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スパンキング調教と後背位

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 「今は就業時間です。くだらないことを話す暇があったら働いてください、先輩」

 境原玲花さかいばられいかはツンとした態度を崩さないまま、冷淡にそう言い放った。年上上司を臆面もなく注意する姿が凛々しい。長く伸びた黒髪を耳に掛ける様は優雅で、高潔な華を思わせる。

 「ヤだわ、玲花ちゃん。コイバナはくだらなくなんてないでしょ。乙女の養分じゃない?」
 「何を言っているんですか……仮に、コイバナが必要栄養分であったとしても、より適切な時間と場所を選んで補給してください」

 玲花の指摘は社会人として至極真っ当だった。しかし既に勤労意欲を失ったアラフォーOLには効果がないようである。

 「玲花ちゃんは、相っ変わらずツンケンしてるわねー。ここ一年くらいでずいぶん柔らかくなったと思ったのに」
 「態度が柔らかくなることと、業務時間に無駄話をすることに繋がりはありません」
 「キレイな顔立ちなのにもったいない。高嶺の花なんて損するだけよ。私も昔そうだったもの。あれはそう、私がまだ二十歳のころ」
 「今はまず働いてください。思い出話に花を咲かせるのは、またいずれかの機会に」

 早口にスパッと言い切り、パソコンを操作する。いい加減目の前のタスクを処理したかった。花の金曜日には、残業などしたくない。

 「毎週金曜はとっとと帰っちゃうくせに……まあいいわ。確かに私の昔話より、玲花ちゃんの今の話を聞いたほうが面白いものね」

 望みに反し、アラフォー上司の追撃は終わらなかった。循環して最初の話題に立ち返る。

 「それで?玲花ちゃんは今彼氏いるの?」
 「……答える必要はありません」

 カタカタとキーボードを叩きながら、慣れたものだとばかりに冷めた口調で返答する。

 「必要はないけど気になるじゃない。あなた、自分が思ってるより数倍はキレイだから」

 そう話す目線は玲花の胸元に注がれていた。紺のスーツを内側から押し上げる量感と肉感が、直接見えないことでより鮮明に伝わる。

 「同性でもセクハラって訴えられますよ」
 「容姿を褒めるのはダメ?下手なモデルよりよっぽど魅力的だと思っただけよ」

 からかうように、遠慮なく視線がスーツとタイトスカートを纏った肢体を舐め回す。

 「恋人いないなら、今度合コンとかどう?玲花ちゃんならちょーっと弱いトコ見せただけで、どんな男でもイチコロだと思うわー」

 ノリノリで好き勝手話し続ける上司は毎度のことだが、今日は少しウンザリしていた。
 そろそろ喝を入れ直そうと思ったところで、しかし一瞬早く声をかけられる。

 「境原先輩、資料のチェックお願いします」

 振り返ると、後輩の桐谷勇也きりたにゆうやがいた。右手にはファイルされた紙束が握られている。

 「あぁ……桐谷くん、ありがとう」
 「ちょっと桐谷くーん、仕事早すぎ働きすぎよ。上司のメンツを考えてくれない?」
 「そんな理不尽な……大体、先輩方は今までずっとお喋りしてたじゃないですか」
 「そんなことないわ。ちょーっとだけよ」

 玲花が資料を確認している間、今度は勇也が上司の話し相手を務めていた。

 「私はただ、美人でスタイル抜群なのに男寄せ付けない玲花ちゃんが心配だったのよ」
 「はぁ、まあそうかもしれませんね……いやめちゃくちゃ余計なお世話では?」
 「そんなことないわよ。玲花ちゃんも今年で二十七、良い人がいないなら合コンでもどうかなって思っちゃうでしょ、先輩として」
 「…………へぇ、合コンですか」

 一拍置いて勇也が呟いた言葉は、心なしか低く冷たく玲花には聞こえた。彼の目は、パンストに包まれた肉づきのいい太腿や、ブラウスの襟から覗く白い鎖骨を捉えている。

 「先輩が勝手に言ってるだけよ、桐谷くん。私はそういうのに興味ないから。それとこれ、特に問題なかったわ。ご苦労様」
 「ありがとうございます。そうでしたか……でも境原先輩はおキレイですから、合コンとかだときっとモテモテでしょうね」

