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夢の中で貰った、はず!
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「まったく、もう」
目が覚めて、ああまたかとなる。
だが、今日の夢はいつもと違った。
「あれ?」
こう思い出していると手に違和感があり、物があった。
「ハスラム!」
大声を出して、隣のベッドで寝ているハスラムを乱暴に揺する。
訳が分からないと。
「いい加減にしろ! オマエは静かに寝れないのか?」
半身を起こして不機嫌この上ない声が返ってきたが、ひるんではいられない。
「変な物ある!」
見てくださいと左手を突き出す。
「石だよな」
ハスラムからため息が出る。
「寝る前に握ってたんじゃあないのか?」
寝ぼけと決めつける。
「これ、夢の中で貰ったんだ。なのに、何故か今ここにある?」
涙目で訴える。
「……訊きたいのはオレの方だよ。寝ぼけるのもたいがいにしろよ。いい夢見れますようにって、お守り気分でそれを握って寝たんじゃあないのか? ここんところ変な夢ばかり見て睡眠不足になっているから忘れていたんだろう」
涙が溢れる寸前の目だった。
オリビエに泣かれることは苦手だったが、たたき起こされた腹いせもありつい嫌味っぽいことをいってしまう。
「違う!」
嫌味をいわれたら自分が悪くても反抗するオリビエだが、信じてとただただ無言で首を振っていた。
本当に怖い、気持ち悪いと。
そうなると、夢で物を貰ったということになる。
ハスラムは、どう考えても信じられない。
「オレの横で寝ろ。オマエ子供の頃から寝ていて怖いことがあったらオレに泣きついてきたから」
身体を端に寄せ、掛け布団を上げる。
「だから、違うって」
「でもな、夢で貰うっていうのもな。とりあえず寝ろ」
背を向けてオレは寝る! と身体を横にして意志表示をする。
「寝て落ち着けば、思い出すこともある」
「頼みをきいてくれっていわれた」
お守りだと決めつけている。だが、絶対に違うとオリビエはハスラムの背中を叩き続ける。
「どんな?」
あまりのしつこさに根負けしたハスラムはオリビエの側に向いた。
「それは……」
面倒だと態度に出ている。いつもならもういいと自分で考えるのだが、そんな余裕はない。
「いずれ分かるって」
オリビエ自身も改まって考える。
おかしい、変だ。何よりも手に実体のある物を握っている。
「オレ、寝ぼけ……てるのかなぁ?」
自問自答してしまう。
「……寝る」
この様子に寝ぼけ決定と判断したハスラムは端的にいい、またオリビエに背を向けた。
「けど、こんな石知らない!」
「はいはい。オマエは何でも拾う癖あるから、覚えてないだけなんじゃないか。いいか、話は朝ゆっくり聞いてやるから、寝てくれ。オレはオーリーのおかげで寝不足なんだ」
毎晩夢から覚めては起こされていた。
「ごめんなさいだけど……、本当なんだよ」
自信はなかったが。
ハスラムのいう通りなのかとも考えてしまう。
空けてくれた場所に横たわる。
一人で寝る勇気がなかった。
気味悪くって。それに頭の中はぐちゃぐちゃだ。
こういった時は寝るに限る。握っている石からは、嫌なものは感じない。
今は最も安心できる者が傍にいる。
オリビエは大人しくハスラムの横で寝ることにした。
目が覚めて、ああまたかとなる。
だが、今日の夢はいつもと違った。
「あれ?」
こう思い出していると手に違和感があり、物があった。
「ハスラム!」
大声を出して、隣のベッドで寝ているハスラムを乱暴に揺する。
訳が分からないと。
「いい加減にしろ! オマエは静かに寝れないのか?」
半身を起こして不機嫌この上ない声が返ってきたが、ひるんではいられない。
「変な物ある!」
見てくださいと左手を突き出す。
「石だよな」
ハスラムからため息が出る。
「寝る前に握ってたんじゃあないのか?」
寝ぼけと決めつける。
「これ、夢の中で貰ったんだ。なのに、何故か今ここにある?」
涙目で訴える。
「……訊きたいのはオレの方だよ。寝ぼけるのもたいがいにしろよ。いい夢見れますようにって、お守り気分でそれを握って寝たんじゃあないのか? ここんところ変な夢ばかり見て睡眠不足になっているから忘れていたんだろう」
涙が溢れる寸前の目だった。
オリビエに泣かれることは苦手だったが、たたき起こされた腹いせもありつい嫌味っぽいことをいってしまう。
「違う!」
嫌味をいわれたら自分が悪くても反抗するオリビエだが、信じてとただただ無言で首を振っていた。
本当に怖い、気持ち悪いと。
そうなると、夢で物を貰ったということになる。
ハスラムは、どう考えても信じられない。
「オレの横で寝ろ。オマエ子供の頃から寝ていて怖いことがあったらオレに泣きついてきたから」
身体を端に寄せ、掛け布団を上げる。
「だから、違うって」
「でもな、夢で貰うっていうのもな。とりあえず寝ろ」
背を向けてオレは寝る! と身体を横にして意志表示をする。
「寝て落ち着けば、思い出すこともある」
「頼みをきいてくれっていわれた」
お守りだと決めつけている。だが、絶対に違うとオリビエはハスラムの背中を叩き続ける。
「どんな?」
あまりのしつこさに根負けしたハスラムはオリビエの側に向いた。
「それは……」
面倒だと態度に出ている。いつもならもういいと自分で考えるのだが、そんな余裕はない。
「いずれ分かるって」
オリビエ自身も改まって考える。
おかしい、変だ。何よりも手に実体のある物を握っている。
「オレ、寝ぼけ……てるのかなぁ?」
自問自答してしまう。
「……寝る」
この様子に寝ぼけ決定と判断したハスラムは端的にいい、またオリビエに背を向けた。
「けど、こんな石知らない!」
「はいはい。オマエは何でも拾う癖あるから、覚えてないだけなんじゃないか。いいか、話は朝ゆっくり聞いてやるから、寝てくれ。オレはオーリーのおかげで寝不足なんだ」
毎晩夢から覚めては起こされていた。
「ごめんなさいだけど……、本当なんだよ」
自信はなかったが。
ハスラムのいう通りなのかとも考えてしまう。
空けてくれた場所に横たわる。
一人で寝る勇気がなかった。
気味悪くって。それに頭の中はぐちゃぐちゃだ。
こういった時は寝るに限る。握っている石からは、嫌なものは感じない。
今は最も安心できる者が傍にいる。
オリビエは大人しくハスラムの横で寝ることにした。
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