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辛い結婚生活
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「魔王を倒したら結婚しよう!」
「うん! だから最後の戦い頑張ろうね」
勇者と聖女。夫になる人と私にとってのチャペルは魔王城の魔王が控えていた一室だった。ちょっと変わった門出になったのだけどこれはこれでいいかもしれない。ここがどこか?そんな事より何を誓ったのか?が大事なのだ。
「魔王を倒したこの力で君を守る。例え、どんな事があっても!」
世界を救った勇者がそう言ってくれたのだからこれ以上頼もしい事はない。はずだった……。
「セシリーンさん、ちょっといいかしら?」
「何でしょうか? お継母様」
「このスープ、アレウスちゃんにはしょっぱ過ぎるのよ。何と言うか下品な味付けね」
一口飲んでみた。同じだ、以前作ったら彼が美味しいと一瞬で飲み干してくれた時の味。論より証拠、リビングで寝転がっている彼を呼んで私の正しさを証明してもらおう。
「うん。ママの言う通りだ、しょっぱくて飲めないね……」
「えっ?……」
「アレウスちゃん、スープも満足に飲ませてもらえないなんて可哀想ね。いいわ、私がこの国一の料理人を今すぐ呼び出すから」
「ママ! それじゃ王宮へ乗り込む事になっちゃうじゃないか」
「心配しなくていいのよ、国王には国土を半分もらっても足りないほどの貸しがある。それに世界を救った勇者アレウスの為なんだから国王には惜しむ権利がないの」
「あんまり勇者風を吹かせるのもどうかと思うんだけど」
「何を言っているの!? その名を示せば大抵のものがもらえる、最も効率よく稼げる盗賊。それが勇者なのよ」
母子の会話は途中から聞いていなかったが形だけは最後まで付き合わないと後が恐ろしい。その後、キッチンへ行き食器を洗う。耳から入って気持ちを汚してくれたものもついでにすすげる様な気がした。しばらくすると彼が静かに後ろに立ち抱き着いてきた。
「ごめんねセシリーン」
「……。どんな事があっても私を守ってくれるんじゃなかったの?」
「守るよ。でも、それには僕の命が続いていないと不可能だよね? かつて悪役令嬢として名を馳せたママは暗黒騎士lv999だから僕なんかじゃ一瞬で溶かされる……」
「魔王討伐は、あなたよりお継母様1人で向かってもらえばよかったんじゃないの?」
「ママのパーティが先代の魔王を倒した時、その傍らにいた赤ん坊が僕たちの戦った魔王らしいんだ。幼い頃の姿を見ているし、一度は見逃した命を奪うのは忍びないって言ってたよ」
「そこでサクっと仕留めてくれていれば、死ななくていい人間100万人の命が助かったのにね……」
「セシリーン! 聖女である君がそんな物言いをサラりとするだなんて」
「はっ! 私、疲れているのかも」
「今度どこかに出かけようね。たまには2人切りでゆっくり過ごそう」
今日は久し振りに夫と2人切りで買い物に出かける予定だ。魔王討伐以後、旅の途中でお世話になった各地の王家やら神殿やらへのあいさつ回りで忙しい想いをした。吟遊詩人たちが4行詩を創るとかで取材攻めにも遭った。のんびりとゆっくり過ごせる一時は心の底から待ち望んでいた。
「セシリーンさん、ここは戦場ですのよ! 聖女なんでしょ、いちいち私に指示される前に攻撃補助魔法をおかけなさい!!」
「私はそろそろMPが……。と言うか、いつの間に私達に合流していたのです?」
「アレウスちゃんの衣服を買うのでしょう? 私が選ばなくて誰が選ぶのです。そんな事より早く魔法をおかけなさい。取り返しのつかない事になったらどうするのです!!」
「ママ、それなら僕も出来るから」
「ダメよ! 勇者の力はここぞとの最後の最後まで温存するの。それがパーティメンバーの務めのはずよ。あなた、アレウスちゃんと一緒に旅してた時にこき使っていたんじゃないわよね!?」
「いえ、そんな事は! 我望む、彼の者を天馬の如く駆けさせたまえ、スピーダル! うぅ……、もう限界」
お継母様に行動速度があがる魔法をかけた。薄れゆく意識の中で見えたのはお継母様が物凄い勢いで大鎌を振り回し始めた姿だ。靴下がどっさり積まれたワゴンをかすめると器用に刃の先にひっかけては買い物かごに入れていく。隣の人が繰り出す槍の穂先を落とし、戦斧のいかつい刃をへし曲げて妨害しながら欲しいものを的確に狙っていた。
目を開ける。あれからどれほどの時間が経ったのだろう?ぼんやりと見え始めたのは私の顔を覗き込むお継母様だった。何だか目の辺りが濡れている。
「目が覚めたわね。セシリーンさん、大丈夫?」
「はい。大丈夫でっ……」
大丈夫と最後まで言えなかった。お継母様の鋭い拳が鳩尾に落ちてきたからだ。そして、私に覆い被さる様にしながら耳元で囁いた。
「他の買い物客が振り回した棍棒で頭を打った事にしているのよ。この商店を安全対策がなっていないと脅して慰謝料をとるから、ちゃんと苦しみなさい。いいわね」
「えっ?……」
ドスッ!