 資料を受け取った勇也がにこやかに話す。その爽やかな笑顔を直視するのが躊躇われていると、右手が差し伸べられた。
 鍛えられた男らしい手のひらの上には、果物アメがひとつちょこんと乗っている。

 「……ありがとう。いつも悪いわね」

 受け取ると、勇也はもう一度ニコッと笑って自分のデスクに戻っていった。「私にはー」とねだるもう一人の上司を無視して。

 「桐谷くんは、玲花ちゃんにだけしょっちゅう果物アメあげるのよねー……餌付け?」
 「それは私に失礼です、先輩」
 「そうは言うけど、あなたいつもちゃんと貰うじゃない。そして嬉しそうに舐める。私が何か持ってきても全然受け取らないくせに」
 「嬉しいというわけでは。単純においしいだけです。それと先輩から貰わないのは、後から何か請求されそうでイヤだからです」
 「私の信頼度そんなに低いのっ!?」

 玲花の言葉が思いのほか効いたのか、アラフォー上司は以降沈黙した。期せずして集中できる環境を手に入れたので、真面目に仕事を片付けようと玲花は黒髪を耳に掛ける。
 包装を破いてアメを舐めると、ねっとりとモモの味が口内に広がる。舌先で転がし、弄び、時に軽く歯を立てて、甘くなったトロトロの唾液をこくりと呑み込んだ。

 「私、アメで堕ちるほど安くありません」

 誰に言うでもなく一度だけ小さく呟き、玲花は黙々と金曜日の仕事を片付けるのだった。

  ○

 「んんっ、はぁ、あぁっ!やっ、ダメェ……ひぃいいいぃんんっ!」

 その日の夜、ラブホテルの一室にて。
 照明の落ちた部屋のなか、パチンと甲高い破裂音に続いて女の淫らな嬌声が上がった。悲鳴にも似た叫び声はしかし甘く蕩け、羞恥とともに牝の悦びを滲ませている。
 喉を震わせ喘いでいるのは境原玲花だった。
 数時間前まで職場で黙々と働いていた二十七歳OLが、今はベッドの上、四つん這いで快楽に悶えている。

 「はぁ、はぁ、ぅんん……ああっ。ユウくんダメ……お尻あんまり撫でないでぇ……」

 甘えるように「ユウくん」と呼んだ相手は後輩兼の桐谷勇也だ。玲花を無視してムチムチの美尻を手のひら全体でねちっこく撫で回し、さすり、愛おしむ。タイトスカートが捲れて露出された形のいいヒップは、暗闇でも明らかなほど朱色に火照っていた。

 「でも玲花さん、自分からお尻振ってますよ。ずーっといやらしく円を描いてます」

 指摘通り、くびれた腰は扇情的にくねくね動いていた。ブラウスを乱しながら身じろぎするたび、ジャラジャラ金属質な音が鳴る。
 嵌められたは無力さの証明のようで、玲花は被虐の悦を感じずにはいられなかった。

 「やぁ、違う……そんなことないわ。私別に興奮なんてしてないもの……ああんっ!」

 建前の強がりを看破した勇也にギュッと尻肉をつねられると、身体は浅ましく反応してしまう。甘く鋭い痺れに顎が上がり、背中が弓なりにしなり、黒髪が波のように揺らいだ。
 突き出したお尻は何度か叩かれたせいでジンジン熱を帯び、すっかり感度抜群の性感帯に仕上がっている。赤く色づいた発情フェロモンまみれのそれはまさに魅惑の桃尻だった。

 「相変わらず玲花さんは敏感ですね。もしかしなくても、職場であげたときから僕に叩かれることを妄想してたんですか?」
 「だ、だって今日はモモ味だったから……そんなのドキドキするに決まってるわ……」

 ヒリヒリ疼くお尻に手を這わせた勇也に意地悪く質問され、羞恥に震えながら答える。
 勇也との前戯の内容は、その日職場で彼が渡した果物アメの味によって決まる。
 リンゴはディープキス多め、イチゴは胸のペッティング重視、サクランボはパイズリないし口唇奉仕のサインだ。
 ──そしてモモを渡された日は──

