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繊細な悪党
繊細な悪党14卑怯
しおりを挟む「なんだ、あれ?」
「魔術で作り出した。見た目が小鳥なだけだよ。リンメル、今回はよかったけど今度から、どんなに大切な親友が危なくてもお守りは自分で持ってること。…まあ、そういうふうに躾るけど」
「ああ? なに言って…」
目が真剣だと気づかずリンメルはウィンレイを睨むが、それをウィンレイは無視して動きの鈍くなった塊を見る。
「んー、学校中にあれが広がってるみたいだね。俺が何人いても処理するのは時間がかかる。しかし…、魔物や魔獣ではなさそうかな? それなら…」
「おい、なにぶつぶつ言ってんだよ。おっちゃんはどこやった」
「うるさい。今の状況くらい理解できなきゃ閉じこめるよ」
冷たく言い放つウィンレイは危険だと感じたリンメルは不服ながら口を閉ざし、ウィンレイの行動を見る。
塊の下に光の複雑な模様が展開され、ウィンレイが手を払ったと思ったら、円形の模様が青白い光の柱を放つ。
「うげげ…」
「静かにしててよリンメル」
「うお?!」
「馬鹿な子を大人しくさせるのは難しいね…」
塊といえるモノは光を浴びて溶けたように形が崩れていった。それが気持ち悪い。しかし崩れた塊の中から青茶の毛の獣が現れた。
澄んだ目が高貴さを醸しだし背の羽を広げる。
「おお…。かっけえ。なんだこれ」
「幻獣だねえ。あ、まともになったといっても危険な生き物だから触らないように」
幻獣は羽ばたくとゆらりと大気にとけこむように消えた。
「うまくいったようだし、他のもこれでいくか。向こうは本人に任せよう」
「なに…うお?!」
リンメルうるさいと心の中で思いながら、ウィンレイは集中する。
身体を光らせるほどの魔力を使って学校中に魔術効果を及ぼしていく。
普通の魔術師が行える技ではない。
「さて、異様なものではなくなったけど混乱しそうだなあ。どうなってるか見に行くか。あ、リンメルは俺についてくるように」
「なんでだ」
「おっちゃん」
「うう…」
一言で大人しくなったリンメルとウィンレイは他の場所を見る為に移動する。
卑怯なウィンレイについていくと、俺が引き入れた男達が捕まってるとこに遭遇した。何があった。
風紀委員がしたのかと思ったけど風紀の奴以外になんか騎士っぽい服装の奴がいるな。
「リンメル! お前よく俺の前に顔を出せたな!」
「ぎゃっ!」
分析してた俺に風紀委員長のグランドがすんげー形相で俺に剣を突きつけてきた。
うおう。もう十分反省してるって。これ以上は必要ないだろ。
「お疲れ様。だけどその子に剣を向けるのは間違いですよ」
恐ろしい顔のグランドにのんびりと声をかけた勇気ある奴はウィンレイだ。勇気あるというか馬鹿かもしれん。剣は俺に向けてんだからこれ以上怒らすなっつーの。
「こいつが無関係だとでも? こいつらを手引きしたのは明白だ」
「そういうことは言ってあったじゃないですか。リンメルは俺が情報を得る為に潜入させてるから見逃しておくようにって」
は? 潜入とかってなんだ。つか、こいつら知り合い?
「…それでも、こいつ自身はそんなこと知らず自分の意志でこいつらに手を貸していた。それを仲間だというのでは?」
たしかに仲間だな。でも今は反省してる。悪いことしすぎたな。けど、知らなかったんだよ。色々。
「…死者はでたのですか?」
「………いや、抵抗した生徒や教師が怪我をおっただけで…。それでも、かなりの怪我でっ」
「それでも、別に命の危険はない程度なんですね。なんだ、それくらいのことでそんなに喚いてたんですか」
「なにをっ! 集めた人間は、生け贄にされる予定だったんだぞ!」
「うえ、マジか。うおっ」
悪趣味なことしようとしてたのかよ。あいつ目がおかしかったもんな。グランドがすげー睨むから、これ以上は口にしないけど。
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