「違うでしょ」
「うぅ……、頭が割れそう」
にこりと微笑むお継母様を見て記憶の奥底にあったものが呼び起された。
(あの時の……。私達を見据えた魔王の目とそっくりだ)
私と彼が結婚してもう3年になる。つまり、耐え続けて3年になる。今、魔王より遥かに恐ろしかったお継母様の顔を上から覗き込んでいる。さすがに寄る年波には勝てず、ふさぎ込みがちになりそのまま起き上がるのも難しくなった様だ。
「セシリーンさん、ちょっといいかしら?」
「何でしょう? お継母様」
「この大鎌をあなたに、と思って。形見として受け取ってくれますかしら?」
「形見だなどと……。それに、いつものお継母様であれば尋ねるのではなく、受け取りなさいとお命じになられるはずです。気弱な事をおっしゃらないで下さいませ」
「コホッコホッ……。そうですわね、ならばこれを受け取りなさい。断る事は許しませぬ!」
「はい」
両手にその重みを受け止めた時、お継母様の死期が本当に迫っているのだと感じた。不思議なものだ、ずっと私を苦しめ続けた人でもいなくなってしまうのだと思えばどこか寂しい。どんなものでも日常は日常、それが少しでも変化する時に人はもの悲しさを覚えるものなのだろうか。
「セシリーンさん、瞳の辺りをうるうるとさせて何ですかそのみっともない顔は? 勇者の妻として背筋を正し、泣く事は許しませぬ。私が逝った後になさい」
お継母様はその手をそっと私のお腹に当てた。
「孫の顔を見ぬままというのは口惜しいところですが、それを言っても仕方ありませぬ。いずれあなたが産むのは勇者の子です。しかし、勇者の子が全て優れているとは限りません。どうしようもないクズの場合もあるでしょう」
「お継母様、何と恐ろしい事を……」
「セシリーンさん、恐ろしいのは世の人々の目なのですよ。実態がどんなにクズであろうと勇者の子供として希望を重ねてしまう。だからこそ、その母はどんな手を使ってでもクズをせめてそこそこの人物にまで育てなければならない。もちろん、そこまで出来たなら更に上を目指す必要もあります」
横になっていたお継母様は途中から半身を起こして私に語り掛けた。まるで、残された命を燃やすかの様に。
「勇者に嫁ぐという事は世に身を捧げるも同じ。聖女だったあなたには、それを成す為の厳しさが欠けていたのですよ」
「まさか、それを教える為に殊更厳しく!?」
「私が産んだアレウスはクズを鍛え上げたそこそこの男です。それが私の限界でした。我が一族の血脈、またクズになってもおかしくないのです。ですから、セシリーンさん。あなたには……ゴホッゴホッ」
「うぅ、お継母様」
「言ったでしょ、私が逝くまで泣く事は許さぬと」
お継母様は再び横になって大鎌の上に手を置いた。
「さよなら。セシリーンさんを守ってね」
嫁いで以来初めて見る顔だった。かつて悪役令嬢として名を馳せ、私にとって恐ろしい姑だったお継母様が女神の様な優しさ溢れる輝かしい顔になっていた。瞳から滴が零れ落ちると静かに目を閉じた。その瞬間、大鎌に置かれた手がダラリと落ちた。
「お継母様~~~~!!」
最後の約束は守った。その手を握りしめるとたまらず私の瞳から涙がこぼれた。そして、その手を濡らした。
「おっほっほっ! セシリーンさん、ちゃんと私の言いつけを守った様だね」
「あれ? お継母様、今死んだのではございませんか?」
「ああ、確かに死んだ。しかし、聖女が強い想いを抱く人の為に流した涙にはその者を蘇生させる力があったはずだよ」
「そう言えばそうでした。でも、偶然ですが使ったのは初めてです」
「それが偶然じゃないのよ。私の事を強く想う様に意識を操作した。死ぬ前に泣かれても意味がないから待たせたのさ。おっほっほっ!!」
「なっ、なんと……。まさか、勇者の子供を産む母の心構えは適当なでたらめ?」
「……。さあ、どうだろうね。とにかく、セシリーンさんには世の厳しさというものをもっと教えてあげないとね。またいびり抜くわよ、あっはっはっ!」
「ひぃぃぃっ~~~~!!」
こんなに辛い事はない……。そう感じていた3年間は序章に過ぎなかったようだ。
「うん! だから最後の戦い頑張ろうね」
勇者と聖女。夫になる人と私にとってのチャペルは魔王城の魔王が控えていた一室だった。ちょっと変わった門出になったのだけどこれはこれでいいかもしれない。ここがどこか?そんな事より何を誓ったのか?が大事なのだ。
「魔王を倒したこの力で君を守る。例え、どんな事があっても!」
