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騎乗位セックス
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(ほぅ……恭ちゃんのオチン×ン、今までで一番活きがよかったわ。私もすっごくドキドキしちゃったもの……気をつけなくちゃ)
恭一郎の射精直前、自分が何を口走ったのかがよく思い出せない。それだけ必死に奉仕しなければ、気持ちよすぎて動けなくなっていただろうという確信もあった。
今も胸の先端では根元から隆起するパフィーニップルが恥ずかしげもなく自らのピンク色を誇示している。乳房のサイズに比例して大きな乳輪は感度も抜群で、勃起ペニスと擦れるたびに痛烈な淫電流を奔らせてしまう。
(このおっぱい、乳首、恭ちゃんに思うがまま愛されたらどうなっちゃうの……きっと、ううん絶対に気持ちイイんだろうな……)
息を荒げた歳下の恋人を見上げながら、己の豊乳が小さくも男らしい彼の手で揉みしだかれる様を夢想する。淫らな期待に二十歳の女体が疼くのがわかる。わかってしまう。
だからこそ、美也子は淫欲に屈しそうになる心を律さなければならなかった。
(ダメよ私。恭ちゃんは恋人だけど、幼なじみで、弟分で、教え子なんだから。私はお姉ちゃんとしてリードしてあげなくちゃね)
美也子には、そうするだけの理由がある。
恭一郎は同年代の中でもかなり小柄な部類だ。昔からそうだった。背の順で並べば、いつだって彼の真向かいには教師がいた。
男子社会というのは──取り分け幼少期は──概ね体格によって序列が決まる。ガタイの優劣は運動能力の優劣に直結するからだ。
そんな状況で、平均より幾らも低い身長の恭一郎が冷たい対応を受けることは少なくなかった。それが美也子には許せなかった。
(今振り返れば、全然大したことなかったんだけどね。私もまだまだだったからなぁ)
しょせんは子供レベルの出来事だったと、今ならば確かに笑って流すことも出来る。
だが、当時の美也子にはそうもいかなかった。そしてそれ以来、美也子は胸にひとつの固い信念を抱えて今日までを生きている。
(私が恭ちゃんを、誰もバカに出来ないくらい立派な男の子に育ててみせるのよっ!)
そのためには、美也子自身もまた模範的な歳上、しっかり者のお姉さんとして彼の前で振る舞わなければならない。
恋人となって一年余りが経過してもその決意に揺らぎはなかった。むしろ日に日に強固になっているとさえ言えるだろう。
ただし、拗れた形で。
(だいたい、恭ちゃんは小っちゃいけど、オチン×ンはこんなに太くて、大きくて、逞しいんだからっ。はぁ、ホント立派……)
射精時とほぼ同等の威容を誇る愛しい肉棒を眺めていると、舌なめずりが止まらない。
「……恭一郎ったら、散々出したくせにまだまだ元気ね。ご褒美楽しみすぎて、オナ禁でもしてたのかしら……まあ安心していいわ。アナタへのご奉仕、本番はこれからだから」
「えっ?あっ、ああぁ……みや姉」
美也子の言葉で、恭一郎の瞳が期待に潤む。
その水面に己の淫蕩を滲ませた顔を写しながら、美也子は恭一郎を仰向けに寝かせた。跨って、マウントポジションを確保する。
ショーツを下ろせば、たっぷりと半透明の愛液がクロッチと橋を架ける。残っていた衣服をお互い全て脱ぎ捨てると、発情まみれの汗臭さが部屋に満ちていくのがわかる。
「いいわよ、恭一郎。これからアナタをトロトロにしてあげる私のオマ×コ、存分に視姦なさい……あ、あまりキレイではないけど」
流石に女性器を無言で見つめられるのは少し恥ずかしかった。ベタベタに濡れた薄い秘毛はクレヴァスを完全に覆い隠しておらず、視線が突き刺さるたび透明な蜜を滴らせる。
「そ、そんなこと……みや姉の、すっごくキレイだし、なんていうか……エロいよ」
「ふんっ……オチン×ン、もう我慢できないみたいね。仕方ないから挿れてあげるわ」
下腹部に張り付いていた勃起ペニスを引き起こし、己の湿った膣口に亀頭をあてがう。
(まったく恭ちゃんったら。この火照りの責任、ちゃんと取ってくれるんでしょうね?)
限界を迎えていたのは間違いなく美也子の方だった。責任を恭一郎になすりつけつつゆっくり腰を落とし、男根を呑みこんでいく。
「はあっ!ああぁ……んんっ、あっ……」
恭一郎のペニスが膣ヒダと擦れるたびに甘い快感が全身を巡り、急速に力が抜けていく。敏感な女体は刺激にぶるぶると震え、肉棒を迎え挿れたい意思に反して腰を戻してしまう。
(あぁ……ダメ、これ気持ちよすぎるぅ……初めてだわこんなの……どうして?)
