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亡者の戦車 《後編》・パパの誤算
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「おかみさんは、まだやっぱり悩み続けたわけさ。どうするかってね。その時、またさっきと同じ音が聞こえて来たんだよ。しかもその音は、前のよりもずっと大きかった。
その時はさすがに悪党一味も全員が気が付いて、窓から外を見てみたけどやっぱり何もない。でも一味の痩せた一人がポツンとつぶやいたんだ」
パパはそこで一呼吸おきました。もちろん、ニールの歓心を引くためです。
「亡者の戦車じゃないよな」
パパはニールの顔を見つめ、意味ありげに言いました。
ここでまた少しお断り。ここでいう戦車とは、砲塔を積んでキャタピラで走る兵器ではありません。一人用の小さな二輪の乗物を馬に引かせる兵器です。古代ローマなどで使われたものですね。
「亡者の戦車? 幽霊が駆る戦車が、悪党を地獄へ連れて行くっていう? バカ言ってんじゃねぇよ。そんなのお伽噺だろうが。二人目の太った男が顔の前で手を振った」
パパが、話を続けます。
「もうじゃのせんしゃ? 何なのそれ?」
案の定、ニールが食いついてきました。パパの思った通りです。
「亡者の戦車ってのはな。今夜みたいに吹雪や嵐が荒れ狂う夜。あの世からやって来て、悪人を地獄へ連れて行ってしまう、幽霊の操る一人乗りの馬車みたいなもんだ。言い伝えによれば、乗り手も車を引く馬もどっちもガイコツ。二つの車輪からは青白い炎を発していると言われてるんだ」
パパは、さもおどろおどろしくニールに語りかけました。
「パパは見たことあるの?」
ニールは、パパの腕を掴みます。
「いや、ないよ。パパは悪人じゃないからね」
ニールはホッとしました。パパが亡者の戦車に連れて行かれたら、とても悲しいからです。ただ、ママは”どうだか”という顔をしています。
「で、この亡者の戦車には約束事があるんだよ。戦車の音が二回までは改心する機会が与えるけれど、三回聞いたら問答無用で地獄に連れて行かれるってものだ。だから、三人目の背の高い悪党はこう言ったね。
”なぁ、やっぱり王様を襲う計画は、やめた方がいいんじゃないか”って。
だけど太った悪党が途端に言い返したんだよ。”お前まで迷信を怖がってどうするんだ”とね」
さぁ、パパのお話もクライマックスです。
パパは心の中でほくそ笑みながら、
「ゴ――――ッ!!! その時、今まで聞いた中で一番大きな音が鳴ったんだ」
突然の大声に驚いたニールは、危うくソファーからころげ落ちそうになりました。してやったりと言わんばかりの、得意満面なパパの顔。
「三度驚いたおかみさんが、おもてへ出てみると、宿屋の前の道にはクッキリとわだちが残っていた。わだちってのは、車輪の跡って意味だ。しかもそれは、青白い炎のわだちだったんだよ。
おかみさんが恐る恐る通りの向こうへ目をやると、そこには遠くへ走り去って行く、青白い二つの丸い車輪の炎が見えたのさ。馬のいななきと一緒にね」
「やっぱり、亡者の戦車がやって来たの?」
ニールが、恐る恐る尋ねた。
「そうさ。おかみさんもそう思って、急いで三人組の部屋の前まで行ってみたんだ。だけど、前に来た時のような話し声は何もしない。寝てしまったのかとも考えて、鍵穴からそっと覗いてみたんだけど、明かりはついているのに、男たちの姿は全くない。
おかみさんは覚悟を決めて、エイとばかりに部屋の扉を開けてみた。でもそこには誰もいなかったんだ。本当に誰一人ね。念のため、クローゼットやベッドの下まで探したけど、人っ子一人いないんだ」
パパはニ―ルが真相に気づいていると思いましたが、あえてそれには触れませんでした。