 「そうだったんですか……それなら、期待に応えてあげないといけませんねっ!」
 「あ、あひっ、んはぁあああぁぁっ!」

 逞しい右手がスナップし、紅潮した美尻に平手打ちを食らわせる。臀部で閃いた痛烈な淫電流は一瞬で脳まで駆け抜け、女体が本能のままビクンビクンと跳ねた。快感に随喜の涙で目隠しを濡らしそうになるほどである。
 ──モモを渡された日の前戯は、目隠し手錠で拘束された状態でのスパンキングだった。

 「あっ、はぁ……熱ぃ……うんんっ、ふあぁっ……身体熱くてぇ……んあぁぁ」

 強めにぶたれた右側のヒップをじっくり撫で回されると、羞恥と興奮で性芯に火が灯る。の玲花は仕事をしているときから三つ年下の彼氏に屈辱的な服従ポーズを晒すことを想像し、密かに興奮していたのだった。
 欲情した肢体は恥じらいながらも貪欲に牝悦をおねだりする。媚びるように腰を振って彼の手を探し、積極的に瑞々しい桃尻を擦りつけた。ゴツゴツした手の表裏を舐めるかのようにスベスベのお尻を幾度も上下させる。
 その姿はペットが飼い主にじゃれつく様を彷彿とさせながら、実に淫猥極まりなかった。

 「はぁ、ああぁ熱いわぁ……汗、さっきからずっと止まらない……本当に熱いぃ……」

 露出した美尻には汗の珠が浮き、窓から差し込む光を浴びて輝いていた。張り付いたブラウスは下着のラインを明らかにし、水を吸った革手錠と目隠しに束縛の意識が強まる。
 ふたりきりの部屋にむんわりと立ち込める甘くかぐわしい女の体臭。じっとりとした熱気は濃厚で、理性を溶かし欲望を丸裸にする。

 「ダメッ、舐めたらダメェ……あ、んくっ、今舐められたら、気持ちよすぎてぇ……」

 覆い被さった勇也が髪を掻き分け、汗まみれのうなじに舌を這わせた。視覚がない分敏感になっているのだろうか。すんすんと匂いを嗅がれるたび、玲花は興奮で昂っていた。
 柔らかくほぐれた女肉をいじめられると、それだけで絶頂の予感を覚えてしまう。獣のように何度もねぶられ、嬲られ、いたぶられると、背筋がゾクゾクとさざ波立った。

 「んんっ……あっ!ふぁぁ、太腿ぉ……ユウくんの触り方、いやらしいぃ……」

 勇也の大きな手が滑り、しっとり濡れた太腿をまさぐりだす。うなじを舐められたまま手のひらで内腿を丹念に愛撫されると、否が応でも淫らな喘ぎ声が漏れ出てしまった。
 秘裂から滾々と湧き続ける愛液はショーツに収まりきらず、ついにはトロリと垂れ落ちた。遅速で伝う女蜜がじれったく、恥ずかしく、どうしようもなく気持ちよかった。

 「膝までびしょびしょ。でもこれ汗じゃないですよね。ねちゃねちゃっていう玲花さんの音、ちゃんと聞こえてますか?」

 耳元で囁き、勇也がわざと音を立てるよう腿を擦ると、喘ぎに卑猥な水音が混じる。粘つく淫汁が汗とは違うレモンヨーグルトに似た甘酸っぱい香りで部屋を満たしていた。

 「叩かれて、舐められて、撫でられて。それでこんなになっちゃうなんて……玲花さんって、やっぱりマゾの変態なんですね」
 「あっ、あんっ!はああぁああぁぁっ!」

 薄布越しに秘裂をなぞられると同時に、耳たぶを甘噛みされる。瞬間突き抜けた刺激に軽くアクメを極めた女体は痙攣し、硬直し、張りつめた。紅潮した美尻を見せつけるように高々と掲げ、つま先までピンと伸ばした淫靡な四つん這いのまま快楽の余韻に耽る。

