います。
「はい!? そりゃまたどういうこって」
ゾルウッドが、仰天しました。
「今、お前たちが飲んだものな。実は特殊な薬が入っていてさ。表の結界に反応するんだよ。それも、二人分の薬剤の反応が同時にあった時だけな。その効果は、ここで仕事をする間は有効だ」
ボンシックが、さも、当然の事だろうと言う表情で答えます。
「そんなぁ……」
ゾルウッドの顔がゆがみました。
そんな事はお構いなしとばかりに、
「ふん……、どうして二人同時なんだ。いっそ、一人分でも反応した方が確実なんじゃないのか?」
フューイが、ボンシックを睨みます。
「それだと息抜きに外へ行く事が出来ないじゃないか。私はお前たちに、期限まで一歩も外へ出るななんて言うつもりはないよ。私が言うのも何だが、ここは物々しい上に息苦しいだろう?
仕事の時以外は、気分転換に森を散策するのもいいんじゃないかって事さ。さっき言ったように、長時間戻らなかったら逃亡とみなすがね。という事だから、二人でつるんで行こうなんて考えるなよ。細工師の丸焼けが、二つできるだけだから」
ボンシックは、どこか楽しげです。
「さぁ、話は終わりだ。どちらが先に挑戦するかは、そっちで決めてくれ。仕事は明日からだ。今日のところは扉の前へ行って、十分に下調べをしておくように」
そう言い残すと小役人はスタッフの一人を呼び、彼らを寝室に案内するよう申し渡しました。スタッフに連れられて各々の部屋に荷物を置いた二人は、しばらくして再び同じスタッフに導かれ、鍵開け勝負をする宝物庫の前に辿り着きます。
「ほぉ!」
ゾルウッドが、思わず声をあげました。
「すげぇな。さすがは王様の宝物庫だ。そう思うだろ? フューイさんよ」
小太りの細工師が、ライバルの肩を叩きました。フューイは、ちょっと眉をひそめましたが、ゾルウッドの目には入らなかったようです。
ただフューイの無関心さとは裏腹に、やっぱり王家の宝物庫。素人目にも大変頑丈そうに見える代物です。先ほどゾルウッドの呈した疑問を、ボンシックがことごとく論破した通り、その堅牢さは周りの壁にまで感じられるものでした。これはやはり、ちょっとやそっとじゃ、開きそうにありません。
ゾルウッドは困ったなぁ、といった顔をしていますが、フューイの目はギラギラと輝き出しました。
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