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 蓮は、隣に座る啓司の太腿に手を置くと、そのまま中心へと手を滑らせた。

「っ……っ!」

 啓司の肩が、小さく揺れる。

 すでに、いくらか興奮していたようだった。

「僕は……啓司のをしたいとは思うんだけど、それを、啓司の命令とかではやりたくない」

 さわさわと、啓司の中心を撫でる。熱く、固く、脈打っている。すでに、慣れた感触だった。

「命令はするつもりはないけど……、一緒じゃないの?」

「違うよ。僕は、命令されたら、絶対にしないから。……自発的にするのと、命令されてやる性的な奉仕は、全く違う」

「まあ……たしかに、そりゃそうだな」

 啓司は納得したように呟く。

「……合意が取れてれば、和姦だけど、無理矢理だったら強姦だもんな」

「そういうこと。……啓司は、どうせ、毎日のようにコレしてるんでしょ? だから、それを、僕が手伝ってるだけ。そういうことで良いと思うんだけど」

「それなら。……あっ、でも、そんなに毎日毎日、シてる訳じゃないよ。俺だって……」

「そうなんだ。じゃあ、頻度は決める?」

「でもなぁ、なんとなくするもんじゃないの? 自分で今日はオナニーしようって決めてやるヤツって、そんなに居ないんじゃないかと思うんだけど」

「だけど、急に今からするけど、どうするって呼び出されるのも、ちょっと微妙だね」

「それは微妙だ」

「曜日を決める?」

「ああ、それが……」

 と言って、一度、啓司は言を切った。「あのさ、それだとなんか、義務感、出ない?」

「たしかに」

「じゃあ、さ……蓮、今日から、一緒に、部屋で勉強しない?」

 啓司からの提案に、蓮は、一度目を瞬かせて「その手があるのは気付かなかった」と快諾した。気分が乗ったら、オナニーをする。そして、気分が乗らなかったら、勉強をする。

「よかった」

 毎日、一緒に勉強していれば、また、飛鳥井のような「ちょっかい」もなくなるだろう。それは、願ったり叶ったりだ。

「でも、安全のために、出来れば、不定期に、俺の部屋と蓮の部屋を行き来したい」

「安全……」

 それはどういうことかと思ったら「毎日同じ行動を取っていると、狙われやすい。ルートは変えるべきだ」と硬い顔をして啓司が言う。

「まあ、確かに……」

「解ってるだけでも飛鳥井とか、お前の親戚とか居るんだから、用心するに越したことはないんだよ」

「啓司が襲われる心配は?」

「なくはないけど……その為に、護身術はやってるし、防犯対策もしてる。例えば、俺が急に倒れたら、実家に通報が行く」

「スマートウォッチみたいな機能が付いてるのか……」

「うん。過保護なんだけど、まあ、仕方がない。そういう家に生まれたと思って諦めている……だから、やれる手段は講じる」

 そういってから「ところで」と啓司は、蓮を恨めしそうに見やる。

「さっきから……その、そろそろ……」

 言われて、はたと気がついた。さっきから、ずっと、蓮は、啓司のそこを撫でたままだった。

「あっ、ごめん……いま、ヌくね」

「ごめん。あとさ、もし……もし……良いなら……さ」

 啓司が、すこしだけ言いづらそうに、切り出す。

「また、口にします……?」

「いや、その……それは、良いんだけど……」

 啓司が、赤い顔をして、蓮に切り出す。

「なに? ……さすがに、僕は、おっぱいはないから、挟むとかは無理だよ?」

「あ、そーじゃなくって! ……蓮が、してるところも見せてよ」

 思わぬ事を言われて、蓮は、思考が固まってしまった。まさか、そんなことを言われるとは思わなかったからだ。

「見せる……って」

「だから、してる所」

「なんで……?」

「俺だけされてるのはずるいと思ったから。蓮も、自分で……するんでしょ?」

 探るような言い方だった。

「まあ、するよ……?」

「俺だって、最初見られたんだから、お互い様だと思うんだけど」

 恥ずかしくなって、蓮は啓司から視線をはずす。

「俺だって……されるだけだと、ちょっと、恥ずかしいよ」

「改めて、してるところを見せろって言われる方が、恥ずかしいのに」

 とんでもないことを言われているのは解ったが、仕方がない。

「じゃあ……明日。僕の部屋で……さすがに、ここで、しろって言われても、ちょっとイヤ。命令されるみたいで」

「じゃあ、明日楽しみにしてる」

 それは、本当だったのかも知れない。

 啓司の欲望は、いっそう、確かになったからだった。

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