自分でも理解できないほどの興奮に戸惑う。
「みや姉ぇ……みや姉?大丈夫?」
焦らされ、べそをかきそうになりながらも自分の心配をしてくれる恭一郎の優しさが嬉しかった。だからこそ、この少年に自分ができることの全てを捧げたくなる。
「変な心配なんて、しないでちょうだい……ちゃんと、恭一郎のことは私が気持ちよくしてあげるんだから……あっ、あああっ、アアンッ!き、来てる、奥まで来てるぅ……」
鋭い愉悦に声を漏らしながらも、再び怒張を迎え挿れる。最も太いエラの部分が媚ヒダを削りながら突破すると、これまでの躊躇が嘘のように女体が深々と貫かれた。硬い子宮口が押し潰されている感触さえ伝わってくる。
(入った、入っちゃったぁ……私のオマ×コ、もうトロトロにされちゃってる……)
いつもよりずっと甘い悦びが男根を中心にして全身へ広がる。指先まで駆け抜ける快楽に口が緩みそうになるのが幸せでツラい。
蠕動する膣ヒダが一斉にペニスを圧迫し、その輪郭を感じ取る。いつもより猛々しく長大な男根が内側から膣道を押し拡げていた。
「んんっ……き、気持ちイイかしら、恭一郎?……聞くまでもなかったわね。すっごく気持ちよさそうだもの、アナタ」
一度放出したとは思えないほど牡竿は震え、次の噴火の予兆を隠そうともしない。
(ガチガチ、パンパン、恭ちゃんのスケベ……ううん、それでいいの。私の身体で、もっともっと気持ちよくなってちょうだい)
愛しい歳下の少年を射精へと導くため、ゆるゆるとヒップを前後に振り始める。
反り勃つ若竿を軸として、淫蜜を塗り込むようなイメージで淫らに腰をスライドさせると、甘美な愉悦に下腹部が蕩けそうだった。
「はっ、はあぁっ……んん……ああん」
知らず、浅ましい嬌声が漏れてしまう。
(おっきい……恭ちゃんの、今までで一番硬くて大きいわ……ダメ、ダメなのにぃ)
擦過の快楽に比例して、美也子の尻振りダンスはいよいよ大胆になる。
大きく、速く、激しく。
すっかり板についた騎乗位は、スウィートスポットを完全に理解するまでに至っていた。
「恭一郎、恭一郎ぉ……イヤ……ああーっ、これ、イイ……ここ好きぃ……ッ」
怒涛の牝悦に、美也子はすっかり屈していた。気持ちよくするはずがいつの間にか、自身の悦びを貪ることに夢中になっていた。
「待って、みや姉、少し待って……よすぎるからぁ……僕、またぁ……」
自分の下で身悶え、切なそうに顔を歪める恋人の姿に我を忘れる。女肉の蠢きに合わせてペニスを跳ねさせるこの少年をさらに快楽に溺れさせたいと願ってしまう。
「我慢なんてしちゃダメよ、恭一郎。今はご褒美膣内射しセックス、思う存分楽しみなさい。さもないと、怒っちゃうからね」
妖艶に微笑んだ美也子はさらに恭一郎を追い込むべく、姿勢をやや前傾させた。両手を彼の頬に当て、水平方向の動きを垂直方向へとシフトさせる。両膝でしっかりと踏ん張り、腰を幾度も上下へと振った。
「アッ、アアッ!すごい、すごいわぁ……恭一郎、んあんっ、イイ……んはあアァッ!」
凶悪に張り出したエラが媚ヒダを削るたび、全身の毛穴が開くのがわかる。自重によって子宮が圧迫されるのも美也子を悦ばせた。
結合部からはじゅぶじゅぶと浅ましい濁音が鳴り、豊臀を打ちつけるたび本気汁を撒き散らす。この日のために洗濯された白いシーツはみるみるうちに汚れていった。
部屋を満たしていく濃厚な発情の香り。
泣きたくなるほどの法悦を噛み締めながら、美也子は自身を穿つ肉棒に奉仕した。
「イヤッ、ああぁ、奥、奥ダメぇ!一番奥は揺らしちゃダメえぇっ‼」
拒絶は明らかなウソだった。その証拠に、淫靡な腰使いは全く止まる気配を見せず、むしろスピードを上げていく。
(あぁ、イク、イクッ……私、このままひとりでイっちゃうんだ……!)
大きな瞳を潤ませ、背徳と恍惚のアクメが接近していることを知覚する。
硬く膨れた鈴口に最奥を叩かれた衝撃で、美也子は呆気なくオーガズムに達した。
「アッ、アアッ!イヤ、もぉ、ムリ……たまんないぃ……ヒイィッー‼」
背中を弓なりにした、牝獣のような甲高い悲鳴をあげて震える。女洞はいっせいに窄まって己を貫くペニスに絡みついた。
「うっ、うぅぅ……みや姉ぇ……」
(恭ちゃん、射して……今恭ちゃんのザーメンに犯してもらえたら、私きっと……)
精液をねだるように膣ヒダは蠢き、きゅうきゅうと肉茎に巻きつく。けれど、いつまで経っても熱い濁流は起きなかった。かつてないほど膨張した肉棒はビクビクと震えながらもなんとか射精を堪えたようである。
そしてそれは美也子にとって確かに不運であり、また幸運でもあった。
「えっ、イヤッ!ダメよ……ああっ、恭一郎、勝手に動いちゃ……ハアッ!」
ぎちぎちに締まってペニスに吸いつく媚粘膜を掻きわけるよう、突然恭一郎が下からピストンを繰り出してきたのだ。美也子の太腿をしっかり両手で押さえ、静止も聞かずに肉矛を使って強硬突破を仕掛けてくる。
「はひいぃっ、ひうっ、いひィン!やっ、やめなさい恭一郎……やめてったらっ!」
ぎこちなくも力強い抽挿に串刺しにされるたび、悲鳴のような甘い嬌声が漏れてしまう。
アクメを極めたばかりの膣洞は恐ろしいほど敏感で、弱点である子宮口を突かれると意識がフラッシュアウトしそうなほどだった。
(イヤッ、恭ちゃんやめて、もうやめてぇ……私このままじゃまたすぐにイっちゃうっ!恭ちゃんに見せられないくらい、だらしないアヘトロ顔晒しちゃうからぁ……!)
