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意外な再会
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「それは、僕が機能付加職人だからですよ」
ネッドが、静かに話し出す。
「機能付加職人は、”手”で魔石や魂石を魔法分解し、それをアイテムに練り込みます。つまり、手で魔法を操るのが得意なわけですよ。
さっきもその技を応用して、火球を圧縮して地面に逃したんです」
「そ、そんなバカな……」
あれほど侮辱していた職人の技にしてやられた魔法使いは、茫然自失となるしかなかった。
だがボッゾルの思いにも一理ある。理屈は確かにそうでも、実行できる者はそうはいない。騎士としての運動能力と勘、職人としての魔法操作能力が合わさって、初めて出来る技であった。
またこれは、先ほどの対ガドッツ戦とも大いに関係がある。大地の力を掌を通して叩き込むとはいっても、普通は放出する際にかなりの量が減衰してしまう。掌で魔法を操作する力に長けたネッドだからこそ、減衰率を最小限に抑える事が出来るのであった。
唖然とする魔法使いの眼前で、説明を終えたネッドの怒りのオーラがどんどん膨らんでいく。
《おしゃべりは、もうおわりだ》
そんな心の声に導かれ、ネッドが一歩を踏み出す。
「わ、私に何かする気か!? 私は王宮魔法使いだぞ! その私に手を出したらどうなるか……!!」
抵抗する術を失ったボッゾルの虚しい叫びが木霊した。しかしそんな戯言に”今の”ネッドが耳を貸す事はない。
「う、うわぁ~!」
ドカッ!!
突然、誰かが、絶叫するボッゾルを後ろから蹴り飛ばした。
ボッゾルの眼前に地面が急接近する。彼はそのまま前のめりに、地べたへ顔を強打した。
「ぐへっ!」
魔法使いの、惨めな呻き声が漏れる。
「誰が王宮魔法使いだ、誰が!」
ボッゾルの後ろには、ネッドと同年代の背の高い青年が立っていた。かなりの美形である。
「リュラン!」
”我に返った”ネッドが、思わず口走る。
「よぉ、三か月ぶりだなネッド。元気にしてたか……って、まぁ、お前の暮らしなんぞ、俺には全部まるわかりなんだけどな」
「お前、何でここに……」
「それはだな。……と、チョット待て。まずは、コイツが先だ」
リュランと呼ばれた男は、四つん這いに体勢を戻したボッゾルの尻を蹴飛ばし、自らの方に振り返らせた。
「お前なぁ、王宮魔法使いだとウソをつくのが、どれだけの罪になるか知っているか?牢屋行きだけじゃ済まねぇって、分かってるだろうな」
上半身を起こし、リュランを見上げるボッゾル。何が起きているのか、殆どわかっていないようだ。
「ウソ? ウソと何だ。私は、れっきとした王宮……」
シドロモドロながら、何とか答えるボッゾル。
「ふざけんな。お前はリルゴットの森探索のために、ゴワドン卿に雇われただけの、只のアルバイトだろうが!」
「な、なにを……。ゴワドン卿からは、今度の任務で手柄を立てたら、正式に王宮魔法使いに推薦してやるって……!」
ボッゾルが、馬脚を現した。
「つまり、”まだ”王宮魔法使いじゃねぇって事だよな」
リュランが、畳みかける。
「い、いや、そもそもお前は何なんだ。まだ正式採用でないにしろ、私は”あの”ゴワドン卿の目にかなった男だぞ。こんな無礼な口をきいて、只で済むと思ってるのか!」
地面にペタンと座りこんだままだが、威勢だけは良い魔法使いボッゾル。
「あぁ、思ってるね。むしろ、俺次第で只じゃ済まないのはお前の方だ。ほれ、これが見えねぇのかよ」
リュランは顎を突き上げ、軍服の襟元にある徽章をボッゾルに見せつけた。
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※ pixivに、この小説のキャラクターイメージ第二弾を投稿しました。