 「ああぁ、違うのぉ……私はぁ、あっああんっ、あはっ……ひぃいいんんっ!」

 興奮に頬を染め、だらしなく開いた口で何とか言い訳しようとするも叶わない。
 鋭い打擲が剥き出しのヒップに襲いかかり、理性を徐々に崩落させる。愛しい男に痛めつけられる悦びで蕩け始めた思考では、快楽をおねだりすることしか考えられなかった。
 イヤイヤと拒むフリで火照った肢体をくねらせ、切なそうに尻振りダンスを披露する。

 「ねぇ、ユウくん。もっと、もっとぉ……あぁっ、んんっ、なんで……ユウくん……」

 いつもならば、勇也はそろそろ玲花の淫らな欲しがりを見抜いた上で甘い平手打ちの乱打をくれるのだが、今日は少し違った。
 叩かれて赤く染まった豊満な桃尻は尚ねちねちと撫で回され、揉みほぐされ、感度を引き上げられる。「開発」のその先を目指すかのような手つきに、恐怖が期待を上回った。

 「ダッ、メェ……もうなんで。今日のユウくん意地悪、ひどいぃ……そんな風にされたら、私おかしくなっちゃうからぁぁ……」

 一撃一撃が強い代わりに、じっくりと間隔を空けて行われるスパンキング調教。
 パチンッ、と打ちつけられるたび疼きと熱が身体の芯に蓄積され、制御できない快楽はより鋭く、重く、深くなる。
 愛する彼に見せられないほど自分がみっともない善がり姿を晒すことが玲花は怖かった。
 しかし、自らの性欲に怯える玲花に、年下の彼氏は最高の許しを与えてくれる。

 「いいんですよ、玲花さん。年上で美人で有能な自慢の上司がお尻叩かれて感じちゃうところ、僕に、僕だけに見せてください」

 その言葉のあと、今までで最も強烈な平手打ちが玲花の豊臀を容赦なく震わせた。

 「あっ、ああっ……んあああぁぁっ!!ダッ、ダメェ……そんなこと言われたら私、本当にイッちゃう……お尻、ぺんぺんってされて、気持ちよすぎてイッちゃううぅぅぅっ!」

 桃尻から伝播した快楽が背筋を抜け、脳まで達する。汗と涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔を振り乱しながら浅ましく喘ぐと、次々と愛しい男の平手が振り下ろされた。
 爆発的に萌芽した性感は快楽に悶える身体を絡め取り、発情した牝のフレグランスを部屋中にまき散らす。秘蜜は止まることなく溢れ続け、シーツに大きな染みを残していた。

 「ひゃっ、ひゃんっ!ひゃあああぁんん!あぁもうダメッ!本当にイっちゃうからっ!!」

 目隠しで覆われた視界に星が瞬き、稲妻が走る。激しい愛撫に襲われるたび全身が震え、ジャラジャラと無機質に手錠が鳴り響く。
 身も心も、物理的にも精神的にも、境原玲花は桐谷勇也に屈服し、堕とされている。
 その事実を魂で受け入れた瞬間、左右のヒップに同時に襲いかかった愛ある打擲がオーガズムの引き金を引いた。

 「んっ、ああっ、イく!イくっ!私、もう……あぁっ、イっくううぅぅぅうっ!!」

 拘束された身体を激しく痙攣させ、経験のない壮絶なスパンキングアクメの波動に翻弄される。徹底的にいじめられた桃尻はビクンと大きく跳ね上がったあと、秘裂からプシャッと絶頂汁を噴き出した。

 「ひゃっ、めぇ……ひっ!こんらのはんしょく……あああぁっ!やらぁ……きもちいぃのぬけない、おわんにゃいぃぃ……」

 弛緩した口元からだらしなく小さな舌を出し、回らない呂律で快感を訴える。肢体を巡る淫電流にみっともなく身体をヒクヒクさせながら、玲花は牝悦の余韻を堪能していた。

 「ちゃんと気持ちよかったみたいですね、玲花さん?僕もすっごく嬉しいです」

 多少息を乱しながらも勇也が爽やかに尋ねる。深い絶頂に取り込まれた玲花は言葉を返せず、四つん這いのままガクガクと頷いた。
 荒い息を深呼吸で整えていると、勇也の熱いほどの体温が背中に伝わった。
 彼は目隠しを外すと、淀みなくブラウスの下に手を入れてブラのホックに手をかける。押し込められていた豊乳が重力に引かれると同時に、むにゅりと強く鷲掴みされた。

