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勝利の余韻
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巨人の撃沈と共に、再び静寂を取り戻したリルゴットの森。
「か、勝ったのか……、俺達」
まず、ライルが口を開いた。
「そ……そうみたいですね」
続いてカンナンが、信じられないという顔をする。
「勝った、勝ったんだよ私たち、ヤッホーイ!」
ヌーンが、ちょっと変わった勝どきをあげた。
「よくもまぁ」
一気に魔力を使い切ったマルチェナが、その場にへたり込む。
「なぁ、最後に奴の胸に突き立てた剣。すげぇな。金属をものともしねぇ。だけどよ、あれを最初から使って切り刻まなかったのはどうしてなんだ?」
興奮冷めやらぬライルが、戦士としての疑問をネッドにぶつける。
「あぁ、あの効果は魔力を一気に消費するんで、今は一回しか使えなかったんだ。
そのワンチャンスで制御魔石を確実に斬るのは至難の業だよ。剣が届くかどうかもわからないし、少しでもズレればアウトだしね」
あの場面で飛び込んできた事を考えれば、その言葉にウソはないと皆が納得した。
上手く行って良かった。
以前に同じ戦法でメタルゴーレムを倒した経験のあるネッドだったが、戦いは水物である。特に急ごしらえの連携で上手くいく保証など、どこにもありはしなかった。
あぁ、しかし何だろう、この充実感は。暫く味わった事がなかったな……。ネッドはの心は、不思議な潤いに満たされていた。彼は、その正体を探ろうとする。
そうか、仲間。仲間同士の助け合い。
騎士を辞めたネッドが、ここ数カ月の間、忘れていた気持ち。それがライルたちとの戦闘で、鮮やかに甦ったのだった。
ネッドは、ハッとした。
ギルドマスターである伯父が、何より大切にしていたのはこれなのだ。仲間同士の信頼、繋がり。冒険者がそれを育むのを守るのがギルドの役割ではないのか。それは一つの街のギルドにとどまらず、常に危険を伴う冒険者全てに与えらえるべき恩恵。ポーナイザルの街ひとつが、どうこうという話ではない。
ネッドは今はじめて、伯父の心を本当に知った気持ちになった。考えてみれば、自分の街さえ良ければそれで良いなどと、伯父が考えるわけがない。ネッドは上手くいかない探索に心を惑わされ、そんな事にも気づかなかった自分を恥じた。
ネッドは新たな気持で、その場を去ろうと歩き出す。
「おい、ありがとうよ。おかげで命が繋がった。パーティーのリーダーとして、礼を言うぜ」
勝利の高揚感が収まって来たライルが声をかけた。
「冒険者同士、助け合うのは当り前さ」
顔だけ振り向いて、ネッドが応える。
只の人形と化したメタルゴーレムから自分の剣を引き抜き、その場を去ろうとしたネッドは、ハタとある事に気が付いた。彼は腰を曲げ、草をかき分けはじめる。
「……えっと、なにしてんだ?」
ネッドの突然の行動に、ライルが不思議そうに尋ねた。
「あぁ、さっきゴーレムの頭の上で炸裂した電撃。あれ、雷玉ってアイテムなんだけど、結構高いんだ。ここら辺に、落ちたはずなんだけど……」
ネッドが、気恥ずかしそうに言う。
「あっ、ほら、みんな探すの手伝って!」
マルチェナが、大人の対応を促した。
パワーアップした雷玉は値段が張る。それをまた失くしたとなれば、ゴーレムを倒した電撃を上回る雷が、シャミーから落ちるのは間違いない。ネッドは、彼らの助力を有り難く受け入れた。
「ひとつ、みーっけ!」
ヌーンの発見を皮切りに、すぐに全ての雷玉が回収される。ネッドは深々と頭を垂れて礼を言ったあと、その場を去った。
命の恩人を見送るパーティー一行。
「ふふっ。凄い人だったけど、最後ちょっとカッコ悪かったよね。あのまま颯爽と去って行ったら、滅茶苦茶カッコ良かったのに」
ヌーンが、イタズラっぽく笑う。
「何言ってんの、あれが普通!あんた、そんなズボラだからお金がたまんないのよ」
マルチェナの指摘に、これは藪蛇だったと口を尖らすヌーン。
「あっ!」
ライルが突然、素っ頓狂な声を出す。
「な、何!?」
