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第9話『聖獣様の「はじめて」3』

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「あ、ジル、ジル、もっと、もっと」

「あー…腰の使い方上手、レン」



寝そべったジルの上に跨ったレンが、ジルの引き締まった腹に手をついて、がくがくと脚を震わせながら腰を回す。

悦いところにあたると、ひきつけを起こしたように身体を震わせる。



「ほら」



ジルは腰を突き上げた。

レンの奥に、雄が突き刺さる。



「ああっ、奥は、奥は、」

「気持ちいいなら、いいって言えって教えただろ」

「いい、奥すき、もっと、もっと」



半身を起こして、性欲に溺れた聖獣の腰を掴んで突き上げる。



「ジル、すき、すき」

「セックスが好きなの?それとも俺?」

「じ、ジルが、好き、ジル、私だけのっ」



色々と教え込んだ。

ますますレンは、性欲に溺れて淫乱になっていく。



「ジルだから、せっくす、すきっ」

「そっかー。俺もレンのこと好きだよ?」

「あ、うれしっ」



腰を回しながら、甘い喘ぎ声を出す聖獣を抱きしめる。

1000年の時を生きる彼は、もはやただの性欲に溺れた、淫乱な生き物だ。

幻獣は受肉して肉体を得た時、環境に合わせて自己を更新していく。

だから、ジルが抱けば抱くほど、レンはそれに合わせて性欲に溺れていく。



「あ、ああああっ」



ふっくらとした乳首をはじいてやると、レンが背をそらした。

それを逃がさないように力強く抱きしめて、ちゅ、ちゅ、と吸う。



「逃げるな」

「あ、あ、」

「逃げるな、って言った」

「あ、ごめんなさいっ」

「さいっしょっから乳首感じてたよな。レンの身体、どうなってんの」

「ジルが、わたしの、ねこだからっ、ジルにされたら、きもちよく、て」

「そっかー。俺がレンの猫だから感じたんだー?」

意地悪に笑って、ジルは連続で腰を突き上げた。

すっかり快楽を覚えて、どん欲に敏感になった奥を突きあげられて、レンが悲鳴をあげる。



「あ、あ、奥ぅっ」

「奥も最初から覚えたよな。うん、優秀優秀。次は何教えようかなー…射精せずに行くの覚えようか」



ジルは用意していた紐で、射精を前に震えるレンの雄の根元を縛り上げた。



「ああああ、ジル、だしたいいいぃぃっ」

「だーめ」

「なんで、なんでっ」



痙攣するレンの肩に、噛みつく。耳元でささやく。



「出さずにいけるようになったら、何回も何回もできるようになるよ?レンの大好きなセックス」

「…っ」

「俺も知らないけど。射精よりもっと気持ちいいんだって。気持ちよすぎて射精できなくなるんだって」



途端に、抵抗がやんだ。

ぎゅ、と震える手がジルを抱きしめてくる。



「それ、…教えてくれ」

「徹底的に教えてやるよ。淫乱な聖獣様」





レンだけは、絶対にジルを裏切らない。

裏切れないように、高潔な彼を快楽に溺れさせる。





「ジル、ジル、もういくうっ」

「いっちゃう?出したら許さねえぞ」



正常位で、ぐ、と紐の端を引いて、ジルは更にきつくレンの雄を締め上げた。

それがいたかったのか、レンが四肢をばたつかせる。



「いた、いたいっ、ジルそれ痛いっ」

「だったら、射精せずにいけるようになろうな?そしたらもう、紐いらないから」



優しく言って、腰は激しく突く。



「―――っ!!」



レンが声にならない声をあげて、背中をそらす。

ジルの目論見どおり、彼は射精せずに達したようだった。

ドライオーガズムだ。



「やだ、これなんかちがうっ、あ、とまんないっ」

「はい、よくできました。…でも一回じゃ覚えきれないだろ?」

「あ、あああっ」

「何回も何回も、身体が覚えるまで教え込んでやる。…でも、覚えたら何回でもできるようになるからっ、」



ぱんっ。



「意味ないかな?」



ぱんっ。



「あっ、あああっ、ジル、ジル、まだいってるから、いってるからああっ」

