2 / 2
始まりの章
第一話 誕生
しおりを挟む
「はぁ、はぁ、はぁ...」
ある王国の外れにある貧民街.....そこを走り抜ける栗色の髪の青年がいた。
彼は上下ともに上品な身なりで腰元には美しい装飾が施された鞘に収められた剣を差していたる。一見貴族の出のようでとても貧民街とは縁が無さそうな青年。
しかし彼には理由がありこの貧民街を駆け巡っている。
「カインさん!こっちですよ!」
青年──カインを見かけたボロボロの衣服を着込んだ男がカインの名を呼び誘導する。
「ありがとう!」
カインは男の示した道を行き走り続ける。その道を真っ直ぐ行くと目の前には人だかりが出来たボロボロのテントのような家だった。
「! やっときたよ!」
「待ってたぜ大将!」
「カイン兄ちゃん早く早く!」
家の周りに集まっているのは皆この貧民街の住人。老若男女、子供らがカインを待ちわびたかのように声をかけ道を開けカインは開けた道を通り家に入り込む。
「アリシア!」
「.....! カイン...!」
カインがアリシアと呼んだ紅髪碧眼の女性は年寄りの女性や子供達を始め多くの人に囲まれながら布団で寝転んでいた。
カインの視線はそのアリシアの腕の懐で静かに眠る小さな赤ん坊。その赤ん坊はアリシアと同じ紅髪であった。
「ああ...ああ...!!」
カインはアシリア、そして赤ん坊を見て笑みを浮かべその瞳から涙を流す。
「...かわいい男の子ですよ。よかったですねカインさん」
おそらく産婆であろう優しい顔をした老婆はカインに向け語る。
「よく....頑張ったな、アリシア...!」
「カイン....ほら、貴方も抱っこしてあげて?」
そういいアリシアは静かに眠る赤ん坊を優しく、そっと抱き上げカインの腕元へ渡す。
「はは....こんなにちっちゃいんだなぁ....。生まれてきてくれて、ありがとうな....!」
「やっほー!!」
「おめでとう二人共!」
「アリシアちゃん、カインさん....これからは家族3人で幸せになるんだぞ!」
「今日は俺達が盛大に祝ってやろう!」
周りに集まった貧民街の住人たちも共に喜んでくれる。彼らにとってアリシア...そしてカキンも家族同然の存在。家族の幸せを喜ぶのは当然だ。
「そういえばアリシア....この子の名前は?」
「さっき決めたわ。この子の名前は....」
赤ん坊の頭を優しく撫でながら、アリシアは赤ん坊の名を呼ぶ。
「アゼム.....。私たちの大切な子供。私たちの間に生まれてきてくれて....本当にありがとう、アゼム...!」
カインとアリシアの子 アゼム。この赤ん坊が生まれたその瞬間、運命の歯車は静かに、少しずつハマり、そして動き出す。
ある王国の外れにある貧民街.....そこを走り抜ける栗色の髪の青年がいた。
彼は上下ともに上品な身なりで腰元には美しい装飾が施された鞘に収められた剣を差していたる。一見貴族の出のようでとても貧民街とは縁が無さそうな青年。
しかし彼には理由がありこの貧民街を駆け巡っている。
「カインさん!こっちですよ!」
青年──カインを見かけたボロボロの衣服を着込んだ男がカインの名を呼び誘導する。
「ありがとう!」
カインは男の示した道を行き走り続ける。その道を真っ直ぐ行くと目の前には人だかりが出来たボロボロのテントのような家だった。
「! やっときたよ!」
「待ってたぜ大将!」
「カイン兄ちゃん早く早く!」
家の周りに集まっているのは皆この貧民街の住人。老若男女、子供らがカインを待ちわびたかのように声をかけ道を開けカインは開けた道を通り家に入り込む。
「アリシア!」
「.....! カイン...!」
カインがアリシアと呼んだ紅髪碧眼の女性は年寄りの女性や子供達を始め多くの人に囲まれながら布団で寝転んでいた。
カインの視線はそのアリシアの腕の懐で静かに眠る小さな赤ん坊。その赤ん坊はアリシアと同じ紅髪であった。
「ああ...ああ...!!」
カインはアシリア、そして赤ん坊を見て笑みを浮かべその瞳から涙を流す。
「...かわいい男の子ですよ。よかったですねカインさん」
おそらく産婆であろう優しい顔をした老婆はカインに向け語る。
「よく....頑張ったな、アリシア...!」
「カイン....ほら、貴方も抱っこしてあげて?」
そういいアリシアは静かに眠る赤ん坊を優しく、そっと抱き上げカインの腕元へ渡す。
「はは....こんなにちっちゃいんだなぁ....。生まれてきてくれて、ありがとうな....!」