汗まみれの肢体でなんとか抗おうとするも、全く力が入らない。疲労と快楽に縛られた無防備な女体を抉られるたび、美也子は掠れた喘ぎ声を出すことしか出来なかった。
「生意気ぃ……くふうぅっ!んんっ、あっ、生意気なのよ、恭一郎のクセにぃ……」
最後の抵抗とばかりに胸板に爪を立ててみるが、これも効果はなかった。むしろ意外と厚い胸筋に触れたせいで、彼をより強く男として意識することになってしまう。
それは逆説的に自身を女、牝として捉えてしまう結果に繋がった。暴力的なまでの快楽の奔流に流されることしか出来ない無力さは、女体を被虐の悦へと堕としていく。
「みや姉、みや姉っ!僕頑張って動くから、頑張ってまたみや姉をイカせるからっ!」
単調で愚直な垂直ピストンで責めながら、恭一郎が叫ぶ。決意を秘めたストレートな声音に、美也子はどうしようもないほどの昂ぶりを覚えた。覚えざるを得なかった。
(恭ちゃん、あぁ、私のために……もう恭ちゃんは立派な男の人に育ってたのね。なのに、私ったら全然ちゃんと見てなくて……)
熱いほどの肉矛による真っ直ぐな律動が鉄面皮を壊していく。
膨れて硬い鈴口による力強い抽挿がかつての信念を砕いていく。
気づけば美也子は自らの脚で恭一郎の胴を挟んでいた。倒れそうになる上体を必死に支え、彼から送られる飾りけのない想いを、愛を、優しさを全て受け止める。
そして自らも愛を返すため、太腿を押さえていた両手を取って、自身の美巨乳へと導く。
あとはもう、心に素直になるだけだった。
「ほらっ、恭ちゃん……私を、ちゃんとイカせてちょうだい……恭ちゃんの、恭ちゃんの全部で、私のおっぱいも、オマ×コも、トロトロに蕩けさせてぇぇ……ヒイィッ‼」
ようやく剥き出しとなった美也子のおねだりに、恭一郎は迅速に応えてくれた。
手のひらに収まりきらないほどの豊乳を荒々しく揉み、嬲り、貪る。たわわな乳肉が指のあいだからはみ出すほどに強く求められると、白く濁った本気汁が次々分泌されていく。
「ひうッ!あっ、そう、もっとよ……もっとぎゅってして……少し痛いくらいのほうが気持ちイイんだからぁ……アアッ!」
Fカップを優に上回る美巨乳は刺激に飢えていた。普段から自慰で淫感を植えつけられていた乳房は、優しいタッチよりも変形するほど激しい愛撫のほうがより深い快感を得られるのだ。もっともっとと刺激を欲して突き出すと、恭一郎の手の動きが加速する。
だんだん慣れてきたのか、胸乳をいじる手つきにも変化が生じる。ただ揉むだけでなく、下からたぷたぷと弄ばれたり、まだ出ない母乳を搾り取るかのように外側から揉みこまれたりした。双丘の頂、根元からぷっくり膨れ上がる桃色のパフィーニップルも狙われた。
「アッ!乳首……恭ちゃんの触りかたエッチ、ダメ……いヒィン!んあっ、はあぁン!」
浅ましく隆起した乳輪ごとをつままれ、つねられ、しごかれる。そのたび駆け巡る愉悦の痺れに力が抜けていく。代わりに牝溝の圧迫は強くなり、咥えこんだペニスを絶対に離さない女の貪欲さを見せていた。
「んんっ、擦れてるぅ……恭ちゃんのオチン×ン、凄いよぉ……私の気持ちイイところいっぱいズボズボってしてりゅぅ……」
「あぁ、み、みや姉ぇ……キツすぎ……」
残った力の全てを使い、蕩けきった女体をくねらせる尻振りは極上だった。肉棒を軸にへこへこと腰を水平に遣い、女洞を攪拌する。ぐちゅぐちゅと粘つく音が立つほど背徳も高まり、かつてないほどの法悦に向けて美也子の快感曲線が急上昇を描き始める。
突き上げてくる垂直ピストンは女体の最深部を容赦なく叩き、膣口からラブジュースを飛び散らす。胸責めもより苛烈となり、芯まで蕩けた乳房をぎりぎりと握りしめられた。
「好き、みや姉大好きっ!あっ、あぁ、このまま……このままイカせてあげるからっ‼」
さらに力強い告白で心まで陥落させられては、美也子にできることはもはや何もなかった。恭一郎の全てがただ愛おしく、身も心も彼にメロメロとなっていた。
「私も好きっ、恭ちゃんのことが好きよ……あぁお願い、イカせてっ!たまんないの、オマ×コ、おかしくなっちゃうぅ……ッ!」
視界に星が瞬く。さっきよりはるかに深く、鋭く、甘いアクメの波がすぐそこまで迫っていた。絶頂を目指す腰振りは牝の本気の、遺伝子に刻まれた動きだった。
「もぉ、来りゅ……イク……イック~~‼」
