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呼ぶ人
呼ぶ人26嫉妬?
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まず幻獣を召喚するより、召喚した幻獣を制御できる力が必要ということだ。
なにせ威力が大きい。シェンは魔法陣の中で元の姿へと戻る。大きさは虎ほどはある。
「シェン、今日も炎の塊を出すよ。大きさはボールくらいのだよ」
大きさを手で現してシェンに話すクルクに、シェンは頭を動かして了承し、大きな口を開けて何もない場所へと炎を吐き出す。
その大きさはクルクの表現した大きさより10倍くらい大きかった。
「あー、まだ、全然だね」
「す、すみません」
「そんなに肩に力を入れることはないよ。幻獣と呼ぶ人の相性は抜群にいい。あとは意志の疎通できるくらい仲良くなればいいんだよ。それじゃあ、疲れない程度にどんどん頑張ってみて」
「は、はい。頑張ります」
ウィンレイの励ましの言葉にクルクは力強く返事をして再びシェンにお願いをする。
この場所は他国だったりする。近くに人は住んでいない。魔術の練習によいとウィンレイが見つけた場所で、しかし場所がとても遠い。
シェンの能力が空間を操るものだと気づき、利用できるように転移の魔法陣を強化して、こうして練習場所に転移できるようにした。
お菓子をすべて食べ尽くそうとしているリンメルの隣にウィンレイも座る。リンメルもここにいるのはウィンレイが一緒にいたいからで、うまいこと騙している。
「クルク。少し疲れたみたいだから、今日はもう休みなよ。お茶もいれたし」
「で、でも、僕は何もしてないのに…」
「そんなことはない。無意識に制御しようと魔力を使っているよ。もちろんたいしたほどではないけど、精神が疲れてはシェンが心配する。それでは駄目なんだよ。そこまで焦ることはないよ」
「…はい」
「…なんかウィンレイはクルクに優しくね?」
「へ?」
「おおっ。それって嫉妬? だったらいいんだけど」
「なんでだ? そりゃお前がクルクがいいとか思ったら、俺はその後はどうすりゃいいんだとは思うけども」
嫌そうで少し焦るリンメルであるが、照れているのかは微妙だ。微妙なのであるが、ウィンレイは自分のいいほうに考えようと思う。
ほのぼの仲の良さにクルクは微笑ましく見ている。友達が幸せそうだと自分も幸せだ。
お菓子はリンメルがほとんど食べてしまったが、ウィンレイが軽食とお茶をシェンを利用して部屋から取り出したので、それを大自然の中で楽しむ。
まったりする3人と一匹の前に1人の男が走って近づいてきた。
「クルク! 来てたんだな」
「はい」
まっさきにクルクに声をかけたのは、セルツァーだ。
「急いでやってきたんだね。生徒会の仕事は忙しいだろう」
「きっちりやってきてます。俺でなくてもいいものは任せてますから、それほど忙しくもないですよ」
「そう? それじゃあ練習する?」
「はいっ! お願いします」
クルクが呼ぶ人として修行することになったと、話を聞いたセルツァーも、ウィンレイの教えを受けたいと願い、同じ場所で魔術の練習をすることになった。
もとからウィンレイを尊敬するセルツァーは喜んで練習の為の魔法陣へと向かう。
練習の為の魔法陣は魔力の威力を吸収するもので、被害が起きない。
いい子なクルクには一応優しいウィンレイであるが、セルツァーには優しくない。
「…まさか、それくらいで納得してない? そんなのなんの意味もないよ」
魔術を発動させ水を作り出したセルツァーであるが、その水は弱々しい。コップ一杯くらいが、ふよっと現れたくらいだ。
魔術発動ができる時点で十分すごく、ましてや習って日が経ってないとなると、天才といっていいが、ウィンレイが言うようにそれでは意味がない。
セルツァーは顔を引き締め再び魔術発動の為に集中する。
「はーい。じゃあ、今日はこれまで」
「俺は、まだできます!」
セルツァーの感覚ではすぐの時間だが、すでに日が傾いていた。
「なにいってるの。悪い汗かいてるのにまだできるなんて本当に思ってるの? そうでなくても、魔術の練習は俺がいいと言っている範囲だけって、初めに言っただろ? 言うことをきけないなら俺は何も教えない」
「…すみません。これからもお願いします」
頭が冷えたセルツァーはそれでも不満な思考を無理矢理押し込め、練習用の魔法陣の外へと出た。
「お疲れさまです。それだけできるなんてすごいです」
「ああ…。まだこんなのじゃ、魔術使う意味もないんだけどな」
