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路地裏
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驚いて、声のする方を振り返ったネッドが見たものは、ガドッツより少し背の低い男に拘束されているアスティだった。
「アスティ!」
思わずネッドが口走る。ガドッツともう一人の男の口角が上がり、ニヤニヤといやらしい笑い顔を醸し出した。
「なんで、アスティがここに居るんですか? 彼に何の用が!」
再びガドッツの方を向き直ったネッドが、怒りの表情をもって問いただす。
「バカか? お前とゆっくり話をするために、決まってるだろうが」
凶悪な戦士が、いかにも面倒くさそうに吐き捨てた
「彼を、彼を離してください! アスティは関係ないでしょう?」
「おぉ、優等生ぶった奴が、いい顔つきになって来たじゃねぇか。化けの皮が、剥がれて来ったところだな」
「いいから、彼を離してください」
「もちろんさ。俺たちが用のあるのはそこの木っ端職人じゃない。てめぇだからよ……。わかったら、大人しくついて来てもらおうか」
友人を気遣う言葉を繰り返すネッドに、ガドッツは嫌味たっぷりの猫なで声で返答する。ネッドの答えを聞こうともせず、地の裏へと踵を返すガドッツ。ネッドは仕方なしに、彼の後へとついていった。
《俺は、俺じゃない》
ネッドの頭、いや心に何処からか声が響く。
「ネッド……、僕は……」
アスティがすまさそうに、友人に声をかけた。
「平気かい、アスティ」
ネッドも又、すまなそうに友人に声をかける。彼は明らかに巻き添えだ。どうしようもない事とはいえ、ネッドの心に懺悔の念が芽生えていく。
「ほら、てめぇは、もう用済みだ。さっさと消えろ。……あと、わかってんだろうがよ。何処かへ駆け込んだりしたら、後でどうなるか覚悟しといた方がいいぞ」
もう一人の男の拘束から放たれた憐れな職人に対し、ガドッツが目も合わさず恫喝をする。
「ネッド……」
「大丈夫、僕のためにすまない。君はこのまま帰ってくれ……。本当に、大丈夫だから」
心配そうに友人の目を見るアスティへ、ネッドは悪党どもに対する怒りを無理矢理抑えて微笑んだ。
「ご、ごめん……!」
後ろ髪を引かれる思いを抱きつつ、アスティは路地の外へと駆け出していく。
「じゃぁ、感動的なお別れは済んだみてぇだからよ。さっさと、こっちへ来てもらおうか」
ガドッツが先導し、二人組はネッドを路地の突き当りの壁へといざなった。もう、逃げ場はどこにもない。
「さぁ、これで満足でしょう? 話を始めてくれませんか」
「フン、聞きしに勝る太々しさだな」
少し険を含んだネッドの言葉に、ガドッツの横にいる男が反応した。
「だろう、兄貴よ」
薄笑いを浮かべながら、ガドッツが応える。
「あぁ、申し遅れたね。クソ生意気なゲス職人君。私はガドッツの兄で、ボッゾルという者だ。弟が理不尽な目に遭ったって聞いてね。私も兄として、見過ごすわけには行かないんだよ。
まぁ、こういう状況になれば、これからどういう事態になるかは、如何に無能な職人であろうともわかっているだろう?」
ボッゾルが、慇懃無礼な口調で話しかける。
「へっ、恐怖で口も聞けねぇか、情けねぇ。やっぱりギルマスの威を借りねぇと、何もできない半端野郎みてぇだな」
路地裏に、ガドッツの高笑いが轟く。
《俺は、お前だ》
再び、ネッドの心に声が響いた。
「断っとくがな、さっきみたいにギルマスの威光は通じねぇよ。あとで言いつけても、何の役にも立たねぇからな。フン、何故だと思う?」
ガドッツの得意顔が、頂点に達する。
「アスティ!」
思わずネッドが口走る。ガドッツともう一人の男の口角が上がり、ニヤニヤといやらしい笑い顔を醸し出した。
「なんで、アスティがここに居るんですか? 彼に何の用が!」
再びガドッツの方を向き直ったネッドが、怒りの表情をもって問いただす。
「バカか? お前とゆっくり話をするために、決まってるだろうが」
凶悪な戦士が、いかにも面倒くさそうに吐き捨てた
「彼を、彼を離してください! アスティは関係ないでしょう?」
「おぉ、優等生ぶった奴が、いい顔つきになって来たじゃねぇか。化けの皮が、剥がれて来ったところだな」
「いいから、彼を離してください」
「もちろんさ。俺たちが用のあるのはそこの木っ端職人じゃない。てめぇだからよ……。わかったら、大人しくついて来てもらおうか」
友人を気遣う言葉を繰り返すネッドに、ガドッツは嫌味たっぷりの猫なで声で返答する。ネッドの答えを聞こうともせず、地の裏へと踵を返すガドッツ。ネッドは仕方なしに、彼の後へとついていった。
《俺は、俺じゃない》
ネッドの頭、いや心に何処からか声が響く。
「ネッド……、僕は……」
アスティがすまさそうに、友人に声をかけた。
「平気かい、アスティ」
ネッドも又、すまなそうに友人に声をかける。彼は明らかに巻き添えだ。どうしようもない事とはいえ、ネッドの心に懺悔の念が芽生えていく。
「ほら、てめぇは、もう用済みだ。さっさと消えろ。……あと、わかってんだろうがよ。何処かへ駆け込んだりしたら、後でどうなるか覚悟しといた方がいいぞ」
もう一人の男の拘束から放たれた憐れな職人に対し、ガドッツが目も合わさず恫喝をする。
「ネッド……」
「大丈夫、僕のためにすまない。君はこのまま帰ってくれ……。本当に、大丈夫だから」
心配そうに友人の目を見るアスティへ、ネッドは悪党どもに対する怒りを無理矢理抑えて微笑んだ。
「ご、ごめん……!」
後ろ髪を引かれる思いを抱きつつ、アスティは路地の外へと駆け出していく。
「じゃぁ、感動的なお別れは済んだみてぇだからよ。さっさと、こっちへ来てもらおうか」
ガドッツが先導し、二人組はネッドを路地の突き当りの壁へといざなった。もう、逃げ場はどこにもない。
「さぁ、これで満足でしょう? 話を始めてくれませんか」
「フン、聞きしに勝る太々しさだな」
少し険を含んだネッドの言葉に、ガドッツの横にいる男が反応した。
「だろう、兄貴よ」
薄笑いを浮かべながら、ガドッツが応える。
「あぁ、申し遅れたね。クソ生意気なゲス職人君。私はガドッツの兄で、ボッゾルという者だ。弟が理不尽な目に遭ったって聞いてね。私も兄として、見過ごすわけには行かないんだよ。
まぁ、こういう状況になれば、これからどういう事態になるかは、如何に無能な職人であろうともわかっているだろう?」
ボッゾルが、慇懃無礼な口調で話しかける。
「へっ、恐怖で口も聞けねぇか、情けねぇ。やっぱりギルマスの威を借りねぇと、何もできない半端野郎みてぇだな」
路地裏に、ガドッツの高笑いが轟く。
《俺は、お前だ》
再び、ネッドの心に声が響いた。
「断っとくがな、さっきみたいにギルマスの威光は通じねぇよ。あとで言いつけても、何の役にも立たねぇからな。フン、何故だと思う?」
ガドッツの得意顔が、頂点に達する。
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