上 下
7 / 22

7

しおりを挟む


「お、おう……」

 恥ずかしがっている啓司の様子が、可愛いく見える。蓮の手の中で、存在感を増していくそれは、硬度を伴って、熱く滾っている。

「鷲尾くんは、毎日してるの?」

「えっ!?」

「ちょっとした興味」

「お前は……どうなんだよ。そんなこと、しなそうな感じだけど」

「しなそう?」

「潔癖っぽくみえる」

 しばらくしてから「みえた」と啓司は言い直した。

「みえたって……なんで、過去形?」

 少し強く握ってみると、くっ、と小さく啓司が呻く。反応があるのが、素直に嬉しい。

「あ……だって、なんとなく……あんまり人とつるまない、から?」

「それで、潔癖? 僕の噂は聞いてると、思うけど?」

 くすくす、と。思わず笑いが漏れた。いかがわしい、ふしだらな噂。蓮自身と、蓮の母親を貶めるための噂だ。

「それは、聞いたけど……努力してるのは、知ってる。それに、大学の推薦が決まってるって言うのも、あの時点では嘘だったのも知ってる。俺の方に、エスカレートでの推薦の話が来てたから。……だから、先生たちと、色々してるっていうのが嘘だって言うのは、知ってただけだよ」

「えっ」

「……前、図書館で見かけた」

「図書館で、ゲームしてるやつもいるよ」

「……鳩ヶ谷は、違かったよ。ノートなんか、びっしり書いてあった。勉強してるやつ以外、あんなふうにはならないだろ」

 蓮は、胸のあたりがじんわりと暖かくなるのを感じた。

(僕は……完全に眼中にないってわけじゃなかったんだ……)

 それならば嬉しい。

「な、なんだよ! にやにや笑って」

「ん?? なんでもないけど……今日もさせてくれるお礼と……昨日より楽しくなってもらわないと、とおもって」

 蓮は啓司のズボンの前をくつろげた。

  勃ちあがって、もっと快楽が、欲しいと主張するそれを、下着の中から引きずり出す。赤く充血した雄々しい器官を、直接手で触れる。熱くて十分な硬度があった。

「あ、のさ」

 啓司が小さく、蓮に話しかける。

「なに?」

「それ、触るの……気持ち悪くない? その……他人の、そういうの」

「え? 別に……手に触るのと大差ないと思うんだけど? なにか特別?」

「全然違うだろ……こっちは、もっと……センシティブで、個人的なものだろって」

 個人的。

「鷲尾くんの身体は全部鷲尾くんだけのものなんだから、なにもかも、個人的だと思うけど」

「だ、だから! 程度があるだろ」

「僕は……鷲尾くんのだったら、手もここも、おんなじだと思ってるけどな」

 さわさわと撫でると啓司が、小さな声を出して呻いた。手の中のそれは、いっそう雄々しさをましたようだった。

「凄……」

「ちょっ……見る、なって……」

「なんで? こんなに立派なのに」

 くすくすと、笑いながら蓮は指先でその輪郭をなぞった。

「あ、っ……」

 啓司の喉がのけ反る。

「これ、気持ち良いんだ……じゃ、これは……? んっ……」

 蓮は啓司の欲望を、ぱくっと躊躇いなく口に含んだ。口いっぱいに、啓司の存在がある。根元まで飲み込みたかったが、口腔の奥を刺激されて、思わずえずきそうになる。

「あ、ちょっとっ! な、何して……」

 狼狽える啓司に、お構いなしで蓮は啓司の欲望に奉仕する。

 口の奥まで吸い上げるように、含みつつ、顔を引いたり押したりしながら、啓司の欲望を扱う。熱い、肉の感触を口いっぱいに感じた。口蓋や内頬が、この肉塊に擦られると、それだけどなぜか気持ちが良くて、体の中心に熱が集まっていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

(…二度と浮気なんてさせない)

らぷた
BL
「もういい、浮気してやる!!」 愛されてる自信がない受けと、秘密を抱えた攻めのお話。 美形クール攻め×天然受け。 隙間時間にどうぞ!

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

天使様はいつも不機嫌です

白鳩 唯斗
BL
 兎に角口が悪い主人公。

当たって砕けていたら彼氏ができました

ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。 学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。 教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。 諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。 寺田絋 自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子 × 三倉莉緒 クールイケメン男子と思われているただの陰キャ そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。 お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。 お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

処理中です...