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外典 ドラゴンハンター
ep.7 疑
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ヴァナヘイム首都…
パーシアス「お疲れ、エルキュール。」
エルキュール「おぅ、兄上。
俺達が揃って首都の警備とは…議会の連中、採掘場を奪還する気は無いのか?
まぁ、魔法石の秘密を知った俺達としては願ったりだがな。」
パーシアス「あぁ…でも、そう楽観ばかりも出来ないよ。
おかしいと思わないか?
魔法石が失われた今、魔導師は言わば消耗品…なのに未だに魔法は供給され続けている。」
エルキュール「そう言えば確かに…」
パーシアス「…ちょっと塔の様子を見てみようか?」
2人はヘスペリデスの塔に訪れた。
パーシアス「ご苦労さん、ちょっと中に入れてくれるかな?」
衛兵「申し訳ありません。
何人も通してはならぬと仰せつかっておりますので…」
エルキュール「何?
俺は元々ここの警備主任だぞ!」
その時、上官らしき騎士が現れた。
「おやおや?
これはこれはお揃いでオルファス卿。
半分貴族は2人で1人前という事ですかな?」
エルキュール「何だと?」
パーシアス「よせ、エルキュール。
…貴方がここの、今の警備主任ですか?」
騎士「いかにも。
まんまと賊に魔法石を奪われた、何処かの間抜けな半分貴族に代わってね。」
エルキュール「ちっ…」
パーシアス「…おっしゃる通り、魔法石は失われた筈ですが、新たに別な魔法石があるのでしょうか?
だとしたら何処から…?」
騎士「…そんな事は君達には関係ない話だ。」
パーシアス「…確かに、その通りですね。
では、失礼します。」
2人はその場を立ち去った。
エルキュール「いやにあっさり引き下がったな、兄上。
レルネーにも行ってみるか?」
パーシアス「いや、たぶん同じ事だろう。
それより、もう一つ確かめたい事がある。」
パーシアスはそう言うと、連れていた伝話鳥に話しかける。
「もしもし、メロディアナ?
……
……
……
やっぱりそうか…
私もそれを聞きたかったんだ、ありがとう。」
エルキュール「兄上…もしや、ムスペルヘイムも?」
パーシアス「ああ、思った通りだ。
…ここはまた、彼らの出番かな?」
その頃、ヴァナヘイム・ムスペルヘイム国境…
帝国軍に占拠された魔法石採掘場の上空を、翼竜の姿となったメリュジーヌの背に乗って飛ぶシグルズ・シェイミー。
メリュジーヌ「…?
ここは魔法石の採掘場ではないのか?
気配がせぬが…」
シグルズ「…そいつぁ妙だな。
あいつら自身は魔法石に用は無いはず…
魔導師になるって事がどういう事か、身をもって1番よくわかってる連中だからな。」
「……
いずれにせよ、魔法石が無いなら、ここに潜入する必要は無いわね。」
シェイミーはほっとした様子で言った。
その時、伝話鳥が鳴き出す。
シグルズ「ん?パーシアスか、どうした?
……
……
……
わかった、確かめてみる。」
シェイミー「…どうしたの?」
シグルズ「魔法石を失ったはずのヴァナヘイムとムスペルヘイムで、まだ塔が稼動してるんだと。」
メリュジーヌ「それで、再び魔法石の気配がせぬか確かめよ…という訳か。」
シェイミー「ここからだと、タルタロスが近いわね…」
シグルズ「よっしゃ、行くぜ!」
一行は、ムスペルヘイム国の魔法供給施設・タルタロスに向かう。
メリュジーヌ「間違いない、魔法石の気配じゃ。」
シグルズ「どこから持って来たか知らねぇが、魔法石がある以上、頂くっきゃねぇだろ。」
シェイミー「…それにしても…また正面突破なの?」
シグルズ「幸いと言っちゃ悪ぃが、前回の異形化奇病騒ぎで、俺らの存在はうやむやになったみてーだからな。」
そんな彼らの様子を遥か上空から窺う、翼ある狼に跨った者の姿があった。
「…おいおい、正面きって剣を抜くなんて、どこの馬鹿野郎だ?
しかも女の子2人も連れて…しょーがねーなぁ…」
衛兵「何者だ⁉︎」
シグルズ「魔法石をもらいに来た。」
衛兵「馬鹿め。
お前を殺して、そっちの2人は魔導師にしてや…
言いかけた兵士は次の瞬間、雷撃に撃たれ瞬時に炭と化す。
「おいおい、せめて最後まで喋らせてやれよ。」
シグルズは呆れた様子でメリュジーヌに言った。
「我とてそこまで無慈悲ではないぞ。
別の何者かが…」
「‼︎ ……」
上空の気配に気付いたシェイミーは、その姿を見ると言葉を失う。
「誰かと思ったら…アンタかい、シグルズさん…と、そっちは…
…⁉︎」
現れたのは、帝国魔導師のアッシュだった。
彼はシェイミーに目をやると言葉を止め、シェイミーもまたバツが悪そうに目を逸らす。
シグルズ「…お前ら、知り合いか?」
シェイミー「……」
アッシュ「……
いや…他人の空似だったわ。
ンな事よりアンタ、何してんの?
