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2日目 飼育許可について

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 ドラゴンは、どうやって入手するのか。

 ペットショップで取り扱っているところもあるとは聞いたが、犬猫と一緒にドラゴンが居られるのだろうか。他の動物たちが萎縮しそうだ。

 とりあえず、自治体に、飼育許可が出るか、聞いてみることにした。

 何課に聞けば良いのかわからず、総合窓口に連絡して、それから電話は三十分間、市役所中をたらい回しになった。

 内線を飛ばし、別の内線に辿り着き、また、別の内線に飛ばされ……と、結局、市役所を一週くらいはしただろう。

 結局、住民課の「みんなの生活係」が回答してくれたが、こういうマッチングをAI受付にさせたら、お互いに余計な時間を使わずにすんでハッピーになれるような気がしたが、まだ「資料はFAXで送ってください」などといわれる場所なので、多分、無理だろう。

 みんなの生活係の担当、ヨコツカさんという方は、淡々と答えてくれた。

「あの、ドラゴンってうちの市では飼えますか? 飼育可能か、という意味です」

「ドラゴン? あぁ、まず、寿命の確認と子孫への遺言、十分な遺産が残されることが条件です。それと、用地の確保。ワクチン等の接種はありません。あとは餌や排泄物の処理等をクリアにして、飛行する場合は、小型飛行機に準じ、乗って陸を走行する場合には、普通乗用車に準じます。住宅地で、まだ電線が多い地域では飛行禁止です。あと、近くの空港に届け出も必要です。また、百カイリを越えて、海上へ出ることも禁止されていますので、良く確認してください。なお、用途は?」

「あ、愛玩用です」

「それならば、この程度の手続きで受理できるでしょう。書類は、こういった手続きが得意でなければ、行政書士に依頼するとスムーズですよ」

 ヨコツカさんは、「他になければ失礼」と、会話を打ち切った。

 なるほど。

 インスタでは、可愛く着飾ったドラゴンばかりだったが、一緒に空を飛んだり、色々な事ができるかも知れないのか。

 空は飛んでみたい。

 飛行機すら怖くて乗ることが出来ないというのに、可能だろうか?

 けれど想像してみる。

 澄み渡った青空。

 そこを力強く羽ばたくドラゴン。風をひゅんひゅん切って猛スピードで、風圧に負けそうになりながら一緒に飛ぶ。

 想像するだけで、わくわくする。

 一般車両に混じってドラゴンと一緒に街を歩く。これも楽しそうだ。街路樹を食べないように、気をつけてもらう必要があるかも知れない。

 ドラゴンと、何をしたいのか。

 イメージとビジョンを膨らませる必要がある。
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