 「ああんっ!えっ、な、なにユウくん?急にどうしちゃったの?んくっ、ふあぁぁ!」

 被虐の愉悦によって感度の上がった乳房を無遠慮にいじられ、玲花の喘ぎが一段高くなる。卑猥にしこった乳首をキュッとつままれると、ピリピリとした痺れに力を奪われた。
 アクメが抜けきらないなかの力強い乳責めはマゾの玲花を刺激し、昂らせた。愛液がドロリと腿を伝い、妖しく光を照りかえす。
 物欲しそうにひくついていた陰唇がショーツ越しに硬い突起物を知覚したとき、玲花はとても幸せな気持ちに包まれた。
 伏せたトロ顔をにやけさせていると、一度身体を離した勇也がショーツに手を伸ばす。抵抗せずにクルクルと下ろされた二重底は楕円に濡れ、たっぷりと半透明な糸を引いた。
 外気に晒された性器は恥ずかしそうに震えながら、とぷっと淫汁を溢れさせる。薄めのアンダーヘアはすっかりべたべただ。

 「大変なことになってますね、玲花さんのオマ×コ。僕もここまで濡れちゃってるだなんて思ってませんでしたよ」

 顔を近づけ、間近で視姦してくる彼の息がこそばゆい。女陰を指でツーッとなぞられると、それだけで軽く達してしまいそうだった。

 「んんっ、もう、そういうのダメェ……ねぇ、ユウくんももう、我慢できないよね?」

 誘うように尻を左右に振り、くねらせ、テラテラと濡れた女洞を見せつける。「早く挿れて」と催促する肉欲まみれの腰遣いは、牝の遺伝子に刻みこまれた動きである。
 肩越しに勇也が服を脱いでいく姿が見えたが、視線はやはり雄々しく反り返った男根に注がれていた。あの逞しい肉棒で貫かれるのかと思うと、歓喜で身震いが止まらない。

 「もう充分濡れてますし、これ以上は我慢できなさそうなので。じゃあ、挿れますよ」

 彼がシュッシュッと先走りに濡れたペニスを扱き上げてから膣口に亀頭をあてがう。
 異論はなかったが、気になることがあった。

 「あの、てっ、手錠……外さないの?いつもは外してからするのに……」

 手を動かせば、ジャラジャラと鎖が鳴る。目隠しこそ外されたものの、依然身体の自由は奪われたままだ。特に問題はなかったが、違和感を覚えての質問だった。

 「今日はそれ、外しませんよ。このまま玲花さんのことをたっぷり犯したいので」

 意地悪く答えた勇也の言葉は、陳腐な解答を想像していた玲花の身体を熱くした。普段優しい彼が使う「犯す」という表現に、どうしようもないほど期待が高まってしまう。

 「ふふっ、それじゃ今度こそ挿れますね」

 玲花の期待を見抜いたうえで、勇也は腰をがっしりと掴んで牡銛を少しずつ前にズラしていく。根本的な異物が徐々に侵入してくる感覚に玲花は呻き、悦んだ。

 「ああっ、あああぁ……んああぁー!」

 熱く硬いペニスがワンワンスタイルで膣道に潜り込み、やがて根元までずっぽりと埋まる。先端は玲花の最深部にしっかり届き、コリッと硬い子宮口をわずかに押し上げていた。
 ペニスを圧迫するよう膣ヒダが蠢き、その輪郭を感じ取る。逞しく張りつめた男の象徴は今にも射精しそうなほど震えていた。その振動は玲花の心を揺らし、蕩けさせる。

 「あっ、はぁっ……すごい……ユウくんのおち×ぽ、いつもよりずっと大きぃい……」

 わざと卑猥な言葉を口にすると、身体がどんどん熱くなる。欲望が羞恥を上回り、気づけば快楽に貪欲な自分を曝け出していた。

 「んんっ、気持ちいぃよ……おち×ぽ、ああっ、い、いっぱい擦れてぇ……はぁっ」

 ゆっくりと抽挿を開始したペニスが淫洞を抉るたび、牝悦がとめどなく玲花を溺れさせる。スパンキングアクメを極めたばかりの女体は恐ろしいほど敏感で、数回往復されるごとに軽くイきそうなほどだった。
 愚直に芯の通ったペニスがピストン運動を繰り返すと、凶悪に張り出したエラが牝ヒダをゴリゴリ削る。混じり合った粘液がぐちゅりと膣口で泡立ち、淫靡な水音を響かせた。