「で、おかみさんは、とっさに思い出したんだ。青白い二つの車輪のすぐ後ろに黒い影が三つばかり繋がれて、激しく引きずられていた事に! わかるかい? そう! 三人の悪党は地獄へ連れて行かれてしまったんだよ!!」
役者のように、パパは大げさに手を振りかざして叫びました。
「きゃっ!」
予想していた事とはいえ、余りの恐ろしさに、ニールはクッションを頭に乗せてうずくまります。
「はい、そこまで!」
見るに見かねて、ママが止めに入りました。
「さぁ、お話は終わったわ。ニール、早く部屋に行ってもう寝なさい」
ニールは少し迷います。だって、今夜は亡者の戦車が出そうな、ひどい吹雪の晩なんですもの。
「ほらほら、ママの言う事を聞かないと、亡者の戦車がやって来るぞ」
パパが、調子に乗って追い打ちをかけます。
「パパ!」
ママがパパを、キッと睨みました。
ニールは渋々、自分の部屋へと退散します。
パパはといえば、思い通りの演出が出来たとニンマリ顔。
「ちょっと、パパ。何であんな話をするのよ。ニール、凄く怖がってたじゃない」
ママのご機嫌が、ドンドン下り坂になっていきます。
パパは、飲みかけのココアに手を伸ばしながら、
「いやぁ、いつあの話をするか、ニールが生まれた時からずっと機会を伺ってたんだよ。それがついに、今晩やってきたわけさ」
と、言いました。
「もしかして、あなたも自分のお父さんに同じ事をされたのね?」
ママの勘が、冴え渡ります。
「ご名答。まぁ、親父も僕の爺さんに同じ目に遭ったっていうから、これはもう、我が家の伝統行事だよ、ハハハ」
パパの笑い声と共にママも一緒に笑いましたが、目は少しも笑っていません。パパは、背筋が少し寒くなりました。
「じゃぁ、責任を取って、ニールが今晩、トイレに一人で行けないって私たちの寝室のドアを叩いたら、あなたが一緒に行ってくださいな」
「え? 僕、明日早いんで、それは勘弁してほしい……な……ぁ」
と、言いかけましたが、ママの鬼のように変わった顔を目の当たりにしたパパは、渋々承知をしました。
案の定、夜中に二回もニールに起こされて、パパが寝不足になったのは言うまでもありません。
【亡者の戦車・終】
その時はさすがに悪党一味も全員が気が付いて、窓から外を見てみたけどやっぱり何もない。でも一味の痩せた一人がポツンとつぶやいたんだ」
パパはそこで一呼吸おきました。もちろん、ニールの歓心を引くためです。
「亡者の戦車じゃないよな」
パパはニールの顔を見つめ、意味ありげに言いました。
ここでまた少しお断り。ここでいう戦車とは、砲塔を積んでキャタピラで走る兵器ではありません。一人用の小さな二輪の乗物を馬に引かせる兵器です。古代ローマなどで使われたものですね。
「亡者の戦車? 幽霊が駆る戦車が、悪党を地獄へ連れて行くっていう? バカ言ってんじゃねぇよ。そんなのお伽噺だろうが。二人目の太った男が顔の前で手を振った」
パパが、話を続けます。
「もうじゃのせんしゃ? 何なのそれ?」
案の定、ニールが食いついてきました。パパの思った通りです。
「亡者の戦車ってのはな。今夜みたいに吹雪や嵐が荒れ狂う夜。あの世からやって来て、悪人を地獄へ連れて行ってしまう、幽霊の操る一人乗りの馬車みたいなもんだ。言い伝えによれば、乗り手も車を引く馬もどっちもガイコツ。二つの車輪からは青白い炎を発していると言われてるんだ」
パパは、さもおどろおどろしくニールに語りかけました。
「パパは見たことあるの?」
ニールは、パパの腕を掴みます。
「いや、ないよ。パパは悪人じゃないからね」
ニールはホッとしました。パパが亡者の戦車に連れて行かれたら、とても悲しいからです。ただ、ママは”どうだか”という顔をしています。
「で、この亡者の戦車には約束事があるんだよ。戦車の音が二回までは改心する機会が与えるけれど、三回聞いたら問答無用で地獄に連れて行かれるってものだ。だから、三人目の背の高い悪党はこう言ったね。
