17 / 49
バルファ旅行記つー
つー9
しおりを挟む「わわわ、なにこれ」
「イチト。油断しすぎだ。その男に攻撃されそうだったんだぞ?」
本人は状況が見えてなかったようで、男が倒れた音で吃驚していた。なので俺が教えてやった。
「じゃあ、委員長が助けてくれたんだねー。ありがとー」
「ああ」
そう、一十を助けたのは誠那だ。どうやったのかは見えなかったが。
「委員長が担当してた敵は?」
「そこだ」
誠那が指したところには男が1人倒れていた。
「となると後は…」
いまだ音のする方へ目をやれば、ルーバルトが戦っていた。シャルハはすでに終わっているようだ。俺達の中で一番強いだろうルーバルトが長引くとは、相手もそれほどの使い手なのだろう。
実際、シャルハは2人に割って入ることができないでいる。接近してる2人に魔法を使うのは危ないしな。
長剣同士であり少しの魔法をまじえた戦いだ。俺達も見ているしかない。
ただ、ルーバルトのほうが押している気がする。
それは当然当事者がよく分かってることで、このままではまずいと判断したのか、敵は新たに武器を取り出した。魔法具だろうかと思ったが、
「なにあれ!」
一十が叫ぶ。その理由は、男が取り出した物は、銃、だった。
それが一十と同じ魔法具だとは思えないでいると、引き金が引かれ、銃声が響く。
本物の銃だ。それはたぶん、俺達世界産。
銃口の向けられていたルーバルトはなんとか当たらなかったようで安堵する。しかし、何度も避けれるだろうか?
ルーバルトはさすがにヤバイと考えたのか、足を踏みだし攻撃を仕掛けるが男は思わぬ行動に出た。
銃口を近くにいたシャルハに向けたのだ。
それにはルーバルトの足も止まる。
銃を持つ相手が雑魚なら気にせず攻撃したほうがいいだろうが、こいつはヤバイ。
ルーバルトやシャルハは銃に対する対策なんて知らないだろう。
俺達が動けないでいると男は笛を吹いた。
仲間を呼んだのは明白で、すぐに1人の男が現れた。その男は銃を構える男の近くの地面に魔法陣らしきものを作り出す。
その上に2人が乗ったことから、転移の魔法だろう。他の仲間は捨ててくんだな。
そして魔法陣が光り出した。
銃を構える男はにやりと口角を上げ、ルーバルトに向けて引き金を引いた。再び銃声が響く。その後すぐに2人の男は消えていく。
「やっぱりルーバルトは実力は隠すタイプだったんだな」
ルーバルトは魔法を使った。おそらく魔法具なしでの。それは氷の魔法で、いくつもの氷が発生して、弾の威力を殺したのだろう。
「上手くいくかは未知数だったがな。これでふせげるなら、今後もなんとかなるな。しかし、あんなのがこっちに溢れられると困る」
「…悪い」
「またなんで謝るんだ。オミは」
「また、こっちが悪いだろ?」
「だから前も言ったろ?お互い様なんだよ。向こうで魔法発動した事件は何度かあるらしい」
「…マジか」
一十を見ると頷いていた。そうか。だから特殊警察とかできるんだよな。
その後、見捨てられた連中を本格的に縛る。
捕まえられそうになっていた鳥は、数の少ない幻獣で、神殿に巣を作っていたようだ。怯えていたが、誠那が近づいて撫でると大人しくなった。すでに誠那が現地の人だと分かっているので、嫉妬はしないぞ。羨ましいとは思ったが。
基本はやはり人に触れられるのを嫌うようなので、俺は目に焼き付けるように鳥を眺めて姿を記憶した。
そして、帰るか、となって神殿の外に出たが、
「これは…、駄目ですね…」
屋上にいた時はまだ曇りだった天気がひどくなっていた。真っ黒な雲となり雷が響きだす。風も強く雨が降り始めている。
シャルハが何を駄目だと言ったかというと、ドラゴンに乗って帰ることができない。ドラゴンは平気だが、上に乗る人が堪らないよな。
しかたないと神殿の中へと引き返す。するとちょうど雨が激しくなった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
弟は僕の名前を知らないらしい。
いちの瀬
BL
ずっと、居ないものとして扱われてきた。
父にも、母にも、弟にさえも。
そう思っていたけど、まず弟は僕の存在を知らなかったみたいだ。
シリアスかと思いきやガチガチのただのほのぼの男子高校生の戯れです。
BLなのかもわからないような男子高校生のふざけあいが苦手な方はご遠慮ください。
【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】
彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。
「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
嫌われ者の僕が学園を去る話
おこげ茶
BL
嫌われ者の男の子が学園を去って生活していく話です。
一旦ものすごく不幸にしたかったのですがあんまなってないかもです…。
最終的にはハピエンの予定です。
Rは書けるかわからなくて入れるか迷っているので今のところなしにしておきます。
↓↓↓
微妙なやつのタイトルに※つけておくので苦手な方は自衛お願いします。
設定ガバガバです。なんでも許せる方向け。
不定期更新です。(目標週1)
勝手もわかっていない超初心者が書いた拙い文章ですが、楽しんでいただければ幸いです。
誤字などがありましたらふわふわ言葉で教えて欲しいです。爆速で修正します。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる