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第一章 夫婦の縁
04.張型指南 ★
しおりを挟むお多津は、やや、固い、思い切ったような表情で、床に転がった張型を手に取った。暖かいだけでなく、つい今しがたまで、お瑠璃の内部にいたそれは、彼女の、淫液で濡れ輝いていた。
「お多津さま……」
促すように、お瑠璃が声を掛ける。お多津は、はっとしたように、我に返って、「では、こちらを使わせて頂きますけれど……」と興味津々というていで、晒されているお瑠璃の陰部に釘付けになっていた。
「そんなに、ご覧にならないで下さいまし……」
「いえ、とても、美しいと思って……この、核も」
とお多津の指がお瑠璃の陰核を摘まんだ。
「んっ……っあっ……」
お瑠璃の身体が、魚河岸に上げられた魚のように跳ねる。
「すごく、美しいんです。……珊瑚の色みたい……」
うっとりと呟きながら、お多津はそこを刺激している。
「あっ、あっ……っ、お、多津様……っ」
「凄いです、こんな風に乱れるのですね……。主は、こういうことは殆どありませんでしたので……、お女陰も、うねっておいでで……。淫水をしたたらせて……」
「あ、あ……っそんな、仰らないで下さいませ……それより、張型の、指南を……」
お瑠璃に促されて、お多津は、そっとお瑠璃の入り口に、張り型の先端をあてがう。ゆっくりと、中へ侵入させると、お瑠璃が、細くて高い喘ぎを漏らした。
「あー……っ」
お多津が、あまりにもゆっくりと張型を侵入させるものだから、物足りない心地になって、お瑠璃の腰が自然に、快を求めて動く。
「あっ、あ……っんん……っあっ」
「まあ、……こんな風に、自分で腰を動かしてもよろしいのですね……」
「ええ、ええ……。もう、もっと、欲しいと、思うときは、勝手に、動いてしまうもの、ですわ……。ですから……、あ、もっと……」
無我夢中で、お瑠璃は腰を動かしている。喘ぎがひっきりなしに漏れる口からは、飲み干せなかった唾液がしたたり落ちて、床に溜まりを作っている。
「………お多津様……」
「はい、何でしょう……」
「……張型を、出し入れ、して下さいまし……」
「わ。解りました」
言われたとおりに、張型の出し入れを繰り返す。内部が、擦り上げられて、気持ちが良くてお瑠璃の目の前が、白く明滅している。
「あっ、あ……、そ、そうです……そんな風に……、こうして、出し入れされますと、あ、殿御が、動くような格好になりますから……、内部が……内部が、擦れて、気が、おかしくなりそう……」
必死に説明するお瑠璃の言葉を聞いたお多津が「こうですわね……、出し入れをすると、悦いのですね……お瑠璃様の、ここ……すごい、淫液で……」
お瑠璃からほとばしる淫液は、お多津の手を汚し、着物を濡らし、床に溜まりを作る。
「あ、あ……、そんな、仰らないで……」
「だって、本当に、凄いのですもの……。でも、本当に、お瑠璃様、気持ちよさそう」
お多津は、ホッと、安堵の表情を浮かべている。
交わり自体に、抵抗感があったのだろう。そして、おそらく、最初の時、お多津の主は、酷く痛がったり、怖かったりしたのだろう。
「ええ、快は、どなたでも……得られますわ……ああ……っ」
気持ちが良くて、お瑠璃は、自ら腰を動かして快を求めながら、それでも、世の中で喧伝されている絶頂を迎えるまででないことには、少し、落胆していた。
お多津が、張型を嬉々として扱い、ついには、「わたくしも自分で使ってみようかしら」と言い出すまでになったころには、お瑠璃は、へとへとになっていた。
身支度を調えて、新しい張型を用意する。
お多津の主には、小ぶりな鼈甲の張型。
そして、お多津には、鼈甲よりは安価な、水牛の角で作られた張型の、やはり小さいなりのものを用意した。
「お瑠璃様を見ていたら、私も、なんだか、その、身体が火照ってしまって……早速、こちらの品を使ってみようと思います」
「はい、なにか、またお困りごとでもあれば、どうぞおいで下さいまし」
「ええ、その折りには、ぜひにも……」
お多津は、風呂敷包みに張型を詰めて、後生大事に抱えて足早に去って行く。
お多津とその主が、上手くいくといいが……と思いつつ、店の奥へ引っ込もうとしたとき、
「おい、お瑠璃」
とぞんざいに、お瑠璃を呼ぶ声があった。
「この声……あら、新吉さん?」
お瑠璃が呼びかけると、年若い職人風の格好をした男が、ひょっこりと「八つ目屋」の暖簾から顔を出している。
「今日も、商いは上手くいったみたいだな……とはいえ、声は、外まで漏れていたけど」
はは、と新吉は笑いながらいう。新吉は、近くの長屋に住まう、青年で、お多津とは同い年。幼なじみと言って良い関係だった。
「う、うるさいわね……、商品を、お客様に説明して、納得して頂けなければ、お求め頂くのは難しいでしょう?」
「まあ、それはそうなんだが……お前の声が、あちこちに響いていて、覗き見をしようという不届き者がそこらにいたぞ。少し気を付けた方が良いだろう」
商売の為には仕方がないが、他の男に覗き見をされるのは、何か違う気がする。
「ありがとう。新吉さん……声は、注意するわ」
「そんなことを言っても、無理だろ。……で、どうなんだ、最近は。ちゃんと、達することは出来るようになったのかい?」
唐突に聞かれた言葉に、お瑠璃は、ドキリ、とした。
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