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繊細な悪党
繊細な悪党4お茶会
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予定としては最終的に呼ぶ人をこちら側にする予定ではあるが、リンメルの雇い主にして野心を持つ当主もすべての情報をもっているわけではない。
王家や神殿の情報を探ってみても、それらの情報も不完全なのだ。なので、まずは様子見である。王家側の行動も気になる。
つまりは、今回欺く奴はすげー偉い人か。
すげーな。ま、偉くて金持ちな奴を騙すのが醍醐味だよな。
んで、俺が見張るのは田舎貴族でなんか力があるらしく、その力の秘密を探るのがひとまずの俺の仕事だな。
…あの坊ちゃんだな。
顔はまあきれいなほう?みたいだけど、好きじゃないな。男っつー時点でどうでもいいが。つーか、なんだあの取り巻き。はべらせてご満悦ってか。典型的に貴族で顔のいいのが好きな嗜好の奴な。
怖がりで痛いの苦手で、精神的に引きずりやすいというリンメルなのに、偉い人の敵になることがどんなことになるかなんて考えられないお馬鹿リンメル。
下っ端なんて、事がうまくいっても後々のことを考え消しとく、なんて十分考えられるというのに。
不良な雰囲気の漂うリンメルは、上品な作りの教室で異様なほど浮いていたが、本人はまったく気にせずにいた。
生徒達はこの珍獣をどうしたらいいか困惑して遠巻きにする。
そのリンメルに声をかけた者はけっして親切心でも好奇心でもない。
「あれ? 知らない人がいるね」
リンメルの監視対象のクリュアだ。金の髪に青の瞳と、可愛くて綺麗な顔の、男に受ける容姿をしていた。
「どーもー。新しくきたリンメルっす」
どう監視するか考えていれば、いきなり声をかけられて驚いたリンメルだったが、ちょうどいいかと返事をした。
「そうなんだ。それじゃあ、まだ分からないことが多いだろう?」
「はい。困ってます」
クリュアは同情してあげる自分にいい気分でいるだけなのだと、リンメルはすぐに分かった。そんなタイプの対応は分かる。
「そうか。それなら僕が色々と教えてあげるよ。君は庶民なんだろうから、ここは大変だ」
「本当っすか? すげー嬉しいっす」
喜べば、満足そうな顔のクリュア。
それからリンメルは取り巻きの1人としてクリュアを監視することにする。
そうは言っても、どこにでも着いていくことは出来ない。なにせ、他取り巻き共がなんとかリンメルを近寄らせないようにするからだ。
ま、監視すりゃいいだけだし、この変な集団の後をついてけばいいだけだ。別にあいつに媚び売る必要ないから楽だよな。なんか、わあわあ喚いてるのを聞いてるふりで、時々頷いてやればいい。俺って偉い。普通の奴なら、んなめんどいことやんねえぞ?
「あ! セルツァー!」
あ? うっせ。なんだよ。突然騒ぐな。クリュアがいきなり走り出した。取り巻きどもは慌てて後をついていくんで、俺も仕方なく後を追う。
なんか重要なことかもしれんなとクリュアの姿を目で追えば、なんかムカつく美形の男がいやがった。なんだあの腹立つような顔。プライド高そうで俺らみたいなの見下してそうだよな。
そいつにクリュアは嬉しそうに駆け寄った。うげ…。クリュアの赤くした顔なんて気持ち悪い。
「何か用か?」
おっと、重要なことがないか2人の会話をちゃんと聞いとかないとな。
「何言ってるの。僕達の間に用事なんてなくたって一緒にいるのは当然だろ」
「そういうものか?」
「そういうもの! ね、これからお茶会しようと思ってるんだ。セルツァーも一緒にお茶しよ?」
首をくきっと傾けてクリュアがセルツァーとかいう奴をお茶に誘う。
お茶会って貴族の変な趣味だよな。この後俺も付き合わないといけないのか。憂鬱だ。
セルツァーの奴の表情はよく分からない。嫌がってはいないようだけど。
「すまん。この後、生徒会の仕事があるんだ」
「えー。前もそんなこと言ってた。そんなに忙しいの辞めればいいのに」
「俺じゃなきゃできねえんだよ」
「セルツァーは優秀だものね。しょうがないか。いいよ。でも次は相手してよ」
はー?お前が決めることなのかよ。