淫靡な発情ダンスをついに止め、美也子はオーガズムの引き金を引いた。荒波のごとき牝悦に恭一郎の胴をぎゅっと挟み、ザーメンをねだるように女洞が肉矛を締め上げる。
「くっ……もう出るっ……ウアアァッ‼」
美也子を追うように恭一郎も達した。ぐっと腰を突き出し、亀頭と子宮口をしっかり密着させて状態で灼熱のスペルマを解き放つ。
「ヒイィッ!りゃめ、あっ、アッ、イッてるのに……まらイッちゃうぅ……アアッ‼」
無防備な小部屋に流し込まれた濁流の熱量は凄まじかった。初めての連続絶頂の法悦に震え、悶え、そして堕ちてしまった美也子のことを恭一郎はしっかりと支えてくれる。
「イッた……イキながらイッたぁ……オマ×コ、たぷたぷしてしゃーわせぇ……」
うわ言のように話す美也子は、だらしなくも至福のアへトロ顔を浮かべるのだった。
○
「あ、あの……みや姉?いい加減、その、機嫌を直してもらえませんか……?」
「ふんっ、何のことだかわからないわね恭一郎。別に私、最初から怒ってないけど」
濃厚な体験を終え、お互いシャワーを浴びた一時間後のこと。座卓に向かい合って座るふたりの空気は穏やかとは言い難かった。
「いいんじゃない別に。恭一郎にとって私は重い女だったんだから。事実をそのまま、包み隠さず伝えただけなんだから。だったらそれでいいじゃない別に。私も全然、全く、これっぽっちも気にしてないから別に」
きっかけは、体験後の恭一郎の発言に遡る。
初めての連続絶頂にすっかり蕩かされ、ほとんど放心状態となった美也子のことを、恭一郎はずっと強く抱き締めてくれていた。
だが流石に長時間すぎたのか、ポロッとつい「重い」などと呟いてしまったのだ。これがいけなかった。美也子の逆鱗に触れた。
(言うに事欠いて「重い」って!普通「ヴォリューミー」とか「グラマラス」とか「ムチムチして柔らかい」とかでしょ!恭ちゃんはホンット乙女心を知らないんだから)
今度たっぷりと教えてあげなくちゃ、と思う一方で、自分以外の女に変なことをしないよう警戒しなければと気を引き締める。
「それに結果的に、恭一郎は最初から謝罪の品を用意していたものね。ええ、ええ、重い女をこれ以上重くしようだなんて、嫌がらせもここまでくると清々しいわ」
彼がここに来る途中で買ってきたというプリンを掬い、見せつけるように口に含む。そのあとはまたすぐに目をぷいっと逸らして、ねちねちと説教めいた皮肉をぶつける。
「重いのね、私は重かったのね。私は恭一郎のこと大好きだけど、恭一郎からしたら私は重い年増の女に過ぎなかったのね」
「いやそろそろ曲解にもほどがあるよっ⁉」
「何よ?違うの?恭一郎はホントは私のこと、好きでもなんでもないんじゃないの?」
「それは違うっ!絶対に!」
そう鋭く叫んだあと、恭一郎は己を恥じるように赤面した。美也子がにたにたと意地悪い笑みを浮かべているのに気づいたからだ。
「そう。そんなに強く否定するなんて、恭一郎はよっぽど私が好きなのね。安心なさい。私もアナタのことが大好きだから」
「み、みや姉ってそんなキャラだった?なんかちょっと変じゃない?」
「そんなことないわ。元々、最初から、ずっとこういう人間だったわよ、私は」
アナタの前では、少し肩肘張ってたけどね。
小さく口だけを動かし、恭一郎の目をまっすぐに見つめる。この純朴な、けれど恋人想いの素敵な少年を大切にしたいと、そう思う。
「ねえ、恭一郎?」
ただ、今だけは、願わくば。
「私のプリン、食べてみたくない?」
「ぶふっ‼」
もう少しだけ、素直な自分で彼をからかっていたい。
「あらっ、私何か変なこと言ったかしら?普通にプリンを食べたいか聞いただけよね」
「いや、みや姉、だって、うう……」
恨めしそうに恭一郎が美也子を見つめるのも道理だった。たわわな胸を両腕でぎゅっと押し寄せながら『プリン食べたい?』などと訊かれれば、思春期の男の子が淫らな妄想をしてしまうのは致し方ないことである。
「別にいいのよ、恭一郎なら。本当に私のプリンを貪っても。まあ、条件付きだけど」
容器から黄色いプルプルを掬いとり、これ見よがしにゆらゆらさせる。
「じょ、条件って?」
「そんなの、決まってるじゃない」
「次も私のこと、いっぱい気持ちよくしてよね、恭ちゃん」