できた子クルクがすぐさまセルツァーに手拭いを差しだし、それを微笑んで受け取ったセルツァー。
なにせ威力が大きい。シェンは魔法陣の中で元の姿へと戻る。大きさは虎ほどはある。
「シェン、今日も炎の塊を出すよ。大きさはボールくらいのだよ」
大きさを手で現してシェンに話すクルクに、シェンは頭を動かして了承し、大きな口を開けて何もない場所へと炎を吐き出す。
その大きさはクルクの表現した大きさより10倍くらい大きかった。
「あー、まだ、全然だね」
「す、すみません」
「そんなに肩に力を入れることはないよ。幻獣と呼ぶ人の相性は抜群にいい。あとは意志の疎通できるくらい仲良くなればいいんだよ。それじゃあ、疲れない程度にどんどん頑張ってみて」
「は、はい。頑張ります」
ウィンレイの励ましの言葉にクルクは力強く返事をして再びシェンにお願いをする。
この場所は他国だったりする。近くに人は住んでいない。魔術の練習によいとウィンレイが見つけた場所で、しかし場所がとても遠い。
シェンの能力が空間を操るものだと気づき、利用できるように転移の魔法陣を強化して、こうして練習場所に転移できるようにした。
お菓子をすべて食べ尽くそうとしているリンメルの隣にウィンレイも座る。リンメルもここにいるのはウィンレイが一緒にいたいからで、うまいこと騙している。
「クルク。少し疲れたみたいだから、今日はもう休みなよ。お茶もいれたし」
「で、でも、僕は何もしてないのに…」
「そんなことはない。無意識に制御しようと魔力を使っているよ。もちろんたいしたほどではないけど、精神が疲れてはシェンが心配する。それでは駄目なんだよ。そこまで焦ることはないよ」
「…はい」
「…なんかウィンレイはクルクに優しくね?」
「へ?」
「おおっ。それって嫉妬? だったらいいんだけど」
「なんでだ? そりゃお前がクルクがいいとか思ったら、俺はその後はどうすりゃいいんだとは思うけども」
嫌そうで少し焦るリンメルであるが、照れているのかは微妙だ。微妙なのであるが、ウィンレイは自分のいいほうに考えようと思う。
ほのぼの仲の良さにクルクは微笑ましく見ている。友達が幸せそうだと自分も幸せだ。
お菓子はリンメルがほとんど食べてしまったが、ウィンレイが軽食とお茶をシェンを利用して部屋から取り出したので、それを大自然の中で楽しむ。
まったりする3人と一匹の前に1人の男が走って近づいてきた。
「クルク! 来てたんだな」
「はい」
まっさきにクルクに声をかけたのは、セルツァーだ。
「急いでやってきたんだね。生徒会の仕事は忙しいだろう」
「きっちりやってきてます。俺でなくてもいいものは任せてますから、それほど忙しくもないですよ」
「そう? それじゃあ練習する?」
「はいっ! お願いします」
クルクが呼ぶ人として修行することになったと、話を聞いたセルツァーも、ウィンレイの教えを受けたいと願い、同じ場所で魔術の練習をすることになった。
もとからウィンレイを尊敬するセルツァーは喜んで練習の為の魔法陣へと向かう。
練習の為の魔法陣は魔力の威力を吸収するもので、被害が起きない。
いい子なクルクには一応優しいウィンレイであるが、セルツァーには優しくない。
「…まさか、それくらいで納得してない? そんなのなんの意味もないよ」
魔術を発動させ水を作り出したセルツァーであるが、その水は弱々しい。コップ一杯くらいが、ふよっと現れたくらいだ。
魔術発動ができる時点で十分すごく、ましてや習って日が経ってないとなると、天才といっていいが、ウィンレイが言うようにそれでは意味がない。
セルツァーは顔を引き締め再び魔術発動の為に集中する。
「はーい。じゃあ、今日はこれまで」
「俺は、まだできます!」
セルツァーの感覚ではすぐの時間だが、すでに日が傾いていた。
「なにいってるの。悪い汗かいてるのにまだできるなんて本当に思ってるの? そうでなくても、魔術の練習は俺がいいと言っている範囲だけって、初めに言っただろ? 言うことをきけないなら俺は何も教えない」
「…すみません。これからもお願いします」
頭が冷えたセルツァーはそれでも不満な思考を無理矢理押し込め、練習用の魔法陣の外へと出た。
「お疲れさまです。それだけできるなんてすごいです」
「ああ…。まだこんなのじゃ、魔術使う意味もないんだけどな」
できた子クルクがすぐさまセルツァーに手拭いを差しだし、それを微笑んで受け取ったセルツァー。
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