バルファ旅行記

はるば草花

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バルファ旅行記つー

つー5

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今日の空は快晴。風が気持ちいい。


「…ところで、どこに行くんだ?」

「さあ?このドラゴンは前を行く奴についていってるだけのようだし」

「え、聞いてないの委員長。…変なとこには連れてかないだろうけど、なかなかに不安だよ」

「いや、これくらいで。よく特殊警察とかやってられるな。つか、実績あんのかよ」

「あるよ!ほとんど向こうの世界での調査によるものだけどさ!それはこっちでも協会がしてるらしいから仕方ないでしょ」

「やっぱたいしたことねえな」

「これから頑張るんだから!」

「だったら、これくらいの予期せぬことくらい堂々と構えていろよ」

「それはそうだけど、…どうして会長は初めてなのにそんな堂々としてられるの。普通、なにがなくとも不安になるものなんだよ?」

「そうだな。バルファ愛のなせる技かな」

「そんなキリッとした顔で、残念発言だよ。そんな主人公みたいな見た目で言われるとがっかり増すよ」

「お前だってチャラそうなのに、意外な顔があるほうが主人公っぽくて俺はいいと思うが、残念さは変わらんよな」

「…褒められたという部分だけ、ありがたく心にとどめるよ」


それから1時間くらいドラゴンの背にゆられて、遠くまで来たように思う。するとだんだん降下してきた。


「衝撃が来るぞ」


誠那の言葉を聞き、前にある誠那の身体にしがみつく。危ないからな。後ろで一十がしがみついてくるのも苦しいが黙認してやろう。


「わっ」

「あわわわわわ」


地面に到着する時、身体浮いた。


「こ、こんなものなのか…ドラゴンって…」


そりゃ飛行機とはいかないだろうし、馬でも振動多いけど。


「これはよく躾けられてるからいいほうだ。ドラゴンが背にいる人間のことを気遣うのは難しい。乗り手も慣れていないと簡単に落とされる」

「うえー。じゃあ、簡単に乗ろうとか思わないほうがいいね。ゲームじゃいい乗り物なんだけどなー」

「そうだな。せめて慣れた者が一緒にいたほうがいいかもな」

「俺は上手く乗れるようになりたい」

「さすが会長…」


一十は疲れた様子だ。俺もさすがに変なとこに力が入って疲れた気がする。しかしドラゴンの騎手とか、うわ、格好よすぎだろ。生態学者になるつもりだったんだが。いや、その為にもドラゴンには乗れたほうがいいよな。


「セイナ。ドラゴン欲しい。どこにいる?」

「……さすがにそう簡単には…」

「無理か…」

「ならやっぱりうちの騎士団に入れ。乗り放題だぞ?」


声に振り向けば余裕そうなルーバルトとシャルハがいた。ドラゴンには乗り慣れてるんだろうな。


「無理だ。自由がなさそう」

「たしかにそれはいえるな」


ルーバルトが納得したことにシャルハが微妙な顔してる。大変だな。


「では行きましょう」

「行くってどこにだ?」

「神殿ですよ。といっても昔のもので、今はもう訪れる人も少ないところなんですが、なかなか見応えがありますよ?」

「へー。でも、なんでまたそこに?」


昔の遺跡的神殿とかダンジョンの定番じゃないか?宝とかあるのか。あるだろ。あ、持ち帰れねえ。いや、ルーバルトに預かってもらえばいいか?


「とくに意味はねえよ?今回はまずバルファを知ってもらう為に移動したんだ。それに今から行く神殿は廃れてるが、いまだ力を維持しているくらいのところだ。行けばなにか起こるかもしれない」

「なにかってなんですか。この人の言うことはあまり気にしなくていいですよ。ただ、いい神殿だと考えてください。まあ、バルファの為に力になることを報告すれば、加護をいただけるかもしれません」


シャルハさんも加護とかは信じているんだな。

降り立った場所は高い所のようだ。森と山と空しか見えないし、地面の所々に高山植物のような花が咲いている。植物全体の大きさのわりに花が大きいのだ。

開けた場所から昔の道かもしれないところを10分ほど進み、坂を上りきったところで遺跡がどーんと目の前に建っていた。


「おー、いい感じの古びた感」


だいぶ高いとこに来たようで、さらに上からきた風が俺達を通り過ぎ下へと降りていった。


「わー…。これ大丈夫なの?いきなり崩れてこない?」


後からやってきた一十が不安そうに、すでに少し崩れてるような神殿を見ている。


「崩れるとか考えたことないが、大丈夫だろ」


ルーバルトが逆に不安なこと言った。ので一十がさらに不安そうな顔になる。


「俺は崩れても本望だ」


古びた神殿でとか、どこの伝説的最後だ。


「えー。他にもたくさんバルファのあれやこれ見たくないの?」

「う…。そこをつかれると辛い」

「考えてもしかたない。ほら、行くぞ」


神殿の入り口には石の階段があり、そこをルーバルトやシャルハがひょいひょいと上っていくが、その階段も壊れていたりと、俺と一十はもたもたと進む。

そう、誠那はひょいひょいと行くのだ。現地人だからと思いたい。

もたもたながらも、なんとか神殿の中へと到着した。
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