 「はぁ、はぁ、ああんっそこっ!かっ、感じるぅ……もっとおち×ぽちょうだいぃ」

 だんだんと苛烈になる律動に喘ぎながら、弱いトコロを擦られるたび卑猥におねだりする玲花。自ら豊満な桃尻をぐりぐりと押しつけ、少しでも深く彼と繋がろうとする。

 「玲花さんのお尻、いやらしいですね。真っ赤に腫れてて、こんなに熱くなってる」
 「ひぐっ!あぁぁ、もみもみするのダメェ……それ、感じちゃうからぁ……ああっ!」

 発汗の止まらない美尻は妖しくも艶やかな光沢に包まれている。腰を打ちつけられるたびにパチンと弾む尻タブを揉まれると、膣中を抉られるのとはまた違う快感に襲われた。
 勇也がピストンを激しくしながら尻肉をつねり、引っ張り、弄ぶ。蹂躙するかのような粗雑な扱いに玲花のマゾボディは浅ましく反応し、ベッドをぎしぎしと軋ませた。

 「玲花さんわかってます?今僕からは玲花さんのオマ×コがいやらしく僕のを咥えてるところも、お尻の穴が物欲しそうにひくひくしているところも、全部丸見えなんですよ」

 勇也はそう言って、桃尻を思い切り左右に広げた。まるで果物の皮を剥いて、秘された甘い果肉を露にするかのような動きである。

 「えっ?あっ、あぁイヤッ!そんなところまで見ちゃダメェ……ひゃんんっ!お、おち×ぽ深いぃ……は、恥ずかしいのに……」

 秘部の全てを丸出しにし、愛する彼に視姦されているのだと思うと流石に羞恥が強まったが、手錠を嵌められていては何もできない。
 テンポの速まった抽挿がきゅるきゅるとよじれる無防備な膣ヒダを犯し尽くす。きつく締まった膣道をペニスに勇ましく貫かれると、玲花はすっかり力が抜けてしまった。

 「あぁ、んっ、もうやら……ひゃぁっ!」

 四つん這いを維持するだけで精一杯の女体に、幾度も幾度も男根が突き刺さる。ひと突きごとに容赦なく膣奥を抉られ、ブラウスの張りついた背中はとうとう三日月を描いた。
 顎を上げ、喉を震わせ、濡れた黒髪を艶やかに振り乱して玲花が喘ぐ。飛ばした汗粒を輝かせる美女の姿は神秘的でさえあった。

 「ダメェ……私、もうイッちゃうぅ……ユウくんのおち×ぽ気持ちよすぎて、あぁっまたイッちゃう、イッちゃうからぁぁあっ!」

 絶叫は甘く蕩け。ぐちゅぐちゅと膣中を掻きまわされるたび嬌声は高く、伸びやかに。
 大きなストロークで放たれたひと突きが子宮口を挿した刺激で、玲花は再び深いオーガズムの波に呑みこまれた。

 「あっ!イく、イッ……んあああぁぁ、イっちゃうぅ……ひぎゅううぅぅうぅっっ!!」

 濡れそぼった女洞が収縮し、精液を搾り取ろうとペニスを圧迫する。きゅうきゅうと絡みついた膣ヒダが滾る肉銛の輪郭を捉えたとき、勇也が呻いて動きを止めた。

 「うぅぅ……二回も、ああぁイッちゃっら……もうダメェ……今日はもうむりぃ……」

 ぶるぶると快感に打ち震える身体はすでに力を失い、不規則に筋肉が弛緩する。下腹部で爆発した牝悦はひたすらに熱く、汗まみれの肢体を真っ赤に染めた。火薬臭さの代わりに汗と愛液の香りがむんわりと立ち込める。
 このまま甘いエクスタシーの余韻に浸ろうとした玲花だったが、そうはいかなかった。

