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拘束2
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この閉鎖的な軍事学校にいて、生徒達は人を疑うことを教えられる。それは禁止されてるにも関わらず、勝手に能力を使う者がたえないので、自分の身を守らなければならないからだ。
そんな中だからこそ、比坂は身内に甘かった。生徒会長という立場もあり隙を見せることはしないが、せめてと同じ役員は守りたいと考えている。
だから、実元の脅迫に応じた。
しかし何故、そんな要求をしてくるのか分からない。
恨まれているからではないかと推測してはいるが、だからといって、そんなに悪い男だと思えない。
前は友人関係だった。
実元は真面目で正義感のある好感のもてる男だった。それがあんなふうに変わってしまったのは、きっと自分のせいに違いないと、比坂は傷ついている心を、罪悪感でごまかしていた。
いつまで続くか分からない関係で、この学校にいる間は続くのかもしれない。
学校内が最近騒がしくなった。
そんな中、比坂は1人で生徒会室で仕事をしている。
とても珍しい転校生がやってきたのだ。それも格下の学校からやってきた。最近になって能力が格段に上がった為である。
その転校生は性格は快活とでもいうのか、元気すぎるほどで、言いたいことをはっきり言うようなタイプであり、そのうえ顔は美少女に見紛うほどだ。
そして特殊な能力の操り方ができるという話である。
誰もが電気を利用した能力であるものの、操り方次第で様々なことができるのである。なので、新たな操り方は誰もが知りたいところだった。使えるようになるかは別ではあるが。
見た目、性格、その能力に惹かれ、生徒達は転校生と多く関わりを持とうとして、現在学校は騒がしいのだ。
比坂以外の役員達にどうしても転校生の操り方を知りたいと頭を下げられたので、仕方ないと生徒会の仕事を一手に引き受けることにした。
ライバルが多いのか、一週間たっても役員達は生徒会室に戻ってはこない。
なんとなく比坂は顔を上げ、他の机を見渡すが誰もいない。少し寂しさも感じたが、仕方ないと再び書類に目を向ける。
そんな時、ノックの音が響いた。
「失礼するぜ?」
「…何の用だ」
実元が楽しげな顔で入ってきた。
「ん、なに、ご奉仕してもらおうとな」
比坂の顔が強ばる。
こんなところでなに言ってると叫ぶのも虚しく、すぐに身体の自由を奪われた。
「ふ、く、」
「もっといい声だせよ。おらっ」
「あああっ」
仕事をしていた机に身体を押しつけられ、後ろから身体を打ちつけられる。
こんな場所で行為に及ぼうとは前ならしなかった。おそらく他の役員がいないことを知っているからだろうが。それにしたって誰かがやってこないとも限らないのに。
比坂の中から実元が出ていくと比坂はその場に崩れた。
「そんなによかったか? そうそう、悪いがこの書類もやっといてくれよ」
ばさりと床に書類を落とし、実元は部屋から出ていった。
比坂はそのままの状態はまずいので、すぐに立ち上がり仮眠室へと向かう。最近はそこで寝起きをしており、シャワーが出来て、着替えなど一通り揃っていた。それがよかったといえるのか、比坂は自嘲の笑みを浮かべた。
それからさらに一週間しても役員は戻ってくることはなく、学校内の空気はさらに悪化していた。
しかし比坂はほとんど生徒会室にこもっているので現状はよく分からない。自分の親衛隊からの情報では転校生につく生徒とそれに反発する生徒で二分した状態であるとだけ聞いている。
できあがった書類を教員に持っていこうと部屋を出る。外で見かける生徒の空気は悪いように見えた。
生徒の中には比坂の存在に気づかず愚痴をこぼす。
「だいたい風紀はなにやってんだよ。あちこちで能力を勝手に使う奴が増えたってのに、一向におさまらない!」
「能力ないんじゃないか?」
生徒会も騒動を解決する必要はあるが、暴力事件などは風紀の管轄だろうと考える。騒動が収まらないことで生徒の鬱憤が風紀に向かうのも当然かもしれない。