https://www.pixiv.net/artworks/113869552
ネッドが、静かに話し出す。
「機能付加職人は、”手”で魔石や魂石を魔法分解し、それをアイテムに練り込みます。つまり、手で魔法を操るのが得意なわけですよ。
さっきもその技を応用して、火球を圧縮して地面に逃したんです」
「そ、そんなバカな……」
あれほど侮辱していた職人の技にしてやられた魔法使いは、茫然自失となるしかなかった。
だがボッゾルの思いにも一理ある。理屈は確かにそうでも、実行できる者はそうはいない。騎士としての運動能力と勘、職人としての魔法操作能力が合わさって、初めて出来る技であった。
またこれは、先ほどの対ガドッツ戦とも大いに関係がある。大地の力を掌を通して叩き込むとはいっても、普通は放出する際にかなりの量が減衰してしまう。掌で魔法を操作する力に長けたネッドだからこそ、減衰率を最小限に抑える事が出来るのであった。
唖然とする魔法使いの眼前で、説明を終えたネッドの怒りのオーラがどんどん膨らんでいく。
《おしゃべりは、もうおわりだ》
そんな心の声に導かれ、ネッドが一歩を踏み出す。
「わ、私に何かする気か!? 私は王宮魔法使いだぞ! その私に手を出したらどうなるか……!!」
抵抗する術を失ったボッゾルの虚しい叫びが木霊した。しかしそんな戯言に”今の”ネッドが耳を貸す事はない。
「う、うわぁ~!」
ドカッ!!
突然、誰かが、絶叫するボッゾルを後ろから蹴り飛ばした。
ボッゾルの眼前に地面が急接近する。彼はそのまま前のめりに、地べたへ顔を強打した。
「ぐへっ!」
魔法使いの、惨めな呻き声が漏れる。
「誰が王宮魔法使いだ、誰が!」
ボッゾルの後ろには、ネッドと同年代の背の高い青年が立っていた。かなりの美形である。
「リュラン!」
”我に返った”ネッドが、思わず口走る。
「よぉ、三か月ぶりだなネッド。元気にしてたか……って、まぁ、お前の暮らしなんぞ、俺には全部まるわかりなんだけどな」
「お前、何でここに……」
「それはだな。……と、チョット待て。まずは、コイツが先だ」
リュランと呼ばれた男は、四つん這いに体勢を戻したボッゾルの尻を蹴飛ばし、自らの方に振り返らせた。
「お前なぁ、王宮魔法使いだとウソをつくのが、どれだけの罪になるか知っているか?牢屋行きだけじゃ済まねぇって、分かってるだろうな」
上半身を起こし、リュランを見上げるボッゾル。何が起きているのか、殆どわかっていないようだ。
「ウソ? ウソと何だ。私は、れっきとした王宮……」
シドロモドロながら、何とか答えるボッゾル。
「ふざけんな。お前はリルゴットの森探索のために、ゴワドン卿に雇われただけの、只のアルバイトだろうが!」
「な、なにを……。ゴワドン卿からは、今度の任務で手柄を立てたら、正式に王宮魔法使いに推薦してやるって……!」
ボッゾルが、馬脚を現した。
「つまり、”まだ”王宮魔法使いじゃねぇって事だよな」
リュランが、畳みかける。
「い、いや、そもそもお前は何なんだ。まだ正式採用でないにしろ、私は”あの”ゴワドン卿の目にかなった男だぞ。こんな無礼な口をきいて、只で済むと思ってるのか!」
地面にペタンと座りこんだままだが、威勢だけは良い魔法使いボッゾル。
「あぁ、思ってるね。むしろ、俺次第で只じゃ済まないのはお前の方だ。ほれ、これが見えねぇのかよ」
リュランは顎を突き上げ、軍服の襟元にある徽章をボッゾルに見せつけた。
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※ pixivに、この小説のキャラクターイメージ第二弾を投稿しました。
https://www.pixiv.net/artworks/113869552
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