赤面する歳下の幼なじみをオカズに蕩けるほど濃厚な甘味を嚥下して、
藤原美也子は、幸福に緩んだ笑みを見せるのだった。
恭一郎の射精直前、自分が何を口走ったのかがよく思い出せない。それだけ必死に奉仕しなければ、気持ちよすぎて動けなくなっていただろうという確信もあった。
今も胸の先端では根元から隆起するパフィーニップルが恥ずかしげもなく自らのピンク色を誇示している。乳房のサイズに比例して大きな乳輪は感度も抜群で、勃起ペニスと擦れるたびに痛烈な淫電流を奔らせてしまう。
(このおっぱい、乳首、恭ちゃんに思うがまま愛されたらどうなっちゃうの……きっと、ううん絶対に気持ちイイんだろうな……)
息を荒げた歳下の恋人を見上げながら、己の豊乳が小さくも男らしい彼の手で揉みしだかれる様を夢想する。淫らな期待に二十歳の女体が疼くのがわかる。わかってしまう。
だからこそ、美也子は淫欲に屈しそうになる心を律さなければならなかった。
(ダメよ私。恭ちゃんは恋人だけど、幼なじみで、弟分で、教え子なんだから。私はお姉ちゃんとしてリードしてあげなくちゃね)
美也子には、そうするだけの理由がある。
恭一郎は同年代の中でもかなり小柄な部類だ。昔からそうだった。背の順で並べば、いつだって彼の真向かいには教師がいた。
男子社会というのは──取り分け幼少期は──概ね体格によって序列が決まる。ガタイの優劣は運動能力の優劣に直結するからだ。
そんな状況で、平均より幾らも低い身長の恭一郎が冷たい対応を受けることは少なくなかった。それが美也子には許せなかった。
(今振り返れば、全然大したことなかったんだけどね。私もまだまだだったからなぁ)
しょせんは子供レベルの出来事だったと、今ならば確かに笑って流すことも出来る。
だが、当時の美也子にはそうもいかなかった。そしてそれ以来、美也子は胸にひとつの固い信念を抱えて今日までを生きている。
(私が恭ちゃんを、誰もバカに出来ないくらい立派な男の子に育ててみせるのよっ!)
そのためには、美也子自身もまた模範的な歳上、しっかり者のお姉さんとして彼の前で振る舞わなければならない。
恋人となって一年余りが経過してもその決意に揺らぎはなかった。むしろ日に日に強固になっているとさえ言えるだろう。
ただし、拗れた形で。
(だいたい、恭ちゃんは小っちゃいけど、オチン×ンはこんなに太くて、大きくて、逞しいんだからっ。はぁ、ホント立派……)
射精時とほぼ同等の威容を誇る愛しい肉棒を眺めていると、舌なめずりが止まらない。
「……恭一郎ったら、散々出したくせにまだまだ元気ね。ご褒美楽しみすぎて、オナ禁でもしてたのかしら……まあ安心していいわ。アナタへのご奉仕、本番はこれからだから」
「えっ?あっ、ああぁ……みや姉」
美也子の言葉で、恭一郎の瞳が期待に潤む。
その水面に己の淫蕩を滲ませた顔を写しながら、美也子は恭一郎を仰向けに寝かせた。跨って、マウントポジションを確保する。
ショーツを下ろせば、たっぷりと半透明の愛液がクロッチと橋を架ける。残っていた衣服をお互い全て脱ぎ捨てると、発情まみれの汗臭さが部屋に満ちていくのがわかる。
「いいわよ、恭一郎。これからアナタをトロトロにしてあげる私のオマ×コ、存分に視姦なさい……あ、あまりキレイではないけど」
流石に女性器を無言で見つめられるのは少し恥ずかしかった。ベタベタに濡れた薄い秘毛はクレヴァスを完全に覆い隠しておらず、視線が突き刺さるたび透明な蜜を滴らせる。
「そ、そんなこと……みや姉の、すっごくキレイだし、なんていうか……エロいよ」
「ふんっ……オチン×ン、もう我慢できないみたいね。仕方ないから挿れてあげるわ」
下腹部に張り付いていた勃起ペニスを引き起こし、己の湿った膣口に亀頭をあてがう。
(まったく恭ちゃんったら。この火照りの責任、ちゃんと取ってくれるんでしょうね?)
限界を迎えていたのは間違いなく美也子の方だった。責任を恭一郎になすりつけつつゆっくり腰を落とし、男根を呑みこんでいく。
「はあっ!ああぁ……んんっ、あっ……」
恭一郎のペニスが膣ヒダと擦れるたびに甘い快感が全身を巡り、急速に力が抜けていく。敏感な女体は刺激にぶるぶると震え、肉棒を迎え挿れたい意思に反して腰を戻してしまう。
(あぁ……ダメ、これ気持ちよすぎるぅ……初めてだわこんなの……どうして?)