 「やっ!な、なんでぇ……ああぁ、んんんっ、やらやらぁ……ほんろにらめなのにぃ」

 ぎちぎちに締まった牝ヒダを強引に掻き分けるよう、勇也が抽挿を再開したのだ。射精していなかった男根は禍々しく膨張したまま媚粘膜を削り、玲花をより深い快楽へ堕とす。
 二度のアクメに疲れ果てた身体は今にも倒れそうだったが、勇也が双臀を持ち上げているせいでそれも許されない。漏れ続ける喘ぎは荒く、声はわずかに掠れていた。

 「ああっ、はぁ、はぁ、んはぁああん!」

 膣中を躊躇なく往復するペニスは凶悪のひと言に尽きた。息も絶え絶えの玲花を襲い、貪るように子宮口とディープキスを交わす。
 屈服。
 その言葉が浮かんだのは、勇也の体重と体温が背中越しに伝わったからだった。

 「今日は僕が……僕がたくさん玲花さんを犯すんです。僕がたくさんいじめてあげるって、そう決めていたんです。だから……」

 玲花のお腹に手を回し、必死に息を抑えた調子で勇也が囁く。熱い吐息に鼓膜を撫でられ、こそばゆさと気持ちよさで媚洞がきゅうっと狭まると、彼が苦しそうに声を漏らした。
 それでもピストンは一向に止まらず、むしろテンポを加速させて玲花を責め続ける。
 明滅する快楽のなか、玲花はオフィスでの勇也の低く冷たい声、固い表情、そして不安を秘めた眼差しを不意に思い出した。

 「はぁはぁ、ユウくん……あぁっ、ユウくんユウくん、んんっ、はぁユウくんぅ……」

 呼び声は甘く、ただ甘く。気づきによって女洞は潤み、だらしないほど頬が緩む。
 果てた肉体からむくむく膨れる愛情と肉欲。
 そのふたつが溶けて混ざり合った末に、玲花は今夜最も淫らなおねだりを口にした。

 「ユ、ユウくん……ねぇ、いじめて……私、ユウくんにならいじめられてもいぃからぁ……んんっ……ユウくんにいじめられたい……ユ、ユウくんにだけ、私のこといっぱいいっぱいいじめてほしいのぉぉ……はぁんっ!!」

 濡れた瞳の上目遣い、媚びた声音が牡を誘う。マゾの卑猥なお願いに勇也はすぐ応えてくれた。不言実行が彼の魅力のひとつだった。
 お腹に当たっていた手はたわわに垂れた豊乳を掴み、最初からむにゅむにゅと揉みしだく。力任せの愛撫はしかし、今の玲花にとってはこれ以上ないほどの快楽だった。

 「ああっ、あっー、ひゃあああんっ!はぁぁイイッ、イイよユウくん、気持ちイイよぉ……私のおっぱい、もっと触ってぇ……」

 煽るように隠語を使い、濡れた肢体が跳ねまわる。揺れる瑞々しい巨乳の頂はツンと尖って先端から透明な雫を滴らせた。暗闇のなか差し込む月光に、夜汁よつゆが淫靡に煌めいている。
 硬くしこった桃色乳首は性感の火薬庫で、つねられ、しごかれ、引っかかれるたび玲花の思考が焼き尽くされた。

 「ふあぁぁ、は、はむはむって……私ユウくんに食べられてる……ユウくん肉食だぁ」

 襟から覗くうなじに吸いついた勇也が柔肌を甘噛みする。唇を吸いつかせたまま舌でれろっと舐め上げ、軽く歯を立てたりもした。カチッと火花が瞬くような刺激が熱く、実際に捕食される感覚がマゾボディを昂らせる。
 愛撫を続けている間も律動は苛烈さを増し続け、結合部をぐちゅぐちゅと卑猥に濡らした。かつてないほど怒張したペニスが凶暴に張り出したエラで媚ヒダをゴリゴリ削る。

 「気持ちぃ、はぁん、ユウくんに触られたところ……調教されたところ……んんっ、いじめられたところ……全部気持ちいぃっ!」

 組み伏せられた状態での後背位は獣のような交尾だった。その荒々しさに玲花の身体はすっかり勇也にメロメロとなっていた。

 「ユウ、くん……あぁぁダメッ、私もうダメイくっ!我慢できないぃ……やらぁ……一緒にイきたいのにぃ……ひゃあああぁぁ!」
 「玲花さん、僕もイきます!玲花さんの膣中なかにこのまま全部注ぎ込みますからっ!」