世界を救った勇者がそう言ってくれたのだからこれ以上頼もしい事はない。はずだった……。
「セシリーンさん、ちょっといいかしら?」
「何でしょうか? お継母様」
「このスープ、アレウスちゃんにはしょっぱ過ぎるのよ。何と言うか下品な味付けね」
一口飲んでみた。同じだ、以前作ったら彼が美味しいと一瞬で飲み干してくれた時の味。論より証拠、リビングで寝転がっている彼を呼んで私の正しさを証明してもらおう。
「うん。ママの言う通りだ、しょっぱくて飲めないね……」
「えっ?……」
「アレウスちゃん、スープも満足に飲ませてもらえないなんて可哀想ね。いいわ、私がこの国一の料理人を今すぐ呼び出すから」
「ママ! それじゃ王宮へ乗り込む事になっちゃうじゃないか」
「心配しなくていいのよ、国王には国土を半分もらっても足りないほどの貸しがある。それに世界を救った勇者アレウスの為なんだから国王には惜しむ権利がないの」
「あんまり勇者風を吹かせるのもどうかと思うんだけど」
「何を言っているの!? その名を示せば大抵のものがもらえる、最も効率よく稼げる盗賊。それが勇者なのよ」
母子の会話は途中から聞いていなかったが形だけは最後まで付き合わないと後が恐ろしい。その後、キッチンへ行き食器を洗う。耳から入って気持ちを汚してくれたものもついでにすすげる様な気がした。しばらくすると彼が静かに後ろに立ち抱き着いてきた。
「ごめんねセシリーン」
「……。どんな事があっても私を守ってくれるんじゃなかったの?」
「守るよ。でも、それには僕の命が続いていないと不可能だよね? かつて悪役令嬢として名を馳せたママは暗黒騎士lv999だから僕なんかじゃ一瞬で溶かされる……」
「魔王討伐は、あなたよりお継母様1人で向かってもらえばよかったんじゃないの?」
「ママのパーティが先代の魔王を倒した時、その傍らにいた赤ん坊が僕たちの戦った魔王らしいんだ。幼い頃の姿を見ているし、一度は見逃した命を奪うのは忍びないって言ってたよ」
「そこでサクっと仕留めてくれていれば、死ななくていい人間100万人の命が助かったのにね……」
「セシリーン! 聖女である君がそんな物言いをサラりとするだなんて」
「はっ! 私、疲れているのかも」
「今度どこかに出かけようね。たまには2人切りでゆっくり過ごそう」
今日は久し振りに夫と2人切りで買い物に出かける予定だ。魔王討伐以後、旅の途中でお世話になった各地の王家やら神殿やらへのあいさつ回りで忙しい想いをした。吟遊詩人たちが4行詩を創るとかで取材攻めにも遭った。のんびりとゆっくり過ごせる一時は心の底から待ち望んでいた。
「セシリーンさん、ここは戦場ですのよ! 聖女なんでしょ、いちいち私に指示される前に攻撃補助魔法をおかけなさい!!」
「私はそろそろMPが……。と言うか、いつの間に私達に合流していたのです?」
「アレウスちゃんの衣服を買うのでしょう? 私が選ばなくて誰が選ぶのです。そんな事より早く魔法をおかけなさい。取り返しのつかない事になったらどうするのです!!」
「ママ、それなら僕も出来るから」
「ダメよ! 勇者の力はここぞとの最後の最後まで温存するの。それがパーティメンバーの務めのはずよ。あなた、アレウスちゃんと一緒に旅してた時にこき使っていたんじゃないわよね!?」
「いえ、そんな事は! 我望む、彼の者を天馬の如く駆けさせたまえ、スピーダル! うぅ……、もう限界」
お継母様に行動速度があがる魔法をかけた。薄れゆく意識の中で見えたのはお継母様が物凄い勢いで大鎌を振り回し始めた姿だ。靴下がどっさり積まれたワゴンをかすめると器用に刃の先にひっかけては買い物かごに入れていく。隣の人が繰り出す槍の穂先を落とし、戦斧のいかつい刃をへし曲げて妨害しながら欲しいものを的確に狙っていた。
目を開ける。あれからどれほどの時間が経ったのだろう?ぼんやりと見え始めたのは私の顔を覗き込むお継母様だった。何だか目の辺りが濡れている。
「目が覚めたわね。セシリーンさん、大丈夫?」
「はい。大丈夫でっ……」
大丈夫と最後まで言えなかった。お継母様の鋭い拳が鳩尾に落ちてきたからだ。そして、私に覆い被さる様にしながら耳元で囁いた。
「他の買い物客が振り回した棍棒で頭を打った事にしているのよ。この商店を安全対策がなっていないと脅して慰謝料をとるから、ちゃんと苦しみなさい。いいわね」
「えっ?……」
ドスッ!
