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ネッド、誘拐される
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「もう!何やってんの!!」
二人はポカンとした。いつものネッドらしからぬ剣幕だったからだ。でも、すぐに気を取り直し、
「何って、どっちがネッドの婚約者か、ハッキリさせるための戦いですわ? 他に何がありますの?」
「そうよ、っていうか、何でこの女の事を黙ってたのよ。酷いわ! 私というれっきとした婚約者がありながら!!」
さっきまで死力を尽くして戦っていた二人だが、今度はそろってネッドを責め立てる。
「い、いや……。チョット勘違いしていないかい? 」
「勘違いって何が?」
メルが目を吊り上げて聞いた。
「だって、僕は二人の婚約者じゃないよ。そりゃメル姉の方には子供のころ言ったかも知れないけど、五歳と八歳の頃の話だろ? それはもう、時効じゃないかなぁ……」
約束した事は事実であるので、ネッドの歯切れは極めて悪い。
「時効? 愛に時効なんて存在しないの!でも、これでわかったでしょ。私の方には兎にも角にも根拠がるのよ。アリシア、あなたの方にはそれがあるの?」
メルが勝ち誇ったように、悪魔娘を見た。
「あ……、ありますわよ。私とネッドが主従の契約をした時”あなたか私の命が尽きるまで、健やかな時も病める時も、変わらず心と体を捧げる事を誓います”って言いましたわよね。
そしたらネッド、あなたは”ありがとう。ともに生きよう”って言ったでしょ!これはどう聞いても、婚約時の誓いの言葉ですわ」
アリシアも、負けじと対抗する。
「は? そりゃ、只の使い魔契約じゃない。まぁ、普通の文言よりは凄く丁寧だけど、そこはネッドの優しさって事で……」
双方とも、決定打に欠ける根拠を持ち出しての虚しい応酬が続いた。
あぁ、困ったなぁ。こりゃ、どうすれば解決するんだ。自分の優柔不断さを棚に上げたネッドが苦慮をする。
「あ、そうだ。メル、ギルマスが怒っていたよ。”あいつ、どこまでネッドを探しに行ったんだ!”って」
実際にはギルマスは怒っていなかったが、そこは尾ひれを付けて何とかメルをこの場から立ち去らせようとするネッド。
「ほうら、早くお帰りにならないと、お父様におしりペンペンされてしまいますわよ!」
議論では多少、分が悪いアリシアが、ここぞとばかりにメルを追い払おうとする。
「なんだと、こらぁ!」
メルは顔を真っ赤にして怒ったものの、言いつけをほったらかしにして、アリシアと争っていたのは事実である。おまけに服もボロボロだ。これは一刻も早く戻った方が得策だと彼女は悟る。
「覚えておきなさい! 決着はまだついていないんだからね」
ネッドとアリシアと二人きりにするという成りゆきに、メルは後ろ髪を引かれつつも、ギルド館へと一目散に駆け出した。
「やーい、敵前逃亡ですの~」
「もう、調子に乗らないの。アリシアも、もう帰って」
勝利したかのような態度をとるアリシアに、ネッドは少々きつく言った。
「え~、せっかく邪魔者がいなくなったのに……」
そんなアリシアの切なる願いも聞き流し、逆送の呪文を唱えるネッド。アリシアの足下に魔方陣が現れ、彼女をゆっくりと飲み込んで行く。
「ネッド、一緒に来て!」
突然、ネッドの腕を掴んで、自分の方へ引き寄せるアリシア。
「ちょ!ちょっと何!?」
ネッドの悲鳴にも似た叫び声と共に、二人は魔方陣の中へと消えていった。
二人はポカンとした。いつものネッドらしからぬ剣幕だったからだ。でも、すぐに気を取り直し、
「何って、どっちがネッドの婚約者か、ハッキリさせるための戦いですわ? 他に何がありますの?」
「そうよ、っていうか、何でこの女の事を黙ってたのよ。酷いわ! 私というれっきとした婚約者がありながら!!」
さっきまで死力を尽くして戦っていた二人だが、今度はそろってネッドを責め立てる。
「い、いや……。チョット勘違いしていないかい? 」
「勘違いって何が?」
メルが目を吊り上げて聞いた。
「だって、僕は二人の婚約者じゃないよ。そりゃメル姉の方には子供のころ言ったかも知れないけど、五歳と八歳の頃の話だろ? それはもう、時効じゃないかなぁ……」
約束した事は事実であるので、ネッドの歯切れは極めて悪い。
「時効? 愛に時効なんて存在しないの!でも、これでわかったでしょ。私の方には兎にも角にも根拠がるのよ。アリシア、あなたの方にはそれがあるの?」
メルが勝ち誇ったように、悪魔娘を見た。
「あ……、ありますわよ。私とネッドが主従の契約をした時”あなたか私の命が尽きるまで、健やかな時も病める時も、変わらず心と体を捧げる事を誓います”って言いましたわよね。
そしたらネッド、あなたは”ありがとう。ともに生きよう”って言ったでしょ!これはどう聞いても、婚約時の誓いの言葉ですわ」
アリシアも、負けじと対抗する。
「は? そりゃ、只の使い魔契約じゃない。まぁ、普通の文言よりは凄く丁寧だけど、そこはネッドの優しさって事で……」
双方とも、決定打に欠ける根拠を持ち出しての虚しい応酬が続いた。
あぁ、困ったなぁ。こりゃ、どうすれば解決するんだ。自分の優柔不断さを棚に上げたネッドが苦慮をする。
「あ、そうだ。メル、ギルマスが怒っていたよ。”あいつ、どこまでネッドを探しに行ったんだ!”って」
実際にはギルマスは怒っていなかったが、そこは尾ひれを付けて何とかメルをこの場から立ち去らせようとするネッド。
「ほうら、早くお帰りにならないと、お父様におしりペンペンされてしまいますわよ!」
議論では多少、分が悪いアリシアが、ここぞとばかりにメルを追い払おうとする。
「なんだと、こらぁ!」
メルは顔を真っ赤にして怒ったものの、言いつけをほったらかしにして、アリシアと争っていたのは事実である。おまけに服もボロボロだ。これは一刻も早く戻った方が得策だと彼女は悟る。
「覚えておきなさい! 決着はまだついていないんだからね」
ネッドとアリシアと二人きりにするという成りゆきに、メルは後ろ髪を引かれつつも、ギルド館へと一目散に駆け出した。
「やーい、敵前逃亡ですの~」
「もう、調子に乗らないの。アリシアも、もう帰って」
勝利したかのような態度をとるアリシアに、ネッドは少々きつく言った。
「え~、せっかく邪魔者がいなくなったのに……」
そんなアリシアの切なる願いも聞き流し、逆送の呪文を唱えるネッド。アリシアの足下に魔方陣が現れ、彼女をゆっくりと飲み込んで行く。
「ネッド、一緒に来て!」
突然、ネッドの腕を掴んで、自分の方へ引き寄せるアリシア。
「ちょ!ちょっと何!?」
ネッドの悲鳴にも似た叫び声と共に、二人は魔方陣の中へと消えていった。
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