皆が驚いてリーダーに注目した。
「名前聞くの忘れた」
余りに突然の登場、そして鮮やかな剣さばきと作戦。最後には意外とマメな行動。彼らは次々と起こる出来事に、恩人の名前を聞く事を失念していたのだった。
「……っていうか、あいつが誰だか、知っている奴いるか?」
今度は、ライルが皆を見回す。
「いいえ、知らない顔ですねぇ」
まずカンナンが口を開く。続いてマルチェナとヌーンも首を振った。
「あ、でもさ。マルチェナは知ってるんじゃない?」
「何で?」
ヌーンの意見に、マルチェナが訝しむ。
「だってマルチェナだけ、最後に名前で呼ばれてたじゃない」
皆はマルチェナが必殺の電撃を放つとき、助っ人が彼女の名を叫んだのを確かに聞いていた。
「いえ、知らないわよ。何で、私の名前を知っていたのかしら……。もしかして私ってば、冒険者の中で割と有名人だったりして」
勝利の余韻が残っているせいか、まるでヌーンのようなセリフを吐くマルチェナ。
「ちぇっ、しょってらぁ」
ライルが嫉妬まじりに言った。皆の間に笑いが起こる。
「あぁ、でもどうします?」
「どうしますって、何が?」
カンナンの突然の言葉に、ライルが聞き返した。
「今、目の前に倒れているメタルゴーレム。これ、相当に価値がある代物ですよ。当然、助っ人さんにも分け前にあずかる権利が発生しますよね。
でも、どこの誰だかわからない」
至極、常識的な見解を示す僧侶カンナン。
「うーん、しゃぁねぇなぁ。んじゃ、奴の取り分はギルドに供託って事でどうだ。誰だかわかったところで、払い戻してもらえばいいさ」
「へぇ、ライル、まともな事言うようになったじゃない。私はてっきり、あんたがガメちゃうんじゃないかと心配したわ」
ライルの提案に、マルチェナが皮肉を言った。
「バカ言うな。俺だって、命の恩人からふんだくるような真似はしないって。
……ところで話は変わるけどさ、最初に俺がお前たちに逃げろって言った時、お前、涙ぐんでいなかったか? 愛する男の、命を懸けた行動に感動してよ」
マルチェナの皮肉に対抗し、背を向けせせら笑うライル。
彼女はライルの後ろで魔法の杖を両手で握り、まるでバッティングフォームのような格好をしたが、それを止めるものは誰もいなかった。
「か、勝ったのか……、俺達」
まず、ライルが口を開いた。
「そ……そうみたいですね」
続いてカンナンが、信じられないという顔をする。
「勝った、勝ったんだよ私たち、ヤッホーイ!」
ヌーンが、ちょっと変わった勝どきをあげた。
「よくもまぁ」
一気に魔力を使い切ったマルチェナが、その場にへたり込む。
「なぁ、最後に奴の胸に突き立てた剣。すげぇな。金属をものともしねぇ。だけどよ、あれを最初から使って切り刻まなかったのはどうしてなんだ?」
興奮冷めやらぬライルが、戦士としての疑問をネッドにぶつける。
「あぁ、あの効果は魔力を一気に消費するんで、今は一回しか使えなかったんだ。
そのワンチャンスで制御魔石を確実に斬るのは至難の業だよ。剣が届くかどうかもわからないし、少しでもズレればアウトだしね」
あの場面で飛び込んできた事を考えれば、その言葉にウソはないと皆が納得した。
上手く行って良かった。
以前に同じ戦法でメタルゴーレムを倒した経験のあるネッドだったが、戦いは水物である。特に急ごしらえの連携で上手くいく保証など、どこにもありはしなかった。
あぁ、しかし何だろう、この充実感は。暫く味わった事がなかったな……。ネッドはの心は、不思議な潤いに満たされていた。彼は、その正体を探ろうとする。
そうか、仲間。仲間同士の助け合い。
騎士を辞めたネッドが、ここ数カ月の間、忘れていた気持ち。それがライルたちとの戦闘で、鮮やかに甦ったのだった。
ネッドは、ハッとした。
ギルドマスターである伯父が、何より大切にしていたのはこれなのだ。仲間同士の信頼、繋がり。冒険者がそれを育むのを守るのがギルドの役割ではないのか。それは一つの街のギルドにとどまらず、常に危険を伴う冒険者全てに与えらえるべき恩恵。ポーナイザルの街ひとつが、どうこうという話ではない。