まだ顔を赤くしてるのやめろ。監視してる俺は見ないといけねえんだよ。
偉そうな男前が離れていって、その後本当にお茶会とやらになった。うげー。
王家や神殿の情報を探ってみても、それらの情報も不完全なのだ。なので、まずは様子見である。王家側の行動も気になる。
つまりは、今回欺く奴はすげー偉い人か。
すげーな。ま、偉くて金持ちな奴を騙すのが醍醐味だよな。
んで、俺が見張るのは田舎貴族でなんか力があるらしく、その力の秘密を探るのがひとまずの俺の仕事だな。
…あの坊ちゃんだな。
顔はまあきれいなほう?みたいだけど、好きじゃないな。男っつー時点でどうでもいいが。つーか、なんだあの取り巻き。はべらせてご満悦ってか。典型的に貴族で顔のいいのが好きな嗜好の奴な。
怖がりで痛いの苦手で、精神的に引きずりやすいというリンメルなのに、偉い人の敵になることがどんなことになるかなんて考えられないお馬鹿リンメル。
下っ端なんて、事がうまくいっても後々のことを考え消しとく、なんて十分考えられるというのに。
不良な雰囲気の漂うリンメルは、上品な作りの教室で異様なほど浮いていたが、本人はまったく気にせずにいた。
生徒達はこの珍獣をどうしたらいいか困惑して遠巻きにする。
そのリンメルに声をかけた者はけっして親切心でも好奇心でもない。
「あれ? 知らない人がいるね」
リンメルの監視対象のクリュアだ。金の髪に青の瞳と、可愛くて綺麗な顔の、男に受ける容姿をしていた。
「どーもー。新しくきたリンメルっす」
どう監視するか考えていれば、いきなり声をかけられて驚いたリンメルだったが、ちょうどいいかと返事をした。
「そうなんだ。それじゃあ、まだ分からないことが多いだろう?」
「はい。困ってます」
クリュアは同情してあげる自分にいい気分でいるだけなのだと、リンメルはすぐに分かった。そんなタイプの対応は分かる。
「そうか。それなら僕が色々と教えてあげるよ。君は庶民なんだろうから、ここは大変だ」
「本当っすか? すげー嬉しいっす」
喜べば、満足そうな顔のクリュア。
それからリンメルは取り巻きの1人としてクリュアを監視することにする。
そうは言っても、どこにでも着いていくことは出来ない。なにせ、他取り巻き共がなんとかリンメルを近寄らせないようにするからだ。
ま、監視すりゃいいだけだし、この変な集団の後をついてけばいいだけだ。別にあいつに媚び売る必要ないから楽だよな。なんか、わあわあ喚いてるのを聞いてるふりで、時々頷いてやればいい。俺って偉い。普通の奴なら、んなめんどいことやんねえぞ?
「あ! セルツァー!」
あ? うっせ。なんだよ。突然騒ぐな。クリュアがいきなり走り出した。取り巻きどもは慌てて後をついていくんで、俺も仕方なく後を追う。
なんか重要なことかもしれんなとクリュアの姿を目で追えば、なんかムカつく美形の男がいやがった。なんだあの腹立つような顔。プライド高そうで俺らみたいなの見下してそうだよな。
そいつにクリュアは嬉しそうに駆け寄った。うげ…。クリュアの赤くした顔なんて気持ち悪い。
「何か用か?」
おっと、重要なことがないか2人の会話をちゃんと聞いとかないとな。
「何言ってるの。僕達の間に用事なんてなくたって一緒にいるのは当然だろ」
「そういうものか?」
「そういうもの! ね、これからお茶会しようと思ってるんだ。セルツァーも一緒にお茶しよ?」
首をくきっと傾けてクリュアがセルツァーとかいう奴をお茶に誘う。
お茶会って貴族の変な趣味だよな。この後俺も付き合わないといけないのか。憂鬱だ。
セルツァーの奴の表情はよく分からない。嫌がってはいないようだけど。
「すまん。この後、生徒会の仕事があるんだ」
「えー。前もそんなこと言ってた。そんなに忙しいの辞めればいいのに」
「俺じゃなきゃできねえんだよ」
「セルツァーは優秀だものね。しょうがないか。いいよ。でも次は相手してよ」
はー?お前が決めることなのかよ。
まだ顔を赤くしてるのやめろ。監視してる俺は見ないといけねえんだよ。
偉そうな男前が離れていって、その後本当にお茶会とやらになった。うげー。
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