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バルファ旅行記
バルファ旅行記3
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「私のことはリーンとお呼びください。それでは皆さん…。バルファへ参りましょう」
案内の女性がリーンさんと名乗り、始まりを告げると、その隣の白い壁に音もなく扉が出現した。
木目があるから木のようだが、金色に光っている。
うちの学園にもないような大きさで豪華な彫刻が施されていた。
「早く行こう!オミ」
メリルに促され、俺は扉の前に立つ。
手を扉にそえると力を込めてもいないのに扉は開く。
そこから光がもれ、辺りを明るく照らしていき、俺は眩しくて目を閉じる。
「オミ!」
服を引っ張られる感覚に目を開けると、そこは、
「ファンタジー世界来たあー!!」
洋風なとある場所という感じのところに俺は立っていた。とくにファンタジーらしさがそれで分かるわけでもないが、肌がひしひしと感じる気がする。
「それでは今から街を案内しますね」
案内のリーンさんの服装が変わってる。さっきは普通の服だったのに、今はあきらかにバルファの服だ。
扉からここまでの移動は一瞬なはずなのにいつ着替えたのか。魔法か?いや、使い手には見えないし、魔法具とか?
ううむ。
「どうしたの?オミ。みんなもう歩いてるよ?」
「ああ…、ちょっと考えごとしてた」
すでに俺達以外の人はリーンさんの後をついていってる。俺も慌ててその後を追った。
「考えごと?」
「ん。リーンさんはどうやって着替えたのかなって」
「それなら、魔法具を使ったみたいよ?力が集まるのが見えたし。オミと話ができるのも、それによるものじゃないかな」
「ほうほう成程な」
冷静に納得しているように振る舞うが、頭の中は大興奮。きたよ。魔法!見てないけど!自分にも施され?てるし。
うおー、この先には魔法がしっかり見れるかもしれんというだけでテンション上がる。たまらん。
「ふふっ、オミかわいいね」
「なぜ」
突然のメリルの発言に首を傾げる。興奮してるんだから、気持ち悪い顔になってるんじゃないか?
少し歩けば街の入り口に着いた。これから街を見物しつつ、城に向かうのだとか。おおお、城!
「この国って大きい国なのか?」
「うん。すごく大きい国のひとつだよ。力もあって、幻獣や私達妖精もたくさんいるよ」
「そっか。なら城とか楽しみだな」
街中は、欧州のどこかにありそうな雰囲気ではあるが、俺が知る限りでは地球にはない形式の建物だ。ちょっとした違いだが、なかなか興味深い。
さっそく街人発見!ゲームでいえば、街の名前なんかを教えてくれるポジションだろうが、この人はちゃんとした人だ。
例え通行人Aでも、初異世界人!
おじさんって感じの男で、顔はやはり西洋よりだ。でもそんなに彫りは深くないかな?服は中世よりは機能的かも。写真集にはなかった。
「あの人にそんなに興味があるの?」
「あー…、見すぎてた?別にそういうわけじゃないんだけど」
変質者並に凝視してただろうか。いかんな。通行人Aが吃驚するだろう。幸いこっちに気づいてないが。
街人には無闇に声をかけることは禁止されている。まったく駄目ってわけじゃないけど、異世界の人に声かけられたら、誰だって困るからな。
「これがバルファなんだな…」
街中はいいだろうと、カメラない代わりに目に焼きつけようとじっくり見る。
「ごく一部だよ?世界にはいろんな場所があるんだから!」
「そうなんだろうけど、俺は長く滞在できないからな」
「そっかあ…」
「これただけでも幸せなんだよ。あ!あれは?」
「ん?溜め水のこと?」
石が組み合わされたものに水が溜まっていて、石でできた口から水が出てきている。
「こ、これ、水、飲んでいいのか?」
「もちろん!」
「おおお」
両手で受け止め、異世界の水を飲む。
………甘くて旨いと思う。
「これがバルファの味か。土産に持って帰りたいな」
「水はどこでも一緒だよ?」
「たしかにそうだけど、水の含有物は地域によって違ったりするし」
「?オミは難しいこと知ってるのね?」
お持ち帰りは禁止なので、水だって無理。諦めて再び街中見物をする。
「にぎやかでいい街だな」
「うん!私もこの街好きだよ。よく姿を消してお祭りに紛れこんだりしてる」
姿消せる発言いただきました!不思議ですね!
「…しかし、俺達はやっぱりここの人達から見て変なのか?こっちをチラチラ見てる」
服装は向こうのまんまだしな。
「違うよ。オミの世界の人はよくここに来るから、もうけっこう見慣れてるよ。オミを見てるのはオミがかっこいいからだよ?」
「そうなのか?」
自分の容姿がいいのは分かってるが、そんなにか?