「違うでしょ」
「うぅ……、頭が割れそう」
にこりと微笑むお継母様を見て記憶の奥底にあったものが呼び起された。
(あの時の……。私達を見据えた魔王の目とそっくりだ)
私と彼が結婚してもう3年になる。つまり、耐え続けて3年になる。今、魔王より遥かに恐ろしかったお継母様の顔を上から覗き込んでいる。さすがに寄る年波には勝てず、ふさぎ込みがちになりそのまま起き上がるのも難しくなった様だ。
「セシリーンさん、ちょっといいかしら?」
「何でしょう? お継母様」
「この大鎌をあなたに、と思って。形見として受け取ってくれますかしら?」
「形見だなどと……。それに、いつものお継母様であれば尋ねるのではなく、受け取りなさいとお命じになられるはずです。気弱な事をおっしゃらないで下さいませ」
「コホッコホッ……。そうですわね、ならばこれを受け取りなさい。断る事は許しませぬ!」
「はい」
両手にその重みを受け止めた時、お継母様の死期が本当に迫っているのだと感じた。不思議なものだ、ずっと私を苦しめ続けた人でもいなくなってしまうのだと思えばどこか寂しい。どんなものでも日常は日常、それが少しでも変化する時に人はもの悲しさを覚えるものなのだろうか。
「セシリーンさん、瞳の辺りをうるうるとさせて何ですかそのみっともない顔は? 勇者の妻として背筋を正し、泣く事は許しませぬ。私が逝った後になさい」
お継母様はその手をそっと私のお腹に当てた。
「孫の顔を見ぬままというのは口惜しいところですが、それを言っても仕方ありませぬ。いずれあなたが産むのは勇者の子です。しかし、勇者の子が全て優れているとは限りません。どうしようもないクズの場合もあるでしょう」
「お継母様、何と恐ろしい事を……」
「セシリーンさん、恐ろしいのは世の人々の目なのですよ。実態がどんなにクズであろうと勇者の子供として希望を重ねてしまう。だからこそ、その母はどんな手を使ってでもクズをせめてそこそこの人物にまで育てなければならない。もちろん、そこまで出来たなら更に上を目指す必要もあります」
横になっていたお継母様は途中から半身を起こして私に語り掛けた。まるで、残された命を燃やすかの様に。
「勇者に嫁ぐという事は世に身を捧げるも同じ。聖女だったあなたには、それを成す為の厳しさが欠けていたのですよ」
「まさか、それを教える為に殊更厳しく!?」
「私が産んだアレウスはクズを鍛え上げたそこそこの男です。それが私の限界でした。我が一族の血脈、またクズになってもおかしくないのです。ですから、セシリーンさん。あなたには……ゴホッゴホッ」
「うぅ、お継母様」
「言ったでしょ、私が逝くまで泣く事は許さぬと」
お継母様は再び横になって大鎌の上に手を置いた。
「さよなら。セシリーンさんを守ってね」
嫁いで以来初めて見る顔だった。かつて悪役令嬢として名を馳せ、私にとって恐ろしい姑だったお継母様が女神の様な優しさ溢れる輝かしい顔になっていた。瞳から滴が零れ落ちると静かに目を閉じた。その瞬間、大鎌に置かれた手がダラリと落ちた。
「お継母様~~~~!!」
最後の約束は守った。その手を握りしめるとたまらず私の瞳から涙がこぼれた。そして、その手を濡らした。
「おっほっほっ! セシリーンさん、ちゃんと私の言いつけを守った様だね」
「あれ? お継母様、今死んだのではございませんか?」
「ああ、確かに死んだ。しかし、聖女が強い想いを抱く人の為に流した涙にはその者を蘇生させる力があったはずだよ」
「そう言えばそうでした。でも、偶然ですが使ったのは初めてです」
「それが偶然じゃないのよ。私の事を強く想う様に意識を操作した。死ぬ前に泣かれても意味がないから待たせたのさ。おっほっほっ!!」
「なっ、なんと……。まさか、勇者の子供を産む母の心構えは適当なでたらめ?」
「……。さあ、どうだろうね。とにかく、セシリーンさんには世の厳しさというものをもっと教えてあげないとね。またいびり抜くわよ、あっはっはっ!」
「ひぃぃぃっ~~~~!!」
こんなに辛い事はない……。そう感じていた3年間は序章に過ぎなかったようだ。
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