気になった比坂は教員に書類を渡しおえると、今度は急ぎでもない風紀への書類を手にして風紀室へと向かった。
そんな中だからこそ、比坂は身内に甘かった。生徒会長という立場もあり隙を見せることはしないが、せめてと同じ役員は守りたいと考えている。
だから、実元の脅迫に応じた。
しかし何故、そんな要求をしてくるのか分からない。
恨まれているからではないかと推測してはいるが、だからといって、そんなに悪い男だと思えない。
前は友人関係だった。
実元は真面目で正義感のある好感のもてる男だった。それがあんなふうに変わってしまったのは、きっと自分のせいに違いないと、比坂は傷ついている心を、罪悪感でごまかしていた。
いつまで続くか分からない関係で、この学校にいる間は続くのかもしれない。
学校内が最近騒がしくなった。
そんな中、比坂は1人で生徒会室で仕事をしている。
とても珍しい転校生がやってきたのだ。それも格下の学校からやってきた。最近になって能力が格段に上がった為である。
その転校生は性格は快活とでもいうのか、元気すぎるほどで、言いたいことをはっきり言うようなタイプであり、そのうえ顔は美少女に見紛うほどだ。
そして特殊な能力の操り方ができるという話である。
誰もが電気を利用した能力であるものの、操り方次第で様々なことができるのである。なので、新たな操り方は誰もが知りたいところだった。使えるようになるかは別ではあるが。
見た目、性格、その能力に惹かれ、生徒達は転校生と多く関わりを持とうとして、現在学校は騒がしいのだ。
比坂以外の役員達にどうしても転校生の操り方を知りたいと頭を下げられたので、仕方ないと生徒会の仕事を一手に引き受けることにした。
ライバルが多いのか、一週間たっても役員達は生徒会室に戻ってはこない。
なんとなく比坂は顔を上げ、他の机を見渡すが誰もいない。少し寂しさも感じたが、仕方ないと再び書類に目を向ける。
そんな時、ノックの音が響いた。
「失礼するぜ?」
「…何の用だ」
実元が楽しげな顔で入ってきた。
「ん、なに、ご奉仕してもらおうとな」
比坂の顔が強ばる。
こんなところでなに言ってると叫ぶのも虚しく、すぐに身体の自由を奪われた。
「ふ、く、」
「もっといい声だせよ。おらっ」
「あああっ」
仕事をしていた机に身体を押しつけられ、後ろから身体を打ちつけられる。
こんな場所で行為に及ぼうとは前ならしなかった。おそらく他の役員がいないことを知っているからだろうが。それにしたって誰かがやってこないとも限らないのに。
比坂の中から実元が出ていくと比坂はその場に崩れた。
「そんなによかったか? そうそう、悪いがこの書類もやっといてくれよ」
ばさりと床に書類を落とし、実元は部屋から出ていった。
比坂はそのままの状態はまずいので、すぐに立ち上がり仮眠室へと向かう。最近はそこで寝起きをしており、シャワーが出来て、着替えなど一通り揃っていた。それがよかったといえるのか、比坂は自嘲の笑みを浮かべた。
それからさらに一週間しても役員は戻ってくることはなく、学校内の空気はさらに悪化していた。
しかし比坂はほとんど生徒会室にこもっているので現状はよく分からない。自分の親衛隊からの情報では転校生につく生徒とそれに反発する生徒で二分した状態であるとだけ聞いている。
できあがった書類を教員に持っていこうと部屋を出る。外で見かける生徒の空気は悪いように見えた。
生徒の中には比坂の存在に気づかず愚痴をこぼす。
「だいたい風紀はなにやってんだよ。あちこちで能力を勝手に使う奴が増えたってのに、一向におさまらない!」
「能力ないんじゃないか?」
生徒会も騒動を解決する必要はあるが、暴力事件などは風紀の管轄だろうと考える。騒動が収まらないことで生徒の鬱憤が風紀に向かうのも当然かもしれない。
気になった比坂は教員に書類を渡しおえると、今度は急ぎでもない風紀への書類を手にして風紀室へと向かった。
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