自分でも理解できないほどの興奮に戸惑う。
「みや姉ぇ……みや姉?大丈夫?」
焦らされ、べそをかきそうになりながらも自分の心配をしてくれる恭一郎の優しさが嬉しかった。だからこそ、この少年に自分ができることの全てを捧げたくなる。
「変な心配なんて、しないでちょうだい……ちゃんと、恭一郎のことは私が気持ちよくしてあげるんだから……あっ、あああっ、アアンッ!き、来てる、奥まで来てるぅ……」
鋭い愉悦に声を漏らしながらも、再び怒張を迎え挿れる。最も太いエラの部分が媚ヒダを削りながら突破すると、これまでの躊躇が嘘のように女体が深々と貫かれた。硬い子宮口が押し潰されている感触さえ伝わってくる。
(入った、入っちゃったぁ……私のオマ×コ、もうトロトロにされちゃってる……)
いつもよりずっと甘い悦びが男根を中心にして全身へ広がる。指先まで駆け抜ける快楽に口が緩みそうになるのが幸せでツラい。
蠕動する膣ヒダが一斉にペニスを圧迫し、その輪郭を感じ取る。いつもより猛々しく長大な男根が内側から膣道を押し拡げていた。
「んんっ……き、気持ちイイかしら、恭一郎?……聞くまでもなかったわね。すっごく気持ちよさそうだもの、アナタ」
一度放出したとは思えないほど牡竿は震え、次の噴火の予兆を隠そうともしない。
(ガチガチ、パンパン、恭ちゃんのスケベ……ううん、それでいいの。私の身体で、もっともっと気持ちよくなってちょうだい)
愛しい歳下の少年を射精へと導くため、ゆるゆるとヒップを前後に振り始める。
反り勃つ若竿を軸として、淫蜜を塗り込むようなイメージで淫らに腰をスライドさせると、甘美な愉悦に下腹部が蕩けそうだった。
「はっ、はあぁっ……んん……ああん」
知らず、浅ましい嬌声が漏れてしまう。
(おっきい……恭ちゃんの、今までで一番硬くて大きいわ……ダメ、ダメなのにぃ)
擦過の快楽に比例して、美也子の尻振りダンスはいよいよ大胆になる。
大きく、速く、激しく。
すっかり板についた騎乗位は、スウィートスポットを完全に理解するまでに至っていた。
「恭一郎、恭一郎ぉ……イヤ……ああーっ、これ、イイ……ここ好きぃ……ッ」
怒涛の牝悦に、美也子はすっかり屈していた。気持ちよくするはずがいつの間にか、自身の悦びを貪ることに夢中になっていた。
「待って、みや姉、少し待って……よすぎるからぁ……僕、またぁ……」
自分の下で身悶え、切なそうに顔を歪める恋人の姿に我を忘れる。女肉の蠢きに合わせてペニスを跳ねさせるこの少年をさらに快楽に溺れさせたいと願ってしまう。
「我慢なんてしちゃダメよ、恭一郎。今はご褒美膣内射しセックス、思う存分楽しみなさい。さもないと、怒っちゃうからね」
妖艶に微笑んだ美也子はさらに恭一郎を追い込むべく、姿勢をやや前傾させた。両手を彼の頬に当て、水平方向の動きを垂直方向へとシフトさせる。両膝でしっかりと踏ん張り、腰を幾度も上下へと振った。
「アッ、アアッ!すごい、すごいわぁ……恭一郎、んあんっ、イイ……んはあアァッ!」
凶悪に張り出したエラが媚ヒダを削るたび、全身の毛穴が開くのがわかる。自重によって子宮が圧迫されるのも美也子を悦ばせた。
結合部からはじゅぶじゅぶと浅ましい濁音が鳴り、豊臀を打ちつけるたび本気汁を撒き散らす。この日のために洗濯された白いシーツはみるみるうちに汚れていった。
部屋を満たしていく濃厚な発情の香り。
泣きたくなるほどの法悦を噛み締めながら、美也子は自身を穿つ肉棒に奉仕した。
「イヤッ、ああぁ、奥、奥ダメぇ!一番奥は揺らしちゃダメえぇっ‼」
拒絶は明らかなウソだった。その証拠に、淫靡な腰使いは全く止まる気配を見せず、むしろスピードを上げていく。
(あぁ、イク、イクッ……私、このままひとりでイっちゃうんだ……!)
大きな瞳を潤ませ、背徳と恍惚のアクメが接近していることを知覚する。
硬く膨れた鈴口に最奥を叩かれた衝撃で、美也子は呆気なくオーガズムに達した。
「アッ、アアッ!イヤ、もぉ、ムリ……たまんないぃ……ヒイィッー‼」
背中を弓なりにした、牝獣のような甲高い悲鳴をあげて震える。女洞はいっせいに窄まって己を貫くペニスに絡みついた。
「うっ、うぅぅ……みや姉ぇ……」
(恭ちゃん、射して……今恭ちゃんのザーメンに犯してもらえたら、私きっと……)
精液をねだるように膣ヒダは蠢き、きゅうきゅうと肉茎に巻きつく。けれど、いつまで経っても熱い濁流は起きなかった。かつてないほど膨張した肉棒はビクビクと震えながらもなんとか射精を堪えたようである。
そしてそれは美也子にとって確かに不運であり、また幸運でもあった。
「えっ、イヤッ!ダメよ……ああっ、恭一郎、勝手に動いちゃ……ハアッ!」
ぎちぎちに締まってペニスに吸いつく媚粘膜を掻きわけるよう、突然恭一郎が下からピストンを繰り出してきたのだ。美也子の太腿をしっかり両手で押さえ、静止も聞かずに肉矛を使って強硬突破を仕掛けてくる。
「はひいぃっ、ひうっ、いひィン!やっ、やめなさい恭一郎……やめてったらっ!」
ぎこちなくも力強い抽挿に串刺しにされるたび、悲鳴のような甘い嬌声が漏れてしまう。
アクメを極めたばかりの膣洞は恐ろしいほど敏感で、弱点である子宮口を突かれると意識がフラッシュアウトしそうなほどだった。
(イヤッ、恭ちゃんやめて、もうやめてぇ……私このままじゃまたすぐにイっちゃうっ!恭ちゃんに見せられないくらい、だらしないアヘトロ顔晒しちゃうからぁ……!)