”なぁ、やっぱり王様を襲う計画は、やめた方がいいんじゃないか”って。
だけど太った悪党が途端に言い返したんだよ。”お前まで迷信を怖がってどうするんだ”とね」
さぁ、パパのお話もクライマックスです。
パパは心の中でほくそ笑みながら、
「ゴ――――ッ!!! その時、今まで聞いた中で一番大きな音が鳴ったんだ」
突然の大声に驚いたニールは、危うくソファーからころげ落ちそうになりました。してやったりと言わんばかりの、得意満面なパパの顔。
「三度驚いたおかみさんが、おもてへ出てみると、宿屋の前の道にはクッキリとわだちが残っていた。わだちってのは、車輪の跡って意味だ。しかもそれは、青白い炎のわだちだったんだよ。
おかみさんが恐る恐る通りの向こうへ目をやると、そこには遠くへ走り去って行く、青白い二つの丸い車輪の炎が見えたのさ。馬のいななきと一緒にね」
「やっぱり、亡者の戦車がやって来たの?」
ニールが、恐る恐る尋ねた。
「そうさ。おかみさんもそう思って、急いで三人組の部屋の前まで行ってみたんだ。だけど、前に来た時のような話し声は何もしない。寝てしまったのかとも考えて、鍵穴からそっと覗いてみたんだけど、明かりはついているのに、男たちの姿は全くない。
おかみさんは覚悟を決めて、エイとばかりに部屋の扉を開けてみた。でもそこには誰もいなかったんだ。本当に誰一人ね。念のため、クローゼットやベッドの下まで探したけど、人っ子一人いないんだ」
パパはニ―ルが真相に気づいていると思いましたが、あえてそれには触れませんでした。
「で、おかみさんは、とっさに思い出したんだ。青白い二つの車輪のすぐ後ろに黒い影が三つばかり繋がれて、激しく引きずられていた事に! わかるかい? そう! 三人の悪党は地獄へ連れて行かれてしまったんだよ!!」
役者のように、パパは大げさに手を振りかざして叫びました。
「きゃっ!」
予想していた事とはいえ、余りの恐ろしさに、ニールはクッションを頭に乗せてうずくまります。
「はい、そこまで!」
見るに見かねて、ママが止めに入りました。
「さぁ、お話は終わったわ。ニール、早く部屋に行ってもう寝なさい」
ニールは少し迷います。だって、今夜は亡者の戦車が出そうな、ひどい吹雪の晩なんですもの。
「ほらほら、ママの言う事を聞かないと、亡者の戦車がやって来るぞ」
パパが、調子に乗って追い打ちをかけます。
「パパ!」
ママがパパを、キッと睨みました。
ニールは渋々、自分の部屋へと退散します。
パパはといえば、思い通りの演出が出来たとニンマリ顔。
「ちょっと、パパ。何であんな話をするのよ。ニール、凄く怖がってたじゃない」
ママのご機嫌が、ドンドン下り坂になっていきます。
パパは、飲みかけのココアに手を伸ばしながら、
「いやぁ、いつあの話をするか、ニールが生まれた時からずっと機会を伺ってたんだよ。それがついに、今晩やってきたわけさ」
と、言いました。
「もしかして、あなたも自分のお父さんに同じ事をされたのね?」
ママの勘が、冴え渡ります。
「ご名答。まぁ、親父も僕の爺さんに同じ目に遭ったっていうから、これはもう、我が家の伝統行事だよ、ハハハ」
パパの笑い声と共にママも一緒に笑いましたが、目は少しも笑っていません。パパは、背筋が少し寒くなりました。
「じゃぁ、責任を取って、ニールが今晩、トイレに一人で行けないって私たちの寝室のドアを叩いたら、あなたが一緒に行ってくださいな」
「え? 僕、明日早いんで、それは勘弁してほしい……な……ぁ」
と、言いかけましたが、ママの鬼のように変わった顔を目の当たりにしたパパは、渋々承知をしました。
案の定、夜中に二回もニールに起こされて、パパが寝不足になったのは言うまでもありません。
【亡者の戦車・終】
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