「いってるから、いいんだろ。ほら、もっといけ。俺はまだ、いってないんだから」



奥をつつかれて、レンが背をそらした。

深いオーガズムの波が、突かれるたびに波のように胎内から湧き上がる。



「あ、うあっ、とまんな、くるうっ」

「狂え」

「あ、あ、おかしくなるっ」

「おかしくなれ」

「あ、ジル、ジルっ」



縋るようにレンの手がジルの背に回る。

何かをこらえるようにぎり、と背中に爪が突き立てられた。

戦場で多くの古傷を残した背中に、またひとつ、傷が増える。

レンがつけるそれがひとつ増えるたび、ジルは満足する。



いつもはしまっている爪を伸ばして、強請るように勃起した乳首をつついてみた。

冷たい感触に、レンがジルに立てている爪の力が強く鳴る。



「あ、ちくび、いいっ、ちくびすきぃっ」





その時だった。

ドアをノックする音がした。

びくり、とレンが噛みつかれた跡ばかりが残る身体を震わせた。

ジルはその体を抱き起す。



「どーぞ」

「やだ、ジル」

「何が?」

腰を回す。



「……いいって、よくないだろ」



レクゼルが気まずそうだった。

ジルは笑った。



「いいって言っただろ。俺が」

「あ、じるっ、だめ、みられてるっ」

「見られてるのに感じるんだ、淫乱」

「…そういうプレイに俺を使うな」



ぼすっ。

ジルの頭に何かが当たった。

手紙だった。



「…何、これ」

「召喚士ギルドからお前宛。じゃ、俺は確かに渡したから」



レクゼルは素早くドアを閉めて去っていった。

レンとつながったまま、ジルはとりあえず手紙を開いてみた。



「あ、あ」



レンはベッドに倒れたまま、ジルの雄を咥えこんで身体をひくつかせている。

繋がっている部分も、中途半端に挿さっているジルを奥へ導こうと、淫猥に蠢いていた。



手紙を見てジルは顔をしかめる。

レンに関する聴取を行いたいという、召喚士ギルドからの呼び出しだった。



「めんどくさ」



だが、いかなければ冒険者ギルドにも迷惑をかける。

最近はいらついて依頼は受けずにひたすらレンを犯すだけの爛れた日々を送っていたが、冒険者ギルドはジルの稼ぎ口で、恩がある。

ここで面目を潰したくはなかった。

とりあえず手紙を机の方に投げ出した。



焦らされたレンが自分で自分の脚を持ち上げる。

ジルに、接合部を見せつけるように。



「うごいて、うごいてくれ、ジル」

「ああ、ごめん。待たせた」



ぱん、思い切り腰を送り込んだ。

焦らされていた奥を突かれて、レンが歓喜の悲鳴をあげる。

「あああっ、奥すきいぃ、もっとぉ」

「そんなに、好きっ?」

「ジル、すき、すき」

「ああ、俺のほう?」



ジルの中の征服欲と独占欲が満たされていく。

この聖獣だけは、自分のものだ。

喘ぎながら、レンが甘い声の中で、叫んだ。



「…お前が、私を、あっ、こんな、からだに、したんだから、せきにん、とれっ、あ、あ、」

「勿論」



手放す気は、ない。





さんざんレンを鳴かせて、胎内にもいっぱい出した後、ジルははぁ、と息をついた。

噛み跡だらけのその体を見ると、満足と罪悪感が湧き上がってくる。



「…ごめん」



何もかもがぐちゃぐちゃで、レンを犯しているようで―実際、レンに縋ることしか、できない。

白い腕が、ジルへと伸ばされて、ジルの頬にあてられた。



「いい。これでいい」

「…っ」



懺悔するように、その手に自分の手を重ねて、ジルはうつむいた。

涙が、頬を伝う。



「…俺は、俺は」

「…いい。好きだ、ジル。私は絶対に、お前を裏切らない」

「レン、俺は」

「お前は、私が好きか?」

「…好き。愛してる」



レンが笑った。



「初めて言われたし、初めて言ってくれたな、それ」

「…レン」

「私も返そう。愛してる」



自分たちは壊れている、と思った。

それでも、壊れることしか出来ない。
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