ネッドは今はじめて、伯父の心を本当に知った気持ちになった。考えてみれば、自分の街さえ良ければそれで良いなどと、伯父が考えるわけがない。ネッドは上手くいかない探索に心を惑わされ、そんな事にも気づかなかった自分を恥じた。
ネッドは新たな気持で、その場を去ろうと歩き出す。
「おい、ありがとうよ。おかげで命が繋がった。パーティーのリーダーとして、礼を言うぜ」
勝利の高揚感が収まって来たライルが声をかけた。
「冒険者同士、助け合うのは当り前さ」
顔だけ振り向いて、ネッドが応える。
只の人形と化したメタルゴーレムから自分の剣を引き抜き、その場を去ろうとしたネッドは、ハタとある事に気が付いた。彼は腰を曲げ、草をかき分けはじめる。
「……えっと、なにしてんだ?」
ネッドの突然の行動に、ライルが不思議そうに尋ねた。
「あぁ、さっきゴーレムの頭の上で炸裂した電撃。あれ、雷玉ってアイテムなんだけど、結構高いんだ。ここら辺に、落ちたはずなんだけど……」
ネッドが、気恥ずかしそうに言う。
「あっ、ほら、みんな探すの手伝って!」
マルチェナが、大人の対応を促した。
パワーアップした雷玉は値段が張る。それをまた失くしたとなれば、ゴーレムを倒した電撃を上回る雷が、シャミーから落ちるのは間違いない。ネッドは、彼らの助力を有り難く受け入れた。
「ひとつ、みーっけ!」
ヌーンの発見を皮切りに、すぐに全ての雷玉が回収される。ネッドは深々と頭を垂れて礼を言ったあと、その場を去った。
命の恩人を見送るパーティー一行。
「ふふっ。凄い人だったけど、最後ちょっとカッコ悪かったよね。あのまま颯爽と去って行ったら、滅茶苦茶カッコ良かったのに」
ヌーンが、イタズラっぽく笑う。
「何言ってんの、あれが普通!あんた、そんなズボラだからお金がたまんないのよ」
マルチェナの指摘に、これは藪蛇だったと口を尖らすヌーン。
「あっ!」
ライルが突然、素っ頓狂な声を出す。
「な、何!?」
皆が驚いてリーダーに注目した。
「名前聞くの忘れた」
余りに突然の登場、そして鮮やかな剣さばきと作戦。最後には意外とマメな行動。彼らは次々と起こる出来事に、恩人の名前を聞く事を失念していたのだった。
「……っていうか、あいつが誰だか、知っている奴いるか?」
今度は、ライルが皆を見回す。
「いいえ、知らない顔ですねぇ」
まずカンナンが口を開く。続いてマルチェナとヌーンも首を振った。
「あ、でもさ。マルチェナは知ってるんじゃない?」
「何で?」
ヌーンの意見に、マルチェナが訝しむ。
「だってマルチェナだけ、最後に名前で呼ばれてたじゃない」
皆はマルチェナが必殺の電撃を放つとき、助っ人が彼女の名を叫んだのを確かに聞いていた。
「いえ、知らないわよ。何で、私の名前を知っていたのかしら……。もしかして私ってば、冒険者の中で割と有名人だったりして」
勝利の余韻が残っているせいか、まるでヌーンのようなセリフを吐くマルチェナ。
「ちぇっ、しょってらぁ」
ライルが嫉妬まじりに言った。皆の間に笑いが起こる。
「あぁ、でもどうします?」
「どうしますって、何が?」
カンナンの突然の言葉に、ライルが聞き返した。
「今、目の前に倒れているメタルゴーレム。これ、相当に価値がある代物ですよ。当然、助っ人さんにも分け前にあずかる権利が発生しますよね。
でも、どこの誰だかわからない」
至極、常識的な見解を示す僧侶カンナン。
「うーん、しゃぁねぇなぁ。んじゃ、奴の取り分はギルドに供託って事でどうだ。誰だかわかったところで、払い戻してもらえばいいさ」
「へぇ、ライル、まともな事言うようになったじゃない。私はてっきり、あんたがガメちゃうんじゃないかと心配したわ」
ライルの提案に、マルチェナが皮肉を言った。
「バカ言うな。俺だって、命の恩人からふんだくるような真似はしないって。
……ところで話は変わるけどさ、最初に俺がお前たちに逃げろって言った時、お前、涙ぐんでいなかったか? 愛する男の、命を懸けた行動に感動してよ」
マルチェナの皮肉に対抗し、背を向けせせら笑うライル。
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