家族旅行にしちゃ物騒だな。」
シグルズ「誰が家族だ。
…ちょっと魔法石を頂きにな。」
アッシュ「ンなの、子供連れてやる事か?」
シグルズ「その、子供に見える奴の用件でな。」
アッシュ「?……どゆ事?」
メリュジーヌ「…フォシルとは本来、アグエル文明によって封印されし我が眷属…竜の魂が宿りし骸。
我はその魂を解き放ち、力を受け継ぐべく旅をしておる。」
アッシュ「…眷属が竜って…
おとぎ話はもう卒業しなよ、お嬢ちゃん。」
メリュジーヌ「共に来ればわかるぞ、小僧。」
アッシュ「こ、小僧って…」
シグルズ「ククク…言われてんな。
そう言うお前こそこんな所で何してんだ?」
アッシュ「……
…言える訳ないでしょ?察してよ。
でも、ついてっていいってんなら、見届けたいな。」
シグルズ「ずいぶん都合の良い話だが…シェイミー、構わねぇか?」
シェイミー「え?…えぇ…」
かくして、アッシュを加えた一行は、再びタルタロスの塔に潜入。
衛兵との戦闘においてメリュジーヌの能力を目の当たりにしたアッシュは、大いに驚く。
アッシュ「嬢ちゃん、ホントにドラゴンなのか⁉︎」
メリュジーヌ「そう言うたであろう、小僧。」
やがて4人は、魔法石の祀られた祭壇に辿り着き、メリュジーヌがその前に立つ。
シグルズ「黙って見てていいのか?」
アッシュ「…あぁ、ゼルでも勝てなかったアンタに俺が勝てる訳ないしな。
それに、さっきの話がホントなら、これはアンタ達に預けた方がいい気がする。」
「…では始めるぞ。
…忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…
その戒めを今、解き放たん。」
メリュジーヌが唱えると魔法石は砕け散って光の粒子となり、巨大な海亀の姿を象った。
「我はアスピドケロン…
我が戒めを解き放てし眷族よ…
汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」
アッシュ「ほ…本当にこれが…魔法石の…魔法の力の正体…⁉︎」
シグルズ「油断すんなよ。
そこらの異形化奇病とは訳が違うぜ。」
アスピドケロンの強固な甲羅には、シグルズの大剣も効果が薄い。
アッシュ「マジかよ…しゃあねーな…!」
「‼︎
よしなさい、魔法は!」
シェイミーの制止も虚しく、アッシュの冷気魔法が炸裂する。
メリュジーヌ「…確かに…我ら竜には無く、そして最も有効な攻撃手段ではあるな。」
4人は共闘の末、アスピドケロンを打ち破る。
「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」
アスピドケロンはそう言うと、砕け散って無数の光の粒子となり、メリュジーヌに吸収された。
かくしてメリュジーヌは防壁魔法の力を得て、一行は塔を脱出する。
シグルズ「さて、次はヴァナヘイムだな。
お前はどうする?」
アッシュ「う~ん…どうすっかなぁ…
ちょっと考えてみる。
縁があったらまた会うかもな。」
メリュジーヌ「息災でいるが良い、小僧。」
「小僧は勘弁してよ。」
アッシュはそう言うと、翼ある狼を召喚し、その場を飛び去った。
メリュジーヌ「我らも行こう。」
翼竜に姿を変えたメリュジーヌの背に乗り、ヴァナヘイムへ向けて移動中…
シェイミー「…何も…訊こうとしないのね。」
シグルズ「は?
…何だ、いきなり。」
シェイミー「私が何者なのか…
何故魔法石を持っていたのか…」
シグルズ「内緒なんだろ?
それとも、訊いて欲しいか?」
シェイミ「…いいえ…」
シグルズ「喋りたくなったら喋れ。
…ま、誰にでも事情はあるもんだろ?」
シェイミー「…じゃあ…
革命戦時、貴方が実のお父さんの敵に回ったのも…?」
シグルズ「…へッ…
そいつぁ、ごくくだらねぇ理由さ…」
一方その頃、1人ヴァナヘイムに向かうアッシュ。
「もしもし、こちらアッシュ。
……
続く…
パーシアス「お疲れ、エルキュール。」
エルキュール「おぅ、兄上。
俺達が揃って首都の警備とは…議会の連中、採掘場を奪還する気は無いのか?
