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運命の出会い
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ネッドの経営する店「機能付加ショップ・ハッピーアディション」は、林の入り口にある。立地条件としては余り良くない方であるが、そもそも機能付加職人の収入は一般的に低いので、街の一等地に店を構えられる者など殆どいない。
ましてや二十一歳という若さで自分の城を持ったネッドに、それほど好条件な場所を選ぶ事など叶わないのは言うまでもないだろう。
「ネッド、帰ってる?」
ネッドを追ってきたメルは、ハッピーアディションの可愛らしく装飾されたドアを開ける。もちろんシャミーの発案だ。
「いらっしゃいませ、お客様。今回はどのような、機能付加をお望みでしょうか? 店主はただいま留守にしておりますが、ご用向きは私が承ります」
アリシアが、いつもの”ですわ”調の喋り方を封印して客を出迎える。最初の内は普段通りの口調だったものの、それでは客が訝しんですぐに帰ってしまうのだった。
「あ、客じゃないの。ネッドに用事があって来たんだけど、戻ってる?」
アリシアと初対面のメルは、彼女の事を完全にアルバイト店員だと思っている様だ。
「えぇっと……。失礼ですが店主とは、どういうご関係で……」
やけに馴れ馴れしい女に、アリシアが警戒する。
「あぁ、私はギ……」
”ギルドの者”と言いかけて、メルは思いとどまった。ネッドとの結婚への道を考えれば、外堀を埋めていくのが一番。皆が自分とネッドが婚約者だと認識すれば、話が進めやすくなるだろうと閃いた。
「あぁ、私はネッドの婚約者でメル・ライザー。聞いてない?」
多少の気恥ずかしさを覚えながらも、胸を張ってアルバイト店員に応えるメル。一方、驚いたのはアリシアであった。メルという名前は、いつかネッドかシャルの口からきいた気はする。でも婚約者だなんて話は、全く聞いてはいない。
「はぁ? 一体どういうお話ですの?」
思いもよらぬ展開に、アリシアがいつもの口調に戻る。
「いや、だから私はネッドの婚約者だって言ってるのよ。ネッドが居るんなら、さっさと取り次いでちょうだい」
短気なメルが、詰問調で言った。それでもアリシアは戸惑うばかり。狼狽してまともに対応しかねている。
「だから、婚約者だって言ってるでしょ? まぁ、アルバイト店員に詳しく話すような事じゃないわ」
メルの口調は、益々きつくなっていった。
「何を言っていますの? ネッドの婚約者はこの私ですわ。全く何の言いがかりでしょうかしら?」
初対面の女がいきなり婚約者と名乗ったのだから、アリシアとしても黙ってはいるわけにはいかない。
「はい? 店員如きが、ネッドの婚約者? あんた、何を勘違いしてるのよ。バッカじゃないの?」
予想外の反撃に、メルもすかさず応戦する。
「バカはどっちですの、バカは!」
カウンターを挟んで、これでもかとばかりに二人の婚約者たちは睨みあった。
「ちょっと、どうしたのよ。うるさいわよ」
騒ぎを聞きつけたシャミーが、奥から顔を出す。
「あ、シャミー。このわけのわからない女が、ネッドの婚約者だって言い張りますの」
振り向いたアリシアが、早速シャミーに救援を乞うた。
「なんだ、メル姉じゃない。なに? お兄ちゃんならいないわよ。……っていうか、ギルド館に行くって言ってたけど?」
魔王の娘を無視するように、シャミーが挨拶代わりに対応する。今ここに、ネッドを取り巻く問題大ありの三人の女性が、一堂に会する事となった。
ましてや二十一歳という若さで自分の城を持ったネッドに、それほど好条件な場所を選ぶ事など叶わないのは言うまでもないだろう。
「ネッド、帰ってる?」
ネッドを追ってきたメルは、ハッピーアディションの可愛らしく装飾されたドアを開ける。もちろんシャミーの発案だ。
「いらっしゃいませ、お客様。今回はどのような、機能付加をお望みでしょうか? 店主はただいま留守にしておりますが、ご用向きは私が承ります」
アリシアが、いつもの”ですわ”調の喋り方を封印して客を出迎える。最初の内は普段通りの口調だったものの、それでは客が訝しんですぐに帰ってしまうのだった。
「あ、客じゃないの。ネッドに用事があって来たんだけど、戻ってる?」
アリシアと初対面のメルは、彼女の事を完全にアルバイト店員だと思っている様だ。
「えぇっと……。失礼ですが店主とは、どういうご関係で……」
やけに馴れ馴れしい女に、アリシアが警戒する。
「あぁ、私はギ……」
”ギルドの者”と言いかけて、メルは思いとどまった。ネッドとの結婚への道を考えれば、外堀を埋めていくのが一番。皆が自分とネッドが婚約者だと認識すれば、話が進めやすくなるだろうと閃いた。
「あぁ、私はネッドの婚約者でメル・ライザー。聞いてない?」
多少の気恥ずかしさを覚えながらも、胸を張ってアルバイト店員に応えるメル。一方、驚いたのはアリシアであった。メルという名前は、いつかネッドかシャルの口からきいた気はする。でも婚約者だなんて話は、全く聞いてはいない。
「はぁ? 一体どういうお話ですの?」
思いもよらぬ展開に、アリシアがいつもの口調に戻る。
「いや、だから私はネッドの婚約者だって言ってるのよ。ネッドが居るんなら、さっさと取り次いでちょうだい」
短気なメルが、詰問調で言った。それでもアリシアは戸惑うばかり。狼狽してまともに対応しかねている。
「だから、婚約者だって言ってるでしょ? まぁ、アルバイト店員に詳しく話すような事じゃないわ」
メルの口調は、益々きつくなっていった。
「何を言っていますの? ネッドの婚約者はこの私ですわ。全く何の言いがかりでしょうかしら?」
初対面の女がいきなり婚約者と名乗ったのだから、アリシアとしても黙ってはいるわけにはいかない。
「はい? 店員如きが、ネッドの婚約者? あんた、何を勘違いしてるのよ。バッカじゃないの?」
予想外の反撃に、メルもすかさず応戦する。
「バカはどっちですの、バカは!」
カウンターを挟んで、これでもかとばかりに二人の婚約者たちは睨みあった。
「ちょっと、どうしたのよ。うるさいわよ」
騒ぎを聞きつけたシャミーが、奥から顔を出す。
「あ、シャミー。このわけのわからない女が、ネッドの婚約者だって言い張りますの」
振り向いたアリシアが、早速シャミーに救援を乞うた。
「なんだ、メル姉じゃない。なに? お兄ちゃんならいないわよ。……っていうか、ギルド館に行くって言ってたけど?」
魔王の娘を無視するように、シャミーが挨拶代わりに対応する。今ここに、ネッドを取り巻く問題大ありの三人の女性が、一堂に会する事となった。
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