汗まみれの肢体でなんとか抗おうとするも、全く力が入らない。疲労と快楽に縛られた無防備な女体を抉られるたび、美也子は掠れた喘ぎ声を出すことしか出来なかった。
「生意気ぃ……くふうぅっ!んんっ、あっ、生意気なのよ、恭一郎のクセにぃ……」
最後の抵抗とばかりに胸板に爪を立ててみるが、これも効果はなかった。むしろ意外と厚い胸筋に触れたせいで、彼をより強く男として意識することになってしまう。
それは逆説的に自身を女、牝として捉えてしまう結果に繋がった。暴力的なまでの快楽の奔流に流されることしか出来ない無力さは、女体を被虐の悦へと堕としていく。
「みや姉、みや姉っ!僕頑張って動くから、頑張ってまたみや姉をイカせるからっ!」
単調で愚直な垂直ピストンで責めながら、恭一郎が叫ぶ。決意を秘めたストレートな声音に、美也子はどうしようもないほどの昂ぶりを覚えた。覚えざるを得なかった。
(恭ちゃん、あぁ、私のために……もう恭ちゃんは立派な男の人に育ってたのね。なのに、私ったら全然ちゃんと見てなくて……)
熱いほどの肉矛による真っ直ぐな律動が鉄面皮を壊していく。
膨れて硬い鈴口による力強い抽挿がかつての信念を砕いていく。
気づけば美也子は自らの脚で恭一郎の胴を挟んでいた。倒れそうになる上体を必死に支え、彼から送られる飾りけのない想いを、愛を、優しさを全て受け止める。
そして自らも愛を返すため、太腿を押さえていた両手を取って、自身の美巨乳へと導く。
あとはもう、心に素直になるだけだった。
「ほらっ、恭ちゃん……私を、ちゃんとイカせてちょうだい……恭ちゃんの、恭ちゃんの全部で、私のおっぱいも、オマ×コも、トロトロに蕩けさせてぇぇ……ヒイィッ‼」
ようやく剥き出しとなった美也子のおねだりに、恭一郎は迅速に応えてくれた。
手のひらに収まりきらないほどの豊乳を荒々しく揉み、嬲り、貪る。たわわな乳肉が指のあいだからはみ出すほどに強く求められると、白く濁った本気汁が次々分泌されていく。
「ひうッ!あっ、そう、もっとよ……もっとぎゅってして……少し痛いくらいのほうが気持ちイイんだからぁ……アアッ!」
Fカップを優に上回る美巨乳は刺激に飢えていた。普段から自慰で淫感を植えつけられていた乳房は、優しいタッチよりも変形するほど激しい愛撫のほうがより深い快感を得られるのだ。もっともっとと刺激を欲して突き出すと、恭一郎の手の動きが加速する。
だんだん慣れてきたのか、胸乳をいじる手つきにも変化が生じる。ただ揉むだけでなく、下からたぷたぷと弄ばれたり、まだ出ない母乳を搾り取るかのように外側から揉みこまれたりした。双丘の頂、根元からぷっくり膨れ上がる桃色のパフィーニップルも狙われた。
「アッ!乳首……恭ちゃんの触りかたエッチ、ダメ……いヒィン!んあっ、はあぁン!」
浅ましく隆起した乳輪ごとをつままれ、つねられ、しごかれる。そのたび駆け巡る愉悦の痺れに力が抜けていく。代わりに牝溝の圧迫は強くなり、咥えこんだペニスを絶対に離さない女の貪欲さを見せていた。
「んんっ、擦れてるぅ……恭ちゃんのオチン×ン、凄いよぉ……私の気持ちイイところいっぱいズボズボってしてりゅぅ……」
「あぁ、み、みや姉ぇ……キツすぎ……」
残った力の全てを使い、蕩けきった女体をくねらせる尻振りは極上だった。肉棒を軸にへこへこと腰を水平に遣い、女洞を攪拌する。ぐちゅぐちゅと粘つく音が立つほど背徳も高まり、かつてないほどの法悦に向けて美也子の快感曲線が急上昇を描き始める。
突き上げてくる垂直ピストンは女体の最深部を容赦なく叩き、膣口からラブジュースを飛び散らす。胸責めもより苛烈となり、芯まで蕩けた乳房をぎりぎりと握りしめられた。
「好き、みや姉大好きっ!あっ、あぁ、このまま……このままイカせてあげるからっ‼」
さらに力強い告白で心まで陥落させられては、美也子にできることはもはや何もなかった。恭一郎の全てがただ愛おしく、身も心も彼にメロメロとなっていた。
「私も好きっ、恭ちゃんのことが好きよ……あぁお願い、イカせてっ!たまんないの、オマ×コ、おかしくなっちゃうぅ……ッ!」
視界に星が瞬く。さっきよりはるかに深く、鋭く、甘いアクメの波がすぐそこまで迫っていた。絶頂を目指す腰振りは牝の本気の、遺伝子に刻まれた動きだった。
「もぉ、来りゅ……イク……イック~~‼」