まぁ、魔法石の秘密を知った俺達としては願ったりだがな。」
パーシアス「あぁ…でも、そう楽観ばかりも出来ないよ。
おかしいと思わないか?
魔法石が失われた今、魔導師は言わば消耗品…なのに未だに魔法は供給され続けている。」
エルキュール「そう言えば確かに…」
パーシアス「…ちょっと塔の様子を見てみようか?」
2人はヘスペリデスの塔に訪れた。
パーシアス「ご苦労さん、ちょっと中に入れてくれるかな?」
衛兵「申し訳ありません。
何人も通してはならぬと仰せつかっておりますので…」
エルキュール「何?
俺は元々ここの警備主任だぞ!」
その時、上官らしき騎士が現れた。
「おやおや?
これはこれはお揃いでオルファス卿。
半分貴族は2人で1人前という事ですかな?」
エルキュール「何だと?」
パーシアス「よせ、エルキュール。
…貴方がここの、今の警備主任ですか?」
騎士「いかにも。
まんまと賊に魔法石を奪われた、何処かの間抜けな半分貴族に代わってね。」
エルキュール「ちっ…」
パーシアス「…おっしゃる通り、魔法石は失われた筈ですが、新たに別な魔法石があるのでしょうか?
だとしたら何処から…?」
騎士「…そんな事は君達には関係ない話だ。」
パーシアス「…確かに、その通りですね。
では、失礼します。」
2人はその場を立ち去った。
エルキュール「いやにあっさり引き下がったな、兄上。
レルネーにも行ってみるか?」
パーシアス「いや、たぶん同じ事だろう。
それより、もう一つ確かめたい事がある。」
パーシアスはそう言うと、連れていた伝話鳥に話しかける。
「もしもし、メロディアナ?
……
……
……
やっぱりそうか…
私もそれを聞きたかったんだ、ありがとう。」
エルキュール「兄上…もしや、ムスペルヘイムも?」
パーシアス「ああ、思った通りだ。
…ここはまた、彼らの出番かな?」
その頃、ヴァナヘイム・ムスペルヘイム国境…
帝国軍に占拠された魔法石採掘場の上空を、翼竜の姿となったメリュジーヌの背に乗って飛ぶシグルズ・シェイミー。
メリュジーヌ「…?
ここは魔法石の採掘場ではないのか?
気配がせぬが…」
シグルズ「…そいつぁ妙だな。
あいつら自身は魔法石に用は無いはず…
魔導師になるって事がどういう事か、身をもって1番よくわかってる連中だからな。」
「……
いずれにせよ、魔法石が無いなら、ここに潜入する必要は無いわね。」
シェイミーはほっとした様子で言った。
その時、伝話鳥が鳴き出す。
シグルズ「ん?パーシアスか、どうした?
……
……
……
わかった、確かめてみる。」
シェイミー「…どうしたの?」
シグルズ「魔法石を失ったはずのヴァナヘイムとムスペルヘイムで、まだ塔が稼動してるんだと。」
メリュジーヌ「それで、再び魔法石の気配がせぬか確かめよ…という訳か。」
シェイミー「ここからだと、タルタロスが近いわね…」
シグルズ「よっしゃ、行くぜ!」
一行は、ムスペルヘイム国の魔法供給施設・タルタロスに向かう。
メリュジーヌ「間違いない、魔法石の気配じゃ。」
シグルズ「どこから持って来たか知らねぇが、魔法石がある以上、頂くっきゃねぇだろ。」
シェイミー「…それにしても…また正面突破なの?」
シグルズ「幸いと言っちゃ悪ぃが、前回の異形化奇病騒ぎで、俺らの存在はうやむやになったみてーだからな。」
そんな彼らの様子を遥か上空から窺う、翼ある狼に跨った者の姿があった。
「…おいおい、正面きって剣を抜くなんて、どこの馬鹿野郎だ?
しかも女の子2人も連れて…しょーがねーなぁ…」
衛兵「何者だ⁉︎」
シグルズ「魔法石をもらいに来た。」
衛兵「馬鹿め。
お前を殺して、そっちの2人は魔導師にしてや…
言いかけた兵士は次の瞬間、雷撃に撃たれ瞬時に炭と化す。
「おいおい、せめて最後まで喋らせてやれよ。」
シグルズは呆れた様子でメリュジーヌに言った。
「我とてそこまで無慈悲ではないぞ。
別の何者かが…」
「‼︎ ……」
上空の気配に気付いたシェイミーは、その姿を見ると言葉を失う。
「誰かと思ったら…アンタかい、シグルズさん…と、そっちは…
…⁉︎」
現れたのは、帝国魔導師のアッシュだった。
彼はシェイミーに目をやると言葉を止め、シェイミーもまたバツが悪そうに目を逸らす。
シグルズ「…お前ら、知り合いか?」
シェイミー「……」
アッシュ「……
いや…他人の空似だったわ。
ンな事よりアンタ、何してんの?