案内の女性がリーンさんと名乗り、始まりを告げると、その隣の白い壁に音もなく扉が出現した。
木目があるから木のようだが、金色に光っている。
うちの学園にもないような大きさで豪華な彫刻が施されていた。
「早く行こう!オミ」
メリルに促され、俺は扉の前に立つ。
手を扉にそえると力を込めてもいないのに扉は開く。
そこから光がもれ、辺りを明るく照らしていき、俺は眩しくて目を閉じる。
「オミ!」
服を引っ張られる感覚に目を開けると、そこは、
「ファンタジー世界来たあー!!」
洋風なとある場所という感じのところに俺は立っていた。とくにファンタジーらしさがそれで分かるわけでもないが、肌がひしひしと感じる気がする。
「それでは今から街を案内しますね」
案内のリーンさんの服装が変わってる。さっきは普通の服だったのに、今はあきらかにバルファの服だ。
扉からここまでの移動は一瞬なはずなのにいつ着替えたのか。魔法か?いや、使い手には見えないし、魔法具とか?
ううむ。
「どうしたの?オミ。みんなもう歩いてるよ?」
「ああ…、ちょっと考えごとしてた」
すでに俺達以外の人はリーンさんの後をついていってる。俺も慌ててその後を追った。
「考えごと?」
「ん。リーンさんはどうやって着替えたのかなって」
「それなら、魔法具を使ったみたいよ?力が集まるのが見えたし。オミと話ができるのも、それによるものじゃないかな」
「ほうほう成程な」
冷静に納得しているように振る舞うが、頭の中は大興奮。きたよ。魔法!見てないけど!自分にも施され?てるし。
うおー、この先には魔法がしっかり見れるかもしれんというだけでテンション上がる。たまらん。
「ふふっ、オミかわいいね」
「なぜ」
突然のメリルの発言に首を傾げる。興奮してるんだから、気持ち悪い顔になってるんじゃないか?
少し歩けば街の入り口に着いた。これから街を見物しつつ、城に向かうのだとか。おおお、城!
「この国って大きい国なのか?」
「うん。すごく大きい国のひとつだよ。力もあって、幻獣や私達妖精もたくさんいるよ」
「そっか。なら城とか楽しみだな」
街中は、欧州のどこかにありそうな雰囲気ではあるが、俺が知る限りでは地球にはない形式の建物だ。ちょっとした違いだが、なかなか興味深い。
さっそく街人発見!ゲームでいえば、街の名前なんかを教えてくれるポジションだろうが、この人はちゃんとした人だ。
例え通行人Aでも、初異世界人!
おじさんって感じの男で、顔はやはり西洋よりだ。でもそんなに彫りは深くないかな?服は中世よりは機能的かも。写真集にはなかった。
「あの人にそんなに興味があるの?」
「あー…、見すぎてた?別にそういうわけじゃないんだけど」
変質者並に凝視してただろうか。いかんな。通行人Aが吃驚するだろう。幸いこっちに気づいてないが。
街人には無闇に声をかけることは禁止されている。まったく駄目ってわけじゃないけど、異世界の人に声かけられたら、誰だって困るからな。
「これがバルファなんだな…」
街中はいいだろうと、カメラない代わりに目に焼きつけようとじっくり見る。
「ごく一部だよ?世界にはいろんな場所があるんだから!」
「そうなんだろうけど、俺は長く滞在できないからな」
「そっかあ…」
「これただけでも幸せなんだよ。あ!あれは?」
「ん?溜め水のこと?」
石が組み合わされたものに水が溜まっていて、石でできた口から水が出てきている。
「こ、これ、水、飲んでいいのか?」
「もちろん!」
「おおお」
両手で受け止め、異世界の水を飲む。
………甘くて旨いと思う。
「これがバルファの味か。土産に持って帰りたいな」
「水はどこでも一緒だよ?」
「たしかにそうだけど、水の含有物は地域によって違ったりするし」
「?オミは難しいこと知ってるのね?」
お持ち帰りは禁止なので、水だって無理。諦めて再び街中見物をする。
「にぎやかでいい街だな」
「うん!私もこの街好きだよ。よく姿を消してお祭りに紛れこんだりしてる」
姿消せる発言いただきました!不思議ですね!
「…しかし、俺達はやっぱりここの人達から見て変なのか?こっちをチラチラ見てる」
服装は向こうのまんまだしな。
「違うよ。オミの世界の人はよくここに来るから、もうけっこう見慣れてるよ。オミを見てるのはオミがかっこいいからだよ?」
「そうなのか?」
自分の容姿がいいのは分かってるが、そんなにか?
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