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第一章 夫婦の縁
07.美弥には出来ないこと ★
しおりを挟む鼈甲の張型に頬刷りをした美弥は、とても美しかった。
月の、冷たい銀色の光に照らされて、しろく冴え冴えと輝く美弥は、観音様のように神々しい、とお多津は見蕩れる。
やがて、美弥が着物をからげた。胸元を寛げ、そこから、白くて張りのある乳房があらわになる。頂点は、頼りなくたち上がっていた。そして、裾を広げていく。白い太腿その、頂点。秘密めいた茂みの奥の場所まで、あらわになった。
「……道具屋さんは、どんな風になさっていたの?」
問われて、お多津は、ハッと我に返った。
「はい、道具屋のお瑠璃様は……張型で胸をなでたり、最後には、お女陰に出し入れをなさっておりましたが……」
「そう、こんなふうに?」
張りのある白い乳房に張型が押し当てられて、へしゃげる。
「……別に、どうということはないけれど。道具屋はどのような様子だったのかしら」
「特別に変わったことはしておられませんでしたけれど、胸の頂も、赤くなって固く張り詰めた様子でございました」
「……乳など、弄って、快は得られるのかしら……」
美弥は首を捻りながら、夫との閨を思い出した。夫の手は、美弥の乳房を揉みしだき、赤子のように乳を吸ったのだが……くすぐったかったり、すこし痛いくらいで、特になにも感慨はなかったのを想い出す。
(……たとえば、これが、殿の陽のものだったら……)
夫は四十を超えた男盛りだ。まだまだ陽のものも健在で、十分な硬度を伴って、熱く滾っていたのだった。手で触れたわけではなかったが、かなりの大きさで、美弥のちいさな手では片手で一回りしそうもないような気がする。
夫としては慣れた一夜なのだろうが、美弥にとっては初めての閨だったので、灯りはつけられていた。身分のあるものの初夜には、婚姻が成立したか確認する必要があり、灯りが付けられ、そして、侍女やその他のものたちが見守る中で行われることがあった。今、そこまでする家は珍しいだろうが、今回、年齢が離れた結婚を心配して確認が行われたのだった。
(殿の、陽のものが……、わたくしの、胸に押し当てられたら……)
美弥は、急に、肌が熱くなるような感覚を味わった。
「……あ……」
ひしゃげるだけで、快を得ることもなかった胸から、じんわりと、快がひろがっていく。
刺すような、甘い、痛みに似た、感覚だった。
「……あら……、まあ……、乳など……、悦いことはないと思っていたのに……」
張型を押し当てていくと、乳房が甘い快楽を訴え始める。ぴん、と乳首がたち上がる。月の光に照らされた乳首は、鴇色をしていた。その乳首に触れてみると、びくん、と背中が跳ね返る。
「あっ……っ」
鋭い悦楽が、身体の中心を駆け上がっていく。もっと、深い快を知りたい。そして、夫と、結ばれたい。
「あっ、あ……ねぇ、お多津」
「はっはいっ、なんでしょう……」
「道具屋さんは……、他は……?」
「あ、そうでした……その、陰核が……良いと……」
「ああ、陰核ね……」
美弥の白い指が、陰核に触れる。
「あっああ……っ」
ひときわ甲高い声を上げて、美弥は顎をのけぞらせて喘いだ。乳首よりも、もっと、直接的な刺激があった。もっと、その快を味わいたくて、美弥の指が、陰核を弄る。次第に、ぷっくりとふくれて、赤く充血していく。
「あ……っ」
大きくひらいた足の間。女陰が、収縮し、潤っていく。美弥の身体が、怪しくくねって床の上を踊る。
「あ、……も……だめ、気が……いきそう……」
前後不覚という状態で、美弥が喘ぐ。
「……殿……殿……っ」
張型を、女陰にあてがう。そこは、誘い込むように収縮していた。ゆっくりと、張型が、その深い谷の中に沈められていく。
「っん……っんっ……っ」
けれど、上手く、入っていかない。
「あ、なぜ……」
この奥へ、もっと奥を満たして欲しいと思っているのに、どうしても、張型が、中へ入って行かない。
「あっ、痛っ……っ」
「ま、まあっっ、……痛むようでしたら、どうぞ、お止め下さいまし……」
お多津に止められて、美弥は、中途半端な気分ではいたが、そこで、やめた。女陰を傷つけてしまったら、仕方がない。けれど、受け入れることが出来なかったのは、落胆が酷かった。
「……私、閨ごとには向かないのかしら……。こんなことでは、いつ、離縁を申しつけられるか……」
その可能性は、だが、低いことも、美弥は知っている。
この家には、すでに子供が沢山いる。今更、年若い後妻が、子供の一人二人をもうけるひつようもないのだ。
子供をもうけなくとも、閨ごとも出来ないのでは、妻としては、出来損ないなのではないかと、美弥は思う。そのことで、夫は、美弥を咎めはしないだろう。だが、性欲旺盛で、男盛りの夫は、肉欲を持て余し、他の女を抱くだろう。それが、美弥には、どうにも、悲しくて、苦しかった。
美弥には出来ないことで、夫を悦ばせることが出来る、顔も知らない女にたいして、悔しくて、情けない気持ちになっていた。
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