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その後に4
しおりを挟む「あれ?一緒って、この後は?」
仲樹が作ったリゾットを食べ終わった倉見。
半人前しか食べることができなくて、残りは仲樹が食べて、その代わりと野菜ジュースを飲まされた。市販品で栄養はそれほどないとされるが、ただのジュース飲むよりははるかに栄養があるだろう。
それでこの先どうするのだろうと疑問に思った。
「もちろん、しばらくはずっと一緒だと言ったろ?」
仲樹は心配でならない。目を離すと倉見はすぐに仕事をしているくらいだ。
「いや…、でも、この後は…」
同室でもないのにどうするつもりだと、恋人同士になった事実を思い出して、わすがに体温を上げた倉見は尋ねる。
「ん? どっちの部屋に泊まるかってことか? …そうだな、倉見の部屋は書類だらけで、休むには落ち着かないしな。倉見さえよければ俺のとこに来るか?」
「いやいやいや、ちょっと待て。え。い、一緒にその、同じ、え?」
動揺しすぎで混乱する。俺様だと言われる倉見のそんな姿に可愛いなと思う仲樹。
「落ち着け。なにもいきなりくったりはしない」
「く、く、くうって何がだ。馬鹿野郎」
涙目になった倉見は誘ってるようにしか見えなくて、ぞくりとした仲樹だが、さすがに倒れて死にかけた倉見にそんな気はない。
当たり前に倉見の隣にいた仲樹はそんな倉見の頭を優しく撫でて落ち着くのを待つ。
「…別にそこまで…」
「好きなんだクラミ」
「なにいきなり…」
「だから心配でしかたない。…もう後悔なんてしたくない。…俺の気持ちは重いか?」
「…そ、んなことねえよ。気持ちなら、きっと俺のが重い」
「なら、分かるだろ? たくさん側にもいたいし、これでもかって甘やかしたい。させてくれないか?」
「…ん。…なら、俺も、お前のことたくさん大事にしていいか?」
「ああ。できれば俺にたくさん甘えてほしいな」
「む。……考えておく」
倉見も男としては相手を守りたいし頼って欲しい。だけれど、甘えるのも悪くはない。
ひとまず引き寄せられた身を、仲樹に任せてみた。
期限の迫る書類だけを2人でこなし、きりのよいところで一緒のベッドで眠ることにした。
羞恥でなかなか寝付けなかった倉見だったが、仲樹の温もりにじょじょに瞼は落ちた。
疲労が溜まり、ろくに食事をせずに痩せていた倉見だったが、仲樹のきっちりした生活管理により、体力を取り戻していく。
「これなら、もう大丈夫だな」
仲樹に心配かけずに前のようにばんばん仕事ができるようになったなと思った倉見。
「…駄目だぞ。まだまだ完璧とはいえないし、完璧でもあんなひどい状態にまでなったんだ」
「うー。俺の思考を読みとるなよ」
「駄目だ。お前の身体はもうお前だけのものじゃない。勝手に体調崩したりなんてさせないからな」
「いちいちお前ははずいんだよ。わかってる。お前に心配かけるようなことだけはしない」
倉見は仲樹に心配させるなんてことだけは嫌だと思った。苦しそうな悲しそうな、そんな顔はしてほしくない。
「よし。ならさっそく昼食にするか」
「もうそんな時間か?」
現在は生徒会室で仕事をしている。前は終わらない苦痛に時間は足りないというのに時間が進むのが遅いと感じていた。なのに今は同じ仕事をしていても早く進む。
「ああ。そうだな、今日は天気もいいし、庭で食べよう」
「気持ちよさそうだな」
ほどよい風が吹いていて、外で食べるに絶好の日よりだ。
「嫁に来い」
「何度目だ、それ」
仲樹は粥やらリゾットやらを作ったので簡単な料理くらいできるのかと考えていた倉見だったが、それ以外の料理も絶品だった。
手作り弁当を親衛隊の生徒から何度か渡された倉見であるが、レベルがはるかに違う。
「…この先、ずっと一緒にと決めたんだ。嫁とはいかないが、この先いくらでも食べさせるさ」
「ナカキ…」
決意と好意がこもった視線と声音に、倉見の顔は熱くなる。
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