家族旅行にしちゃ物騒だな。」
シグルズ「誰が家族だ。
…ちょっと魔法石を頂きにな。」
アッシュ「ンなの、子供連れてやる事か?」
シグルズ「その、子供に見える奴の用件でな。」
アッシュ「?……どゆ事?」
メリュジーヌ「…フォシルとは本来、アグエル文明によって封印されし我が眷属…竜の魂が宿りし骸。
我はその魂を解き放ち、力を受け継ぐべく旅をしておる。」
アッシュ「…眷属が竜って…
おとぎ話はもう卒業しなよ、お嬢ちゃん。」
メリュジーヌ「共に来ればわかるぞ、小僧。」
アッシュ「こ、小僧って…」
シグルズ「ククク…言われてんな。
そう言うお前こそこんな所で何してんだ?」
アッシュ「……
…言える訳ないでしょ?察してよ。
でも、ついてっていいってんなら、見届けたいな。」
シグルズ「ずいぶん都合の良い話だが…シェイミー、構わねぇか?」
シェイミー「え?…えぇ…」
かくして、アッシュを加えた一行は、再びタルタロスの塔に潜入。
衛兵との戦闘においてメリュジーヌの能力を目の当たりにしたアッシュは、大いに驚く。
アッシュ「嬢ちゃん、ホントにドラゴンなのか⁉︎」
メリュジーヌ「そう言うたであろう、小僧。」
やがて4人は、魔法石の祀られた祭壇に辿り着き、メリュジーヌがその前に立つ。
シグルズ「黙って見てていいのか?」
アッシュ「…あぁ、ゼルでも勝てなかったアンタに俺が勝てる訳ないしな。
それに、さっきの話がホントなら、これはアンタ達に預けた方がいい気がする。」
「…では始めるぞ。
…忌まわしきアグエル文明により封印されし我が眷族よ…
その戒めを今、解き放たん。」
メリュジーヌが唱えると魔法石は砕け散って光の粒子となり、巨大な海亀の姿を象った。
「我はアスピドケロン…
我が戒めを解き放てし眷族よ…
汝が力を我に示せば、盟約に従い我が力を授けん。」
アッシュ「ほ…本当にこれが…魔法石の…魔法の力の正体…⁉︎」
シグルズ「油断すんなよ。
そこらの異形化奇病とは訳が違うぜ。」
アスピドケロンの強固な甲羅には、シグルズの大剣も効果が薄い。
アッシュ「マジかよ…しゃあねーな…!」
「‼︎
よしなさい、魔法は!」
シェイミーの制止も虚しく、アッシュの冷気魔法が炸裂する。
メリュジーヌ「…確かに…我ら竜には無く、そして最も有効な攻撃手段ではあるな。」
4人は共闘の末、アスピドケロンを打ち破る。
「見事なり…盟約に従い我が力を汝に授けん。」
アスピドケロンはそう言うと、砕け散って無数の光の粒子となり、メリュジーヌに吸収された。
かくしてメリュジーヌは防壁魔法の力を得て、一行は塔を脱出する。
シグルズ「さて、次はヴァナヘイムだな。
お前はどうする?」
アッシュ「う~ん…どうすっかなぁ…
ちょっと考えてみる。
縁があったらまた会うかもな。」
メリュジーヌ「息災でいるが良い、小僧。」
「小僧は勘弁してよ。」
アッシュはそう言うと、翼ある狼を召喚し、その場を飛び去った。
メリュジーヌ「我らも行こう。」
翼竜に姿を変えたメリュジーヌの背に乗り、ヴァナヘイムへ向けて移動中…
シェイミー「…何も…訊こうとしないのね。」
シグルズ「は?
…何だ、いきなり。」
シェイミー「私が何者なのか…
何故魔法石を持っていたのか…」
シグルズ「内緒なんだろ?
それとも、訊いて欲しいか?」
シェイミ「…いいえ…」
シグルズ「喋りたくなったら喋れ。
…ま、誰にでも事情はあるもんだろ?」
シェイミー「…じゃあ…
革命戦時、貴方が実のお父さんの敵に回ったのも…?」
シグルズ「…へッ…
そいつぁ、ごくくだらねぇ理由さ…」
一方その頃、1人ヴァナヘイムに向かうアッシュ。
「もしもし、こちらアッシュ。
……
続く…
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