 三度目のアクメに期待と恐怖で震えた身体を後ろからギュッと抱きしめられ、力強い言葉に蕩けさせられる。ピストンはラストスパートを迎え、射精の予兆にペニスが跳ねた。

 「うん、出してっ!私のオマ×コ、ユウくんのでいっぱいにしてええええぇぇええぇっ!!」

 そう叫び、挿入のタイミングに合わせて自ら桃尻をぐいっと突き出す。
 粘液まみれの男根が滑らかに狭洞を滑り、ひと息で女体の最深部を突き刺した瞬間、玲花は三度目のオーガズムを迎え入れた。

 「ひゃ……はっ、はあぁぁ……ひぎゅっ、あっ、んああぁああああぁぁぁ~~~~!!」

 言葉にならない法悦に襲われ、緩みきったアへトロ顔を晒しながらただひたすら悶える。
 さらに勇也からドロドロの劣情をたっぷりと流し込まれ、女の神聖な小部屋が完膚なきまでに蹂躙された結果、玲花は終わらないエクスタシーの渦に取り込まれたのだった。

  ○

 週明け月曜日のことである。
 淡々とオフィスで仕事をこなしていた玲花に、いつもの上司が絡んできた。顔にはニマニマとお節介な親戚の笑みを浮かべている。

 「ねえねえ玲花ちゃん、先週話してた合コンのこと、覚えてる?あれ、ほんとにちょっと考えてみない?私サポートするからさ」
 「ありがたくもないので結構です、先輩。私のことならどうかお気になさらず」
 「……あれ?『くだらない話をしないで』とか『仕事して』とかじゃないんだ?」

 こんなところだけ妙に鋭いアラフォー上司だった。微妙な言葉の選択に気づき、無駄に鍛えた洞察力をフルに稼働させる。

 「へぇ……玲花ちゃん今日はいつもと違うね。、つけてるんだ。それも今まで玲花ちゃんが選んでこなかったようなもの」
 「……私、コピー取らなきゃいけないので。先輩も月曜ぐらい真面目に働いてください」

 不利な戦況から逃げ出すように、手近にあった紙束を掴んでそそくさ立ち上がる。「あーら図星」と意地悪く笑う上司をキツく睨んでから、コピー機の前まで移動した。

 「あれっ、境原先輩もコピーですか?」

 そこにちょうど勇也が現れた。爽やかに手を上げる仕草は落ち着いた好青年そのものである。しかし着衣には若干の乱れがあった。

 「桐谷くん……ネクタイが曲がってるわ」

 そう言って彼に近づき、ネクタイを一度ほどく。少しつま先立ちになれば口づけを交わせるほどの距離で、玲花は彼のネクタイを結び直した。思いのほか緊張したのか、身体はじんわりと汗ばんでいた。

 「……いい匂いですよ、玲花さん」

 他の誰にも聞こえないほどの小声で勇也が囁く。一瞬体臭のことかと思って顔が赤らんだが、すぐにと気がついた。

 「ええ、そうね。私もこの香り、思ってた以上に気に入ってるわ」

 玲花の身体から放たれているのはバラの香りだった。目の前の恋人から週末、デートの際に贈られた香水のフレグランスである。
 曰く「玲花さんは僕のものだから、これでマーキングするんです」とのことだ。
 もちろんそれだけでは不十分なので、夜には別のモノをたっぷり注いでもらったのだが。

 「気に入っていただけてるなら良かったです。正直ちょっと心配だったから……」

 相変わらず真面目な勇也は職場では比較的目立たず、大人しそうに振舞っている。
 だが玲花だけは、彼の深い愛情と優しさを知っていた。それこそ骨身に、子宮に染みるほど。

 「大丈夫よ。だって私、ユウくんのこと大好きだもの」

 軽やかに、向かい合う年下彼氏に言い放ち。
 境原玲花は、花がほころぶような笑顔を見せるのだった。
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