淫靡な発情ダンスをついに止め、美也子はオーガズムの引き金を引いた。荒波のごとき牝悦に恭一郎の胴をぎゅっと挟み、ザーメンをねだるように女洞が肉矛を締め上げる。
「くっ……もう出るっ……ウアアァッ‼」
美也子を追うように恭一郎も達した。ぐっと腰を突き出し、亀頭と子宮口をしっかり密着させて状態で灼熱のスペルマを解き放つ。
「ヒイィッ!りゃめ、あっ、アッ、イッてるのに……まらイッちゃうぅ……アアッ‼」
無防備な小部屋に流し込まれた濁流の熱量は凄まじかった。初めての連続絶頂の法悦に震え、悶え、そして堕ちてしまった美也子のことを恭一郎はしっかりと支えてくれる。
「イッた……イキながらイッたぁ……オマ×コ、たぷたぷしてしゃーわせぇ……」
うわ言のように話す美也子は、だらしなくも至福のアへトロ顔を浮かべるのだった。
○
「あ、あの……みや姉?いい加減、その、機嫌を直してもらえませんか……?」
「ふんっ、何のことだかわからないわね恭一郎。別に私、最初から怒ってないけど」
濃厚な体験を終え、お互いシャワーを浴びた一時間後のこと。座卓に向かい合って座るふたりの空気は穏やかとは言い難かった。
「いいんじゃない別に。恭一郎にとって私は重い女だったんだから。事実をそのまま、包み隠さず伝えただけなんだから。だったらそれでいいじゃない別に。私も全然、全く、これっぽっちも気にしてないから別に」
きっかけは、体験後の恭一郎の発言に遡る。
初めての連続絶頂にすっかり蕩かされ、ほとんど放心状態となった美也子のことを、恭一郎はずっと強く抱き締めてくれていた。
だが流石に長時間すぎたのか、ポロッとつい「重い」などと呟いてしまったのだ。これがいけなかった。美也子の逆鱗に触れた。
(言うに事欠いて「重い」って!普通「ヴォリューミー」とか「グラマラス」とか「ムチムチして柔らかい」とかでしょ!恭ちゃんはホンット乙女心を知らないんだから)
今度たっぷりと教えてあげなくちゃ、と思う一方で、自分以外の女に変なことをしないよう警戒しなければと気を引き締める。
「それに結果的に、恭一郎は最初から謝罪の品を用意していたものね。ええ、ええ、重い女をこれ以上重くしようだなんて、嫌がらせもここまでくると清々しいわ」
彼がここに来る途中で買ってきたというプリンを掬い、見せつけるように口に含む。そのあとはまたすぐに目をぷいっと逸らして、ねちねちと説教めいた皮肉をぶつける。
「重いのね、私は重かったのね。私は恭一郎のこと大好きだけど、恭一郎からしたら私は重い年増の女に過ぎなかったのね」
「いやそろそろ曲解にもほどがあるよっ⁉」
「何よ?違うの?恭一郎はホントは私のこと、好きでもなんでもないんじゃないの?」
「それは違うっ!絶対に!」
そう鋭く叫んだあと、恭一郎は己を恥じるように赤面した。美也子がにたにたと意地悪い笑みを浮かべているのに気づいたからだ。
「そう。そんなに強く否定するなんて、恭一郎はよっぽど私が好きなのね。安心なさい。私もアナタのことが大好きだから」
「み、みや姉ってそんなキャラだった?なんかちょっと変じゃない?」
「そんなことないわ。元々、最初から、ずっとこういう人間だったわよ、私は」
アナタの前では、少し肩肘張ってたけどね。
小さく口だけを動かし、恭一郎の目をまっすぐに見つめる。この純朴な、けれど恋人想いの素敵な少年を大切にしたいと、そう思う。
「ねえ、恭一郎?」
ただ、今だけは、願わくば。
「私のプリン、食べてみたくない?」
「ぶふっ‼」
もう少しだけ、素直な自分で彼をからかっていたい。
「あらっ、私何か変なこと言ったかしら?普通にプリンを食べたいか聞いただけよね」
「いや、みや姉、だって、うう……」
恨めしそうに恭一郎が美也子を見つめるのも道理だった。たわわな胸を両腕でぎゅっと押し寄せながら『プリン食べたい?』などと訊かれれば、思春期の男の子が淫らな妄想をしてしまうのは致し方ないことである。
「別にいいのよ、恭一郎なら。本当に私のプリンを貪っても。まあ、条件付きだけど」
容器から黄色いプルプルを掬いとり、これ見よがしにゆらゆらさせる。
「じょ、条件って?」
「そんなの、決まってるじゃない」
「次も私のこと、いっぱい気持ちよくしてよね、恭ちゃん」
赤面する歳下の幼なじみをオカズに蕩けるほど濃厚な甘味を嚥下して、
藤原美也子は、幸福に緩んだ笑みを見せるのだった。
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