「やっほー!!」
「おめでとう二人共!」
「アリシアちゃん、カインさん....これからは家族3人で幸せになるんだぞ!」
「今日は俺達が盛大に祝ってやろう!」
周りに集まった貧民街の住人たちも共に喜んでくれる。彼らにとってアリシア...そしてカキンも家族同然の存在。家族の幸せを喜ぶのは当然だ。
「そういえばアリシア....この子の名前は?」
「さっき決めたわ。この子の名前は....」
赤ん坊の頭を優しく撫でながら、アリシアは赤ん坊の名を呼ぶ。
「アゼム.....。私たちの大切な子供。私たちの間に生まれてきてくれて....本当にありがとう、アゼム...!」
カインとアリシアの子 アゼム。この赤ん坊が生まれたその瞬間、運命の歯車は静かに、少しずつハマり、そして動き出す。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ミネルヴァ大陸戦記
一条 千種
ファンタジー
遠き異世界、ミネルヴァ大陸の歴史に忽然と現れた偉大なる術者の一族。
その力は自然の摂理をも凌駕するほどに強力で、世界の安定と均衡を保つため、決して邪心を持つ人間に授けてはならないものとされていた。
しかし、術者の心の素直さにつけこんだ一人の野心家の手で、その能力は拡散してしまう。
世界は術者の力を恐れ、次第に彼らは自らの異能を隠し、術者の存在はおとぎ話として語られるのみとなった。
時代は移り、大陸西南に位置するロンバルディア教国。
美しき王女・エスメラルダが戴冠を迎えようとする日に、術者の末裔は再び世界に現れる。
ほぼ同時期、別の国では邪悪な術者が大国の支配権を手に入れようとしていた。
術者の再臨とともに大きく波乱へと動き出す世界の歴史を、主要な人物にスポットを当て群像劇として描いていく。
※作中に一部差別用語を用いていますが、あくまで文学的意図での使用であり、当事者を差別する意図は一切ありません
※作中の舞台は、科学的には史実世界と同等の進行速度ですが、文化的あるいは政治思想的には架空の設定を用いています。そのため近代民主主義国家と封建制国家が同じ科学レベルで共存している等の設定があります
※表現は控えめを意識していますが、一部残酷描写や性的描写があります
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
王都交通整理隊第19班~王城前の激混み大通りは、平民ばかりの“落ちこぼれ”第19班に任せろ!~
柳生潤兵衛
ファンタジー
ボウイング王国の王都エ―バスには、都内を守護する騎士の他に多くの衛視隊がいる。
騎士を含む彼らは、貴族平民問わず魔力の保有者の中から選抜され、その能力によって各隊に配属されていた。
王都交通整理隊は、都内の大通りの馬車や荷台の往来を担っているが、衛視の中では最下層の職種とされている。
その中でも最も立場が弱いのが、平民班長のマーティンが率いる第19班。班員も全員平民で個性もそれぞれ。
大きな待遇差もある。
ある日、そんな王都交通整理隊第19班に、国王主催の夜会の交通整理という大きな仕事が舞い込む。
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
聖なる幼女のお仕事、それは…
咲狛洋々
ファンタジー
とある聖皇国の聖女が、第二皇子と姿を消した。国王と皇太子達が国中を探したが見つからないまま、五年の歳月が過ぎた。魔人が現れ村を襲ったという報告を受けた王宮は、聖騎士団を差し向けるが、すでにその村は魔人に襲われ廃墟と化していた。
村の状況を調べていた聖騎士達はそこである亡骸を見つける事となる。それこそが皇子と聖女であった。長年探していた2人を連れ戻す事は叶わなかったが、そこである者を見つける。
それは皇子と聖女、二人の子供であった。聖女の力を受け継ぎ、高い魔力を持つその子供は、二人を襲った魔人の魔力に当てられ半魔になりかけている。聖魔力の高い師団長アルバートと副団長のハリィは2人で内密に魔力浄化をする事に。しかし、救出したその子の中には別の世界の人間の魂が宿りその肉体を生かしていた。
この世界とは全く異なる考え方に、常識に振り回される聖騎士達。そして次第に広がる魔神の脅威に国は脅かされて行く。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる