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楽しい連中
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二人がリルゴットの森へ着く頃、既にその場所は冒険者たちで溢れかえっていた。皆、活躍しての賞金や、王都の人間の目にとまっての出世を夢見ての事である。
「じゃぁね、また後で」
メルはそう言うと、平原の側面に設置されたテントの方へと走り去った。見るとそこには、ゴワドン卿やガント、更にはリュランの顔も見える。
「よぉ、ネッド、来たな」
肩を叩かれ振り返ると、そこにはお得意様である冒険者のライルとそのパーティーがいた。
「あぁ、ライルさん。お早うございます」
上客の機嫌を損なわないよう、努めて明るく返事をするネッド。
「しかし、すげぇ数の冒険者だなぁ。こりゃ、この街の殆どの冒険者が集まっていると見える。そんなに、金や名誉が欲しいのかねぇ」
「あんたも”金目当て”の一人でしょうが」
後に居た魔法使いの女性マルチェナが、杖の先でライルの頭をコツンと叩いた。
「なぁ、もう。何だよ、痛ぇなぁ。それに、金目当てってのはどういうこった。俺は、この街の平和のためにだなぁ……」
頭をさすりながら、ライルがマルチェナに食ってかかる。
「ふぅ……。あんた一体、私に幾ら借金があるかわかってるの? いい加減に返さないと、出るとこ出るわよ?」
半ばあきらめ顔のマルチェナが、ため息をついた。
「そうそう、本当は今回の依頼目的で、ネッドさんに仕事を頼みたかったのに、金欠で叶わなかったんですよね」
僧侶のカンナンが、補足をする。
「うるせぇな。坊さんが、金の事をあんまり言うんじゃないよ」
ライルのクレームに、ヤレヤレという顔をするカンナン。
「ふっ、ふっ、ふっ……。突然ですけど、発表しまーす。実はこのバッグの中にはさ、ネッドに機能付加してもらった、秘密のアイテムが入ってるんだよー」
女戦士のヌーンが、得意げに言った。
「え? そんな事、聞いちゃいねぇぞ。ははぁ、昨日どこかから帰って来て、ずっとニタニタしていたのはそのせいか。ほれ、どんな物をこさえてもらったのか、見せてみろ」
ライルが、ヌーンのバッグに手を伸ばす。
「ダメダメ、これは取って置きなんだから、使う時が来るまで見せないよーん」
バッグを狙うパーティーリーダーの魔の手を、その素早さで難なく交わすヌーン。
「ふん、ケチが。いいもんね。この探索でタンマリ稼いだら、俺だってネッドに色々頼んじまうんだから」
ライルが、子供のように口を尖らした。そこでまた一発、頭にコツン。
「違うでしょ? タンマリ稼いだら、まずは、私からの借金をしっかり返すんでしょ!」
「もう……、ウチの連中は、全く金にうるさくて困るよなぁ。冒険者たるもの、ロマンを求めないでどうする? 金は二の次、三の次だよ!」
ライルの妄言に、マルチェナが杖を両手で持ち、更にはそれを自らの頭上に振り上げた。
「マルチェナ、待って待って。ならぬ堪忍、するが堪忍です」
カンナンが、慌てて魔法使いを止める。
「ふん! 今叩きのめして使い物にならなくなっても困るから、とりあえずは勘弁しておいてあげるわ」
歯をギリギリとならすマルチェナを尻目に、ライルは明後日の方向を見て口笛を吹いている。
「仲のいいパーティーなんですね」
「どこが!!」
ネッドのお世辞が皮肉に聞こえたのか、パーティー全員が口をそろえて声を張り上げた。
「あ~、みな集まったようだから、これから探索任務に関する説明を始める」
拡声魔道具を使ったガントの声が、冒険者でごった返した平原に響く。
「じゃぁね、また後で」
メルはそう言うと、平原の側面に設置されたテントの方へと走り去った。見るとそこには、ゴワドン卿やガント、更にはリュランの顔も見える。
「よぉ、ネッド、来たな」
肩を叩かれ振り返ると、そこにはお得意様である冒険者のライルとそのパーティーがいた。
「あぁ、ライルさん。お早うございます」
上客の機嫌を損なわないよう、努めて明るく返事をするネッド。
「しかし、すげぇ数の冒険者だなぁ。こりゃ、この街の殆どの冒険者が集まっていると見える。そんなに、金や名誉が欲しいのかねぇ」
「あんたも”金目当て”の一人でしょうが」
後に居た魔法使いの女性マルチェナが、杖の先でライルの頭をコツンと叩いた。
「なぁ、もう。何だよ、痛ぇなぁ。それに、金目当てってのはどういうこった。俺は、この街の平和のためにだなぁ……」
頭をさすりながら、ライルがマルチェナに食ってかかる。
「ふぅ……。あんた一体、私に幾ら借金があるかわかってるの? いい加減に返さないと、出るとこ出るわよ?」
半ばあきらめ顔のマルチェナが、ため息をついた。
「そうそう、本当は今回の依頼目的で、ネッドさんに仕事を頼みたかったのに、金欠で叶わなかったんですよね」
僧侶のカンナンが、補足をする。
「うるせぇな。坊さんが、金の事をあんまり言うんじゃないよ」
ライルのクレームに、ヤレヤレという顔をするカンナン。
「ふっ、ふっ、ふっ……。突然ですけど、発表しまーす。実はこのバッグの中にはさ、ネッドに機能付加してもらった、秘密のアイテムが入ってるんだよー」
女戦士のヌーンが、得意げに言った。
「え? そんな事、聞いちゃいねぇぞ。ははぁ、昨日どこかから帰って来て、ずっとニタニタしていたのはそのせいか。ほれ、どんな物をこさえてもらったのか、見せてみろ」
ライルが、ヌーンのバッグに手を伸ばす。
「ダメダメ、これは取って置きなんだから、使う時が来るまで見せないよーん」
バッグを狙うパーティーリーダーの魔の手を、その素早さで難なく交わすヌーン。
「ふん、ケチが。いいもんね。この探索でタンマリ稼いだら、俺だってネッドに色々頼んじまうんだから」
ライルが、子供のように口を尖らした。そこでまた一発、頭にコツン。
「違うでしょ? タンマリ稼いだら、まずは、私からの借金をしっかり返すんでしょ!」
「もう……、ウチの連中は、全く金にうるさくて困るよなぁ。冒険者たるもの、ロマンを求めないでどうする? 金は二の次、三の次だよ!」
ライルの妄言に、マルチェナが杖を両手で持ち、更にはそれを自らの頭上に振り上げた。
「マルチェナ、待って待って。ならぬ堪忍、するが堪忍です」
カンナンが、慌てて魔法使いを止める。
「ふん! 今叩きのめして使い物にならなくなっても困るから、とりあえずは勘弁しておいてあげるわ」
歯をギリギリとならすマルチェナを尻目に、ライルは明後日の方向を見て口笛を吹いている。
「仲のいいパーティーなんですね」
「どこが!!」
ネッドのお世辞が皮肉に聞こえたのか、パーティー全員が口をそろえて声を張り上げた。
「あ~、みな集まったようだから、これから探索任務に関する説明を始める」
拡声魔道具を使ったガントの声が、冒険者でごった返した平原に響く。
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